☆ ツーリング紀行 ☆
北海道ツーリング2009 "七転び八起き" 記

<1>

 
まずはムラサキウニからいきましょうか


<2009年8月13日>

一気北上

 翌日定刻4:30am、フェリーは小樽港へと到着した。

 バイクの降船を待ちながら外を眺めてみる。
 天候曇り…というかやや雨っぽい。暗い空から時折さぁっと霧雨が降りてくる。

 道内3日の今回のツーリング。
 事前の天気予報によれば、初日×、2日目△、3日目○'な感じだった。
 
 今の天候は予報どおりといえば予報どおり、今日は移動日と割り切って走る覚悟だ。
 それにほら、iPod shuffleの中にはパフュームも突っ込んできてあることだし(←意味不明2)

 セローでごとごとと船を下りる。

 フェリーターミナルで「やぁまた来たぞ北海道」の画像を撮ったら、念のため雨具を着ておくとしようか。初日からウエアを濡らすと気が重くなるからなあ。


微妙な天気ですしね

 走り出す国道5号。交通量はまばらで、何台かのトラックにフェリーを降りたバイクと車が混じって走る程度である。

 銭函あたりで雨が本格的になってきた。
 雨具を着けた先見の明を褒めつつ、ブーツにもカバーをかけておくことにする。

 「何時ぶりだろ?」と思いながら路肩でブーツカバーをつける。
 グローブカバーも持ってきているのだがこれは不要。いやぁ、オフ車のハンドガードって草とか風だけじゃなく、雨もしっかりガードしてくれるんだねぇ…
#V魔にも付けたいくらい(笑)

 国道を337、231と乗り換え、道が北向きに変わる。
 目指すは稚内、今年は原点に返り(?)海岸沿いに北へ走るのだ。


Nが正面を向きました

 振り続ける雨は相変わらず結構な量。
 
 ワダチに盛大に溜まった水を、「ブロックタイヤで万全!」と蹴立てながら走っていたら、追い越していった車から盛大に水しぶきを浴びせられた。「うぎゃ~っ!」
 
 ハンドガードも横からの水には効果なく、グローブはびしょ濡れとなる。
 くっそ~、でも向こうは多分気づいてないんだよな。


びしょ濡れの割りに寄り道してますけど

 それにしても、これだけ雨具をしっかりと着込んでいるのにまったく暑さを感じない。
 ウエアの下は相変わらずのTシャツ1枚だが、いつもならこれでも汗をかくのだ。
 気温は15度前後だろうか、やはり今年の北海道の夏は(も?)結構冷え込んでいるようだ。

 浜益あたりで朝飯休憩。この時間なのでもちろんセイコーマートである。
 
 「これこれ、これだよ!」とグランディアブラックを購入。パンはいつものしっとり豆パン…の横にあった「平焼き豆パン」なるものを買ってみる。
 うん、旨い。まぁでもこれまでセイコマのパンで「ハズレたぁ…」ってのには出会ったことがないのだけれど。


オリジナルの大きなおにぎりも美味しいんです

 「やっぱりバイクの数が少ないよな…」と考えながら店先でパンを齧る。
 見上げる空は…「お、雨があがってきたか?」

 本格的に降っていた雨は何時の間にか小降りに、そして次第に止んできた。
 空の雲もずいぶんと薄くなった感じ。「よ~し、このまま回復してくれよぉ」

 出発。雨はぱらぱら程度になってきたが、寒さもあって合羽は着込んだままだ。

 海岸沿いの国道、妙にトンネルが沢山あるように感じる。「こんなに多くあったっけ?」
 
 トンネルを抜けるとまたトンネル。それほど新しくはない感じなのだが、ここ数年でできたのだろうか?
 景色が見えないのは残念だが、今日のような天候の時にはありがたくも思ったり。

