<2001年6月>
偶には気合いを入れて。
休日早朝、昇ったばかりの朝日に照らされながら、隼を北へと走らせる。
ここのところのんびりツーリングばかりが続き、隼の性能を無駄に使っているような気がしていた。
偶には(サスペンションのセッティングを兼ね)気合を入れて走ってやろうと、久しぶりの朝駆けに出かけてみたのだ。
服装はもちろんレーシングスーツ、上下皮を着ると気分も引き締まってくる。
1時間ほどで目的地の日塩もみじライン(有料)へ到着する。
ここはその昔(それはもう昔)さんざん通った場所である。コースに迷う事はないし、密かに(?)練習するにはもってこいの峠だ。
#当時は朝早く行くと無料で走れた。
昔どおり、1本目はゆっくりと登って行く。
鬼怒川側から登る峠は頂上までが約10km。15~30Rのヘアピンが続くつづら折れのコースである。
有料道路だけあって路面はすこぶるきれい、スキーシーズンのなごり砂もまったく見当たらない。
早朝という事で、車もバイクも走ってはいない。休日の朝といえば、昔は腕試しのライダーが沢山集まってきていたものだが、これも時代の流れなのだろう。
残念な事に、峠の上部は路面がウエットであった。雨というより夜露が残っているような感じである。
今日は天気も上々、1~2時間もすれば乾いてくる事だろう。
上り切った頂上の駐車場でUターン。今来た道を慎重に下る。
なにを隠そうその昔、この峠の下りで調子に乗って「あわや」という目にあったのは1度や2度ではないのだ。
下の駐車場まで戻って再度Uターン、2本目の上りからペースを上げてみる。
短い直線でスロットルを開けると隼は恐ろしい勢いで速度を上げる。
フルブレーキして進入する180度ターン。ブレーキを残してコーナーに入るより、きっちり減速してから倒し込み、加速気味に周った方がタイトに曲がれる気がするのは以前からの事だ。
峠下部は15R程度の切り返しが続く。
ギアは2速。このセクションは絶対的なスピードこそ低いものの、低いギアでのスロットルワークには気を遣う。少々ドン付き気味の気配のある99式の隼では尚の事だ。
太いトルクに任せ、3速で乗る方法もあるのだが、今日は練習も兼ねて2速のまま走る。
タイトなコーナーが連続する部分だと切り替えしの速さが重要になってくる。
低重心な隼は多少ラフに倒し込んでも破綻する心配は少ないが、重量からくる多少の「どっこいしょ感」は否定できない。とはいえ、俺の走るペース程度では、さほどの事ではないのだけれど。
こんなクイックな切りかえし行う場所では、若干前乗りの方が有効だと思うのだがどうだろうか?斜度のきつい上りだと後輪荷重はさほど意識しなくとも良い様に思えるのだが。
中盤のセクションは多少Rが大きくなる。(それでも25R程度)
このくらいのコーナーならば手前から姿勢を作っての侵入も可能になる。スピードもさほどではないし、後輪への過重を意識しながらあれこれフォームを試して乗る事もできる。
さすがにフルバンクとまではいかないが、乗っていて一番楽しいのはこのくらいのRかもしれない。
峠上部のウェット部分はゆっくりと流し、2本目を登り終える。
ツナギの下には良い汗をかいている。バイクはスポーツだという事を感じさせられる時だ。
5分ほど休憩して下る。 ギアは3速、「タイヤを転がして」降りる事に専念する。
バイクの挙動は下りの方がよくわかる。ブレーキリリースからの倒し込みをあれこれ試してみる。
うまくいくとスパっと曲がれるのだが、失敗するとオーバーラン。いや、なかなかに難しいものである。
ギアが高く回転が低いと感覚的にゆっくりに感じてしまうのだが、スピードメータを見やると結構スピードが出ている。慎重に慎重に…。
3本目はサスペンションのセッティングを試しながら登る。現在のサスの設定はほぼ標準、リアの圧側を1段弱めてあるだけである。
まずはフロント、圧側と伸側をそれぞれ2ノッチ弱めてみる。
なるほど、ブレーキング時のノーズダイブは確実に大きくなる。但しさほどの不快感はない。
ギャップに乗った時のごつごつ感は消えるし、姿勢が不安定になるような事も無い。逆に倒し込みのタイミングが取り易いような気がする。
超高速コーナーでは別だろうが、峠ではやや弱めの方が乗りやすそうだ。
続いてリアも弱めてみる。
フル加速時にリアが沈み込むのはよくわかるが、倒し込んだ時に少々違和感が残るようになった。文書で言い表わすのは難しいのだが「剛性感が減ってしまったような感じ」といえばわかってもらえるだろうか?
また、双方固めのセッティングも試してみたが、こちらはどうやら失敗のよう。ゴツゴツ跳ねるばかりで良いところが見当たらない。やはり「標準よりちょい弱目」が一番自分の走りにあっているようだ。
あれこれ組み合わせを試し、フロント、リア共に「圧側は標準より1段弱め、伸び側は標準のまま」という位置に落ち着く。
正直なところこれが最適かどうかはわからないのだが、乗りにくくなってはいないと思う。
まぁ、そもそもセッティングが云々というペースで走ってはいないのだが。
登って降りてまた登る。朝の峠はどれだけ走っても気持ちの良いものだ。5本ほど走ったところで今日は引き上げ、帰り途中のコンビニでバイクを降りると腰が砕け、膝が笑う。
バイクのセッティングもそうだが、基礎体力の強化も重要な課題のようだ。
さて、隼本来の性能の、半分でも使えるようになるのはいつのことになるのだろうか? |