YAMAHA V-Max

☆ メンテナンス編 ☆

ブースト・コントローラ試用記


モニターの要請を頂きました。
きちんとレポートしないといけないですね。

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 せっかくのお申し出ですし。

 過日、メールを頂く。

 内容は「V-Max用のブーストコントローラーを販売しているのだが、そのモニター(レポート作成)をしてくれないか?」というものだった。

 突然の話だったので、正直なところ面食う。
 差出人(販売元)のHARD・イマイ氏によれば、うちのHP(がれーじAk!rA)内に、これまで書いているものと同じようなレポート(つまりこのページ)を載せてくれればそれで良いとの事だ。

 商品をモニターし、レポートを提出するというのは良く聞く話(俺も経験あり)なのだが、そのレポートの発表の場が俺のHPのようなインチキな場で本当に良いのだろうか?
 閲覧する人間もはなはだ限定されたものになるような気がするし、きちんと販売されている商品の紹介(?)の場として適切かどうかも疑問である。
 作者ながらにいろいろと考えてしまったのだが、こちらから提示した下記の条件も快諾して頂いたのでお受けすることにした。

 1.うちのMAXは90年式4万km走行の旧車(しかもクラッチ滑り気味)、新車とは条件が異なるレポートになる事。
  (まぁ既におわかりだろうとは思ったのだけれど)
 2.このレポート作成に至る経緯このメールを頂いて…云々)も同時に掲載する事。
  (読む方に「なんでこんなページで…」を思われないように)
 3.レポートの内容は「正直な感想」とする事。
  (憚りながら、提灯記事を書くつもりはない・・・)
 4.レポート掲載の期間、方法等につき制限のない事。
  (いつまでも、あると思うなHP)
 5.レポート転載等(他媒体含む)の場合はあらかじめご相談頂く事。
  (だって、恥ずかしいじゃないですか)

 せっかくお申し出いただいたのだ、稚拙な文章には目をつぶっていただいて(笑)レポートしてみようと思う。

   

 どんな商品?

 さて、この「ブースト・コントローラ」という製品はどんな機能を持っているのだろうか。

 ご存知のとおり、V-Maxの逆輸入車(一部仕様を除く)にはV-Boost(ブイブースト)という機能が付いている。
 これは、高回転(6000rpm)時に2つ(×2)のキャブレターを繋ぐ(バイパスする)事で、大口径キャブと同様の吸気を行わせるシステムである。
 このシステムにより、V-Max独特の「蹴飛ばされるような加速」が得られるのだ。

 システムの仕組みとしては、指定回転数に達した時「ブーストモーター」を作動させキャブレター間の弁を開くのであるが、「ブースト・コントローラ」は、このブーストモーターを手動で操作して、
 「常時ブースト全開:フルタイムブースト」
 「常時ブースト全閉:ブースト無し」
 「ノーマル:6000rpmで切り替え」
 の3つのモードを任意に選択できるようにしたものである。

 確かに面白そうなシステムである。
 それぞれのモードでのメリットデメリットは多々考えられるが、試してみる価値はあるだろう。

 

 届きました。

 某日、実物が届く。

 一目見た感想は・・・「小さっ!」

 「郵便で送りましたから」との連絡は頂いていたのだが、まさか普通の封筒に入って送られてくるとは思わなかった。
 早速封を開けて中を確認させていただこう。


比較用にタバコの箱でも置けば良かったかな?

 メインのコントローラとそれに繋がれたスイッチ、あとは取り付け用のタイラップ。実にシンプルな構成である。

 同封の取り扱い説明書には、取り付け方法はもちろん、動作チェックとトラブル時の対応が載っている。
 これは嬉しいことだ。V-Maxは年式・仕様により、電装系パーツが異なる事が実に多いのだ。
 単なる配線の色指定(確認)だけではなく、どの線がどの機能なのか明記してあるので、いざとなれば自分でコネクタを作ることもできそうである。

 

 早速取り付けましょう。

 取り付け作業開始。とはいっても難しい事はなにもない。

 説明書のとおり、ダミータンクと左ダミーインテークを外し、既存カプラを外してコントローラを割り込ませるだけである。
 電気に弱い人でも問題なくつけることができるだろう。

