＜１９９９年９月中旬のある日＞

行くぜ！全国大会！ 　インターネットで参加している＜Ｖ－Ｍａｘメーリングリスト（以下、ＭＬ）の第一回全国大会が静岡県の渋川で開催＞される。 　日頃からなにかとお世話になっているＭＬだ、「これは行かないわけにはいかないなぁ・・・」と勝手に思い込み（笑）、参加表明を行う。 　実は、大型の台風の接近に伴い直前まで開催が危ぶまれていたこの大会。しかし足を速めた台風は前夜までに東北へ抜け、関東以南は風こそ強いもののなかなかの上天気となる。「うんうん、さすがは晴れ男だねぇ…」と自己満足(笑)しながら、６：００ａｍ家を出、いつものように東北道を南下する。 　大会の開催地は静岡県と愛知県との県境あたり。栃木県からだと結構な距離だ。まあ、全国大会だけあって、今日は東北、関東、中部、東海、関西と様々な地方から参加するメンバー集まってくるはずだ。（北海道から来る予定だったメンバーもいたが、台風でフェリーが欠航し断念）日本の中心に近い場所と言うのは開催地としてはしごく妥当であろう。 　これまたいつもの通り蓮田ＳＡで給油＆休憩をしていると、１台のＶ－Ｍａｘ乗りが声をかけてきた。 　同じく全国大会に参加する仙台のＳ氏、ＭＬ上ではともかく実際にお会いするのは初めてだ。どもどもと挨拶をし、「首都高を抜けるのが不安で…」と語るＳ氏を先導する事になる。	蓮田ＳＡにて
全部Ｖ－Ｍａｘ 　週末の朝の首都高は案の定渋滞中。動かない車の群れを縫って２台のＶ－Ｍａｘが前へ進む。「すり抜けが苦手で・・・」と言っていたＳ氏だが、どうしてどうして、付いて来るペースはなかなかのものだ。箱崎からＣ１、３号渋谷へ抜けるルートは先日のツーリングで使ったばかりなので戸惑う事はない。思っていたより早い時間で無事に東名高速へ乗り継ぐ。 　当初、現地まで一人で行く予定だったのだが、Ｓ氏を伴っている事もあり、関東出発組の集合場所である海老名ＳＡへ立ち寄ってみる事にする。（※ＭＬ上にて「一緒に行く人があればここに集合ね…」との連絡が回っていた。） 　８：３０ａｍＳＡ到着。するとまあ、いるわいるわＶ－Ｍａｘの群れ、こちらに気づいたらしく大きく手を振るのは既知のメンバー、どもどもと手を振り返してＭａｘを停める。 　そこここで交される挨拶、光るストロボ（笑）。 　ううむ、まだ第一集合場所だというのに２０台近くのＶ－Ｍａｘが集まってしまった。この分だと会場ではどんな事になっちゃうんだろ？ 　集合時間を過ぎ、集合の発起人Ｙ氏の呼びかけで一同揃って出発する。走行写真の撮影も兼ねて先ずは隊列を組んで走行、後は各々の判断に任せてのフリー走行となる。	海老名ＳＡ・むこうの端までＶ－Ｍａｘ(笑)
高速哀歌 　この先、東名高速は「右ルート」と「左ルート」に分かれる。（やがて合流するのでどちらを選んでも同じ） 　道路上の表示によると右ルートは工事中との事でこちらへ向かう四輪車は少ない。が、何故か右ルートへ向かうＭＡＸの列、つられて自分も右ルートへ。「こっちのルートはカーブが多いんだよなあ・・・」 　工事中で車線規制の個所をゆっくりと抜ける。規制が解除され前方がクリア、するとそこは・・・あ～、誰も走っていないぃ～。 　待ってましたとばかりに後方からＫ氏とＭ氏の２台のＶ－Ｍａｘが飛び出してくる。