YAMAHA VMAX 1700 (VMX17)

☆ メンテナンス編 ☆

ブレーキ清掃・点検記


特に変わったことをするわけではありませんが
 

<2011年1月>

  きちんとレポートしましょうか

 これまでちょいちょい見たり洗ったりはしていたのだけれど、きちんとレポートしてなかった新型VMAXのブレーキ清掃
 距離も結構乗った(2万km弱)し、せっかくなのできちんと清掃・レポートにしてみようか。

 さて、新型VMAXのブレーキで特異なところといえば、ABS付きな事とフロントキャリパーがラジアルマウントであることだ。
 ABSはエア抜きがアレと聞くがパッドの抜き差しだけなら関係なし。ラジアルマウントも同様。というわけでさっさと洗ってやるとしよう。

 ではとフロント側。

 まずはパッド外し。
 
 ベータピンを外してパッドのスライドピン(パッドピン)を外すのは他車同様。
 ホンダ車の一部のようなネジ式だと固着することもあるようだが、差し込み式なら関係なし。そしてもちろん新車から2年未満のガレージ保管で固着などするはずもなし。

 
ベータピン抜いてスライドピン抜いて…って画像載せる程のことでもないですが

 外す時に気づいたのだけれど、VMAXのパッドピン(というかピンが通る穴)は貫通型だった。
 なので引き抜くときに反対側(内側)から押すことができる、実際作業するとわかるがこれは非常に楽だった。

 押さえの金具を外してブレーキパッドを抜く。

 減りはこれくらいなので5分山といったところだろうか。
 純正パッドとはいえ、1万9千キロでこれしか減ってないってのは凄いかも。
#俺の乗り方のせいだろうなぁ…


減ってないですねぇ…

 あ、そういえば今更なのだけれど。

 実は、VMAXのフロントブレーキは、なんと1つのキャリパーにパッドが4枚付いている。
 6ポッドのピストン、その上部4個用のパッドと、下2個用のパッドが分かれているのだ。
※上記画像のパッドは下2個用、なので小さい。

 1枚のパッドで6ポッドの大面積をカバーさせると動きが鈍くなるからだろう。確か市販のブレンボもこんな風にパッドが分かれていた気がする。

 上部4個用パッドも同様に外す。パッドの減りは同じくらい。

 全てのパッドとも、純正にありがちな裏側に付ける鳴き止め用の板は付いていなかった。俺はタッチ向上の為に外してしまうことが多いので問題なし。
 


こういうことですね

 次はキャリパ本体の取り外し。

 キャリパーの取り付けボルトは2本。
 このラジアルマウントキャリパーというのは、その名の通りキャリパが直角にマウントされている。
 (ブレーキローターに対して…というか、それまでのマウント方法と比べて直角なんだろうと勝手に解釈していたり)

 この方式だと、ブレーキングの反力がボルトにかからずに済む。なので剛性があがるというのが能書きだ。


例によってセンスの無い概念図


なのでこの方向で留まってます

 さほどでもない締め付けトルクに驚きながら取り外す。
 持ち上げると…「軽っ!」

 大きな見た目とは裏腹に、キャリパーはとても軽かった。

 材質のせいか形状のせいか。確かに枠のようにがばっと開いた形なので体積は小さそう、これもラジアルマウントのメリットの一つなのだろうか。
 「しかし凄いなこれ、バネ下の軽量化にもかなり貢献してるんじゃないか?」

 さて肝心のピストン周りは…特に大きな汚れも傷も見当たらず一安心、では洗ってやるとしよう。


比較的綺麗です

 洗浄はいつもどおり。
 ざばざばと水洗いして、歯ブラシと中性洗剤で磨く。

 純正のブレーキホースがフェンダーにクリップされているせいでキャリパー取り回しの自由度は低い。
 水洗いは水の入ったバケツを持ち上げて行ってみる。

 びっくりしたのは、とても洗いやすかったこと。
 先のとおりキャリパーががばっと開いた形なのでピストンがよく見え、ブラシを入れやすいのだ。

 見た目さほど汚れている風ではなかったけれど、いざ洗ってみると黒いカスが出るわ出るわ。

 念入りに洗って水洗いして。
 あとは、夏なら適当に放っておけば乾くのだけれど冬場はそうはいかないので…エアガン出動!

