さぁ走ってみましょうか
■ 走り出しますよ…
納車当日、晴天。
午前、ヘルメットを抱えてショップまでいそいそと出向く。
「自宅まで運びますか?」とも言われたのだが、こんな派手な車両がトラックに乗せられて届いたら、ご近所のおばさま方から何を言われるかわかったものではない。
例:「あら、またオートバイ買われたんですか?大きいわねぇ、何台目?体は一つなのにねぇおほほほほ…」
#ま、乗って帰っても言われるんだろうけどさ(笑)
ショップで新型VMAXとご対面。
実車は何度も見てるし、跨ってもいたのだが…「うーん、やっぱ大きいわ」
車幅も広いが全長も長い。
そしてやっぱり足つきが悪い。
ちょい前に六本木で跨った時の危惧が現実のものとなった。今日はちゃんとブーツを履いてきているのだけれど。
#去年の9月の時にはあまり感じなかったんだけどなぁ…
あまりの偶然に笑ってしまったのが新MAXのナンバープレート。
なんと旧MAXのナンバーとほぼ一緒、4桁の数字は全て同じで下2桁の順番が入れ替わっていただけだったのだ。
これはもう因縁というか、それとも「また17年間乗れよ」という天のお告げなのだろうか(笑)
一瞬まったく同じかと思いました→ナンバー
☆
あれこれの手続き。
支払いはもちろん、男は黙って現金一括。
バッグからおもむろに札束を取り出し、VMAXを指差して「おう親父、これをもらっていくぞ」とやりショップの親父さんに笑われる。
いいじゃん、一度言ってみたかった科白なんだからさ。
事務処理完了。
保険屋さんに車検証をFAXして任意保険の変更も完了。
取り扱いに関する説明を受け、MAXのレバー・ペダル・ミラーの類を「俺の位置」へと合わせたら、さて、んじゃ行ってみましょうか。
☆
キーオン。
有機ELのマルチファンクションディスプレイがこんにちわと輝く。
エンジン始動。
意外に大きめなエンジン音。「加速騒音73db」のはずなのだが、アイドリングでもV4らしさが伝わってくるのが嬉しい。
ショップの方の「気をつけて」の声に送られて発進する。
注目されているとクラッチ繋ぐのが慎重になるのは当然のこと。
そろそろと走る。
実際に乗ってみると見た目以上に車体が大きい。これがまぁとてつもなく大きい。
雑誌のインプレで「止まっていると大きいが動き出すと軽く感じる」とか書いてあるけど、悪い冗談なんじゃないだろうか。
ナラシ中にはと指定された回転数は4750rpm(レッドゾーン9500rpmの半分)
とりあえずは4000rpmあたりでシフトアップしていくか。
隼の時同様、このクラスの車両だとこの回転数でも不満に感じる点はまったくない。
四輪の流れに遅れを取ることも皆無だ。
アイドリングの時に比べ、走っていて聞こえる音は小さい。
排気音よりメカノイズが大きく、それも風きり音にまぎれてしまうほどだ。
うーむ、やっぱ73dbって凄い数値なんだなぁ・・・
手近なGSで最初の給油。
シートオープン(そう、またまたガソリンタンクはシート下なのだ)の手順はさすがに楽になっていた。
操作はレバー1つでOK、これなら旧MAXのように車体後方へ回り込む必要はない。
給油の最中、エンジンから立ちのぼる微かな煙とオイルの焼ける臭いをGSのお兄さんに心配される。
「いえいえ大丈夫です。何しろまだ10kmしか走ってない新車なものですから…」
お兄さんの視線を感じつつ発進、自宅を目指す。
走りなれた道だけに、乗っている自分が緊張しているのがありありと判る。
操作もどこかぎこちない。そんな中で感じたポジション的な印象は以下のとおり。
●ハンドルは広くはないがフラット気味。位置は良好だが、尻をシートストッパー位置まで下げるとさすがに遠く感じる。
●シート固め、乗り心地良し。
●ステップは思ったより前か?もっと後ろだった印象があるのだが。これならバックステップを入れるのもアリ。
●すり抜けのし難さは旧MAX以上、セロー未満。でもこれは慣れの問題かも。
そしてやっぱり…
●足が付かねぇっ!
