<第一話>
「未知の地へ」
2005/4/30
今回は、びっちりスケジュールリングしたツーリングではないので、夜中に出発する必要は実は無い。
あえてこの時間に出る理由はといえば、「明後日以降の天気が今ひとつなので早めに出たほうがいいから」だろう。
もちろん、「深夜出発の方が雰囲気が出るから」というのも理由の一つであるのは間違いない。(*1-1)
★
控えめのアイドリングの後、出発する。
今夜はとても暖かな夜だ。
昨日の宇都宮は、4月の末にも関わらず、なんと日中の気温が30度近くまで上がったのだ。
その名残りか今も気温は15度をオーバー、GWツーリングのいつもの格好(Gパン、綿シャツ、皮ジャン)でもまったく寒さを感じない。
いつぞや四国へ出かけた時は、北関東道で寒くて死にそうになったものだが。
R4バイパスをまったりと南下する。
北陸・能登半島までのルートだが、先に書いたとおり特に決めてはいない。(*1-2)
初日にどこまで行くか、北アルプスをどう越えるか、がポイントになるのだろうが、「ま、高速を乗り継いでいけばそのうち着くでしょ?」 という甚だいいかげんな考えしか持っていないのだ。
小山市からR50を西へ。
足利市を越え群馬県へ入ると少しだけ気温が下がる。
より内陸部へ入ったのか時刻のせいなのか。念のため革ジャンの下にインナーを1枚追加するとしよう。
伊勢崎市から北関東道(関越側)へと乗り込んでいく。
関越道から上信越道。
GWはじめにも関わらず、高速道路は全てガラガラに空いている。まぁ時刻が時刻ではあるのだが。
西へと進み高度が上がるにつれ、気温が急激に下がってきた。
先の15度などどこへやら。標識がないので具体的な気温は不明だが、シールドが息で白く曇って仕方が無い。
たまらず横川SAで小休止。
本当は朝まで我慢して、日本海岸沿いで旨い魚の朝飯をと思っていたのだが…ええい!「おっちゃん、カレーうどんね」
ああ、体が温まる…(*1-3)
東部陽の丸から更科、妙高高原。
気温は益々下がっていく。
見事な半月だった夜空が明るくなり、東からやっと太陽が現れるが、気温の下がりは止まらない。
目の前には真っ白な雪を被った山々が朝日を浴びて輝いている。
うむ、素晴らしい景色だ、景色だねぇ、景色だけれど…「とにかく寒いってぇのっ!」
手持ちのインナーは既に全て着用済み。
あとは上に合羽を着るくらいしか手が残っていないのにこの寒さである。
ここへ来るまで何度「何故革ジャン・Gパンじゃなくて冬ジャケ・オーバーパンツで来なかったのか」と悔やんだ事だろうか…
山は真っ白、桜もまだ残ってます。
やっと海岸へ出られました
道の駅滑川までよたよたと進み、開店前の売店前ベンチで横になる。
黒い革ジャンに朝日が暖かい。んでは30分程朝寝をば…zzzZZZ
★
1時間後(*1-4)、すっきりとした体と頭でキャンプ場を目指す。
適当&無計画な今回のツーリングではあるが、「北陸へ行くよ」と言ったところ、偶然2人の方(博さん&にょろさん)から同じキャンプ場を薦められたのだ。これはそこへ泊まらないわけにはいかないだろう。
能登半島の東の付け根、高岡市にある「雨晴キャンプ場」はすぐ見つかった。
本当に海岸沿い、というか砂浜のすぐ隣である。
夏は海水浴場になるという長い砂浜の海岸線、もちろん見晴らしは最高である。
キャンプ場のすぐ後ろに単線の線路が通っており、時折がたごとと音を立てて電車が行き過ぎていく。
うむ、これはお好きな人にはたまらない場所だな。
ちらほら生える松の林の中にテントを設営する。
今回のツーリングは、このキャンプ場にテントを張りっぱなしジャーマン(*1-5)にしてあちこちと回る予定である。
明後日は雨の予報だからしっかりとペグを打ち、タープもきっちりと張っておくとしよう。
さすがに景色は良いですねぇ
荷物を中に入れたテントに鍵をかけ、着替えのみ入ったリアバッグ(*1-6)をもう一度V魔に積み込んだら…さぁ、飯だ飯だ。
数キロ離れた氷見の道の駅までひとっ走り。
丁度お昼時とあって、道の駅は大勢の人で賑わっていた。
屋外に設置されたテントの中では、貝や海老、魚の「焼き売り」が行われていた。
生の素材を買うとその場で焼いてくれるらしい。非常に魅力的なサービスだがそれだけに人だかりもできていて待ち時間がかかりそうである。
すきっ腹の俺にそんな余裕は無い(*1-7)ので、素直に屋内のレストランへと向かう。
