YAMAHA V-Max

＜１９９９年６月＞

 

とにかく音をなんとか・・・ 　  　先日の日光ツーリング「地獄のワィンディングツアー」（「バイク紀行」参照）より、ドライブシャフトからの異音がはげしくなる。 　例のミッション交換（「メンテナンス編」参照）から帰ってきて１ヶ月ほどあとから、バイクの（エンジンを切っての）取りまわしの時、エンジンとシャフトの連結部あたりから「ギッギッ」というような音がするようにはなっていたのだが、今度は極低速（アイドリング＋α）での走行時にも同様の音が出るようになってしまったのだ。 　つい最近、友人に誘われて行った「ツインリンクもてぎ」のパドックでもその音で注目の的(笑) 　「このままではいかん！」ということでドライブシャフト周りの分解点検を決意する。  　さて、そのドライブシャフト、巷のV-Max乗り達の間では「で、もうシャフトはねじ切りましたか？」が挨拶代わりになっているほどメジャーなトラブル(笑)なのだが、今回はどうもそれとはちょっと異なるようだ 　実際にシャフトをねじ切った人の話によると、 ・「シャフトがねじ切れる」とはいっても、実際に壊れるのはシャフトに繋がっているリアデフ内部のパーツの場合が多い。（このパーツは単体注文が出来ないので、部品代が高くつくらしい） ・従って、異音がするのはデフ側。 ・センタースタンドを立て、リアタイヤを空回させるとひっかかりが感じられる 　との事。 　ところが今回の自分の場合、リアタイヤは軽く回るし、音がするのはエンジン側。しかも毎回音がするわけではないのだ。 　もっとも別の人曰く「エンジン側のベアリングがイカれてるとそんな音が…」との話もあるので安心してはいられないのだが・・・
とにかくバラしてみましょう！ 　サービスマニュアルを片手にバラしに入る。 　今回はオイルとかパッキンとかの交換用品はまったく関係ないので比較的気が楽だ。（パーツを買う必要ないし(笑)） 　リアブレーキ周りを外す。「あ～、リアのパッドもそろそろかぁ～」 　リアタイヤを外す。「ルーカステールランプ付けてると楽だよなあ～」（タイヤを外すのにナンバープレートを外す必要がない） 　マフラーの取りつけステーを外し、リアサスペンションを外す。「あ、ここもグリスアップしとこっと」 　すっからかんになったリア周りに感動しつつ、デフを上下させてスイングアームの動きをチェック。んむ、特に異常は感じられない。引っかかりがあったらこれもバラしてグリス封入しなおそうかと思ってたけど、どうやら大丈夫なようだ。 　デフをスイングアームに固定している４本のボルトを外す。 　プラスティックハンマーでこんこん叩くとデフがスポッと外れ、それに引きずられてスイングアームからシャフトが滑り出てくる。「お～、これがドライブシャフトかぁ…思っていたよりぜんぜん細いや。」 　ドライブシャフトを引っ張って、デフからも外す。（スプリングが飛ぶので注意） 　エンジン側、デフ側、それぞれのスプラインをチェック。異常磨耗とか欠けとかは見当たらない。「う～ん、大丈夫そうなんだけどなあ…」 　とりあえずモリブデングリスを入念にたっぷりと塗りこんでおく。 　デフも単体でチェック。さすがにこれをバラすつもりはない。デフの内部って異常に複雑だし、なによりクリアランス管理が凄いシビアだものなあ。（←四輪車で体験済み） 　シャフトと繋がる部分を回して、タイヤ側のギアの動作確認。ん～、でもこれもスムーズに回るし異常は感じられない。これもグリスアップしてチェックは終了。なんか全然異常ないんですけど…
とにかく組みたて。だけど・・・ 　さて、とりあえずのチェックは終了したので逆の順序で組み込みする。 　異常無いってのはおかしいよなあ？と首をひねりながらとりあえずタイヤまでを仮組み。ホっと一息ついて、何気にタイヤに触れると…あれ、なんでリアタイヤが回らないんだ？！ 　バラす前は軽々と動いていたタイヤがまったく回らない。慌ててもう一度バラすと、さっきはデフと一緒に出てきたシャフトがスイングアームの中で引っかかって出てこない。中を覗くと…「うわっ、噛み込んでるぅ～」 　エンジン側のスプラインが斜めに入ってしまったのか、シャフトが曲がって刺さっている。「う～、またやっちまったかぁ…」 　１５分ほど押したり引いたり、更にはエンジンの力まで利用して、やっとのことでシャフトを外す。 　恐る恐るチェックすると、ふ～っ、どうやらスプラインには傷を付けずに済んだようだ。 　どうやらエンジン側のギア（シャフトのスプラインと噛み合う部分）はスイングアームの上下動に柔軟に対応できるように、ある程度ルーズ（と言って良いかどうか？）になっているようだ。 　今度はスイングアームをエンジンと水平になるくらいまで持ち上げ負荷を減らしてから慎重にシャフトをセット。 　素手の感触でギアとスプラインがしっかり組み合ったのを確認してからデフを繋いでボルトを締める。リアタイヤをもう一度取り付けてっと・・・おおっ、今度はスムーズに回るじゃないか＞リアタイヤ。
点検完了・・・？ 　各ボルトを本締めして近所をテスト走行。 　うむ、とりあえず音はなくなったようだ。とすると原因はジョイント部のグリス切れだったんだろうか？分解組み立てによってクリアランスが変わってきたというのも考えられるかもしれない　（もっとも、これまでも突然に鳴り始めたりする事もあったから安心はできないのだが） 　センタースタンドを立てたままエンジンをかけ、ギアを１速に入れてリアを空転させる。（←危険です）　うむ、異音もなくスムーズに動いている。まぁ、こんなもんかなぁ？ 　点検＆グリスアップはこれにて終了、これでまた音が酷く出るようだったら今度はちゃんと専門家に任せることにしよう。 　作業時間は込み込みで２時間ちょい。意外と簡単にできるんだなあ・・・

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