<2004年4月>β版
■ まぁどうしても必要という訳ではありませんが
V-Maxはロングツーリング&キャンプ、隼は高速&峠。そう区分けしてこれまで遊んできた。
V-Maxでのツーリングは楽である。
ハンドルの高いポジションも、たっぷりとした低速トルクもツーリングには実に便利。
航続距離が短いのが難点と言えば難点だが、これも休憩のいい名目になるので俺は不便だとは思っていない。
しかし、高速道路を一気に走るような場合には、カウル付きの隼の方が疲れが少ない。
そしてもちろん、阿呆のような馬力と安定感。
あくまでも仮の話だが、隼なら500km先の場所まで一気に3時間で…というのも決して無理な数字ではないのだ。
ところで、隼のツーリングでの問題点といえば積載量である。
宿に1泊程度の荷物なら問題ないが、それ以上になると積む場所に困る。今キャンプ用に使っている60Lのリアバックなど言わずもがなである。
隼でキャンプに行くかどうかは別にして、もしこのバッグが積めたなら行動範囲が広がることは間違いないだろう。
「V-Max同様キャリアを付ければ…」というのはずいぶんと考えてきた事である。
しかし、「アルティメットスポーツ」である隼に、実用品であるキャリアは似合わないと「俺は」考えている。
何事も外観から入る俺は、実用性の為にデザインを崩すのが我慢できないのだ。
#V-Maxにキャリアをつけるときにも、それでずいぶんと悩んだものだ。
妥協点があるとすれば、簡単に取り外せるものなら…という事だろうか。
荷物を積むときだけキャリアをつけるようにするならデザイン上の問題はない。
どうせ上にバッグを乗せるのだ、多少格好悪くても関係は無い。
…というようなところで自分を納得させ(笑)市販キャリアの調査を開始する。
しかし、どうにもピンとくるものがない。
パニアケースのベースのようにサブフレームを装着するタイプは、先述の理由からもちろん却下(値段的に却下だとの噂あり)
タンデムグラブバーと交換するタイプなら単純にボルトで取り外しができる。加えて比較的安価。
だが、単に後部にキャリアを付けただけだと、今度はバッグの前部バックル(ベルト)を取り付ける場所に困るのだ。
隼のリアカウルの上部(リアシートの基部近く)には標準装備のフックがある。
ただ、構造的に大きな物を留めるようにはなっていない。(太いボルトに交換してやれば良いかもしれないのだが…)
標準フックはこことここ
ベルトを伸ばし、フレームへ結ぶ手もあるが、この場合はリアカウルにベルトがかかる。
そのままでは擦れてズリズリになるし、かといってガードテープを張るのは格好悪い。(←見栄っ張り)
「そうだよなぁ、リアシートに直接フックが付いていればいいんだがなぁ…」って、そうか、無いなら付けりゃぁいいのか。
そういえば、リアシートに直接ボックスをボルト留めしてツーリングに使っている例をWEBで見たことがある。
リアシートならキー操作で取り外しができる。
もともとタンデムライダーの体重を支えるものだから強度も充分なはずだ。
ってえ事は…もしかしたらフックだけじゃなく、キャリア本体も付けられるんじゃないか?
そう思ったら即行動。
「キャリア付きリアシート」(もしくはリアシートのキャリア化)作戦開始である。
#リアシートにキャリアを付けたらタンデムできなくなるだろうって?それが…なにか?
なにはともあれ、まずは加工用のリアシートをオークションで手に入れる。
予備は必要ですな
最初にやるのは表皮剥がし。
シート裏側に打ち込まれた歯を、マイナスドライバーでこじって浮かし、ペンチで引き抜く*約50箇所。
実に面倒な作業だが、剥がした表皮は後でまた使わねばならない。丁寧に丁寧に…
次はスポンジ剥がし。
これまた苦労するかな?と思っていたが、接着剤の付いている箇所が少ないのとスポンジ自体がしっかりしていたので簡単に剥がすことができた。
これで分離完了である。
きれいに分けられました
それではと、ベースだけになったリアシートを隼に付けて観察する。
ライディングポジションをとった時、背中が積んだバッグに当たるようだと疲れるのはV-Maxで経験済みである。
加えて先述のフックを付ける場所も必要となる。
どうやらうちの60Lバッグを積むには、かなり後部までキャリアを作る必要があるようだ。
さて、次は素材をどうするか、だ。
■ シートベースに簡単に取り付けられ
■ 強度があり
■ 雨に強く
■ 安価
■ そして軽ければ完璧。
熟考3秒で結論「そんなものはありません」
仕方ない、ホームセンターを回ってできるだけ条件に近い物がないかどうか探してみるとしよう。
仕事帰りにホームセンターをうろつきまわる。
「アルミの角材って意外に安いな。組み合わせて…も強度がなぁ…」
「キャンプ用の小テーブルに穴をあけて取り付ければ…安定しないか」
「キッチン用メッシュボードは…これだけじゃどうにもならんな」
うんうん悩んでいたら、こんなものが目に入った。
スチール棚用支柱
棚としては尤も安く仕上げられる(でろう)スチール棚。これの支柱(アングル材)である。
穴あきなので取り付け加工は手間いらず。鉄製だしL字断面なので強度は十分、塗装済みなので雨でもOK、特価品で1本100~300円と安価である。
心配なのは重さだが・・・ま、とりあえずやるだけやってみましょうか。
深くは考えず、500mmと300mmの支柱数本と補助用のステー、ボルトとナット等を購入してくる。
よおし、作るぞぉ…
まずは300mmの支柱をシートベースに取り付ける。
フックの取り付け部分を考慮したうえで、ドリルで6mmの穴を開け、ボルトを噛ませる。
シート裏面には大きめのワッシャを入れて強度アップ。これが全ての元になるはずなのでしっかりと取り付ける。
両端のボルトに500mm支柱を友締め。
後ろへと伸ばして仮止めしてみると、うわ、長っ!(笑)400mmでもよかったかな?
