その1
<2003年4月26日>
「野郎共とっとと起きやがれ!風は強ぇが仕方が無ぇ、那智勝浦寄ってやるからありがたく思え!但し寄港は10分だけだ!遅れたら九州まで連れてくから覚悟しやがれ!」(意訳)…の声にいそいそと下船準備。
やれやれ、どうなることかと思っていたがとりあえずこれで一安心である。
高い波に上下に揺れるフェリーは、無事(定刻の1時間遅れではあるが)和歌山県那智勝浦港へと到着する。
バイクの上の荷物をまとめ、ヘルメットを装着。
目の前でがらがらと下ろされていくフェリーの出口ランプ(斜路)。
「よぉし、行くぞぉ!」と意気込んだライダー達の前に現れたのは…「あ、雨?」
明け方の暗闇と強い風、揺れるフェリーの中からではまったく気づかなかったのだが、外は降りしきる雨の真っ只中であった。
「くそぉ…」と雨具を着込み、荷物にはカバーをかける。
雨の中、昌さんのVTRと共に走り出す。
最初の目標地は飯&風呂。
早朝の到着を考慮してか、フェリーチケットには近隣ホテルでの朝食バイキングと入浴券が付いていたのだ。
雨の国道42号線をホテルを目指して走る。
早朝の国道は他に通る車もない。
左手に海岸線を見ながらのまったり走行。うむ、なかなかに気持ちの良い道だ、これで晴れていればなぁ…
雨がねぇ…
程なく着いたホテルで、ともかくも朝食。
バイキング形式の食事は良くも悪くも観光地的だが、気を使わずに食べられるのがありがたい。
食後の一服中、友人連中に「ちゃんと那智勝浦へ着けたよぉ~」のメール送信。
いろいろ心配してくれた方々、ありがとうございました。
風呂は意外にも(?)立派なものだった。
洞窟を利用(?)した露天風呂は実に見事。海も望めて雰囲気はばっちり。時間が時間だけに他に客は無く貸し切り状態。
これがフェリーの「おまけ」というのは実にお得である。
ほかほかに温まった体で出発の準備。
もう少しまったりしていたい気もするのだが、今回のツーリングは時間に追われているのだよ。
9時。ホテルを出発。
相変わらず厚い雲に覆われたままの空。
雨は降ったり止んだりだが、路面は完全なウェットである。ま、慌てず行きましょう。
串本町、橋杭岩の駐車場で昌さんとお別れとなる。
尤も今日の目的地は同じ淡路島。渡るフェリーが同じだから後でまた一緒になるのだが。
「おっしゃぁ!いくぜぃ!」と国道を西(北?)へ走リ始める。
先ほどと同じ国道42号線。延々と海岸線を走るこの道は、適度なアップダウンとうねり具合。景色も良く、なかなかに楽しめる。
交通量も何故か少ない。所によっては貸切状態になってしまう程だ。
ツーリングマップルにはそこそこ混雑するような情報が載っていたのだが、これも今日の天候のせいなのだろうか。
その雨は、走りながらの「はぁ~れぇ~ろぉ~…」の念攻撃が効いたのか(←関係ありません)次第に小降りになってくる。
次の目的地、南紀白浜千畳敷駐車場に着く頃には完全に上がり、路面も白く乾いてくる。
西空からうっすらと現れてくる日差し。「よし、そうこなくてはな」
この様子なら今日はもう雨の降る心配をしなくてすみそうだ。
駐車場でごそごそと雨具をしまいこんでいるところへ、黒のトヨタカルディナが現れた。
助手席からは奥さん&お子さん、そして運転席からは…「ど~も~」
うちのBBSでもお馴染み、にゅんいちさん一家の登場である。
和歌山県奈良県にお住まいのにゅんいちさん。「今年は紀伊半島へ行きますよ」と伝えたところ、わざわざ出迎えてくれる事になったのだ。
もちろん今日が初顔合わせ。しかし初めてな気がしないのはネット繋がりでのお約束である。
ありがとうございます~
以前はV-Maxオーナーだったにゅんいちさんと、バイクの前であれこれ立ち話。
う~む、雨に汚れた後だと見せるのが恥ずかしいんだけどなぁ…
時刻は丁度お昼。んではと白浜道路沿いの「とれとれ市場」へと移動する。
この市場、中は海産物のパワーセンターである。
お土産品はもちろんのこと、屋台形式の店では寿司でも焼き物でもどんぶりでも自由に組み合わせて食事が摂れるのだ。
ともかく魚。選んだのはカツオとタイ、アジの握りにアラの煮込み。
にゅんいちさんからは「ここではこれを食べてもらわないと…」と焼きホタテをご馳走になる。肉厚の身が激ウマ、ゴチになります。
しまった、寿司を食べ終わった後だ…
膨れた腹を抱えて駐車場へ。「今日はこれから家族サービス」というにゅんいちさんご一家とお別れになる。
関東に来るときには是非ご一報下さるようお願い。
うむ、7月の「餃子オフ」が実に楽しみである(←無茶を言ってはいけません)
さぁて、んではもうひとっ走りするとしますか。
次の目的地は関西国際空港近くのフェリー乗り場。
今日は夕方には淡路島へと渡りたい。約2時間間隔で出ているフェリー、乗りたいのは15:45発の便。その次の便だと淡路へ着くのが夜になってしまうのだ。
最低30分は前に着いていないと乗船手続きが間に合わないだろう。
今の時刻から逆算すると…う~む、ぎりぎりかぁ?
パタンと地図を閉じ、ヘルメットのシールドをおろす。
エンジン再始動。国道を更に北上する。
さすがに走る車が増え、朝ほど自由には走れなくなった国道だが、すり抜け追い越しに気を使うほどの混雑ではない。
景色は相変わらず良い。「くそぉ、もう少し時間があればゆっくり見て回るんだがなぁ…」とボヤきながら海岸線を走る。
そう言いつつ、雰囲気の良い漁港とかがあると、ついつい寄り道してしまうのだが。
こんなところでまったりしている暇は無いぞぉ
御坊ICから高速道路へと乗り込んでいく。
ここに書くのはちょいと気の引ける速度で爆走。
製造後13年、走行距離3万マイル超の1200ccV4エンジンの限界をチェックしてみたりする。
関空手前の泉佐野ICで降り、フェリー乗り場へ着いたのは出航時刻の丁度30分前。
ふう、間に合ったぁ…と安心してから気づいたのだが、このフェリー、和歌山と淡路島を90分で結ぶ近距離フェリーだけに乗船手続きといったものは特になく、チケットを買うだけであった。
う~む、これを知っていればあんなに急がなくてもよかったような…
2輪車乗り場にはぽつんと1台のVTR。昌さんとの再会である。
「雨が…」「海が…」「高速道路が…」と話すうち、フェリー接岸、乗り込みとなる。
チケット同様、バイクの固定もタイダウンベルト1本という簡単なもの。
やはり外海を走る長距離フェリーと一緒にしてはいけないようだ。
甲板から、関西国際空港を離着陸する飛行機を眺め、前を横切る宮崎駿風貨物船(←どんなのだ?)を観察する。
90分という丁度良い時間の船旅を楽しみ、淡路島へと到着となる。
4年ぶりの淡路島。
国道を30分ほど走った住宅地で、B.W&いずらん夫妻のお出迎えを受ける。
今夜はお誘いに甘えて夫妻のお宅に泊めて頂くのだ。
昌さんはもちろん、夜にはつちもとさんも到着するはず。
既に宇都宮からは大量の餃子を送りつけてある。
さぁ、今夜は餃子パーティだっ!