今回、思いがけず(?)新型VMAXの実物を見、音を聞き、あまつさえ跨ることもできた。
せっかくなのでその感想なんぞを書いておくことにしよう。
※言うまでもないが、以下は全て「車両に跨っただけの俺の個人的感想」である事を記しておく。
9月吉日、ヤマハコミュニティプラザ。
正面駐車場中央に置かれたバイクからシートが剥ぎ取られると、周囲から「おお~」という歓声があがる。
新型VMAXが日本国内で初めて一般人にお披露目された瞬間だ。
粛々と
「おお・・・」
「おおおお・・・」
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そしてとてつもないボリューム感。
3次元的な曲線で構成された凹凸の多いデザイン。
逆の感想を持つ人も多いはずだが、俺はこのデザインに何故か女性的なイメージを持った。
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ひとしきりの説明の後、エンジンが掛けられる。
思ったより小さな、V型エンジン特有の排気音。軽いレーシングで更にそれが強調される。
「良かった、紛れも無いVMAXの音で良かった・・・」
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※ちなみにこれで俺は、「日本国内で新型VMAXに跨った一般人(ジャーナリスト含む)の最初の10人」に入れたらしい(笑)
跨った俺。モザイクでわかりませんが、それはもう嬉しくて
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■足つき:
旧MAX(と、あえて言う)よりは悪いが、この車格にしては「そこそこ」という感じ。俺の身長(170cm)だと両足のカカトは浮くがつま先立ちという程ではない。身長が+5cmもあれば余裕のはずだ。
■ステップ:
結構バックしている。うちのMAXのバックステップ(50mmバック)と感覚的に似ている。少なくともこれは「アメリカン車のステップ」ではない。
■シート:
結構広い。足つきが悪くなったのはシートのせいもあるか?座り心地良し。
■ハンドル:
今より広いか?高さ丁度良い。何より遠くない。ポジションの許容量は大きそう。
■ダミータンク(そう、またまたダミーなのだ)付近:
ハンドルを握ると懐に広大な空間が広がる。ここに弁当を置いて昼飯が食えるのは間違いない。お茶とデザートも置けるはず。
■メーター周り:
ピカピカのハイテク。だがシングルメーター(風)のシンプルな視界が好ましい。タイミングライトも格好良い。
■取り回し(と言うか、垂直にした車体を振ってみた感じ):
乾燥で+15kgとの事だが影響なし。旧MAXと感覚的には同一、俺でもイケる。
大盛り弁当でもOK
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「ふはははは・・・」と喚き続けたまま車体から下りる。
ふう、では落ち着いたところで全体を見ていこう。
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■ライト格好良い。「異形異形!」と騒がれたけど俺は気にならない。むしろスラント好き。
■フォークからステム周りの剛性感が凄い。
■インテークとサイドカバーはやっぱ銀色(いぶし銀だけど)が一番だな!
■ダミーじゃなくなったインテーク偉い。丸い穴も凄みがあって良い。
■マフラー格好良い。チタンとアルミ(一部ステン?)のハイブリッド。造形が凄い凝ってて、これは交換したくない。
■リア200mmタイヤ凄ぇ太い。しかも前後18インチなのでよけいデカく見える。
■ステッチの入ったシートは高級感高い。
■エンジンの存在感健在。やっぱV魔のエンジンはこうじゃないと。
■6ポッドのフロントラジアルブレーキキャリパ…(揉み出し大変だろうなぁ)
フロント周り
リア周り
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全体的に言えることだが、各部の質感が高く、とにかく高級感がある。
旧MAXの風格だって相当なものだが、「見た目の豪華さ」は正直比較にならない。
旧MAXはその昔(自虐的な意味も込めて)「信号待ちでハーレーと並んで劣等感を持たずに済む唯一の日本車」とか言われたものだ。
だが新型MAXは、V-RODだろうがK1200だろうが1098だろうがあるいはワルキューレだろうが、まったく意に介さないのは間違いないだろう。
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さて、とまぁひとしきり褒めた(?)後で、いくつか気になる点を(笑)
■各部にある紫色の部分。デザイン的にアレだし必然性が感じられないのだがなんで紫なんだろ?素材に関連があるのかな?(*1)
■サイドスタンドがとてつもなく出しにくい。出すのに失敗して転ぶ奴多数と推定。
■シートは高級そうなのだが、この小さすぎるリアシートに乗る人可哀想。
■センタースタンドが付けられない(消音チャンバーの関係)…のは仕方ないとして、どうやってリア上げるんだろ?メンテスタンドフック付けられるんだっけ?(←聞き忘れた)(*2)
■エンジンガード付けるところなし…も仕方ないんだけど、立ちゴケして傷付いたら泣くな、俺は。
■blogでも書いたけどリアフェンダー部やっぱ太い。女性的なイメージの原因はここかも。
■リアブレーキディスクの内側がなんか変。(ABSの関連か?)