つま先以上、土踏まず未満の微妙な足つき具合。
普通の信号待ちで不安になるほどではないが、荒れた場所(カマボコ路面とかワダチとか)では相応に気を使う。
「この感じ、覚えがあるな…」と思い出したのは、以前貸してもらったにょろさんのTT-Rレイドだった。
何かあったら支えきれないのではないかという不安感は結構高い。
何しろ新VMAXの重量は、レイドの2.5倍はあるのだから。
#ま、「何かあったら支えきれない」のは旧V魔でも隼でも一緒なんだけどね(笑)
自宅着。
ふうと大きく息を吐きMAXを降りる。
荷物を整理して、軽くマニュアル読んで、走ってる最中気になったバックミラー直したら…「おーし、んじゃ本格的に行ってみようかぁ!」
・・・の前にガレージ前で1枚。
やっぱデカいな…
☆
いつもの格好・いつものスタイルでいつもの道へと走り出す。
そしてもちろん背中には、ガムテープで作った大きな「ナ」の文字 【嘘】
シフトアップは先ほど同様4000prm目安。
ギアはまだまだ渋いがそのうち落ちつくだろう。
宇都宮環状線から宇都宮北道路。
流していて気づく。5速4000回転だと丁度120km/h出るらしい。(らしい…)
そしてこれは隼の6速とまったく同じギア比になる。隼はそのまま11,000rpmまで回るのだが…「そうか、VMAXでも9500rpmまで回れば280km/hオーバーなんだ…」(←180km/hリミッターを無視して妄想中)
面白い事に、3速のギア比も隼の3速とほぼ同じ。
4000rpmだと丁度80km/hになる。隼の「2倍3倍の方程式」は新型VMAXでも使えそうだ(笑)
☆
宇都宮北道路の先は、新車記念にと日光宇都宮道路(有料)を奢ってみる。
高速道路に入ってみると、風圧はほどほどでさほど厳しくない。
もちろん隼のように天下泰平ではないが、ミニカウルを付けていた旧MAXよりはあきらかに楽だ。
これが噂に聞く「スラントノーズライト&メーターパネルのカウル効果」なのだろうか?
そして新発見。今度のMAXはニーグリップが使えるのだ。
インテーク後部に膝が当たってしまう旧MAXと異なり、インテーク下にすっぽりと収まる膝。太股でシート先を引っ掛ける事もできる。
尤も、余裕があるとは到底いえないので、ニーパッドとかオーバーパンツを履いた時にどうなるかまではわからないのだが。
終点の清滝まで走り、そこからいよいよいろは坂。
80kmしか走ってない新車をいろは坂に持ち込んでいいのか?という疑問はないでもないのだが……「ええい!うちのバイク共はここの産湯に漬けるんだよっ!」(意味不明)
☆
3速ホールドでゆっくり坂を上る。
ヘアピンコーナーでは回転が落ちるがそこはさすがに1700cc、ストールするような気配は微塵もない。
新品タイヤが怖いのでバンクさせずにゆっくり回るのだが、出口付近ではちょっとだけスロットルを開けたくなる。
そして坂を中ほどまで上がったあたりで唐突に気づいてしまう。
「ヤベェ、これ危ないわ…」
何が危ないのか。それは「転ぶ気がまったくしない」のだ。
峠をだらだら走っている時というのは、意外に車体が不安定になりやすいものだ。
遠心力とバンク角のバランスが取れていないし、サスペンションの動きも少ない。
タイヤにも過重がかかっていないのでグリップは低いし曲がりにくい。今がまさにそんな状況だ。
ところが、まったく不安感がない。
寝かせば素直に寝るし、ちょんとスロットルを当てると起き上がる。
そしてバンク中の違和感がゼロ。
「これ、気をつけないと"寝かせゴケ"するぞ…」
メリハリ付けずにだらだら寝かせていると、知らず知らずのうちに限界を超してしまいそうなヤバさがある。
隼だと「安定感」はあるが「緊張感」もある。それがこの新型VMAXでは希薄な気がするのだ。
まぁ絶対バンク角が小さいので、まずステップなりマフラーなりが接地して気づくとは思うのだけれど。
男体山をバックにして
☆
ヤバいヤバいと騒ぎながらいろは坂下りへ。
ここでも先の「転ばない感」は同様、そして驚いたのが小回りのしやすさだ。
