見慣れた山も新鮮で
<2007年5月>
■ホントは出かけちゃいけないんですが
只今ゴールデンウイークの真っ最中。
例年ならどこかへ遠出するところだが、今年は諸般の事情により適わない。
やれやれと見上げる5月の空はどこまでも青く澄み渡っている。
「明日も晴れるって言ってたよな…よし、んじゃせめて近場を回ってくるか」
★
翌朝、セローのエンジンを始動する。
電装系にトラブルを抱えたままのセロー。
本来乗るべきではないのだろうが、近場なら途中で止まってもなんとかなるだろう。
それにもしかすると、この前の整備で本当に直ったかもしれないし。(←「大地震が起きても俺だけは助かる」と思ってるタイプ)
暖機がてら近所のコンビにまで走り、お茶とおにぎりを買い込んでさてと考える。今日はどこまで出かけよう?
「そうだ、そういえばセローで日光って行ったことなかったよな・・・」
※そりゃまぁ買ったのが去年の11月だからねぇ
★
ゆっくりと北へと向かう…のだが、セローならいつもの道ではつまらない。
幹線道路を外れ、川沿いを走る砂利の土手道を使うとしよう。
風が気持ちよくてねぇ
「あ~、天気いいなぁ・・・」
休日とあって、水田では田植えの真っ最中。一家総出の農作業だ。
意外なようにも思うが、連休なら普通の会社員も手伝いできる。GWは貴重な農作業の時期なのだそうだ。
日光街道まで出るとさすがに川沿いというわけにはいかない。国道119をぽすぽすと走る。
普段は通らない旧道や脇道(未舗装)を走れるのですこぶる楽しい。
「偶にはいいな、こういうゆっくりした近場ツーリングも」
日光市内では、興に乗って東照宮の拝殿を一回りする。このあたりを走るのも久しぶりだ。
この辺りは意外な穴場だったり
更に北上したところで考える。
いつものようにこのままいろは坂を上がるのでは芸がない。せっかくセローで来ているのだから走った事のない道を探してみようか。
ツーリングマップルで探すと、近くになにやら林道がある様子。
相応に長く、山間をぐるぐると走るルートのようだ。「よくわからないけどこれ行ってみようか」
★
某所から、これかな?と思うルートを登っていく。
最初「荒れた舗装路」だったのが途中から石が転がるガレ道へと変る。
「うひゃぁ、結構厳しいぞこの道は」
ごろごろと転がる大き目の石に閉口しながら先へと進む。
途中、歩いている人がいたのでペースを落とす。すれ違って次のカーブを曲がったら・・・うわぁい!
倒木が道を塞いでました。
倒木
うひゃひゃとセローをバックさせる。
どうしようか、これ。路肩は・・・あ、なんとか通れそうかな。
★
なんとか倒木をやり過ごし、先へと進む。
道は急な九十九折れが続く。当然全面ダート…というか、岩と小石でいっぱいだ。
カーブの度にフロントもリアもずるずると滑る。
うう、面白いけど怖いぞぉ
数キロ登ったところで小休止。気づけば下には日光の市街地が見える。おお、結構登ってきたんだねぇ
この辺りは比較的路面良し
路面はガレガレとふかふか(砂と木の葉か?)が交互に現れる。
ペースを落としてエンストしそうになり、ペースを上げて転びそうになる。
「くっそ~、やっぱオフロードは難しいな」
次の休憩地で見えたのは中禅寺湖。
渓谷(馬返しのあたりか?)の向こうに青い湖面がきらきらと光る。
「へぇ、こんなところから中禅寺湖が見えるとは思わなかったな」
遠くに見える湖
そしてその脇にど~んとそびえる男体山
それはもう、青い空をバックに見事に映えている。や~、凄い凄い。
そして山
走る程に高度はぐんぐんと上がる。
峠を北側に回りこむと、急に路肩に残雪が現れる。
雪解け水を蹴飛ばして走る。聞こえるのはセローの排気音だけ。う~ん、気持ち良いぃぃぃぃ・・・
★
程よく疲れたあたり、頂上付近でわき道を発見する。
ごそごそ入っていくとこれまた細い林道だ。
「やっぱ行き止まりかな?」と進んでみる。
人の手は入っているようだが、最近誰かが来た気配はない。
ちょいとした広場があり、その脇には比較的新しい鹿の遺骸。
むぅ、自然の事だから別に怖くはないけれど、「何かに食べられた跡」が付いてるのがちょっと嫌だな…
道はその先で細くなり、やがて雪の中に消えていた。
雪がなければもう少し先まで行けそうだな、夏にまた来て見るか。
これが本当の「雪止まり」、なんつって
本線へと戻り、先へ進む。
登ったり下ったり、上げたり下ろしたり、押したり引いたり(謎)
よくわからない枝道を探索しつつ走っていたら、いつの間にか日光の戦場ヶ原へと出てきていた。
「あ~なるほど、ここへ出てくるんだ・・・」
★
毎度おなじみ、戦場ヶ原駐車場で遅めの昼飯。
普通なら食事は(観光地を避け)山を降りるまで我慢するのだが、今日は慣れない山道走行でお腹がぺこぺこなのだよ。
観光地価格の蕎麦で腹を膨らまし、さて、もう一走りするかとセローのエンジンを・・・うん?
エンジンがかからない。
セルは元気良く回るが火が入らない。確認するとやっぱりプラグに火が飛んでない。
「うわっ!再発かよっ!」
やばいやばいと考える。
「ここから徒歩で帰るとなると、バスで日光まで降りて日光線か?いや、なら宇都宮までバス乗り継いだ方が安いか?いやいやいっそのこと誰かに車を出してもらって…」
たっぷり5分考える。
そういえばこの前は、一晩過ぎたら自然治癒した。
「ご先祖様申し訳ありません、近々墓参りに行きますからなにとぞ…」と宇都宮の方を向き手を合わせる。
更に二礼ニ拍手一礼、九字を切って再度セルオン。
「キュ、ポポポポポ・・・」
おお、掛かった掛かった!ありがとうご先祖様!
ご先祖様の気が変らぬうちに急いで出発する。
本当はあちこち寄り道しながら帰る予定だったのだが、もちろん直帰モードに変更だ。
いろは坂を一気に駆け下り、国道120から119、「いつものルート」を使って、一度もエンジンを止めることなく自宅への到着に成功する。
ふ~、なんとか帰ってこられたか。
戦場ヶ原でこれだから、あの山奥で停まられてたらきっとパニックになっていたことだろう。
ご先祖様が付いているとはいえ、やっぱきちんと直さないとダメだな…
ともあれ、お馴染み日光がセローで遊ぶと面白い場所であることもわかった。
セローが完治したらまた出かけるとしよう。
#熊撃退スプレーとかも用意しておいた方が良さそうだな…
とにかく山が綺麗でねぇ・・・
<本日の走行距離=約200km><本日の教訓=きっちり整備してまた来るぞぉ・・・>