SUZUKI GSX1300R 隼

☆ メンテナンス編 ☆

パッシングスイッチ装着記
もしくはクラッチスイッチキャンセル記

 装着記   その後の状況 


装着記

<2006年5月>

何用かはわかりませんが

 某日、クラッチ(左)側スイッチボックスを入手する。

 「隼用の」と書かないあたりがミソなのだが、実はこのスイッチ、何用かわからないらしいのだ。

 ロゴと形からしてスズキ車用なのは間違いない。
 それも比較的高年式。
 TL1000以降で隼かカタナ(アニバーサリー)、もしくはGS1200SS……というあたりまでは見当が付くが、それ以上は不明。

 そんな出所が怪しいスイッチボックスを何故手に入れたかといえば、このスイッチボックス、パッシングスイッチが付いているんですねぇ。

 無くても別に困らないパッシングスイッチ。
 どうしてもという時にはライトのHigh、Lowを切り替えれば代用が効く。
 でも……あればあったで邪魔になるものではないのもこれまた事実なのである。(←欲しかったと素直に言いましょう)

 うちの'99カナダ仕様には付いていないが、隼にパッシングスイッチの付いたモデルは存在する。
 
 '99ならヨーロッパ仕様。
 カナダ仕様なら'03以降(だったよな…)

 これらのスイッチを部品で注文すれば、当然のようにボルトオンで付く(年式によっては若干の改造が必要)

 しかし、その場合の費用は7k円以上。
 今回かかった費用はその1/4。まぁ正直遊び半分での購入である。

とにかくチェックしてみましょう

 手元に現物が届いたらまずはチェック。
 
 隼純正ボックスと比べると、形はまったく同じだが、配線の長さがずいぶん違う。
 20cm近く短いのだ。う~む、これを取り付けるなら配線のレイアウトを考える必要があるだろう。

 そして最も違ったのが・・・
 「あれ?クラッチスイッチの配線が無いぞ…」
 
 安全の為、クラッチを握らないとエンジンがかからないのが隼の仕様。
 そのチェックに使うクラッチスイッチの端子が付いていないのだ。
 
 


左:購入品、右:純正
細く出ているのがクラッチスイッチ配線

 ううむと呻きながら、ともあれ中をバラす。
 
 配線の色は隼とまったく同じ。パッシング用の配線が追加されているだけの感じである。

 コネクタ側もチェックしたが、パッシング(&アース?)以外はこれまたうちの隼と同じ。

 「やっぱり問題はクラッチスイッチだけか…って、あれ?」
 
 スイッチボックスの中にある怪しいコード。その色は純正のクラッチスイッチの配線色。

 そしてそのコードは……皮膜が剥がされ、寄り合わせてあったのである。
 
 


いくらなんでもコレはないでしょ(笑)

 「ただ寄りあわせる」などという事を純正部品が行っているはずはない。

 「ふふっ、俺の目を誤魔化そうったってそうはいかないぜっ!これは素人がクラッチスイッチをキャンセルする為に短絡させたんだな…」

 エンジンを掛ける時、面倒だからとスイッチを短絡させる(クラッチを切った状態と同じにする)人は実は結構多い。
 このスイッチの元オーナーも、きっと同じ考えだったのだろう。

 「それにしたって…・・・こんな処理はないよなぁ」

 俺なら、後で戻す事も可能なように、端子(コード)は残したまま先端で短絡させる。
 万が一途中で切るにしても、半田付けとコードの保護は欠かさないだろう。

 「やれやれ…」とぶつぶつ言いながら、改めて端子を半田付け。
 その上から熱収縮チューブで保護してやる。


保護完了

 さて、これで処理はできたものの、予定外の問題が出てきてしまった。
 先の「クラッチスイッチのキャンセル」についてである。

 確かに、クラッチを握らずにエンジンスタートができるのは便利である。
 フェイルセーフとしてはサイドスタンドスイッチとニュートラルチェックがあるから問題は無い。
#サイドスタンドが出ている&ギアが入っている=エンジンはかからない

 しかし、隼の場合、クラッチスイッチのON-OFFでエンジンの制御(燃料噴射&点火マップ?)が替わるとの噂があるのだ。

 「クラッチを握ってシフトダウンする時のレスポンスを上げる仕様になっている」
 「無負荷用マップなので全開運転をするとエンジンが壊れる」

 いろいろな噂がまことしやかに語られている。
 真偽の程は判らないが、「乗り味が変わる」のだけはどうやら間違いないらしい。

 さて、どうしようか。
 この前の整備で好調になった直後だけに下手な改造は避けたいところなのだが…まぁ、いざとなればスイッチボックスを戻せば済む話だしなぁ・・・

 ボックスの外部はクレ・ポリメイトで磨きこみ。
 内部はホコリを払って接点復活剤。

 ハンドルへの取り付けは、コードが短くなった分、取り回しを変えて調整する。

 配線接続。
 チョークケーブル動作問題なし。
 キーオン、セルフチェック異常なし。
 ウインカー異常なし。
 ハイ・ロービーム切り替え異常なし。
 そしてこれが肝心・・・パッシング問題なし

 結果的にこのスイッチボックスは(配線の長さはともかく)完全ボルトオンで接続することができた。
 となるとこのスイッチ、TL1000Rあたりのものだったという線が濃厚だろうか。

 さぁて、これでスイッチ自体は問題なしとして…クラッチスイッチ短絡の影響がどう出るかチェックしてやらなくては。
 
 


これで高速道路も安心・・・なのか?



その後の状況

<2006年12月>

使ってはじめて判りました。

 ・・・というわけで、(パッシングスイッチはさておき)クラッチキャンセルのまま半年乗ってみた感想なぞを。

 まず肝心の「始動時にクラッチを握らなくて良い」は、「便利のようなそうでもないような?」というのが正直な感想だ。

 朝一番の始動時にはクラッチ張り付き解除用に2,3回握るのが癖になっているし、それ以外の時も「もしや?」という不安感からついつい握ってしまう。
 考えてみれば、V魔でも握ってエンジンを始動する事が多かったのだ。
#こちらの目的はセルモーターの負荷軽減目的。

 まぁ、ヘルメットを抱えている等片手が塞がっている時に便利なのは間違いないのだが。

 次に影響だが、実は面白い現象が起きるようになった。
 特定の条件でアイドリングしていると、1分ほどでエンストしてしまうのだ。

 「特定の条件」というのは以下のとおり。
・ギアはニュートラル。
・サイドスタンドを立てている。

 ニュートラルでも、信号待ちとかサイドスタンドが出ていない場合にはエンストしない。
 これまでにはまったくなかった現象だから、クラッチスイッチの影響と考えていいだろう。

 原因だが、エンスト&再始動時の雰囲気からすると「ガスが濃い」気がする。
 カブってエンスト、っぽいのだ。

 考えてみれば、サイドスタンド&ニュートラル&クラッチというのはエンジン始動時と同じ。
 濃くなるのも無理はないと考える事もできる。
※もちろん「今エンジンがかかっているかどうか」はチェックしていると思うのだが。
 

 この現象、ちょっと困るのも本当のところ。

 マスツーで「ちょっと停まって後ろと相談」している時にプスンとエンストすると格好悪い。
 路肩で地図をチェック、等というときも同様。
 まぁ始動性は良いので、物臭させずちゃんとエンジンを止めてから相談なり何なりすればいいのだが。

 ともあれ、「濃い」のであればエンジンが壊れる可能性は少ないはずだ。
 走っている時に感じる悪影響は今のところ無し。
 もう少しこの仕様で乗ってみようと思っている。
 

Copyright 2006 Akira




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