■ 長年の検討課題でもありました。
とうとう…というかなんというか、V-Maxのフロントブレーキ周りを一新する。 正直、V魔のブレーキが効かないのにはもう慣れた。
駄菓子菓子 気づけばディスクローターにはLPレコード並の溝が刻まれている。
なにしろ造られて13年(設計からだと18年…)が経過したブレーキ周りである。
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■ デカいローターも欲しいけど。
さて、全交換となれば、まずはブレーキディスクローター選びだ。 旧型V-Max(?'92)の純正ローターは282φである。
「大口径化」といっても狙っているのは298φ、そう、新型('93~)の純正品である。
ヤマハの市販品ブランドであるワイズギアからは、旧型用のアフターパーツとして「フロントレトロフィッティングキット」というものが発売されている。 これは旧型のフロントフォークに新型のブレーキ周りを移植する為のキットである。
上記のキットはこれを解消してくれるもの。 内容は、新型用の純正ディスクローター(298φ)2枚と旧型フォークに新型キャリパーを付ける為のキャリパーサポート、それに取り付けボルトのセット。
正直に純正パーツとして注文すると、ディスク2枚だけでこの金額を軽々とオーバーしてしまうに違いない。
総合的に見て、この商品以外の選択肢は考えられない。
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■ キャリパーはやっぱりねぇ・・・
さて、次はキャリパー選び。 先述のように、レトロキットのキャリパーサポートを使用すれば後期型MAXの純正キャリパーが使用できるのだが、それではあまりにも色気がない。 ワイズギアからは、後期型用のボルトオンパーツとしてキャリパーキットが何種類か発売されている。 キット1は金のブレンボキャリパー(XJR純正と同じ)1セット(2個)+ステンメッシュブレーキホースで59,800円
これまたどれも価格設定が低い。 他の車種にYAMAHA純正品として採用されているものをこれまた正直に部品として注文すると、この1.5~2倍の価格になるに違いない。これまたYAMAHAの温情に感謝感謝。 カタログを前に悩む。 軽さならMOSキャリパーだろうが、見栄っ張りの俺には「ブレンボ」のブランドがどうにも気にかかる。
ところで、だ。 いくら(相対的に)安いとはいえ、6万からの金はそうそう簡単に出せるものではない。
中古パーツを探すといえば、もちろんYAHOOオークションである。 ワイズギアと同じ品であるヤマハ純正のブレンボキャリパー(言い方変?)は、XJRの400や1200、TDM等に採用されているだけあって出品数も多い。
一番多い落札価格は15,000~20,000円だろうか。
バイクの最重要部品の一つであるブレーキキャリパーに安易な妥協はしたくない。「ここはやっぱり新品の安売りを探して・・」と思いかけていたのだが。 何気に見ていたヤフオクのページで、今や見慣れたブレンボキャリパーの画像に目がとまる。 金の本体に赤のブレンボ文字。取り付けピッチは新型MAXと同じ100mm。例のキット1のブレンボキャリパーにそっくりである。
「これ、付くんじゃない?」 さほど深くは考えず、安く買えるならと入札。
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■ 現物到着
中古キャリパーが届く。
ところでこのキャリパー、意外・・・といっては失礼だが、中古にしては実に綺麗である。
パッド(←付いてきた)を外した本体を、中性洗剤でがしがしと洗う。
さて、肝心なのは効きに直結するブレーキピストンの動きである。
そうこうするうち、別途手配しておいたレトロフィッティングキットが届く。(こちらは新品) ピカピカのアウターローターに金色のインナーローター、フローティングピンの輝きが美しい。
付属のキャリパーサポートと、先ほどのキャリパーの相性をおそるおそるチェック。
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■ 交換開始
さぁ、物が揃えば交換作業だ。 外はしとしとと降りしきる春の雨。出かけるに出かけられない絶好のメンテ日和である。
まずはフロントホイールを外す……前に、ブレーキローターの取り付けボルトを緩めてやろう。
たっぷりのCRC-556攻撃にもかかわらず、やはりボルトは固かった。
ホイールを外し、緩めたボルトを抜き、ローターを外す。
軽く磨いたホイールに、んではと新ローターを取り付ける。 ボルトオンなのでなにも難しい事はない。ボルトを対角線上に均等に締めこんでいく事だけに気をつければいいだけだ・・・って、さっきボルトを2本潰しちゃったんじゃないのか? ホームセンターへと走り、同サイズのステンレスボルトを調達。
しっかりとボルトを締めこんだ後、それぞれのボルトとローターの合わせ位置にピンクの油性ペンでマーキング。
ローターの付いたホイールを車体へ仮組みし、空回りさせてフレが無いかを確認。うむ、大丈夫じゃないでしょうか。 お次はキャリパー。 ブレーキホースから純正キャリパーを外し、オイルが流れ出ないうちにブレンボキャリパーを取り付け・・・ようともたもたしているうちにオイルが全部流れ出てしまいました。
バンジョーボルトの銅ワッシャは、目をつぶって再利用。
空っぽになってしまったブレーキフルードのリザーバタンクにフルードを注ぐ。 フルードは、以前中途半端に使って残っていたものだ。
一通りフルードが入ったところで一旦キャリパーを取り外す。 ブレーキレバーを握ってブレーキピストンを押し出し、洗浄。
きれいになったピストンをキャリパーに押し込む。よ~し、スムーズに動くぞぉ 洗浄し、面取りしておいた付属(おまけ)ブレーキパッドをセットする。
きちんと本組みした後、改めてエア抜き作業。時々キャリパーをコンコン叩いてエアのぬけを促してやる。 各部を増し締めすれば・・・を~し、完成!
