☆ YAMAHA VMAX (VMX17) ☆

(オーナー編)

夜間慣らし運転記


慣らしを頑張らナイト


<2009年5月>

 時間がありません

 新型VMAXが納車になったのは5月下旬のとある週末。
 そして、6月の初旬には富士スピードウエイで「オーナーズ走行会」というものが予定されている。

 これはその名のとおり「新型VMAXでFISCOを走ろうぜぃ」というもので、YAMAHA主催で無料で参加できるのだ。(もちろん交通費等は自前)
 どれくらいのレベルで「走る」のかはわからないが、ツーリングを兼ねてぜひ参加してみたいイベントなのだ。

 ところがとにかく時間がない

 間の休日には個人的なイベントを抱えているし仕事も忙しい。何より天気予報がいま一つ。
 走行会までに1000km程度の慣らしを終え、ショップへ初回点検(と油脂交換)に出し、その後チョメチョメ(死語)しなければならないのだが、このままでは到底間に合いそうにない。
 ならば…

 「平日の夜に走るしかないな・・・」

 俺は基本的に夜は走らない。
 夜は暗くて危なくてペースが上げられない。開いているGSやコンビニも心もとない。東京のような大都会の不夜城と異なり、田舎の夜は寂しいのだ。

 ともあれ、今回は「慣らしをする」という大義名分(?)がある。
 寝る時間を削ってでも走るとしよう。

 高速道路へGO!

 某日午後7時、エンジンスタート。
 当日どんな理由をつけて会社を定時に上がったのかは秘密である。


夕日の名残が僅かに残ってます

 国道をほこほこと走る。

 新型VMAXでの初の夜走行(初もなにも走行自体2回目だが)、照らすヘッドライトライトはなかなかに明るい
 明るさもレンズカットも隼と同程度だろうか。HIDを入れればもっと明るく走りやすくなるのだろうが、普段夜走らない俺に8万円のHIDキット(ワイズギア製)はあまりにももったいないだろう。
#というか、8万円も出せません。

 ICから高速へIN、東(東?)へと走る。

 それっとペースを上げる……が……「虫が!蟲がぁっ!」

 予想すべきではあったのだが、飛び交う虫の数が尋常ではない。
 それはもう、ヘッドライトの光条に黒い線となって映る小虫が降り始めの小雨のように見える程だ。
 考えてみれば今は5月の下旬の日暮れ直後、そしてここは水田の真ん中を走る照明の少ない高速道路。
 「そりゃまぁ虫は飛ぶよなぁ…」

 パシパシと音を立てて当ってくる虫を無視して走る。(駄洒落にする余裕なし)
 トンネルの照明の中、ちらりとバックミラーでヘルメットを見てみる。
 そこに映っていた状況は…「深窓の令嬢なら持病の癪をおこして倒れこむ」といえばご想像頂けるだろうか。(この比喩、前にも使ったっけ?)

 「『鳥肌を通り過ぎて鶏になってしまったわっ!』ってのはガキデカのギャグだったっけ?」とかなんとか考えながら走る。

 100kmちょい走ってSAへ。
 脱いだヘルメットを持ってトイレへ一目散。
 ヘルメット前面とシールドをざぶざぶと水で洗い、ウエアの肩回りをばさばさとやる。
 バイクの方は…ま、帰ってから考えようか。

 GSで給油してから本線へ。
 ペースは変えず。5速4000rpm。

 そういえば今日はサスペンションのセッティングを柔らかめにしてある。
 ペースを上げないナラシ走行時にサスペンションを良く動かし、早く馴染みを出してしまおうという姑息な手段だ。

 セッティング的にはこんな感じ。
 

最強(硬)
標準
今回
最弱(柔)
フロント・プリロード(イニシャル)
1
4
5
5
フロント・Tein(伸)
1
12
20
25
フロント・Comp(圧)
1
12
17
20
リア・プリロード(イニシャル)
1
6
10
11
リア・Tein(伸)
3
12
17
20
リアト・Comp(圧)
1
10
11
12
全て「戻し量」
柔らかめというより全抜きに近いかも。変更手順はまたあとで。

 
 これだけサスを抜く(弱める)と高速道路ではふわふわして走れなくなる……ような事はまったくなく、ごく普通に走ることができる。
 小排気量なら別だが、このクラスの車両だと「弱めた」と言ってもきちんと剛性は保たれているのだ。
#というか、その差をきちんと感じ取れるほど敏感な乗り手ではない。
 逆に乗り心地が良くて快適かも。サスを「固める」方向へ振ると印象はまた違うのだろうけれど。

 ☆

 エンジンは実に素直に回っている。

 納車時のレポートに書いたとおり、一定のだらだら乗り時のスロットルレスポンスは緩慢だ。
 じわりと開けると半拍待ってから加速を始める感じがする。
 このクラスの車両にしては物足りないとも言えるが、今日のような巡航時には気軽に乗れてありがたい。

 反面、これまた以前書いたとおり、「急にスロットルを開ける」もしくは「一旦戻してから再度開ける」と巨大トルクの片鱗がうかがえる。
#うかがえる:まだ本気でやっていないので

 どーんと車体が出て行く感じにちょっとわくわく。
 あー、ナラシを終早くわらせ(略)