 ★

 走ること1時間。降ったり止んだりを繰り返していた雨はとうとうあがってくれた。

 びっしょりと濡れていた路面も次第に乾いてくる。 「ひゃっほぅ~」

 朝の状況が状況だけにこれが嬉しくてたまらない。
 空は「晴れ」とは呼べない状態だがそれもまったく気にならない。

 やっぱり人間はあれもこれもと望みすぎてはいけないんですよ、うんうん。

 留萌過ぎ。例の「マイナー4連風車」を目指して砂利道を上っていく。
 
 雨上がりで路面はぐずぐずだ。しかしまぁよくこの道を、あのク○重いV魔で登ったもんだよな、俺。

 曇り空ではあるが、いつもの風車は綺麗だった。
 
 うんと一つ伸びをして、ブーツカバーをしまいこむ。
 また少し明るくなってきた空に、「晴れ男をナメるなぁっ!」とガッツポーズをしてみたりする。


いまひとつ格好良くないガッツポーズ

 そこから数キロ先、メジャー風車の方も見学に行く。
 
 こちらにはぽつりぽつりとではあるが他の見学者の姿もある。でもそこのXXさん、そのバイクで牧草地の中に入るのはやめた方がいいと思うんだけど。(案の定出るのに苦労してた)
 


メジャー風車は台数が違います

 羽幌手前、天気は「やや曇り」的なまま小康状態となる。

 回復した天候にうきうきと走る。
 
 ステップに立ちあがり、「絶景絶景」と景色を眺めながら走っていた時、ウエストバッグの中でバイブレーションが働いた気がした。 「電話かな?」

 気持ち良く走っていたので止まりたくない。
 着信があったかどうかだけ確認しよう(イルミネーションで判る)とウエストバッグを開け、手探りで携帯を…「アーッ!」

 取り出した携帯電話。その横に付いているストラップがぷっつりと切れていた。

 慌てて路肩にセローを止める。このストラップはとても大事にしていたものなのだ。
 
 いつぞやの北海道ツーリングの時に買ったアイヌのお守り、鹿の角、そして友人からこれまたお守りにと貰った鮫の歯。
 これらを「根付」にして留めておいたのだ。

 紐が弱る毎に取替え、「これだけは無くすまい」と思っていた携帯ストラップ。
 「くっそー、どこで落としたんだ、今か?」

 ウエストバックの中身を全部出して調べるが見つからない。
 合羽やバイクに引っかかっている様子もない。

 どこかで既に落として(切れて)いたのなら仕方がないが、一番確率が高いのは今携帯と取り出そうとした時に切れたという可能性だ。

 それっと戻る。
 1kmほど走ってUターン、ハザードを出しながら路肩を歩くような速度で走り、路面の落し物に目を凝らす。
 幸い交通量は少ない、さっき落としたのなら見つかるはず…見つかってくれ!

 30分をかけ3往復したが、結局ストラップは見つからなかった。

 悄然と先へ進む。

 「北海道で買ったお守りだったしな、北海道の地に返したと思うしかないか」
 まぁでも、一緒に落とされた南国育ちの鮫の歯はさぞかし戸惑っているだろうけれど。

 道の駅富士見着。
 ここで新型VMAX乗りの56号氏と落ち合う。
 
 今年の餃子オフにも参加してくれた56号氏、北海道に来ている&同じ方面に居るという事で、「もし予定が合えば」と連絡を取りあっていたのだ。

 例のストラップの件でお待たせしてしまった氏に「申し訳ない」とご挨拶。
 一人旅と聞いていたのだが、もう一台の新型VMAX氏と旧型V-Max氏が一緒。どうやら途中でナンパしてきたらしい(笑)
 しばし4人であれやこれやのV魔話となる。
#しかし新型V魔が2台あるとナンシーも爆釣ですな(笑)


新型タンデム・新型箱付き・旧型大荷物

 すっかり乾いた合羽を畳んでしまい、南へ下る皆さんと「んじゃま楽しい旅を」と別れたら、さて、俺は北上を続けるとしましょうか。

 11:30am(そう、まだ午前中)道の駅手塩。

 ここで唐突に腹が減ってきた。
 ストラップの件で落ち込んでいて腹の具合など忘れていたのだが、皆と話したことでその緊張が解けたのかもしれない。

 「お腹空いたよぉ…」とよろよろと道の駅へ入る。

 何度か寄ったことのある道の駅だが、今年は「タコキムチ丼」というものを売りにしているらしい。
#付近の食堂とのコラボ企画らしい

 どれどれと注文。
 内容は名前のまんま、タコを練り混んだフライとキムチが入った丼だ。
 そして味は、タコを練り混んだフライとキムチの味だ。(なんだそりゃ?)