早速乗り出したいところだけれど既に外は暗い。インプレは明日以降にしておこう。
ちなみに、今夜はブレーキレバーを握った状態でゴムバンドを巻き固定。
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■ いざ出発
翌日、見事に晴れ上がった青い空。 「うむ、こうでなくてはな・・・」と呟きながら、いそいそと出発の支度を整える。 念のため、今朝もう一度エア抜きしたブレーキレバーは実にかっちりとした感覚。エアは充分に抜けたようだ。 ゆっくりと出発。 自宅前の交差点でブレーキレバーを握ると、「シュイーン」というローターの擦れる感覚が右手に伝わる。やっぱりいいなぁ、新しいブレーキって。 走りながらレバーを軽く握り続けてパッドの当たりをチェック。
田舎道の直線でブレーキテスト。 他に通る車の無いことを確認の上、「ホドホド速度」から「ホドホドのブレーキング」を繰り返す。 ローターとパッドが馴染むにつれ、手ごたえは更にしっかりとしてくる。
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■ ああ素人仕事・・・
天気は最高、ブレーキも良好。 このまま帰るのはあまりにももったいないと、バイパスへ乗り入れ、ペースを上げて走る。
15分程走っただろうか。ふと、ローターの取り付けのボルトの緩みをチェックをしていない事を思い出す。
チャリ~ン… 「チャリ~ン?」 チャリ~ン… 「チャリ~ン?」 スカッ 「スカッ・・・ァッ!!!!!!!!」
何気に握ったブレーキレバーから一気に手ごたえが抜ける。 右グリップまで一気に握りこまれるレバー
息を止め、ブレーキレバーを放す。 前、車なし、後、車なし。 右足でリアブレーキを踏み込み、同時にシフトダウン。 左右を確認のうえ、路肩へゆっくりとMaxを寄せる。
「何が起こったんだ?一体…」
・・・右ブレーキキャリパーが外れてました・・・
キャリパーとキャリパーサポートを留めている2本のボルトがなくなり、キャリパーはブレーキホースだけでぶらりとぶら下がっていた。 ローターから外れたキャリパーに手ごたえが無くなるのは当たり前である。 「チャリ~ン」はボルトの抜け落ちる音。
幸いにして周囲に車のいない状況だったからよかったものの、先のブレーキテストの時や交差点、カーブ手前の減速でこの状況だったら間違いなく事故を起こしていたであろう。 「このうつけ者がぁっっっ!」と、ヘルメットの中で自分の迂闊さをとことん罵ったら、自宅の方角を向き、ご先祖様ありがとうと一礼する。
ともあれ、交通量の多いバイパスで無くしたボルトを探す事は不可能だ。
外れたのは旧型純正の古いボルト。キットに付いてきた格好良い中空ボルトでなかったのが救いといえば救いである。
<教訓>
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■ 注文はお早めに
…というわけで、早速パーツ屋へと走る。 まずは無くしたボルト。 もちろん純正でも良いのだが、先に書いたとおり、ワイズギアのレトロキット付属のボルトがサイズぴったり&中空で格好良い。
ついでに、先に「専用品を手配しよう」と書いたディスクローターの取り付けボルトも注文する。
価格を調べてもらうのにちょっとどきどき。
しかしさすがは現行(?)部品。キャリパ用ボルトは1本180円、ローター用ボルトは1本130円と適値、全部で2500円程度であった。やれやれ。
■ 今度は間違いなく
当然のようにキャリパ用のボルトは問題なし。 ローター用の方は、ボルト自体に緩み止め用と思われる青い塗料(?)が付いていた。
ボルトには念の為ロックタイトを塗ろうと思っていたのだが、あえて何もせずそのまま組み込む。緩み止めを複数塗って変になっても困ると思ったからだ。
同じ間違いをしでかさぬよう、全てのボルトを増し締め確認。もちろんマーキングも忘れずに。 やっとの事で取り付け完了。
これで長年の懸案事項もひと段落。
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