☆ ツーリング紀行 ☆
乗鞍のらりくらり記
今年で最後なんですってね、乗鞍スカイライン
<2002年8月下旬>
雨天決行
金曜夜23時半。コンマ5秒のクランキングで隼のエンジンに火が入る。 リアシートには1泊の着替えとお風呂セット。荷物は圧縮袋に密閉の上、防水バックに入れてある。 なにもこんな雨の夜中に出かけなくても良さそうなものだが、今日は隼では久しぶりのお泊りツーリングである。 巷の噂によれば、今年一杯で乗鞍スカイラインの一般車通行が禁止されるという。 岐阜県と長野県の県境にあるこの有料道路。頂上の標高はなんと2700mで普通に車で行ける場所としては日本一。 「いつか必ず走ってやろう…」そう思いながら早数年。 9月へ入ると公私共に爆忙が予想されている。10月の乗鞍はもう冬景色。 ゴールドウインの雨具に身を包み自宅を出る。 深夜の国道4号バイパスを南下する。 信号待ちからのスタート。 小山市からは国道50号を西へと向かう。 それにしても栃木ー群馬を繋ぐルートが、事実上この50号1本という状況は早くなんとかしてもらいたいものだ。 群馬県へと入り、桐生市で50号を外れ県道を伊勢崎市方面へ。
|
||
高速道路でGO!
伊勢崎ICから北関東自動車道(関越側)へと乗り込んでいく。 深夜だし、このまま一般道を走り続けても良いのだけれど、なにしろこの雨である。 関越道に合流、ほんの少し走って上信越道へと分岐する。 そんな思いが天に通じたのかどうか、雨は次第に小降りになってきた。 路面にも乾いた部分が見えてくる。トンネルの多い上信越道だが、1つ抜けるたびに天候が回復しているような気がするのだ。「晴れろ晴れろ晴れろ…」 給油に寄った横川SA(サービスエリア)。さすがにこの時間&天候では他にバイクの姿はない。 えいやっと走って碓氷軽井沢IC先のトンネルを抜けると…「お~、月が見えるぅ~」
|
|
|
目指せ乗鞍
佐久ICで高速を降り国道へ。 バイパスの街灯の下でツーリングマップルを広げルートをチェックする。 市街地を抜け、郊外へ出ると、道は程よく曲がったワィンディング状態となる。 三才山トンネルで400円をごそごそと払って先へと進む。 必要のなくなった雨具を脱ぎ、代わりにジャケットの下にトレーナーを着込む。 相変わらずの満月の元、松本市内を抜けていく。 先ほどに増す勢い(速度そのものは低い)で吹っ飛んでいく。 奈川渡ダムから先の国道158はトンネルばかりである。それも皆狭く、大型車だとすれ違うのに苦労する程の幅しかない。 時折停まってルートを確認。 「平湯平湯~」と走る。 明け方の旧道。誰一人通る者のない峠を登っていく。 明るくなっていく空。連なるヘアピンの先に次第に明るさを失っていく満月が浮かぶ。 頂上の標識でお約束の記念撮影。 路肩の地蔵にぺこりと頭を下げて出発。
|
|
|
スカイライン到着!だけど…
午前5時の料金所。ゲート付近には霧が出始めていた。 片道1100円の料金を払う際、料金所の親父さんが「上は天気悪いんだけどねぇ…それでも登る?」と聞いてくる。 「てやんでぃ!こちとらここ走る為にわざわざ栃木から来てるんでぇべらぼうめぇっ!」(何故下町言葉…)との心の声は顔に出さず「まぁ行ってみますよ」と笑顔を返す。 登り始めた乗鞍スカイラインは、成る程霧の中だった。 料金所を出てすぐ、周囲が真っ白になる。 コーナーを一つクリアする度に更に濃くなる霧。視界はせいぜい10mといったところだろうか? 高度が上がり、森林限界を超えて周囲に樹木が無くなると、吹き付ける風も強くなってくる。 頂上の畳平駐車場へ到着するも、ここも当然のように真っ白な霧の中であった。 停まっている車の台数は多い(9割方埋まっている)が出歩く人の影は無い。 名物(?)有料トイレ(100円)で用を済まし、料金徴収のおぢさんと立ち話。聞けば昨日も同じような天候だったらしい。 土産物屋の食堂で、休憩かたがたキツネうどんを注文する。 文句を言いつつ七味唐辛子をたっぷりと入れて食う。 午前7時、県道側のゲートが開く時刻を見計らって駐車場を出る。 スカイラインと県道の分岐点には係員の人が立っていた。こちらを見て手招きをする。 聞けば、県道ゲートのすぐ内側で開くのを待っていた四輪車のドライバーが寝込んでおり、せっかく開けたゲートが詰まっているらしいのだという。 霧は相変わらず深い。ゆっくりと峠を下る。 そういえば、2700mの標高&この霧(水分)だというのに隼のエンジンはいたって元気である。 高度が下がるにつれ、霧は次第に薄くなってきた。 下界(とはいっても高度は結構ある)まで降りると霧はすっかりと無くなった。