 む~、もう一工夫してあるとより良くなると思うんだがな。フライの味付けとかソースとかにさ。


美味しかったですけどね

 意外だったのが、付け合せにでてきたタコの卵のしょうゆ漬け。(画像右上の小鉢)
 これ旨いわ~、インパクトもあるし、もしかしてこれの丼をメインにしたほうがよかったんじゃないだろうか?(←失敬)

※「手塩で食べるなら海鮮丼でしょう」だって?、俺はこれから礼文島へ行くんですぜ、へっへっへ。

 12時過ぎ、出発。

 稚内から礼文へ出るフェリーの出港は15:30、安全に1時間前に着くとして14:30、それまであと2時間ある。
 これならオロロンラインで少し遊んで行っても大丈夫かな?

 オロロンライン名物の風車、今年は足元まで行って見る。
 いやぁ大きい大きい、そしてまた台数増えてるんじゃないか?


そういえば数え忘れました

 天気はまた少し良くなり、気温も上がってきた。
 更に盛り上がる気分に「おりゃ~」と走っていたら、北緯45度記念碑前後の1kmだけ路面がびしょぬれで驚いた。

 濡れてしまった膝下に顔をしかめながら先へ進む。
 どうやらまだところどころに気まぐれな雨雲が残っているようだ。


天気はまぁこんな感じで


ピースサインも出ますし


そう悪くないんじゃないでしょうか

 稚内手前で海岸へ出て日向ぼっこをし、礼文島へのフェリーターミナル(利尻へと一緒)に着いたのが14時20分。
 よし、ぴったり予定通りっと。

 案内で聞くと、乗船手続きは14時半からで、それほど慌てなくても良いらしい。
 そうか、ならせっかくだから、すぐそこの北防波堤ドームを見に行こうか。

 一昨年も来たドームは相変わらず大きかった。
 (本当はいけないのだろうが)内側にはテントが3張りほど、やっぱり今年はツアラーの数が少ないような気がする。


やっぱ大きいわ

 15時前、ターミナルへ戻り手続き。
 
 利尻・礼文へはバイクを置いて渡り、あちらでレンタバイク(もしくは歩き)という人も多いそうなのだが、俺はもちろんセローと共に渡るのだ。だって、それでなけりゃツーリングにならないからね。
#でも片道6K円以上ってのは確かにきついよな…

 この便で礼文島へ渡るバイクは3台のみ。自転車が5台ほど、乗用車が十数台といったところ。
#利尻島へはもう少しバイクがあったかも?
 それでも乗客は結構いる。やはり徒歩の人が圧倒的に多いようだ。

 フェリーは意外に…といっては失礼だが、なかなか立派なものだった。
 もちろん長距離フェリーには及ぶべくもないが、桜島へ渡るフェリー等に比べればずいぶん立派な「船」である。
 
 


立派なフェリー


そして格好つけようとして失敗する男
(を、青空出てきたじゃん…)

 乗船。バイクの固定を確認し、船室へ。
 2等のフロアにごろりと横になる。


バイクは端へ


人は中へ

 人はいるが、混雑するほどではない。
 これから島までの2時間は何もすることがない。点けっぱなしのTV(高校野球甲子園大会絶賛放映中)を見るか寝るしかないようだ。

 丸めたジャケットを枕にうとうとする。
 そして唐突に「ノッキンオン礼文ズドア」というネタを思いつき、忘れないうちにと仲間連中にメールする。(すまん、勢いだけで送ってしまったわ)

