祝購入
久しぶりにフルフェイスのヘルメットを新規購入する。
銘柄はAraiのGOTH Tracker。
名前どおりダートトラックイメージのヘルメットである。
オンロードしか走らない俺が何故このモデルを買ったのかと言えば…とまぁせっかくなのでそのあたりをレポートしてみたりする。
これまでのヘルメット選び
以前キャンプツーリングの勧めでも書いたとおり、普段俺はジェットヘルとフルフェイスを併用して使っている。
基本的に夏はジェット、冬はフルフェイス。
夏でも気合を入れるとき(&サーキット)ではもちろんフルフェイスを使うのだが、総合的な稼働率は8:2でジェットヘルだろうか。
ジェットヘルの稼働率が高い原因は、単に夏場涼しいというだけでなくお気楽だからだろう。
とにかく着脱が楽なのだ。町乗りやツーリングでは脱いだり被ったりを繰り返すものなので、これが簡単に出来るのはやはり便利である。特に眼鏡をかけている場合には言わずもがなである。
視界が広いのもジェットヘルの大きなメリットだ。
フルフェイスしか被った事の無い人が初めてジェットヘルを被ると、その視界の広さにびっくりすると言う(俺もそうだった)
周囲の景色がよく見えるというのは安全面でも大きな利点だと思う。
ジェットヘルで懸念されるのはやはりその安全面だろう。
いざという時、ガードされていない顎部分への怪我が心配な人は、迷わずフルフェイスを選ぶべきだと思う。
ただ俺の経験では、サーキットでの数多の転倒時(当然フルフェイスを着用)についたヘルメットの傷は、頭の横(耳から頬あたり)に集中していた。
一般道での不慮の事故とサーキットでの転倒を比べるのは無意味かもしれないが、俺自身はジェットヘルでもなんら不安を感じていない。
万全の構えはやはりフルフェイスである。
被ると気分も引き締まる。すっぽりと包まれる安心感もある。
ジェットに比べてか風きり音も小さいので高速道路での移動時の疲労感も少ない。
ヘルメット=フルフェイスというイメージもあるし、初めて買うヘルメットにはやはりフルフェイスがお勧めだろう。
※これ以外の種類(オフロード用等)については被ったことが無いので評価不能である。 |
今まで使用していたのはジェットがアライのSZ-m、フルフェイスがアライのOWである。
OWはお気に入りのヘルメットだった。
シールドを取り外しヒサシを取り付ける事でオフロード用に変わるという特殊性はもちろん、その凄みのある外観に惚れ込んでいたのだ。
通常3年と言われるヘルメットの寿命だが、それを大幅に超えて使っていたのはこれに替わるだけ魅力的なヘルメットが現れなかったせいもあるだろう。
残念な事にカタログ落ちしてしまったが、今でも新品が売られていたら購入候補に挙がっていたに違いない。
長期にわたり活躍してきたOWだが、さすがに最近では寄る年波に勝てず内装に「ヤレ」が感じられるようになってきた。
外観はまだまだ綺麗だがそろそろ引退させる頃合だろう。
さて、それでは後継をどうするかだ。
メーカーは決まってます
まずはヘルメットのメーカーから…と言いたいところだが、俺が買うメーカーは既に決まっている。
バイク乗りの間でよく言われることに「アライ頭」と「ショウエイ頭」というのがある。
国内(世界的に見ても)大手といえば「Arai」と「SHOEI」。この2社、ヘルメットの帽体や内装の造りが微妙に違う為、被る人により相性があるのだ。
ヘルメットを選ぶ際、デザインや装備、価格が問題になるのはもちろんだが、被っていて不快感の無いのが一番重要な点である。
よく「試着はかならず行え」と言われるのもこの点からだ。 |
俺は典型的な「アライ頭」だ。
ショウエイのヘルメットはデザイン(スタイル)がトンがっていて格好良いものが多く俺も非常に気にはなるのだが、いかんせん被ってみるとどうにも落ち着かない。
対してアライのヘルメットはちょい窮屈気味ではあるがぴったりフィットで疲労感はゼロ。
俺の頭に似た人がテスターになっているのかもしれない。
余談だが、アライのヘルメットは良く言うと堅実、はっきり言うと地味である。
スタイルにもう少し色気があっても…といつも思うのだが、まぁこれもこのメーカーの味なのだろう。
堅実イメージのアライヘルメット。他のメーカーと異なり「半キャップは作らない」という理念にも俺は共感しているのだ。
ちなみに同様の理由で外国製のヘルメットは最初から対象外である。
シンプソンとか一度は被ってみたいものだが…まぁ今後も購入することはないだろう。
さて銘柄は
というわけでメーカーはアライで確定済み。銘柄をどうするか。
俺の場合、次に優先するのはデザインである。
品質&安全性を心配する人もいるだろうが、アライのフルフェイスならばどのグレードであっても心配する必要はないと俺は思っている。
国際規格であるSNELL規格に合格していることは確認するものの念のため程度。アライの社内規格の方がSNELLより厳しいというのは周知の事実だ。
装備を気にする人もいるだろう。
一番はやはりベンチレーション(外気導入・排気)機能だろうか。確かに真夏の炎天下では重要な装備だが、俺は夏はジェットなのでフルフェイスのベンチレーションに関してはあまり重要視していない。
装備でいえば、内装を外して洗える機能が付いていればそれで充分である。
さて、そのデザインで大切なのは「奇抜である事」だ。
他の人があまり被っていないというのも天邪鬼な俺には重要なポイントである。