■またタイヤが選べないのか…(リア=200/50-18)
ま、全部あらさがしレベルなのは贔屓目という事で(笑)
<後日確認>
*1:マグネシウム素材の色とのことです。
*2:隼同様のメンテフックOK
あれやこれや(笑)
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その他、開発担当の方から聞いた話のうち、興味深い部分を挙げてみる。
■この車両はあくまでも欧州仕様のサンプル車、もちろん日本での認可はとれていません。
■フレーム剛性は自信あります。内緒ですが某レプリカ車以上かも。
■うかつにスロットル開けると、それはもう大変な事になりますよ。
■外回りはほぼ金属製、プラスチック系の部品は最小です。
■キーにも凝ってみました。
■ウインカーとミラーは出来合いのものなんで各自交換してください。(←をい)
実はこの日の夜、開発担当の方に更なる話も聞いたのだが、どこまでがオフレコかわからないので略とする。(←酔っぱらい同士の会話だったらしい)
ただ、今年9月から適用の国内規制は相当厳しい(というか無茶レベルだ)とだけ書いておく。
ただ、旧MAXの進化系か?と聞かれたら「違う」と答えたい。
この違いは、いったいなんと言えば伝わるのだろうか?
芯となるエッセンスだけを残したまったくのブランニュー車両。
セルシオとLS600?
FC3SとFD3S?
Win98とVista?
ミヤマクワガタとオオクワガタ?
……うーむ、全部違うな。
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これまで、V-MaxはV-Maxというジャンルの唯一の車種だったと思う。
いわゆる「他に比較するもののない孤高の存在」だ。
※ベンチャーローヤルもFZXも、もちろんX4も、決して「同ジャンル」ではなかった。
そしてそこに今、新型VMAXが現れた。
無論新型もV-Maxというジャンルに含まれるだろう。
だが今回、その「孤高の存在」に加え、他のYAMAHA車の上位機種(もしくはトップ)としての役割も持たされたように思えたのだ。
孤高なだけでなく、統括としての存在意義。
スタンドアロンのスーパーコンピューターとネットワークサーバ。
川奈とセントアンドリュース。
新宿鮫と七曲署のボス。
……んー、益々判りにくいか。
車体の高級感ゆえにそう感じたのか、それとも違う要因があったのか。
俺自身にも、そう思った理由はよくわからないのだけれど。
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さて、もしこのままの仕様で、200万円程度で国内で発売されたとしよう。
「格好良いし好きだな、欲しいな」と思う人にとっては間違いなく「買い」だ。
好き嫌いを別にして品質・性能だけで論じても、圧倒的な魅力を持つ車両だと思う。
例外は、外車や固有のメーカーに特別なステイタスを感じる人くらいだろう。
また、「こんな凄いバイク、宝の持ち腐れだよ」と心配する人は買わないほうが幸せだ。
何故ならそのとおり宝の持ち腐れになるから。
どんな恵まれた環境にあっても、コレの本当の性能は素人には判定不能(のはず)
買うのであれば、それこそ「盆栽でいいんだよ」くらいの余裕が欲しいものだ。
ただ、懐の深さはレプリカ系の比ではないと思う。
ゆっくり流して乗るだけでも楽しいと感じるはずだ。(←個人的な希望を込めて)
乗るのはもちろん、ストック状態のノーマルで乗りたい。
これだけの車両だと、変なパーツは質感を低下させるだけのような気がする。
#キャリア的なものと小さなスクリーンが欲しい気もするが我慢我慢。
アメリカでは純正オプションも出ているのだが、正直趣味が良いとは思えない。
この素敵な輝きを放つインテークをカーボン製に変えるなんて、なんてもったいない事をするものだ・・・
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しかし、本当にこれを買ったら買ったで、いろいろな意味で大変だろうと思う。
まず、恥ずかしい格好では乗れないだろう。
穴あきGパンとか安物ジャケットでは笑われてしまうに違いない。
まぁ通常のファッション同様、「センスのある人があえて崩す」ならアリなのだろうけれど。
恥ずかしい走り・真似もできないだろう。
小僧走りなど厳禁。鷹揚に構えた大人の走りが要求されるはず。
だがこれもまぁ「あえて崩す」ならアリかも?
この「あえて崩す」というのは非常に難しい事だ。何しろ「正統派を知って」いなければできることではないのだから。
「きちんとしている」というのがどういう事なのかが判っていない人間の崩しは、単なるだらしないでしかない。
最後に付け加えるなら、これ1台で通勤や買い物まで全て済ませるのもちょいと気が引けるところ。
コンビニ袋を提げた新型MAXの姿はあまり見たくない気がする。
いろいろ考えると、開発に携わった某氏の言われた「XT(WRだったかな?)と一緒に買われると幸せになれます」があながち冗談ではないと思えてくる。
例えるなら「スーパーモデルの嫁を貰ったので家政婦を雇う」みたいなものか?違うか。
#うちにはセローがあるから大丈夫。【大丈夫?】
やっぱV魔はこの角度だな(笑)
<了>