Ｋ氏のＶ－Ｍａｘは某誌の表紙を飾った事があるほどの大改造Ｍａｘ（というかチェーンドライブ化を含め、ほとんど原型を留めいていない）対するＭ氏のＭａｘはポイントをきちんと抑えたライトチューン、更に加速して行く２台、これは見逃せないぞとその後を追う。 　小さなスクリーンに体を押し込み、Ｖブースト全開。車体を踝で挟み込み、左手でステアリングダンパーを締め込む。 　加速続行。直線での速度は２．５ＳＥＩＧＥＮ（１ＳＥＩＧＥＮ＝意訳(爆)）を軽く超える。急に狭くなる視界、目前に迫る５００Ｒほどのゆるいコーナーがヘアピンに見えてくる。上体を起こしてエアブレーキ、２．０ＳＥＩＧＥＮ程度でコーナーへ突っ込む。腰の下で不気味に歪むフレーム、思うより車体一つ分アウトに出て行く走行ライン、ううう、辛抱辛抱・・・ 　前を行くＭ氏もコーナーでは苦労している様子、その横を走るＫ氏のマシンは（補強＆足回りの違いか？）さすがに安定しているようだ。もっとも自分もゆっくりと他人を観察している場合ではない、腕が違う、マシンが違う、そして何より若さが違う(爆)、じりじりと遠ざかって行く２台のＶ－Ｍａｘ、うおおおお、待てぇ・・・ 　うかつに飛び込んだ右３００Ｒのコーナー、バンクさせた瞬間に気づく。「あ、ヤバ・・・」 　完全にオーバースピードだ、あっと言う間にアウトへはらむ。こんな時Ｖ－Ｍａｘにとって一番拙いのは「スロットルを戻す事」だ。戻した瞬間にフレームは悲鳴を上げ、リアタイヤはホッピングを起こし、ステアリングは暴れまわる事だろう・・・（経験則(爆)） 　右手を固定したまま、近づいてくるガードレールから強引に視線を引き剥がしてイン側を睨む。喉までせり上がって来る心臓、「頼む、曲がってくれぇ・・・」 　・・・幸運だったのはコーナーの曲がり込みが思ったより浅かった事。路肩のホコリが舞いあがり、軽くテールスライド。ガードレールまであと５０ｃｍというところで、やっとマシンが立ちあがる。 　直線に入って初めて人心地、「ああっ・・・ご先祖様ありがとう・・・」（?人?） 　すっかり抜けた気合い、ほぼ放心状態で(笑)足柄ＳＡへ到着する。 　ＳＡでは早速先程のルートの検証が始まる。 　「加速はいいんだけど・・・」「俺のカウル付いてないしなあ・・・」「いや、それにしても曲がらないわ」「３．０ＳＥＩＧＥＮはやっぱり厳しいかも・・・」等々。どうやら後方でもいろいろイベント(笑)が行われていたらしい。ともあれ、皆で無事を祝い(笑)出発。次の富士川ＳＡで本日３回目の給油を済ませれば出口「浜松西ＩＣ」まではあと１００ｋｍほどだ。
腹が減っては・・・ 　今度こそ本当にゆっくりと走って(笑)浜松西ＩＣへ到着する。 　ＩＣ出口では待ち構えていた現地組＆別働隊と合流、う～む、更に台数が増えてしまった。 　この台数ではどこへ行くにも収拾がつかないだろう。相談した結果「まあ、現地まではもうすぐだし」と言う事で、後の行動は各々の判断に任されることになる。 　さて、そうと決まれば話は早い。まずはお約束となった給油（４回目）の時にスタンドのお兄さんから情報収拾を行う。時は丁度お昼、ここは浜名湖のほとり、とくれば・・・「うなぎ」しかないでしょう！ 　教えてもらったうなぎ屋までバイクを急がせる。 　ここまで来てケチっても仕方ない。愛想の良いおばちゃんに「うな重の松ねっ！」と明るく注文する。 　程なく運ばれてきた「重」は漆塗り２段重ねの立派なもの。うなぎとご飯が別々でもちろん「肝吸い」付きだ。 　箸でつまむとうなぎの身はふわふわ。箸で大きめに切って白いご飯に乗せ一気に掻き込む。「う、う、う、うまっ・・・」 　途中から、うなぎの方の重に残ったタレをご飯にかけて食う。これがまた美味美味、「ああっ幸せ・・・」 　あっという間に完食。う～む、これだけでも来たかいがあったと言うもんだ。おばちゃんと世間話をしながらゆっくりとお茶をすすり店を出る。空は快晴、空気も美味い。さあて、んじゃ会場へ向かうとするかぁ。	ＩＣ出口で待ちうける