特に待ちもなく入れたレストラン。
とにかく、ここまで来て食うのは魚系以外には考えられない。ちらし寿司風の丼セットを注文するとしよう。
届けられた丼はなかなかのものだった。
混雑していないレストランなので実はちょいと心配していたのだが、質量ともに価格相応。一緒に出てきた潮汁も美味。
12:30、膨れた腹を抱えて出発。
さて、夕方までにはまだまだ時間がある。
初日にメインイベントというのはいささか興ざめな気がしないでもないが、なぎざドライブウエイへ行って帰ってくるのには丁度良い時刻である。
んじゃ天気も良いし、覗いてくるとしましょうか。
R415を西へ、能登半島を横断する。
この道は国道ではあるが、さほど広い道ではない。
一部は結構なワィンディング。狭くても空いていれば気持ちがいいのだが、生活道路を兼ねているせいか交通量もそこそこある。(*1-8)
追い越し可の場所ではマージンをたっぷりととって追い越しをっと。
氷見から1時間とかからず、「なぎさドライブウェイ 4km」の標識が現れる。
ここで慌てず、まずはコンビニで缶コーヒー(鉄缶のもの)を購入し一気飲み。缶を潰してバッグにしまう(*1-9)
程なく着いたなぎさドライブウェイ。特にどうという事のない入り口から入ると…ふぅむ、こりゃぁ確かに砂浜だわ。
どどーんと広がる日本海。
その海岸線を普通の乗用車が走っていく様は結構シュールなものである。
路肩で様子を伺う俺の横を、軽自動車が追い越していく。ミニバンが追い越していく、観光バスが追い越していく。
しかし…大丈夫なのだろうけど、バイクが1台もいない(*1-10)というのがなにやら不安のような。
ともかく行くかと走り始める。
クラッチをミートすると、リアがずるりと横に動く。
低めの回転でシフトアップ、次第に速度をのせていく。「をを、走る走る。滑るには滑るが充分に走れるぞ」
特に砂が湿っているところが走りやすい。乾いて白くなっているところはタイヤが埋まりやすいし滑りやすい。
ちょいとした轍でもあると、湿っていようが乾いていようがハンドルが振られる。それでもスロットルを開けてやれば(*1-11)そこそこ真っ直ぐ走ってくれるようだ。
この道、オフロード車なら面白いだろうなぁ…
砂地でも平気って不思議だよねぇ…
ゆっくりと時間をかけて一往復、砂浜走りを満喫する。
いやぁ面白い面白い、知り合いに聞かれたら「一度走っておくといいよ」(*1-13)と答える事にしよう。
★
千里浜を出たら、すぐにガソリンスタンドを探す。
給油の後はスタンドの片隅でV魔を水洗い。予想してはいたが、結構なところにまで砂が入り込んでいるものだねぇ…(*1-14)
砂、見えますか?
R415へと戻ったのは14:00。時間はまだ早い、さてどうしようか。
ツーリングマップルを見ると、近くの県道304が走りやすく見晴らしが良いという。騙されたと思ってちょいと覗いてくるとしよう。
そして案の定騙されてしまう俺。この道のどこが良いんだよぉ…
一応ワィンディングロードだが、路面にはローリング族避けの凹凸があり不快極まりない。巨大な風車の回る峠頂上の見晴らしも今ひとつ。う~む、これはやられたな…
帰りは違う道にしようと思ったら、これまた道に迷ってしまう。
「野生の勘」のみを頼りに峠を下る。ぐるぐると降りる林道、でもこっちの方が見晴らしが良いな、迷って正解だったかも。
一望…ですな
夕刻、市街地まで戻り、来る時目星をつけてあった風呂屋へと飛び込む。
1人450円の銭湯のような風呂屋だが、湯船、休憩所共に文句なし。善哉善哉。
一旦キャンプサイトへと戻り、テントの無事を確認。
出発する時、妙に騒ぐ外国人グループがいたので心配していたのだが(*1-15)杞憂だったようだ。
一休みの後、夜は一人寂しく(*1-16)回転寿司。
どうやら有名店だったらしく店内は超満員。席に着くまで結構な時間待たされる。
う~む、飯を食うのに30分も待ったのは久しぶりだな。まぁさすがに旨かったし、これもネタの一つという事で。
とっぷりと日の暮れた中、テントサイトへと戻る。
いやぁ、走った走った。今日は久しぶり(?)にお腹いっぱいになるまで走りました。
買ってきたビールをちびちびやりながら今日のメモをまとめてみる。
電車ががたんごとんと音を立てて通り過ぎ、波がざぶんざぶんと絶え間なく打ち寄せる。
あ~、ビールの500cc缶、呑みきらないうちに眠気が襲ってき…zzzZZZ