長いですか、そうですか
シートベース後部には、補強ステーを入れて固定。
微妙に湾曲している場所なので、ステーの浮いた部分にはゴムパッキンを埋め込む。
L字断面の支柱をもう1本取り付けて、コの字にして上面のスペースを確保。強度はさらにアップ(のはず)
前部にはアイボルトをセット。これがバックルの取り付け位置となる。
しげしげと眺めた後、バッグを乗せてみる。
うむ、固定は問題なし。前部も後部もしっかりとバックル留めできた。
しかし、試しにバッグを左右へゆすってみると、キャリアも一緒に揺れてしまう
シート裏側、両端にあるフレームとの接触部分の遊びが大きいのが原因のようだ。
とりあえずの対処としてゴムパッキンを貼り付ける。おお、ずいぶん小さくなったな、揺れ。
上下の揺れ(上下動)に対しても今ひとつなのだが、こちらは対処の方法なし。
当面は純正のシート取り付け金具の耐久性に期待するしかなさそうだ。
その他小細工をほどこし、とりあえず「自作シートキャリアβ版」が完成。
どれ、では明日のツーリングでテストしてみるか。
翌日、キャリアにバッグを付けて自宅を出る。
バッグはフル装備の半分程度の重さ、これで問題がでるようでは実用には耐えないだろう。
スタートしてすぐ気づく、「う、後ろが重い…」
タンデムと同程度…というと大げさすぎるが、リアに乗った重しの感覚が良くわかる。
尤も停まった時にフラつく程ではないので、さほどの問題ではないのだが。
パイパスを走る。
四輪車の間を縫うような走りでも、特に揺り返しのようなものは感じない。
走っている最中、心配になって時折後ろに手をやるが、震えている感じはない。
実際どうなっているのか、後で誰かに後ろから見てもらうとしよう。
バイパスでの高速(←をい)走行、街中でのすり抜け、ちょっとしたでこぼこ道。1日かけて200kmちょいを走り回った後、帰宅する。
ボルトの緩み、シートベースのガタ等を点検するが問題はないようだ。
どうやらとりあえずの「キャリア機能」は問題なさそう。ただ、いろいろ実用上の問題点が思いついたので、これからゆるゆると直していくとしよう。
一応使えることがわかった自作シートキャリア。
では、思いついたところから改良していこう。
まずは、一旦キャリアをバラす。
シートベースの脱脂を行い、開けた穴もきれいにサラう。掃除は何事においても基本ですな。(自室は?←天の声)
外しておいた純正シート表皮を被せてガムテープで仮止めする。
スポンジがなくなった分ガバガバになっているが、裏から引っ張って調整する。正式な張り合わせはキャリア取り付け後に改めて行おう。
キャリア部品を取り付けていく。
組み立てに使うボルトは全て黒いスチール製へ変更し見た目度をアップ。
本体4隅にスチール棚用のコーナーアンクルを入れ、剛性アップを図る。
長辺部にはX字にステーを付けて更に補強。
便利度という面から、前部アイボルトの取り付け位置を変更。できるだけ外側にして安定させる。
更に前部には、アンクル材を利用し荷物ストッパーを作る。
こうしておけば、走っている最中バッグが前にズレてくる事はないだろう。
シワシワですが
荷物を安定させるため、キャリア上部に100円ショップ購入のスチールネットをタイラップで固定する。
シトベースを裏返し、表皮を引っ張りながら張り合わせていく。
表皮の固定には500円のタッカーを使用。針が細いのでちゃんと打ち込められるかどうか心配だったが、なんとか留められるようで一安心。
表にちょいと皺が寄ってしまったが、これはまぁご愛嬌ということで
最後に左右のガタ防止にゴム板をセット。
大きさと取り付け位置が微妙なんだよなぁ…ま、現物合わせが一番なのはこれに限った話ではないのだが。
改めてバイクに取り付け、様子を見る。
うむ、こんなものかな?
裸のシートベースのときに比べて見た目は大幅にアップ。
もちろんゴツくて長いのは変わりなし。こりゃぁ目立つぞぉ(笑)
「どのくらい重くなったかな?」と量ってみる。
ノーマルのシートは約1.0kg
自作キャリアシートは約3.6kg
なんだ、全然平気じゃないか。
5kg位重くなったかと思っていただけに拍子抜けである。
シートキャリアはこれで完成。
う~む、こうなると一度荷物満載で走ってみたくなるもんだなぁ…