4年近く前に書いた隼の納車時のインプレに、こんな箇所がある。
「スズキ特有のねっとりしたシフト感と大きめのストロークは今一つだが、それもまあ許容範囲。」
現在、隼のシフトの「入り」は悪くない。
きっちりと慣らしをしたせいか、はたまたオイルの相性が良かったのか、スコンスコンと入ってくれる。
他の隼によく聞く「5~6速間の抜け」も無い。比較的優秀…と言って良いのではないだろうか。
ところでそのギア抜けの話だが、新しい年式の隼からはあまり聞こえてこない。
「やっぱり熟成されると違うんだろうねぇ…」と思っていたのだが、某所でこんな話を耳にする。
「新型の隼は、シフトリンクが変わっているらしいですぜ、旦那…」(←誰が旦那だ)
ううむ、これは聞き逃せない話である。
ミッション内部なら諦めがつくが、簡単に交換できるリンク部となれば別である。
早速ショップへ出かけてパーツリストをチェックし、自分の'99式と新型'04式でパーツナンバーが異なる事を確認。パーツリストだけでは形が変わっているかどうかまでは判断できないが…ええい、注文してしまえっ!
価格は2,500円程度、まぁ昼飯を3,4回抜けばなんとかなる金額である。
某日、パーツが届く。
どれ、まずは今のシフトリンクを外してチェックしてみるとしましょうか。
すいませんねぇ、汚くて…
・バーの両側のナット(赤矢印)をバー中央へ向けて緩める。(片側は逆ネジなのでネジのきり方を確認しながら行う)
・バー本体(緑矢印)を回し、ギア側、ペダル側双方から外す。
これでシフトがフリーになる。
さて、それではギア側のシフトリンクを外す…前に、今の位置を覚えておかねばならない。ギアシフトリンクの位置というのは、後のシフトペダル調整の際にとても大きな影響があるのだ。
シフトの切り欠きのある場所(青丸)に油性ペンでマーキング。これで付ける時に元通りにできるだろう。
あとはロック用ボルト(黄矢印)を外せばギアシフトリンクが抜けるはずなのだが…「ええい、なんでぶつかるんだっ」
緩めたボルトがサイドスタンドセンサーにぶつかって外れない。
このボルトは緩めるだけではなく、完全に外さないとリンクが抜けないはずなのだ。
「くそぉ、こりゃぁ設計ミスじゃねぇのか…」とぶつぶつ呟きながらカチャカチャやっていたら、「あれ?外れた」
ロック用ボルト、完全に外さなくてもシフトはちゃんと抜けました。
「すいません、私が間違っておりました。」(昔の知識にこだわるとダメだなぁ…)
さて、気を取り直して、外したシフトリンク(以下、旧リンク)と買ってきたシフトリンク(新リンク)を比べてみる。「どれどれ…」
両画像とも、左が旧リンク、右が新リンク
をを、確かに短くなっている。
ギア側のリンクが短くなると言う事は、シフト操作(ペダルの移動距離)が少なくて済むという事である。
反面、操作の為の力が必要になる(ペダルが重くなる)という事でもある。
うむ、これなら思っていたとおり、シフト操作のショートストローク化になりそうだ。
いそいそと取り付け。
マーキングに合わせ、元と同じ位置にシフトリンクを噛ませてバーを取り付け。
仮組みしたらペダル位置を調整。せっかくだからとちょい低めにセットしたら、バーの「かかり」(シフト側ネジ穴への入り込み量)が少なくなってしまい、ちょっと心配になる。
こんな時にはギア側のシフトリンクを一旦取り外し、元より1ノッチだけズラしてセット。
先に書いたとおり、1ノッチズラしただけでペダルとの関係が大きく変わり、バーをしっかりとネジ込む事ができた。よしよし。
<余談>
一般的には、ギア側シフトリンクとペダル側シフトリンクが平行に近い程、シフト時のロスが少なくなりスムーズに操作できると言われている。
シートに跨り、N→1速間でテストしてみるとコクコクと気持ち良く動く。
特に重くなった気はしないし、入りが悪い気もしない。
うむ、これは実走テストが楽しみだな。
・・・というわけで実走テスト。
週末の市街地及び郊外をいろいろなペースで走ってみる。
で、結果から言うと、かなり良い。
ストロークが短くなり、小さな動作でカツンカツンと入ってくれる。
ノンクラッチシフトもスムーズに決まるし、信号で完全に停止した後のシフトダウンも楽になった気がするのだ。
ただ、ダイレクトになった分、神経質にもなっている気がする。
テスト走行中、あまり調子が良いので、欲を出してペダルをもう少し下げたら途端に入りがぎくしゃくした。
リンク比が大きくなったので、少しの変更が大きく影響するのだろう。前に書いた「リンク部を平行に」に気をつける必要がありそうだ。
ともあれ、これはお勧めできる改造だ。
何年式から今の短いものになったのかは確認できていないが、少なくとも初期型オーナーは一度試してみる価値があると思う。
何より価格がお手軽だし(笑)