いろは坂の下りは、登り以上に急なヘアピンが続き、傾斜も大きい。
車幅も狭く、四輪車の追越には相応の慣れが必要となる。
俺の場合、いろは坂下りは「右側ホールド」を原則としている。(ガラ空き時は別)
車線は跨がず、左コーナーでは手間ストレートで追い越しをかけ、コーナーには無理に入らずアウトベタで回る。
反して右コーナーでは前の車が大きく左へ車体を振るので内側を回らせてもらう。
但し立ち上がりでは「絶対に」左へは出ない。必ずインベタで回る。
この、「右コーナーインベタ回り」が旧MAX並みに楽だったのだ。
斜度があるのでスロットル操作は不要。(勝手に下る:落ちるので)
アイドリング&1速でのUターンと思ってもらえればいい。
(但し、勝手に走ってくれる分普通のUターンよりは楽)
スコンとハンドルを切るとスコンと曲がる。
もっと「よっこらしょ」となるかと考えていたのに驚かされた。
これだけホイールベースの長い車体で、なんでこう素直に曲がるんだか。
不思議不思議と下りきり、日光市街へ。
せっかくだからもう一本峠を走ってみるか。
☆
久しぶりの霧降高原道路は、時間の為かガラガラに空いていた。
先のいろは坂で体が馴染んだせいかどうなのか、MAXの車体が少し小さくなったように感じる。
シフトアップのタイミングは変えず、それでもちょっとだけメリハリをつけてみる。
ブレーキングと加速が加わると、スロットルの反応に変化が出てくる。
これまでのだらだら乗りだと、正直「もっさり感」が強かった。
良い意味で反応が鈍いので、いろはのようなタイトコーナーを安心して低速で走っていける。
隼のようにスロットルワークに慎重になる必要がなく、「大トルクだからこういうセッティングなのかな?」と思っていたのだ。
ところがまぁ、スロットルの開け閉めを積極的にやってみて驚いた。
加速から減速、そして再加速。
この、減速Gから加速Gへの切り換えの時、どーんと車体が前に出る。
それはもう本当に「どーん」と出る。それもたかだか4000rpmででだ。
「『うかつにスロットル開けると大変な事になりますよ…』ってのはこの事なのかなぁ…あ~早く慣らし終わりてぇ~っ!」
空いてれば気持ち良いところなんです
☆
その先、寄る気はなかった大笹牧場だが、トイレに行ってなかった事に気づき、結構な台数が停まっている二輪車駐車場に新型VMAXを滑り込ませる。
「新型ですね」「大きいですね」「写真撮っていいですか?」「これなんしーしー?」
あ~、とりあえずトイレ行きたいんですけれどいいですか?
大笹牧場から栗山村へと峠を降り、龍王峡から鬼怒川温泉。
塩谷からさくら市へと下って国道4号での帰宅はいつものとおり。
自宅近くでの給油もこれまたいつもどおりである。
☆
山を降り、街中に入ってからののんべんだらり走行では股間にかなりの熱気を感じた。
確かに今日はこの時期としては暑い(最高気温28度)のだけれど、この様子だと真夏には旧MAX並みの熱さを覚悟しないといけないかもしれない。
ついでに書くと、足つきの心細さの印象は今日一日まったく変わらず。
停車時にはつい路面の状況を確認してしまう。
また、いろは下りではするする回ってくれたMAXだが、さすがに通常のUターンはそう簡単にはいかなかった。
Uターン時の不安感は、隼の5割り増し、旧MAXの倍、セローの100倍。
エンジンの粘りとかクラッチのタッチに不満はないのだけれど、とにかく車重と足つきの悪さが精神的なプレッシャーを増大させている。
失敗したら転ぶしかないのは旧MAXや隼と一緒なのだが、「えいやっ」という思い切りがつくまでには少々時間がかかりそうだ。
#以前「できる技術としない勇気」とか偉そうに書いたけど、とりあえず技術の方をなんとかしないといけませんな。
まだまだ参考程度の数値とはいえ、燃費は旧型よりかなり悪そう。
新型VMAXのタンク容量は15L、うちサブが4L
11Lで警告灯が点くとすると、このペースで走ってせいぜい150km、そこからサブを使って50kmちょい。
どうやらGSに入るタイミングはこれまで以上に早くなりそうだ(笑)