 ☆

 北(北?)へと走ると次第に気温が下がってくる。

 虫がいなくなったのはありがたいが少々寒い。

 あらかじめ「夜は冷えるだろうな」とそれなりの格好はしてきたのだが、うっかりグローブをメッシュにしてしまったのだ。
 かじかむほどではないが、クラッチの操作がぞんざいになる。「うー、やっぱ3シーズン用にしてくるんだったな。」

 西へ南へ(西へ南へ?)。これまた100kmちょいでPAへ。
 トラックが数台停まるだけのパーキングでホットコーヒーを飲む。


人気がないと撮影にも時間が取れます

 更に南(南?)へ150km。
 
 時間の経過と共に周囲はトラックだけになる。
 このペースだと微妙に追いついたり追い越されたりとなかなか忙しい。
 あ、でも車線変更が楽しいな。フレーム剛性のおかげだろうか。

 たっぷり5時間かけて400kmの高速道路を走破する。
 やれやれと国道へ降り、自宅に向けて北(北?)へと走る。

 時刻は日付が変わってしばらく経ったあたり。この時間なら国道も空いて…いないんだねぇ…
#トラックの運転手さんは大変だわ。

 本日の給油回数=4回
 走行距離=482km (うち高速道路400km)
 使用燃料=32L
 平均燃費=15.1km/L

 一般道でGO!

 翌日午後8時、エンジンスタート。
 どんな理由をつけて会社を(略)

 サスのセッティングは昨日のまま。今日はずっと一般道を走る予定なので、抜いたサスがどんな感じかより判りやすいのではないだろうか。

 昨日と違うのは、シフトライトの設定を4000rpmにセットしてみたこと。
※シフトライトとはタコメーター右上に点いたLED灯で、指定した回転数で点灯させることができる。
 ドラッグレース等の時にシフトアップタイミングを知らせる(オーバーレブを防ぐ)為に付けられているのだ。


シフトライト

 このライト、もちろん一般道での必要性は無いに等しいのだが、おもちゃとしてはなかなかに面白い。
 
 信号スタートの時、わざとメーターを見ずに加速、ライトが点いたらシフトアップというのを繰り返してみる。
 でも本当のドラッグレースはこんな生易しいものじゃないんだろうな…

 国道を南へと走る。
 まだ時間が早いので交通量は多い。
 
 ストップアンドゴーの続く市街地だが、走りにくさはまったくない。
 難点は例の足つきくらいのもの。サスのふわふわ感も特に感じない。

 VMAXのクラッチ(レバー)は重くなく軽くなくという感じ。
 旧MAX以下で隼以上。まぁ隼のクラッチは他の車両に比べると軽めだと思うのだが。

 クラッチストロークは、俺の好みより少し長めでかつ遠い。
 レバーは「4」に合わせてあるのだがまだ遠い。
 また、つい半クラッチの時間が長くなる。これはクラッチ板が落ち着けば雰囲気が変わってくるかもしれないのだが。

 驚いたのが、アイドリングが1000rpmどんぴしゃりでぴくりとも動かない事。
 新車の時の隼は(もちろん旧MAXも)アイドリングを低めにしておくと微妙なブリッピング(回転数の上下)をしたものだ。

 これが新型VMAXでは皆無。タコメーターの針も聞こえるエンジン音も見事に一定のまま。
 きちんと調律されているからなのか、まだまだ新車だからなのか。後の変化が楽しみだ。

 ☆

 100kmちょい走って給油。同じ道を戻る…のだが、そのままではつまらないのであちこちより道しながら走る。

 枝道を使ってみたり、狭い路地に入ってみたり。
 峠の時の印象同様、小回りはさほど苦手ではなさそうだ。(Uターンは別として(笑))


人気が無いと撮影に・・・(略)

 給油の後、自宅着。

 えっちらおっちら押してガレージへとしまいこむ。

 実は、押し歩きは旧MAXより楽だ。
 圧倒的に重いにも関わらず、一旦動き出せばするりと押していける。
 きっと駆動のフリクションロスが少ないのだろう。
 尤も、路面が少しでも傾斜していた場合には、その「圧倒的な重量」を思い知らされる事になるのだろうが(笑)

 本日の給油回数=2回
 走行距離=223km (全て一般道)
 使用燃料=16L
 平均燃費=13.9km/L

 ナラシの総括的なこととか

 総走行距離はやっと900kmをオーバー。これでショップへ持っていける状態になった。
#もう少しゆっくりナラシを楽しみたかった気もするけど(笑)

 とりあえず4000rpmしばりで走った印象としては、「意外に普通」だろうか。
 トルクはたっぷりあるものの、外観から連想されるような暴力的な乗り味は薄い。
 もっとブリバリのズモモモモ(なんじゃそりゃ?)で低速巡航が辛いのでは?と心配していただけに一安心である。

 ただ、これだけおとなしいと物足りなく感じる人もいるはずだ。
 例えば、3000rpm前後で巡航している「だけ」の場合、感覚的な「楽しさ」は旧MAXのほうが上だろう。
 その要素はエンジンの振動であり、排気音だ。だがこれが新型に希薄なのはやむをえない事だし、またそうあるべきだと思う。

 さて、これから先。

 慣らしが終わり、上まで回せるようになった新型VMAXの雰囲気はいったいどう変わるのか?お楽しみに(笑)
 

<俺メモ>
・2500rpm巡航でのカチカチ音チェックのこと。
 
 

<了>


Copyright 2009 garage Ak!rA
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