いざ会場へ。 　途中のコンビニエンスストアで先発隊（の一部）と合流する。 　１０台ほどのＶ－Ｍａｘはゆるゆると街中を抜け山間部へ入っていく。つづら折れのワインディングを抜け、段々畑のあぜ道を抜ければそこが今回の会場「てんてんごー渋川」だ。 　会場の中へバイクを進める。「おおっ、すごいすごい！」既に数十台のＶ－Ｍａｘが集まっているではないか。 　整然と並べられたバイクは、ナンバーも全国各地様々だ。顔見知りのメンバーと挨拶を交わして受け付けへ、受け付けでは裏がテープになったラベルを渡される。これに自分のハンドルネームを書いてシャツにでも貼っておけば、お初のメンバーとも気軽に話せるのでは？という実行委員会連の心憎い配慮だ。ＭＬ上でレスを交わしていても実際にお会いするのは初めてという人が多いであろう全国大会、「いいねえ、こういう演出・・・」 　早速、「Ak!rA＠宇都宮」と書いたラベルをＴシャツに貼って会場をうろつき回る。 　毎度お馴染みの顔、そういえばオフ会でお会いしたかな？と思える顔、ラベルを見て「ああっ、あの人が・・・」と納得する顔(笑)と様々。あ、でも俺もそう思われているのかな？(爆) 　Ｖ－Ｍａｘの集会だけに強面の人が多いかなぁ？と邪推していたが(笑)　なんのなんの、皆さん紳士淑女ばかりで交わされる挨拶も穏やかなものだ。まあ、まだアルコールも入っていないしねえ(笑) 　時間と共に続々と数を増やすＶ－Ｍａｘは何時の間にか５０台をオーバーしているようだ。こりゃあ今夜は盛大な宴会になるぞぉ・・・	いや、集まりました。
開演！全国大会。 　実行委員会連の挨拶で全国大会は幕を開ける。 　特にイベントは用意されていないけど、デイトナ、プロト、アクティブ等の有名パーツメーカーが、パーツ＆デモ車の展示即売会を行っている。ううむ、なんか凄いなあ、これも実行委員会の人徳だろう。 　突然、「キャブ同調講習会」の講師を依頼される。 　今日は以前まとめて個人輸入を行った４連バキュームゲージの受け渡しも行われているのだが、どうやらその使用方法を覚えたいという人が大勢いるらしいのだ。「俺が教えてもなあ・・・」とは思ったけれど、まあ多少なりとも実行委員会連のお手伝いになればと快諾する。 　某氏のバイクを試験台に２０分程かけて説明しながら同調を取る。手順は「キャブレター同調記」のとおり。大勢のＭＡＸ乗りの前で冷や汗をかきながらの講習会、さて、参考になったのかどうか・・・（汗） 　西の空を赤く染めて陽が暮れていく。 　宿泊設備は別途用意されているのだが、テント持参の自分は会場の片隅でごそごそと宿泊の準備。８０人オーバーの参加者（タンデムや四輪での参加もあった）だ、宿泊所を空けておくに越した事はないであろう。 ※この日のテント村は６張りというささやかなものであった。 　準備完了！とっぷりと日が暮れれば、さあ、お待ちかねの宴会だ！ 　