 
印がノーマルのコントロールユニット、ここから出ているカプラに割り込ませる。

 但し、先述のとおり、年式・仕様によってはそのまま付かない場合もあるという。
 カプラに繋がっている線の色を、取扱説明書の記述と確認しておく必要があるだろう。
 うちのMAX('90年式アメリカ仕様2WE)の場合、線の色は問題なかったが、取り付けカプラのツメの付き方が完全に逆であった。尤もオスメスは一緒なので接続自体は問題なしである。

 接続したら動作確認

 3つのモードが選べるシンプルなトグルスイッチを「ノーマル」モードにし、イグニッションオン。
 「ウィーン、カチカチ(コココ)」の確認音はいつもと同じ。

 ここでスイッチを「オン」モードに切り替え、V-Boostの動作音「ウィーン…」を確認。
 更に「オフ」モードに切り替え、V-Boostの動作終了音「ウィーン…」を確認。

 うむ、どうやらちゃんと接続できたようである。

 ちなみにこの小さなスイッチ、カチカチとした操作感はなかなか気持ち良い。
 但し、なんの表示もないので、今どのモード(オン、オフ、ノーマル)にあるのかわかり難い。
※スイッチの蓋面を上にして、「上:オン」「中:オフ」「下:ノーマル」
 この手の製品は、見た目のハッタリも重要なセールスポイントだと思う。格好良いロゴで「FullTime」とかの表示があると良いのだが。
#後で自分でつけよう、うん、そうしよう…

 あとは配線を考えながらスイッチを取り付けるだけ。
 今回は説明書のとおり、ハンドル左スイッチボックス(ホーンスイッチ)の下へ両面テープで取り付けるとしよう。

 配線をどう通すかはずいぶん考えたのだが、結局、ウインカースイッチの配線に沿わせる事にした。
 三又下からスイッチを通すのに結構苦労する。コントローラからスイッチまでが一体になっているので、配線するにはスイッチ本体を通すしかないのだ。
 途中に1箇所でもコネクタ(カプラ)があれば良いな…とも思うが、3相のコネクタだと今のスイッチより大きくなってしまうのかもしれない。


こんな感じに付けました

 要所要所を付属のタイラップで留め、ハンドルを左右に切った時に無理が無いことを確認。
 取扱説明書には「余ったハーネスはたるまないようにタイラップで…」とあるが、このスイッチ位置だと長さはぴったり。余りは発生しなかった。

 ダミーインテーク、ダミータンクを戻せば完了。
 取り付け作業時間は、あれこれ考えても15分といったところだろうか。
 余談だが、この手のパーツを付けた時には、後のメンテの時にわかるようにマーキングしておくのが俺のお約束である。


あとで忘れたりするし(笑)

 

 いよいよ試乗です。

 ・・・というわけで、早速試乗に出かけてみる。
 テストしたのは8月の日中、気温は30度オーバー、エンジンには少々厳しい環境ではある。

 まず面白いのがアイドリング。
 信号待ちでモードを「オン」にしてみると、とたんにエンジンがグズりだす。
 キャブレターの同調がバラバラになっている時に非常に似た感じである・・・というか、事実バラバラなのだろう。(当然ブーストオフの状態で同調をとってあるわけだし)
 この様子だと、車両によってはエンストしてしまう場合もあるのではないだろうか。

 そのままスタートすると、グズりながらも前へ出る。このあたりはさすがは1200cc、 しかし2500rpmくらいまでは完全にダメダメなセッティングである。
 3000を超えたあたりから、スロットルに回転がツイてくるようになる。
 スロットルを大きめにぐわっと開けると、なかなか気持ち良い加速を感じる。(実際に速いかどうかは不明)
 そのまま6000、7000、そして9000とスムーズに加速していくのが心地良い。
 ノーマルの6000からのどっかん加速はなくなるが、その分手前から「イイ」感じになっているようだ。

 「オフ」モード。もちろん低回転域ではノーマルと変わることが無い。
 では6000以上では…もちろんV-Boostが作動しないので比較すれば加速は弱いのだが、思っていたより結構速い(笑)
 そこそこ面白い加速をする。意外にやるではないか、V-Boost無し(笑)

 高速道路にも乗ってみる。
 高速だとやはり「オン」モードで走るのが楽しい。6速4000rpm(=100km/h)あたりからでも、スロットルに直結したメリハリのある走りができる。
 反面、のんべんだらりと流す時には「オフ」モードも有効そう、景色を眺めながらのツーリングでは使えるだろう。

