■ 年頭からの課題です
今年1月のblogに書いたのだが、実はこんなことがあった。
※以下年頭に某宅の新年会に行った帰りの出来事
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>お見送りを受けながら装備を確認。V魔のエンジンを始動する。
>今日も寒いからたっぷりと暖気を…って、あれ?
>エンジン下の路面に染みがある。
>覗いてみると、じんわり漏れてきたクーラントがフレームを伝ってぽつぽつと垂れている。
>う~む、ウォーターポンプ辺りから漏れてるなぁ。まぁこの気温だとゴムに負荷がかかるし、年式が年式だからねぇ…
>実はこの漏れは初めてではない。
>一昨年前あたりから、寒い時期限定で時々発生しているのだ。
>Oリングを交換すれば直るのは判っているのだが、面倒だし、エンジンが温まると漏れは止まるので放っておいているのだけれどねぇ。
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とまぁそんなわけで、水漏れ(クーラント漏れ)が発生である。
V-Maxに限らない話だが、古いバイクは水周りにトラブルが多くなる。
V-Maxのクーラント漏れも珍しい現象ではない。
そこそこの年式のMAXは一度は経験している現象だという。製造から16年目に発生(前から現象は出ていたが)というのは遅すぎるくらいだろう。
原因は、ホースが破れたとかの大事を別にすると、パッキン…というか、接合部のOリングの劣化による漏れがほとんどである。
とっとと交換すれば…と言いつつ、面倒なのが正直なところ。
注文パーツの選択も面倒だし、水を抜かなきゃいけないし、冬はゴムが固いし、何より寒いしなかなかねぇ・・・って、ええい、早く作業しろっ(←自分を叱咤激励)
さて、重い腰を上げたら、まずは現状の確認である。
漏れの場所だが、よ~く確認してみると、前部エキパイの内側にあるサーモスタット近辺から漏れ出してきているようだ。
※上で「ウォーターポンプから」と思ったのは誤認。
V-Maxの水漏れとして有名(?)なのは実は別の場所である。
サーモスタットカバーからではなく、それとウォーターポンプを連結するL型の部品の接合部からの場合がほとんどらしい。
「う~ん、漏れてるところは当然として、メジャーなトラブルの原因のパーツも一緒に交換しておくのが無難だろうなぁ…」
パーツリストと照らし合わせながら、サーモスタットのOリングと共にL型パーツのOリングも手配しておこう。
※パーツNO
93210-45511 Oリング
11H-12412-00 シール、サーモスタット
93210-27778 Oリング *2個
全部で600円くらい
パーツが無事届いたら修理開始。
作業前に、まずはともかく整備マニュアルを熟読する。
外したいのは先に書いたとおりサーモスタットケースなのだが、これ自体はラジエターからきているパイプ1本とボルト2本で外れるらしい。
あらかじめ抜いておくのも水(クーラント)だけで良い様子。
※クランクケース右側にあるウォーターポンプ本体の場合、クーラントに加え、オイルも抜く必要がある。
「う~ん、マニュアル見ると簡単そうなんだけど、このエキパイ周りの混雑ぶりを見るに一朝一夕にはいかない気がするんだよなぁ…」(←ほぉ、わかってきたじゃん)
ともあれ、マニュアルどおりにクーラントのドレンボルトを外して水を抜く。
このクーラント、去年の暮れに交換してから1000kmも走ってないんだよなぁ、あ~もったいないもったいない…(←貧乏性)
一通り抜けたところで、サーモスタットケース本体へと取り掛かる。
はじめにホースバンドを緩め、ホースを抜こうとするのだが、これが固くてどうにもならない。
片側がラジエターに接続されたホース自体が短く、しかも『くの字』型に曲がっているので「逃げ」が無いのだ。
今日は比較的暖かいがなにしろまだ3月、ゴムが固くなっているせいもあるだろう。
しばし考えて、本体の固定ボルト(2本)を先に外す事にする。
こちらのヘキサボルトは、CRC556攻撃と延長Tレンチであえなく陥落。うむ、やはりちゃんとした工具というのは偉大だな。
ついでに、サーモスタットケースに接続されたクーラントのコックも外してしまう。
