V-Maxとは?
巨大なエアスクープ(空気取入口)を持ち、まるでエンジンが走っているかのような迫力のあるバイクを見たことがないでしょうか?
それがYAMAHA V-Max(ブイマックス)1200です。
オートバイにさほど詳しくない人でも、一度その姿を見れば他のバイクと見間違える事はまずないでしょう。
V-Max1200(VMX12)は、ヤマハ発動機がアメリカ向けとして1985年に発売開始したオートバイです。
以来2007年まで20年以上にわたり、基本的な構造はそのままに販売され続けていました。
数年を待たずしてフルモデルチェンジされる事が常識のオートバイ業界においては異例の長寿といえるでしょう。
それだけにファンも多く、現在でも各地で様々なファンクラブが活動を続けています。
開発当初はアメリカのみでの発売を予定していたため、現地で市場調査が行われました。
その結果、「強いアメリカ」「V8エンジンの自動車」「ドラッグレース」等をイメージしたオートバイを作ろう!となり、基本コンセプトに「ブルート&マッチョ」を掲げ、アメリカでデザインコンセプトが作成されました。
V-Maxのエンジンは同社の「ベンチャーローヤル」というオートバイのエンジンをベースにして行われましたが、開発中に日本側からの「何馬力位必要か?」の問いに対し、アメリカ側からの「出せるだけ出せ!」という回答が来た話はあまりにも有名です。
この逸話のとおり、とにかく馬力のあるマッチョなバイクとしてV-Maxは開発・発売され、結果的に大人気を博しました。
V-Boost(ブイブースト)というシステムを用いて出された1200cc・145psという当時最強の数値は、技術革新の著しい現在においても決して見劣りするものではありません。
Vブーストシステム:
エンジンの回転数が6,000回転を超えると前後Vバンク(インテークマニホールド)間にあるバタフライバルブが開き、1気筒に対し2つのキャブから吸気する。
これにより大口径キャブレターと同様の状態となり、大出力が可能となる。
海外仕様に続き、1990年には日本国内仕様発売が開始され好評を博しました。
※日本仕様はV-Boostなし
(c)ヤマハ発動機(株)
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その種類
V-Maxには日本仕様と多種の海外仕様があり、かつ長い販売期間中にマイナーチェンジを繰り返してきました。
中古車としても数多く出回っており、外観から年式・仕様を判断するのはなかなか困難ですが、以下その見分け方の参考として下さい。
■日本仕様の外観的特徴
・ラジエター横のリフレクター(反射板)が1枚。(海外は2枚が多数)
・V-Boostが付いていない、この為キャブレター中央のしきりがシンプル。
・マフラーの排気孔が小さい。
・リアのリフレクターが小さい。
・スピードメーターは180km/hまで
※正確にはエンジンとフレームナンバーを確認のこと。
■年式による変更点概略
年式 | 特徴等 |
1985 | ・初期型。 ・フロントホイール、リアホイールとも5本スポーク。エアスクープはアルミ地。 |
1986 | ・フロントホイールは5本スポーク。リアはデッシュタイプになる。(剛性アップとのこと) |
1988 | ・フロントホイール、リアホイールともデッシュタイプになる。 ・エアスクープ、サイドカバーが黒に。 (このモデルのファンも多い) |
1990 | ・エアスクープ、サイドカバーがアルミ地に戻る。他メッキパーツが増える。
・日本国内仕様発売開始(V-Boostなしの97ps) |
1993 | ・フロントフォーク径がΦ40→43へ。 ・フロントブレーキキャリパ4ポッドへ。ブレーキディスク径Φ298、フローティング化。 |
1996 | ・「ブラックマックス」登場。
・電装系改良。中古車で買うならこれ以降の年式がお勧め。 |
1997 | ・エアスクープ、サイドカバー、その他各部を鏡面メッキし、フロントブレーキにブレンボを装備した特別仕様が東京モーターショーに出品される。 (同仕様のパーツがワイズギアより発売開始) |
1998 | ・外装をカーボン風に塗装した「カーボンブラック」、チタン色塗装の「マットチタン」それぞれ登場。 |
2002 | ・エンジン・車体がツヤ消し黒(マットブラック)白い2本線入りの通称「コブラMAX」登場。 ・排ガス規制で馬力ダウン?(未確認) |
2005 | ・黒ベースに赤のヘアライン、ホイールリムにも赤ライン。 ・20周年記念車にはシリアルNOプレート付 |
2007 | ファイナルエディション。この年で生産終了。 |
2008 | アメリカにて新型VMax1700発表。 |
■型式とエンジンの仕様
モデル | 年式 | 型式 | 馬力、トルク | 備考 |
アメリカ | 1985 | 1FK | 145PS/9000rpm 12.4kg-m/7500rpm | |
1986 | 1UT | ↑ | ||
1987 | 2WE | 143PS/9000rpm 12.0kgーm/7500rpm | 143PSは1990年から | |
カルフォルニア | 1985 | 1JH | 145PS/9000rpm 12.4kgーm/7500rpm | |
1986 | 1UR | ↑ | ||
1987 | 2WF | 140PS/9000rpm 12.0kgーm/7500rpm | 排ガス規制の為 | |
北米(カナダ) | 1985 | 1GR | 145PS/9000rpm 12.4kgーm/7500rpm | |
1987 | 2LT | ↑ | 最強エンジンとの噂 | |
日本 | 1990 | 3UF | 97PS/7000rpm 11.3kgーm/6000rpm | V-Boost無し |
ヨーロッパ(EU) | ? | ? | ? | 100PS規制モデル |
南アフリカ | 2002~ | 2WF | 135PS (フレームNoは、JYAVP~) | カルフォルニアと同一か? |
(c)ヤマハ発動機(株)
■フレームNOからの年式の判定方法
1~3桁目:「JYA」=共通(一部例外あり) |
4~6桁目:仕様=先表「型式とエンジンの仕様」参照 |
10桁目(「A」の前):年式=下記参照 |
A:1980年式 | B:1981 | C:1982 | D:1983 | E:1984 |
F:1985 | G:1986 | H:1987 | J:1988 | K:1989 |
L:1990 | M:1991 | N:1992 | P:1993 | R:1994 |
S:1995 | T:1996 | V:1997 | W:1998 | X:1999 |
Y:2000 | 1:2001 | 2:2002 | 3:2003 | 4:2004 |
例)「JYA2WE***LA******」の場合は、1990年式アメリカ仕様
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