 17:30、「やぁ、はじめまして礼文島」


面白みの無い画像ですいません

 予約してあった民宿はフェリーターミナルのすぐ隣、海岸沿いの場所だった。

 そう、今年はキャンプではなく全て宿泊りのバブルツアー。
 3泊中最終日は例によって小樽泊、なので残り2泊だけの為に重いテントを積んでくる気になれなかったのだ。
#天候的にもこれで正解だった。

 意外に立派な部屋に驚きつつ、下ろした荷物を運んだら、さて、日暮れまで付近を散策しますかね。

 空荷となったセローでたぱたぱと走る。

 せっかくだから、明日走る予定の「礼文林道」の入り口も確認してこよう。

 結構な斜度の峠を駆け上がり、下に広がる港を眺める。
 林道の入り口をチェック。よしよし判りやすい場所だな。
 
 「展望台」の標識を見つけてわき道へ。あ~、駐車場までであとは歩きなのか。今日は時間がないし、明日は島の反対側までへ行っちゃうんだよな。


をを、フェリーが戻っていく…

 展望台をあきらめ、頂上のトンネルを抜けて島の西側へと出る。
 これまた急坂をぐるっと下りて、海岸縁を行き止まりまで行くと…を、ここが有名なウニ丼屋さんですね。

 バイクを停めてきょろきょろしていたら、店からおばさんが出てきて「今日はもう終わっちゃったんですよ」とすまなさそうに言う。
 いえいえ大丈夫ですよ。今日は下見に来ただけですから(笑)


ドン詰まりはこんなところでした

 おばさんの「朝は5時からやってますから」の言葉に「誤植じゃなかったんだ…」と驚きながらUターン。ぐるり回って民宿へと戻る。

 駐車場でセローにきっちりと施錠。思いついて電気系にはぐるぐるとビニールを巻く。
 いや、天気がいま一つの時に屋外駐車しておくと、翌日あまりいい思い出がなくてですねぇ(笑)

 「さぁ、飯っつ~か酒呑み行くぞ~」

 これが楽しみでわざわざ素泊まりにしたんだもんね~(笑)

 歩いてすぐの土産物屋兼食堂兼居酒屋へ入る。
 オーダーはもちろんウニ。それと一番メニューらしいホッケのチャンチャン焼き定食、もちろんビールは欠かせない。

 生きているムラサキウニがぱっくりと割られ、軽く洗われただけの状態で皿に乗せられて出てくる。(バフンウニは明日のお楽しみ)
 うねうねと動くイガイガ。むぅ、これはこれは。

 スプーンですくった一口目はしょっぱかった。その後、口の中に広がるほのかな甘さ。
 試しに醤油を一たらしだけしたら、途端に甘さが倍増した。うひゃ、旨いわこれ


まだ動いてました

 ちゃんちゃん焼きも旨い。
 地元の居酒屋のとは身の厚みが違うし、肉にあわせる味噌の味付けが見事。1杯目のビールが終わった後、ご飯のおかずにしたらべらぼうに旨かった。

 2杯目のビールが終わったところで焼きウニを追加。ついでに純米酒を1合。

 焼きウニは醤油いらず。これまたべらぼうに甘い。
 酒に合わせるならこちらの方がお奨めですな。


焼きバージョン

 ちゃんちゃん焼きは身を食べつくした後、皮をカラカラになるまで焼いてくれた。
 これがツマミにはぴったり。自宅でもやってみようかな?でもこの味はでないだろうなぁ…

 「うまいうまい」と食べていたら、店のお兄さんが「よかったらどうぞ」と、昼にも食べたタコの卵の醤油漬けを出してくれた。
 これが日本酒に合うことといったら……翌日がなければもう少し飲めたんだよなぁ…

 意外に安かった料金にも満足しながら、ほろ酔いで民宿へと戻る。
 
 夜が更けると気温も下がる。
 ふわふわの布団を被りなおしてほっと一息。
 
 あー、食った呑んだ。さて、明日の天気はどうだろう?

 ★

<本日の走行距離=393km><給油回数=2回><教訓:ここまで食べにきたかいはありました>

  ←PREV    NEXT→ 




 

 ツーリング紀行へ戻る