☆ ツーリング紀行 ☆
目指せ火の国!九州ツーリング記


<第1話>

「出 立」

 

深い闇に低い排気音が溶けていく

巨大な獣の息吹きのような、不均等の鼓動を繰り返す1台のバイク

そして、まるでその獣の調教師でもあるかのように、傍らに佇む一人の男

春、夜明け前の空気は、容赦なく男の肌を刺す

ほぅと息を吐き、軽く身震いをすると、男はその頭をヘルメットへと押し込んだ

牛皮ジャケットのジッパーが上がり、虫の羽音のような微かな音と共に襟元のベルクロが留まる

茶色のグローブをはめた右手が、ぽんと一つタンクを叩いた

ぎしりと音を立て、巨大なバイクが直立する

サイドスタンドが跳ね上がり、シフトペダルがカコンと乾いた音を立てると、

バイクは、先ほどの男と同じように軽く身震いをした

ごく僅か高まった排気音と共に、バイクはじわりと前へ出る

クリアシールドの下の口元が、微かに微笑んだようにも見えたのは幻だったのだろうか?

男とバイクは闇に溶けた

後には、赤いテールランプの残像だけが残された

 

 

 

 

 

 

あ~!ったく、慣れねぇ文体で書くもンじゃぁねぇなぁっっっ!

 

<2002年4月28日>




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