 切り替えスイッチの取り付け位置がスイッチボックス(ホーンボタン)の下だったため、走っている最中の切り替えは難しいかな?とも考えていたのだが、さほど苦労することなく操作する事が出来た。
 指先からある程度度離れた位置にセットする方が、誤動作防止にもなって良いかもしれない。

 

 全体としてみれば。

 さて、では結果的にどうなのか?との事だが。 

 製品としての「造り」には問題は無いと思う。
 動作もしっかりとしているし、スイッチの操作性も問題ない。
 本格的にはテストしていないが、防水性等の性能も合格レベルだと思う。(※水道の水をじゃばじゃばかけてはみた。)

 あえて注文をつけさせてもらうとすれば、先に書いたとおり、
 ○スイッチの表記にもう少し「色気」が欲しい事。
 ○スイッチレバーの操作角が小さいので、一目見てどのモードなのかわからない事。(理想はパイロットランプ)
 ・・・くらいであろう。

 また、もしできる事ならば、現在の「オン」「オフ」「ノーマル」以外に(大雑把でも良いので)V-BOOSTの開く回転数を指定できれば面白いと思う。
 6000rpmをキープすることは不可能でも、4000ならキープできる峠道というのは結構あるものだ。
 そんな時、「4000以上でブーストオン」にしておけば、走っている最中は事実上フルタイムで、発進時等はオフでもたつき無し…などと言う使い方ができるに違いない。(※マニュアルで操作すれば良いのだろうが、なんのかんのと言いつつ、走りながらのスイッチ切替は面倒くさい)
 4輪車の世界では、ホンダのVTEC用のコントローラー(作動回転数指定可)等というものが売られているが、同じような使い方ができると思う。

<余談>
 販売元に問い合わせたところ、上記の点は既に考慮済みだったとの事だった。
採用しなかったのは、主として価格維持の為。
現在の価格(後述)以上にはしたくなかったとの事だ。

 あとはこの機能(この製品に…ではなく)に、価格分の価値を見出せるかどうか、買う側の問題となるだろう。
 言い換えれば「この機能をどれだけ必要とするか?」ということだ。

 単にV-Boostをオンオフして遊びたいという人にはお勧めできる。
 普段なんとなく使っている機能(V-Boost)にスイッチをつけることで、付いているありがたみを改めて感じるという面もあるだろう。

 

 あなたならどうする?

 では俺だったらどう使うだろうか。

 「オフ」モードはいわば国内仕様モードだろう。(ギア比やキャブセッティングが異なるので同じ乗り味にはならないが)
 街中では使いやすいかも…と考えがちだが、そもそも街中ではV-Boostは使わないのであまり関係はなさそうだ。
 試乗でも感じたとおり、高速道路でのまったり巡航には使えるだろう。5速6000rpm(=約150km/h)でブーストが効きはじめ、一気に180km/hまで加速してしまうノーマルモードは、この中間のスピードで巡航する事が非常に難しい。他のバイクと一緒に走る時(この速度域ではそうないとは思うが)には有効そうだ、緊急の加速時にはオンにすれば良いのだし。
 また、オフにすることで燃費を抑える事もできるだろう。

 加減速の激しい低速コーナーの続く峠道(2速で吹けきってブレーキング…の繰り返しとか)でもオフモードは有効だろう。
 ブレーキング直前にV-Boost領域に入ってしまい、姿勢が不安定になってしまう事がなくなるからだ。

 「オン」モードはどうだろうか。
 いわゆるフルタイムVブーストは昔からいくつかキットが市販されているが、やはり低回転域でのトルク減少とアイドリング時の不安定感は避けられないようだ。
#大口径キャブ(と同じ)の宿命か?
 メリットは切り替え感の無いスムーズな加速感
 ある一定以上の回転数で走り続けられる時、例えば中高速コーナーが続く峠道や、程よく曲がった高速道路では楽しそうである。

 

 以上、はなはだ大雑把なレポートではあったが、読んでいる方々にイメージは伝わったであろうか?
 当製品の購入を考えている人の参考になれば幸いである。

 

V-Max用「ブースト・コントローラ」
価格:\12,000-(要問合せ)

問い合わせ先:HARD
webpage:http://v-max.lomo.jp/
e-mail:himai@sage.ocn.ne.jp


 
<追記>

その後、この製品もモデルチェンジを繰り返し、様々な機能が追加になったようです。

※当レポートが参考になったかどうかは不明(笑)

最新の機能、価格等の詳細については、上記HARDウェブページにて確認してください。



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