■ まずは調査を
VMaxのリアブレーキローターがそろそろ限界のようだ。
ブレーキ時には、使えるものは全て使って停まらねばならないV-Max。
リアブレーキも隼のように「効きすぎて困る」という事はまったくなく、頻繁に使わねばならない。
その上で40,000マイル(68,000km)以上の走行距離となれば…表面のスリットが見え無くなるほど擦り減っても仕方がないだろう。
スリットが見えません
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フロントブレーキローターの方は2年半前に交換済みである。
こちらはヤマハの温情(?)により、純正とは信じられない安価でパーツを購入(レトロキット)することができた。
しかし、リアブレーキにはそのようなスペシャル仕様は無い。
フロント同様、ワイズギアからキットが出されてはいるものの、こちらはローターにキャリパーとキャリパーステー、ホースがセットになって\61,950~\73,290(リアブレーキキット1,2、税込み)という天文学的な価格なのだ。
もちろん、キットの内容(キャリパーはブレンボorMOS、ステーは一品物)を考えるに充分な安価ともいえるのだが…いずれにせよ昼飯を削る程度で買える額で無いのは間違いない。
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今回必要なのはブレーキローターだけである。
※キャリパーが欲しくないわけではないが、物理的に買えません。
安く探すなら、いつもどおりのヤフーオークション。
実は、V-Maxのリアローターは、うちの旧型MAXの純正フロントローターと同じもの(φ282)なのだ。(厳密に言うと違うかも?)
リアローターのサイズ
(新旧同様=旧型フロントローター)
新型(&旧型)のリアローターの中古は無理としても、フロントローターなら売られてるかな?と思って探したのだが、なかなか良い出物に出会えない。
なにしろ仕様が~'93モデルだ、程度の良いものが見つかる確率が低いのは仕方が無いだろう。
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それではと新品の価格を調べてみる。
純正の新品を買うと\26,000\22,000程(旧型用と新型用で何故か値段が違う)
※それ考えると本当に安いよなぁ→フロントレトロキット
Braking社の標準タイプが\20,000前後、流行のペータル(花びら)タイプも似たようなもの。
※なぜかサンスターでは純正サイズは扱っていない。
Braking社のカタログをつらつら眺めながら考える。
カタログの、V-Max用リアブレーキローター(ハイスタンダードタイプ)の型番には「FA05FI」とある。
そしてこの型番は、他の車種の適合表にもちらちらと出てくるのだ。
「ふうん、…って事は…?」
カタログ上、同じ型番になっているなら同じ製品が使えるという事。
なら、その車種の純正品も流用できるんじゃないだろうか?
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う~む、実に錚々たるラインナップである(笑)
大型車軍団は全てV-MAXと似たり寄ったりの年代車。ドラッグスターは別だが、他の車種はパーツはおろか、今では車体すら売買されていないのではないだろうか?
#フロントハブのGTS1200なんて今何台走ってるんだろ?
小型車は年代的にまだマシと言えないこともないが、リアではなくフロントローターが適合している。
実は、フロントローターの流用は避けたいのが本音なのだ。
シングルディスクで左側に装着されている場合、これをリア(右側)に使用すると回転方向が指定の逆になる。
性能は変わらないかもしれないが、ローターのデザインによっては安定感のない感じになる恐れがあるのだ。
他車流用の場合のもう一つの心配は「厚み」
V-Maxのノーマルはベンチレーテッドディスク。
2枚の板が合わさった形状なので、普通のディスクより大分厚い。
普通の厚みのディスクに交換すると、うまく付いても使用時にはブレーキピストンが飛び出た形になるはずなのだ。
ともあれ、考えているだけでははじまらない。
まずは適合する中古ローターを探さないとな…
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■ 交換作業
某日、該当品をオークションで落札する。
今回購入したのは、初期型T-MAX(シングルディスク)のフロント用純正ローターだ。
後期型はWディスクだそうで→T-MAX
実物の状態は「まぁこんなもんかな?」といったところ。
