YAMAHA V-Max

☆ メンテナンス編 ☆

リアサスペンション交換2・オーリンズ記

 V-Max
オーリンズ=黄色じゃないんです
 

<2005年7月>

 ロングツーリングも控えてますし

 V-Maxのリアサスを交換する。

 買った当初付いていたノーマルサスから'97のノーマルサス(中古)へと交換したのが5年前。
 それからの走行距離は約2万5千km。

 見た目はまだまだ綺麗だし、オイル漏れ等もない'97サス。本当に交換する必要があるのか?と聞かれると弱いのだが、フロントフォークもOHしたことだし、リアサスも新しくしてやってもいいのではないだろうか?と自分を納得させる。

 さて、交換となれば前回同様ノーマルサスの中古を探しても良いのだが、どうせなら市販品を使ってみたいところである。
 
 世間では、V魔の後付けリアサス=オーリンズと思われているらしい。
 実際、街中で見る後付けサスペンションの95%(当社比)はオーリンズである。
 ホワイトパワー、クワンタム、ショーワも頑張ってはいるが、まだまだオーリンズの天下を揺るがすまでには至っていないようだ。

 そのオーリンズは、V-Max用を新品で買うと13万円程する。(TTと言う最新型は16万超だそうだ)
 激安通販で買って11万、程度の良い中古をオークションで買って6~8万だろうか。
 V-Max用ではなく、タマ数の多いXJR1300(1200)用でも流用が効くが、価格はさほど変わりないし、エンドアイ(アイボルト)の交換が必要(XJRとはサイズが違う)なので結果的に高くつくとの事(某キンヤさん情報)
 「かなり安く買える」のでなければ専用品の方が無難だろう。

 ところで、お判りのように俺に新品が買えるはずはない。
#10万も出せるなら他にあれとこれと…
 かといって変な中古に手を出すのも気が引ける。
 今付けている'97のように出所がしっかりしている(またまたキンヤさんサンキュ)なら別だが、買った後でオイル漏れでも見つかったら更にオーバーホール代(2~3万か?)がかかってしまうからだ。

 うんうん唸りながらヤフオクを見ていると、面白い出物に気が付いた。
 オーリンズはオーリンズだが、36Kという型番のものである。

 普通(?)のV-Max用オーリンズは36PRCL(B)という型番で、例の黄色(一部黒あり)のスプリングに金色の別体タンク付きのものである。

 ところが36KというのはV魔の純正に良く似た形で、タンクもついてはいない。
 圧や伸びの調整もなく、弄れるのはイニシャル(プリロード)のみ。
 純粋なスポーツ用ではなく、アメリカン的なまったり用というと語弊があるだろうか?
 当然新品の価格も低く9万円弱。中古の価格はおして知るべし。

 今の俺のV魔の使い方はまさにまったり仕様である。
 「いかにも」な通常タイプへの憧れもあるが、使用法を考えるとこれでも充分ではないだろうか?
 しかもこの出物、嘘か真か「オーバーホール済み、その後未走行」との事。
 ううむ、これだけお膳立てされるとなぁ…

 というわけで、無事落札に成功する。
 しかし人気無しとはいえオーリンズ、思っていたより高くついたのは秘密である。

 某日、物が届く

 サスペンションの程度はほぼ予想通り。
 さすがにOHの有無は外からはわからないが、パンプラバーとインナーの様子を見るに悪い物ではなさそうだ。

V-Max
点サビはありますが

 測ると、全長(上下穴間)は325mm
 確かノーマルサスは330mmだったはずだ。という事は…もしかしてローダウンになるのだろうか?
 まぁスプリングレートとイニシャルの掛け方に寄るのだろうが。
#というか、前もってその辺りを調べてから買いましょう。

 それではいそいそと取り付け…の前にすることがある。

 まず、現在の車高の確認をしておかねばならない。
 新しいサスのイニシャル調整の参考にする為だ。

 今回は、ともかく「俺が乗った時」どうなるかがわかればよいので、客観的なデータは必要ない
 現時点でのノーマルサスとオーリンズに比較ができればそれで良いのだ。
 判りやすいよう、リアキャリアの先端以降で測ることにしよう。

 リアキャリアに「差し金」を貼り付ける。
 MAXの後にダンボールを貼った棒を立て、差し金の先端の位置をメモしようというわけである。
 支点(スイングアームのピボット)から作用点(差し金の先端)が離れている程、数値が大きく振れるのでわかりやすいはずだ。

V-Max
いわゆる「サグだし」ですな

 測定開始

 まずはノーマルサス
 
 センタースタンドを外して直立させた時の位置(=1G)と
 俺が乗って体重を掛けた時の位置(=1G’)をメモしておく。
 
 ちなみに、1G1G’との差は20mm。
 このときのノーマルの仕様は、イニシャル=2段目、ダンパー=2である。

 はてはてとオーリンズへの交換作業
 
 サスペンション本体の交換は難しくはないが面倒だ。
 うちのMAXの場合、マフラーステーを外す必要があるからだ。
※盗難防止にはいいかも(←誰も盗みません)
 「くそぉ、たった5mmの違いでもサス全長が短くなると入れるの大変だな…」(ブツブツ)

 左右を順に交換して、馴染ませるために数回リアを沈めてみる。
 おっ、なんか柔らかくないか?
 