 プシュプシュやるとあっという間に乾くので実に便利。
 音がうるさいので昼間しか使えないのが難点ではあるのだけれど。

 乾いたところで給脂。
 ピストンの周りにシリコングリスを綿棒で塗っていく。付けすぎて良い事は何一つないのでごく薄く。

 せっかくなのでピストンを揉んでみる。
 1つ1つ出したり引っ込めたり。出しすぎてピストンが外れたり戻しすぎてマスタシリンダからオーバーフローしたりしないように注意しながら
…って、「あーもう6個もあると面倒くせぇっ!」


これは洗ってる途中ですが

 思いついて、キャリパ全体にもシリコンスプレーを吹いておく。
 これは錆&汚れ防止用。車体に付けたままだとできない(ローターにシリコンが付くと…)ので丁度良い機会なのだ。

 隼でも気にしたパッドピン(スライダピン)も、綺麗に磨いて給脂する。
 これは隼と同じようなステンレス品が出たら交換してもいいな…(それとも既に対応品があるのかな?)

 取り付けは取り外しの逆手順…ではなく、キャリパーにパッド等を全部取り付けてしまってからキャリパーを車体へセットする方が楽だった。
※パッド押さえ板の向きに注意。大小とも足の付いている方が上…っと(←俺メモ)
 

 トルクに注意してキャリパーを締め込み、ブレーキレバーをゆっくり握ってピストンを出す。
 これで片側の作業が完了だ。

 反対側も同様に。
 こちら(左側)は、マスターからのブレーキホースとABSのセンサーケーブルがあるので込み入っている。
 それぞれのケーブルを結んでいるクリップを外しておくと多少は作業しやすいようだ。

 左右キャリパーの作業時間は合わせて1時間ちょいといったところ。
 工賃を考えると、バイク屋ではここまでの作業は絶対やってくれないと思う(笑)


綺麗になりました

 
 よっこいせと場所を移してリア側へ。


リアブレーキ

 こちらはもちろんラジアルではない。
 それではとパッド外し…の前に、上の画像見て「あれ?」っと思った方はさすがです。
 
 
 

 





 
 「そういえば奥様、ご存知ですこと?」
 『なんですの?奥様』
 「新しいVMAXのリアブレーキざますけどね」
 『ブレーキがどうかされまして?』
 「実はあのキャリパー、片押しらしいですわよ!」
 『ええ!二百万円もするバイクのキャリパーが片押しですってえ!』

 
…そんな小芝居はさておき、リアキャリパーは紛れも無い片押し式なのだ。

 ブレーキといえば対向ピストンが当たり前、ピストンは多いほど偉い。そんな定説糞食らえというこの仕様、意図するところは…う~む、なんなのだろう?
#でもまぁ、確かに効きもをタッチも不満はまったく無いわけだしな…

 そうかそうかとキャリパーを外す。
 2本の取り付けボルトは(片押しなので)ゴムブーツの中なので汚れはなしだ。

 外したキャリパはフロント同様さほどの汚れは無い。と中を見ると…「うははは、錆てやがるぜ!」
 


水でも溜まってたんですかね?

 ピストンの内側が錆びていた。尤も一番肝心なピストンの外側は綺麗で、ブレーキの動作には影響なしだ。

 「構造的にサイドスタンドを掛ければ(右側=キャリパ側が高くなるので)水は抜けそうなんだけどな…」とか考えながら水洗いする。

 手順はフロントと同様、給脂も同様、揉みだしも同様、全体にシリコンスプレーも同様だ。

 錆はざっとサンドペーパーをかけた後、シリコンを塗っておく。(グリスだと流れ出た時嫌なので)
 これはいずれ行うパッド交換時にもう一度確認するとしよう。


リアもホースのクリップを外しておくと楽です

 キャリパーステー側に残ったパッドをチェック。
 
 こちらはしっかりと鳴き止め板付き。減りはフロント同様5分山といったところだろう。
#それにしても減って無(略)


左右均等に減ってました

 パッドはざっと汚れを払い、ステーにハマる部分にシリコングリスを塗っておく。

 キャリパーをさくさくセットしたら、これまたブレーキペダルをゆっくりあおってピストンを出す。これで作業完了っと。


こちらも綺麗になりました

  総括

 というわけでブレーキの洗浄・確認は無事終了。トータルの作業時間は2時間弱だろうか。
#バイク屋では絶対にここまでは(略)

 作業していて感じたのだけれど、とにかくこのブレーキは洗いやすい
 パーツが大きくて(でも軽い)手を入れやすいのだ。
 部品も最小限で判りやすい、これまで乗ってきたバイクの中では一番掃除しやすいのではないだろうか。
#小排気量も含めてね。

 パッドはまだまだ使えそう。何度か書いてきているように純正パッドの性能には至極満足しているのでこれはぎりぎりまで使うつもりだ。

 今回触らなかったフルードは……ふふふ、この春の24ヶ月点検の無料サービスにはフルード交換というのがあってですねぇ…(笑)

<了>

 


Copyright 2011 garage Ak!rA


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