食事は幹事Ｔ氏の奥さん謹製のカレーとＢＢＱ。カレーとは言えなにせ８０人前、大鍋２つ分のカレーの作成はさぞかした大変な作業だっただろう。裏方に徹して下さった皆さん、本当にお疲れ様でした。 　良い具合にビールが回ってきた頃始まったのはビンゴ大会。幹事連の根回し(笑)により、多数の協賛スポンサーからの商品が山積みだ。時計にＴシャツ、ブレーキパッドにステアリングダンパー（！）はもちろんＶ－ＭＡＸ用。これだけ商品があると、日頃この手のものにはまるで縁のない自分にもＴシャツが当たる。「お～、Ｖ－Ｍａｘのシャツだぁ」今着ているのとお揃いかな？(笑) 　アルコールは、ビールが終わりチューハイへ。怪しいウォッカの瓶が飛び交い、日本酒と赤ワインのちゃんぽんカクテルの味見（＆一気飲み）が始まる。ドラム缶を２つに切って作られた炉では薪が火の粉を飛ばして燃え上がる。宴会宴会ぃ～、寝床は準備してあるし、つまみはたっぷり。さあ、思い切り飲めるぞぉ！ 　夜半、まだまだバイクネタ（＆下ネタ）で盛り上がっている会場を尻目に、へろへろになってテントへ転げ込む。 　ううむ、最近とみに体力の衰えを感じるなあ・・・ま、年も年だしな(爆)	１人ずつの撮影会。 あ～、暗くて何がなにやら・・・(爆)
朝から快晴 　翌朝、顔をなでる冷気で目を覚ます。 　昨日の日中はＴシャツ1枚でも汗ばむほどの気温だったのだが、さすがは山間部、宴会途中からじりじりと下がってきた気温が、明け方に（寒さの）ピークを迎えていたようだ。 　気づけばＴシャツ＆トランクス1枚の姿ながら、きちんと寝袋に収まり首周りのストラップを閉めこんでいる自分。うむ、あれだけ酔っていたにしては的確な状況判断と対応だ、偉いぞ、俺（笑） 　ごそごそと身支度を整え,外に出る。既に起きていた隣のテントのＭ姉さん（笑）と朝のご挨拶。どうやらそのまた隣のテントのいびきであまり熟睡できなかったらしい。ふふふ、姉さん、キャンプにはイヤーウィスパーが必需品なんですよ・・・ 　朝飯はコーヒー＆ロールパン＆ソーセージが配給となる。これまた裏方の皆さんのご尽力の賜物だ。なんか今回はお世話になりっぱなしだなあ・・・ 　聞けば、朝早くに出発したメンバーやら、朝駆けに出かけたメンバーもいたらしい。全然気づかなかったなあ・・・と思っていたら、皆キャンプ場出口までバイクを押し、かなり離れた場所でエンジンをかけていたらしい。う～ん、良いねえ、こう言う気遣い・・・ 　閉会は10時少し前、実行委員連の挨拶で第1回全国大会は幕を閉じた。 　次々と出発して行くＶ－Ｍａｘ、「気をつけてねぇ～」と見送り、さて、俺も帰ることにしようか。 　浜松西ＩＣから東名高速へ。暴走四輪は相手にせず、工事渋滞をくぐり抜け、海沿いでは立ち上がって景色を楽しみ、何故か追ってくるツートンカラーの車をやりすごす。 　首都高からはちょっと寄り道。湾岸幕張まで走ってＭＴＢレースの観戦。なんやかんやで自宅に着いたのは深夜近く。う～む、走った走った。ちょっと疲れたけど実に有意義な2日間であった・・・

余談

　それにしてもお疲れ様でした＞実行委員会連
　あれだけの人数を取りまとめるのはさぞかし大変な事だったでしょう。頭が下がります。
　なんでも来年は京都で開催とか？う～む、行けるかなあ・・・京都・・・

＜２日間の走行距離＝約６００マイル＝約９６０ＫＭ＞＜本日の教訓＝Ｖ－Ｍａｘってやっぱりいいなあ・・・＞