|
|
|
♪ビ~ナス君はび~いなすぅ~
ぐるりと一回りして、松本市へと戻る国道158へ合流。 松本市手前で給油。すっかり乾いた雨具を脱ぎ、コーヒー休憩。 さて出かけようと見上げると、山からなにやら怪しい雲が流れてくる。 「♪雨は止んだかぁ~桜はぁまだかいなぁ~(違)」山を離れて塩尻市から国道19&20号を南下する。 雨雲はやはり山の周囲だけだったようで、諏訪市の付近まで来るとまた止んでくれた。 諏訪湖畔をぐるりと回って、何故かモスバーガーでくつろぎタイム。ちなみに時刻はまだ10時である。 諏訪市内から県道40号の九十九折れを駆け上がり、ビーナスラインへとなだれ込む。 去年までは有料道路でそこそこ良いお金を取られていたこの道路、なんと今年からは無料で走れるのだ。 さすがは元有料道路、路面の状況は良い。加えて天候のせいか交通量も激小、「またまたいきま~す」 比較的高速コーナーが続くビーナスラインは、手前から姿勢を作ってトラクションをかけてやると気持ちよく曲がっていく。 山を縫って走るビーナスライン、やはり今日の山間部の天候はかなり不安定なようだ。 ごぉ~ん、ごぉ~ん 一人相原コージごっこをしながら休憩する。 ここから県道464を駆け下る。 市街地まで一気走り。高くなった気温にコンビニのアイスが実に旨い。 雨の中がんばってくれた隼を屋根下の駐車場へと停め、ぽんぽんとシートを叩く。 さて、今回のツーリング。実は例によって現地集合現地解散の集まりでもあるのだ。
|
|
<本日の走行距離=約560KM><本日の教訓=まぁあまり贅沢は言えません>
快晴っていいねぇ
「む~、だからもう呑めないってぇの…」 そんな寝言で目覚めたのは朝7時。 うむ、あれだけ呑んだのにアルコールは全然残っていない、さすがは温泉パワーである(違います) 温泉宿のお約束「朝から3杯飯」を腹に叩き込んでさくさくと出発の準備。部屋の窓から見上げる空は、昨日の雨が嘘の様な快晴である。 宿をチェックアウト。 同行のメンバーにはバイクも数台。「せっかくだから昼飯までは一緒に行くかぁ」と走り出す。 昨日とは丁度逆のルート、県道からビーナスラインへと登っていく。 夏休みの日曜日、天気は快晴ともなれば、さすがにガラ空きというわけにはいかないが、渋滞という程の交通量ではない。 美ヶ原、扉峠、車山高原。
高原の空気をラムエアに吸い込ませながら快走する。 さぁ、帰り道だ。他のメンバーもここで解散。「んじゃま次回って事で」と手を振り別れる。おし、行くかぁ!
|
||
迷い道くねくね
白樺湖から女神湖手前までは車も少なく快適に進む。 路肩に隼を停めてルートチェック。 何の標識もない交差点を、白樺高原スキー場の方面へと向かって行く。 狭い道にUターンする場所を探していると、唐突に建物が現れた。 とりあえず先へと進む。路面は相変わらずの荒れ具合。 なんとか山を登りきった頂上、そこには「大河原峠」の標識があった。ツーリングマップルと比べると、なるほど道は間違ってはいないよう。それにしてもこの場所は… ちょい広くなった駐車場、そこは何故か四輪車(それも四輪駆動車ばかり)でいっぱいであった。 車の列をかいくぐり先へと進む。 道は下りとなる。進むほど更に荒れる路面。 ほとんどアイドリングで走っているのだが、フロント、リアとも時折サスペンションが底付きするのが感じられる。 それでも引き返さなかったのは、途中で一度だけスカイラインGTR(R34)とすれ違ったからである。 思いが報われたのは、それから10分ほど後の事だった。 交通量は無い。それはそうだろう、夏のスキー場に来る人はないし、知った人なら今俺が来た道を走ろうとは思わないだろう。 一気にペースを上げて峠を駆け下る。 佐久ICまではあっという間だった。 昨日の乗鞍こそ残念な天候だったものの、それ以外は実に楽しいツーリングだった。
|
|
<本日の走行距離=約350KM><本日の教訓=太陽のありがたみをしみじみと知りました>
<2日間の総走行距離=約910KM><教訓=終わりよければ全て良し>