こちらは細いホース(しかも手前にあるので作業しやすい)と、差込式のパイプで固定されているだけなので比較的楽に作業できた。よし、これで手前側がずいぶんすっきりしたぞ…
こちらは簡単に外れました(手ブレ失礼)
どれどれどうだ?とサーモスタットケースを揺すってみるものの、パイプは外れそうにない。
やはり「逃げ」の部分が小さいのが原因のようだ、それなら…
「ええい、ラジエターも緩めてやるぅっ!」
ラジエターシュラウド、固定ボルト等を外し、ラジエターをぶらぶらにしてしまおう。
外せるものは外しましょう(手ブレ失礼)
これだけ遊びができると、さすがのホースも緩んでくれた。
ゆっくりズラしてスポンと引き抜く。やれやれ、ずいぶん苦労させてくれたよな。
クーラントでヌルってます(笑)
これが外れれば、後は比較的楽だった。
ウォーターポンプと接続されているL字型のパイプ(樹脂製)は単純に引き抜けばOK、これでサーモスタットカバー本体とご対面である。
ごたいめ~ん。
本体とL字パイプを持って作業デスクへと移動。Oリングの交換作業を行う。
今回はL字パイプ両側のOリングも交換する。
※上記「メジャーなトラブルの原因」である為
外したOリングはまだまだ使えそう。まぁここから漏れてたわけじゃないし、保険保険っと。
指先にあるのがOリング
次にサーモスタットカバー本体を分解する。
ボルト2本で上部のカバーがはずれ、中のサーモスタットが現れる。
今回の修理は、このカバーのOリング交換がメイン(ここから漏れてる)だ。
L字パイプ同様、見た目は劣化してるようには見えないのだけれどねぇ。
これはOリングを外した後
ちなみにこちらがサーモスタット
さて、今回は念のため、サーモスタットをケース内部に固定するシール(ゴム製。上記画像の右下に見える奴)も注文しておいた。
ところがこのシール、確認すると、今入っているのと形が違うのだ。
新品は単なる輪状。
しかし今入っているのは内側に切り欠きがあり、この切り欠きがサーモスタットのポッチに合わせてある。
マニュアル上でも「切り欠きとポッチを合わせること」との説明あり。
う~ん、違う部品注文しちゃったかな?それとも年式によって異なるのだろうか?
どう見ても形が違います
仕方が無いので、見なかったことにして旧パーツをそのまま組み込む。
あ~、120円損したぁ・・・
そうそう、組み立てる前にケース内部を確認したのだが、中は実に綺麗なものだった。
クーラントのオリとかでどろどろかと思っていただけにちょいと拍子抜け。
ま、綺麗な分には文句は無いのだけれど。
中はピカピカです。
後は元通り組み立て、取り付ければ良い。
ボルトのつけ忘れと、ホースバンドの締めこみすぎに注意してっと。
指差し確認した後は、隼同様50%程度に希釈したクーラントを入れてやる。
車体を揺すりながらクーラントを入れ、様子を見る。
とりあえず漏れていないのを確認したら…あとは試乗してみないとな。
★
翌日、テスト開始。
エンジンを始動し、そのまま水温計が動き出す程度までアイドリングして、一旦エンジン停止。
漏れが無いのを確認後、キャップを開けてクーラントの量も確認。
減っていたら補充するつもりだったけど大丈夫。
サブタンクにFULLレベルまでクーラントを投入してやったら…うむ、それでは出かけるか。
近所を軽く一回り。
3kmほど走って自宅へ戻り、バイクを降りるとなにやらエンジンから変な匂いが……「うわっ、取り付けミスってクーラント漏れかぁっ?!」
慌ててエンジンを覗き込むと、確かにクーラントが「じわり漏れ」している。
しかし、漏れている場所は交換したOリングの部分ではなく、ホースの取付け部だった。
おそるおそるホースバンドを増し締め。
もう一度テスト走行して確認すると今度は大丈夫そう。「あ~、びっくりした…」
※「ホースネジ切り」を怖がりすぎて締め付けが甘かった様子。もちろん他の場所も増し締め確認。
やれやれ、これでどうやらOKそうだけど…水温上がってサーモスタットが効いた時にクーラントがドバッとかにならなきゃいいんだけどなぁ・・・(笑)
※作業時間はトータル3時間程度。
自分のバイクだから時間がかかってもやるけど、他人のバイクだったら1万円くれるって言ってもお断りかも(笑)