新品同様は望むべくもないが、厚みは新品と同じ5.0mmだし、ローター面の傷も少なく、悪いものではなさそうだ。
念のため計ってみたサイズは、予想通りV-Maxと同じ。
但し、取り付け部とローター部が微妙にオフセットされている。
厚さの違い(V魔のベンチレーテッドディスクは7.5~8.0mm)とオフセットが巧いこと合ってくれると良いのだが。
ところで、T-MAXのフロント用ということは左ローターである
※ディスクにも「L」の文字と回転方向を示す矢印が刻み込まれている。
思い切り逆ですけどね
先に書いたとおり、これを右リアに使用すると回転方向が逆になる。
だが、ローターの穴の開き方を見るに、さほどの問題にはならないだろう。
※内側のデザイン(非制動面)は見るからに「逆」になるが(笑)
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それではと交換作業に入る。
まずは、リアホイールを車体につけたまま、ローターのボルトを緩めておこう。
フロント同様、ホイールを外してからでは力がかけにくいのだ。
昨夜のうちにたっぷりとCRC-556をかけておいたボルト6本。
T&ヘキサレンチで一気に力を加えると、パキンと音を立てて外れていく。
フロントは10勝1敗1分けだったが、リアは問題なく6勝0敗。
うむ、何事にも経験は必要ですな。
ホイールを外すのはいつもの作業なので問題なしだ。
ホイールからローターを外す。お疲れ様でした→純正ローター
お疲れ様
改めて、外したローターとT-MAXローターの厚みをチェックする。
う~む、やっぱり結構違うなぁ…
左:旧ローター、右:新ローター
同じく掃除&磨いたT-MAXローターをセットする。
取り付けボルトは再利用。これも気休めに磨いてやる。
ネジ部は脱脂し、ロックタイトを塗っておこう。
対角線状にネジを締める。
締め付けトルクは正直適当。
まぁゆるみ止め塗ってあるし、大丈夫でしょ。(←自己責任)
締め忘れの無いことを確認してローターの取り付けは完了。
さて、見た目はどんな感じだぁ?
写真の角度が違うのでアレですが、外径は同じです。
をを、いいんじゃない?
ディスク面のホールもそうだが、ローター内側が黒いのも悪くない。
回転方向の関係で逆になるデザインも、この程度ならまったく問題なし。よしよし…
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せっかくなので、ブレーキキャリパも掃除してやる。
きれいになったところでホイールと共に車体へ仮組みしてクリアランスをチェックする。
わかりにくい画像ですいません…
うむ、ローターの厚みは変わったが、どうやらオフセット分で相殺されたらしい。
キャリパのセンターとローターの中央がどんぴしゃり。きちんとセンターが出ているようだ。
リアホイールを回して、ローターのフレを確認。
軽くブレーキをかけながら回してみて、手(足?)ごたえが変わらないことも確認する。
あとは各部を本締めすれば作業完了である。
※本当はその他に、「ピストン出た分フルードが減ったはずだよな?」とフルード量チェックしたり、ついでだからとブレーキペダルの位置調整しなおしたり、見つけてしまった点錆を落としたり、あちこちグリスアップしたりと、いろいろやっていたりする(笑)
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心配していた「薄くなったローター」だが、どうやら問題はなさそうだ。
スパイラル状の穴が開いたT-MAXローターは、新型用フロントローターとのバランスもなかなかGOODである。
さて、効きも多少はあがるだろうか?
#とりあえずは純正同様に効いてくれれば充分だけど(笑)
足回りが引き締まった…かな?
■ インプレとか
そういえば使ったインプレを書いておかなかったなと(笑)
先に書いた通りデザインはGOOD。フロントに新型のローターを入れている車両にはどんぴしゃり。
弱点は、キャリパーの疲れ感が目立ってしまいこちらも交換したくなってしまう事くらいだろうか(笑)
性能は、特に良くなったわけではないが悪化もしなかった。
心配していた「出たピストン」の影響は感じない。個人的には「タッチが良くなったかな?」な気がしないでもなかったが、右足がそんな微妙な感覚を感じ取れるはずもないのでプラシーボだったのだろうと思う。
#いろは坂のずるずる下りでのリアコントロールはやり易くなっていたかも?
俺のようにローター(のみの)交換を狙っている人にはお薦めできる。
一番良いのはヤマハが(フロント同様のデザインの)リアローターのみの販売をしてくれる事なのだけれど…これからじゃ無理だろうなぁ…