アライのカタログやWEBで検討、比較的地味なモデルの多いアライの中で目立つモデルといえば…GOTHとURBANE-GTだろうか。
やはり純レーシングなモデルより遊び心を持ったモデルの方が俺の好みに合うようである。
某所で実物をじっくりと眺め、より下品なGOTHに決定する。
んでは買いますか
購入には上野のバイク街へと赴く。
一時期に比べ寂れたとはいえ、ヘルメットを扱う店の数は多い。
何より、大手ショップとは異なり価格交渉ができると言うのも重要な点である。
早速某店でGOTH Trackerを試着させてもらう。
試着の際に迷うのはやはりサイズだろう。
「ヘルメットは小さめを選べ」とはよく言われる事である。
これは正解で、新品を被ったときに「ちょいきついなぁ」と思うくらいが丁度良いものだ。
具体的にはヘルメットをきちんと被り、顎紐を締め、頭を強く左右に振ってもグラつかないものが良い。(かなりきついものでないと左右に振れてしまうはず)
しばらく被って内装が落ち着けば若干緩くなるので、きつくてもさほど心配する事は無い。
どうしてもという場合には後で薄い内装に交換すれば良いのだ。
大きなヘルメットはいざという時危険なだけでなく、普段のライディングでもグラついて疲れるものである。
また「高速走行時」には風圧でズレる場合もある。
頭が支障なく入る範囲でできるだけ小さなものを選ぶべきだろう。
試着する時には髪型も重要である。
短髪の時丁度良かったヘルメットが、髪を伸ばしたら入らなくなったというのは笑い話ではないのだ。 |
俺が選んだのはMサイズ(57~58cm)である。
そう、実際俺に会った事のある人ならお分かりだと思うのだが、あの頭でもMサイズに充分入るのだ。
フルフェイスを被ったまま店員さんと5分ほど立ち話。
うむ、フィット感はなかなか良いしコミカメが痛くなるような事もない。どうやら丁度良いサイズのようだ。
価格交渉の後、購入決定。
ちなみに店員さんとの約束でその価格をここに載せられないのが残念だ。
色は銀。バイク、ウエアには黒を選ぶことの多い俺だが、フルフェイスだけは昔から明るい色を使っている。ま、これもこだわりという事で。
自宅へと戻ったらまずは説明書を熟読する。
前にも書いたとおり、最近のヘルメットは装備が実に充実している。説明書を読まないとせっかく付いている機能の恩恵を受けることができないのだ。
今回も、GOTHのチンガードから空力向上用のエアロフラップなるものを出す事ができる事は、説明書を読んで初めて知ったのだ。
最近のヘルメットで面倒なことといえばシールドの交換だろう。
いや、外す方法は年々簡単になってきている(はず…)のだが、その方法が実に千差万別なのだ。
同じアライでもGOTHとOW、SZシリーズでは全て方法が違う。
スモークシールドとクリアシールドを交互に使う事の多い俺にとってシールドの交換というのは日常作業なのだ。
昔のように10円玉でカバー外して…とまでは言わないが、せめてメーカー毎に統一することはできないのだろうか? |
試乗です
某日、テスト走行に出かけてみる。
11月の栃木県は革パンツが丁度良い気温である。
バイクは隼、新品ヘルメットのきつめの内装に頬を押され、マンジュウ顔で自宅を出る。
う~む、実に静かだ。ちょいヤレたOWに比べると風切り音は驚くほど小さい。
隼の速度感の無さが更に上乗せされてしまう。気をつけないといけないなこれは。
シールドを少しだけあけた状態で固定できるデミストポジションというのもありがたい。
今はまだ大丈夫だが、厳冬期の信号待ちでは重宝することだろう。
空力が目的のエアロフラップだが、冬場は防風としても効果的だ。
尤も冬ジャケットの大きな襟に押されて勝手に戻ってしまう場合もあるのだが。
高速道路も実に快適。やはり冬はフルフェイスに限る。
弱点といえば、頬が押されているのでヘルメットの中で大声で歌うのには不向きだという事だろうか。
弱点も少しだけ
さて、これだけ大騒ぎして買ったGOTHだが、実は気に入らない点も2,3ある。
まずは色。
艶消し黒、銀、白のラインナップのうち、一応納得して銀色を買ったものの、OWのような燻銀ではなく妙に安っぽい色なのが残念だ。
せっかくのメタリックなのだからもう少し高級感があると良かったのだが。
次が頭頂部にある水抜き穴。
エアダクトとしても使えるこの穴は蓋で塞がれているのだが、この蓋の色がヘルメットの色と明らかに違っていて妙に目立つのだ。
「だったらさっさとオプションのエアダクトを買え!」という声も聞こえてきそうだが、俺、あんまりヘルメットにごてごて付けるの好きじゃないんだよねぇ…
最後はステッカー。
アライのステッカーには2種類ある。お馴染みの楕円のものと文字抜きのものだ。
GOTHに付いているのは楕円のもの、しかし俺は文字抜きの方が好みなのだ。
ステッカーなど貼りかえればいいと思いがちだが、なんとこの文字抜きの方、市販されていないのである。
アライは何故売らないのだろうか?ヘルメットを塗り替えたときなど必要だと思うのだが。
ともあれ、無ければ作るしかない。ちまちまとカッティングシートから文字を切り抜き、楕円の純正ステッカーと張り替える。
「著作権」という文字が頭を過ぎるが、まぁ個人使用ということで勘弁してもらうとしよう。
余ったカッティングシートで「Ak!rA」の文字と「おまじない」模様も切り抜き貼り付ける。
うむ、これでやっと俺のヘルメットになった気がする。
さて、これから頼むぞ、GOTH Tracker
|