 ふわりと沈むリアサスは、フリクションロスが小さいのか、それとも単にバネレートが低いのだろうか。 
 この時のオーリンズの設定は、イニシャル=4段目である。(ダンパー調整機能はなし)

V-Max
取り付け完了

 どれどれとオーリンズでの数値を測る。
 
 まずは1G
 ううむ、結構な低車高だ。
 ノーマルの1G’とまったく同じ高さ。つまりノーマルの1Gからだと20mmダウンである。
 
 1G’はそこから15mmダウンとなる。
 ノーマル、オーリンズとも、1Gの時点でイニシャル分を使い切っているとすれば、この差が俺の体重で沈んだ分という事になる。
 すると、オーリンズのバネレートはノーマルより高いという事になるのだろうか?
※ノーマルの沈み込み量=20mm、オーリンズ=15mm

 いずれにせよ、これでは車高が低すぎるのでイニシャルを掛ける。

 とりあえずもう一段上げ、5段目にして再計測。
 1G’で先ほどから7mmアップ。ノーマルの1G’との差は8mm。
 ちょいと落ちてはいるが、バネレートが上がっているならこのくらいで良いのだろうか?


ここまでの関連図

 ※先に書いたとおり、これはリアキャリアの先端から更に先で計測した数値なので、この数値分車高が下がっているわけではない。

 テスト開始

 某日、走行チェック。

 跨った感じは、成程落ちている車高が感じられる。
 
 ちょっと伸ばすと両足の踵が地面に付く。これまではタイヤを轍にでも入れないと両足は付かなかったから、シート部でも数ミリ下がっているに違いない。

 体重をかけた時、車体が沈む具合はスムーズだ。
 まぁフロントもOH直後なのでスムーズでないと困るのだが。

 まずはゆっくり50kmほど走ってサスを馴染ませる。
 OH直後だとすれば、慣らしにはもう少し距離をかけてやった方がいいのだろうが…ま、何事にも妥協は必要である。

 チェックするにはいつもの峠、というわけで、お馴染みいろは坂へ持ち込んでみる。

 登り。

 うむ、不自然な動きはしない。
 倒しこみがやや緩慢な気がするが、これは先日乗った隼の感覚を覚えているからかもしれない。
 
 乗り心地は良い。
 あえてギャップを踏んでみたりもしたが、衝撃も少ないし、比較的速く収束するようだ。
 足つきといい、ロングツーリング向けのセッティングといえるだろう。

 困ったのはバンク角
 
 確実に今までより早いレベルでステッププレートが接地してしまう。
 静止時の車高はともかく、コーナーリング時のバンク角は荷重のかかった時のサスの沈み込み量に左右される。
 スプリングレートがノーマルより高いならここまで沈まないはずなのだが…

 下り。
 
 ペースが遅いのでコーナーリング云々に変化はない。
 しかし、やはりステッププレートを擦るタイミングが早い。
 こりゃぁもしかするとバネレートはノーマル並かもしれないな…

 駐車場でイニシャルをもう一段上げ、6段目にする。

 跨った感じはノーマルとほぼ同等…よりほんの少し低いか?
 計算で行けば、1G’はノーマルと同様になったはずなのだが。
※イニシャルの1段アップ=7mmアップ=ノーマルより1mmダウン

 この後、交通量が増えてきて、先ほどと同様のテストができなかったのが残念だ。
 まぁいろは坂にならいつでも来ることができる。これから先いろいろ試してみよう。

 日光からの帰りは、豪華に「日光宇都宮道路」を使ってみる。(乗ったのは何年ぶりだ?)
 この道路、今年の6月末に日本道路公団から栃木県に償還されたのだ。
 道路公団にはごめんだが、県にならお金を落してもいいだろう。
 #もちろん料金がこれまでの約半額(450円)になったから、というのが乗った最大の理由

 せっかくなのでサスペンションの高速テストも行ってみる。

 1.5KS(KousokuSeigen:意訳)以上での剛性不足はいつもの事なので気にしない。 

 大排気量ツアラー軍団に紛れ込んだのをいいことにペースを上げてみる。
 久し振りの2.0KS。
 特に問題なし。フロントがちょい降られる気がするが、ステダンだけ締めこんでやってあとは気にしない。
 2.2KS。
 エンジンとか車体とかより鼻にぶつかってくるシールドが気になるが気にしない。

…というわけで高速チェックも特に問題なしであった。

 さて、まだまだテスト途中であるが、この36Kというオーリンズサス。
 全体的に「悪くなった」という部分は無い。バンク角はイニシャルの調整でなんとかなるはずだ。
 しかし「どこが良くなったのか?」と聞かれると・・・・・・今のところ「はて?」と答えるしかない。

 どうやら一番のメリットは、サスペンション上部に刻まれた「OHLINS」の文字に違いなさそうだ。
 

 

 Copyright 2005 Akira



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