☆ ツーリング紀行 ☆
2006 北海道"セレブ"ツーリング記

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<2006年8月13日>

2日目はちょいと内陸へ

 6:30起床。う~む、またキャンプの時と同じような時間に目が覚めて(以下略)

 天候は霧。宿のオーナーに聞くと「夏は毎朝こんな感じ」とのこと。

 朝食を済ませたら出発の準備。
 荷物を積んでロックはずして……げ、ブレーキローターが一晩でサビサビになってら。


サビサビローター

 やはり昨日の潮風の影響だろう。
 ローターは自然治癒(?)するから放っておくとして、車体は早めに洗ってやらないといけないな。

 8:00出発。

 周囲は相変わらずの霧。気温も低く、道路脇で馬がゆっくりと草を食んでいる。


画像だと一見曇り風ですけど

 さぁて、この霧はどこまで続いているのだろう。早めに晴れてくれるといいんだが。

 道道142。しばらく海沿いを走ってみる。
 
 霧はそのままだが、丘の上に上がると少しだけ見通しが利く。
 海側は真っ白だが内陸側には青空が見えるような見えないような。もしかして霧がかかっているのは海岸だけなのだろうか?
 
 「天気がよければ…」と思っていた根室を取りやめ、一旦内陸へと入り、R243を北上してみる。

 すると数キロと走らないうちに霧は晴れ、夏の朝日が燦燦と降り注ぐ。
 はっはっは、そうか、やっぱり海側だけだったか。


晴れました

 なだらかな丘と点在する森。牧草地帯の向こうに赤いサイロが見え隠れ。
 あ~、やっぱり道東はいいなぁ…
 
 念のため、R244で再度海沿いへと出てみるが、こちらもやはり霧が広がっている。よし、それなら今日はALL内陸で行くとしよう。

 現地点は中標津の南。

 ここまで来たなら、まずは開陽台へでも寄っていこう。
 途中のホクレンでJA標津のオリジナルフラッグもGETできるはずだ。
※去年、3種のホクレン旗とは別のオリジナルフラッグを配っていた。

 道東の風景を楽しみながら中標津へ。
 この辺りへ来るのは3年連続なのでさすがに道を間違う事はない。

 去年オリジナルフラッグを貰ったホクレンへ到着すると……「や、休みぃ?」

 GSの周りにはロープが張られ人の気配はない。
 そういえば今日は日曜日、休みのホクレンは多いのだ。「くそぉ、せっかく来たのになぁ…」

 失敗した失敗したとぶつぶつ言いながら、すぐ近所の日石で給油。
 世間話がてら何気に頼んでみると、快く水道を貸してくれた。

 ざぶざぶと水をかけ、ざっくりと隼を洗う。
 どうせまたダートへ突っ込むのだ、昨日の塩気が落ちればそれで充分。

 同じく給油に来たCBR氏(宇都宮在住とのこと)としばし立ち話。狙いはやはりオリジナルフラッグだったようで互いに苦笑い。
 


 

開陽台手前にて
 
 晴天の開陽台は気持ちのよい場所だ。
 もちろんバイクも多数、「お約束ポイント」では撮影待ちの行列ができていたので「順番を待つ人たち」を記念撮影させていただく。


お約束ってのも大変ですなぁ


 朝の寒さが嘘のような暑さ。風がそよそよと吹き、西の空にぽっかり浮かんだ入道雲が一つ。あー夏の風景だねぇ……
 
 一息ついたところで、隼のノーズを北西に向けて走り出す。
 
 道道505から150。
 さっき見た入道雲の下を「まだ降らないよな?」と一気に駆け抜ける。

 唐突に、正面の丘に大きな「牛」の文字が現れる。
 もちろん牧場だろうが、うむ、判りやすくてなかなかいいぞ。


「牛」

 黒いGS1200SSと前になり後ろになりながら、裏摩周湖の展望台へと登っていく。
#この展望台までのワィンディングもなかなか面白かった。
 
 一昨年とは反対側から摩周湖をほうほうと眺め、バイクまで戻ってさてと考える。
 今日はどこまで行ってみようか?

 距離的方角的にはサロマ湖あたりが丁度良い。
 3年連続だから面白みにはかけるかもしれないが、あそこなら土産も買えるだろう。

 それではと手当たり次第に電話し宿の確保に成功。よし、これで安心して走れるぞ。
 
 道道1115へ出て、これまた有名な神の子池へ。

 池へと続くダートはフラットなので、隼でもまったく問題なし。
 尤も雨あがりとかだとちょい苦労しそうな雰囲気ではある。

 到着した神の子池は……よく見る情報誌の姿そのままだった。
 
 青というかエメラルドグリーンの池は確かに不思議で神秘的だが、近くに立った「池にお金を投げ込まないで下さい」の看板が泣かせてくれる。
 意味も無く「農協月へ行く」(著:筒井康隆)とか呟いてみる。

 
手前は普通の池なのにねぇ…
 

 R391を一旦南へ降りて屈斜路湖。

 人気の無い静かな湖岸道路が、途中で急に大渋滞&路上駐車の山になっていてびっくりする。
 車はご家族ご一同様お揃いのミニバンばかり。これも日曜の成せる技なのだろうか?
 
 その先、こちらは空いている美幌峠を駆け上がる。
 あ~やっぱりここはいいなぁ…隼だとV魔とは違った雰囲気で走れて楽しいぞぉ…


美幌峠から屈斜路湖を望む

 14:00。峠頂上のレストハウスでとうもろこし休憩。

 考えてみれば朝宿を出てからはじめての食事である。
 いかんいかん、いくらソロツーでももっと「旨いもの休憩」をとらなければ…
 
 片手を腰に当て白熊ガラナ(ホワイト)を飲んでいると声をかけられた。
 これまた宇都宮からだというXL883氏。「今日は宇都宮ナンバーによく会うんですよ」と立ち話。
 ここへくる途中、振動でミラーが落ちてしまい難儀中との事だった。お巡りさんに停められないうちに直せるといいですねぇ…

 美幌を駆け下り、一路サロマへと向かう。

 R39、R333、そして道道961からR238。

 一気に走って、おなじみ北勝水産への到着は16:00丁度になった。やれやれ、なんとか閉店(17:00)に間に合ったぞ。
 s
 土産を手配してホタテバーガーで腹ごしらえ。
 これだけだと夕飯代わりにはちょいと寂しいけれど…そうだ、ここではホタテも食べられるのだった。
 
 カウンターで焼きと刺身を各々2つ注文する。いや、だってどちらも1つ100円なんだもの。
 味はもちろん文句なし。よし、これで夕飯は無くても大丈夫だぞ。

 
今日の夕食代わりです

 外へと出ると、空はまだ明るい。
 よし、んじゃ有名な(だけど登った事のない)サロマ湖展望台へでも上がってみるか。

 北へと走り「展望台入り口」を発見。そう、今までこの看板が見つけられなかったんだよねぇ…

 ダートを駆け上がる。
 道は荒れてはいないものの狭い。そして結構な斜度があり、急カーブもある。
 う~ん、意外に気を使うな、対向車にも気をつけねば。


入り口はなんてことなかったんですがね

 そろりそろりと結構な距離のダートを走って展望台駐車場へ。
 
 そこから階段を上がると展望台。をを、なるほど見晴らしはいいぞ。

 開陽台程ではないが、ぐるりと周囲が見晴らせる。
 サロマ湖はちろん、その外側の海まで見通せる。ああ、こりゃ綺麗だわ。


展望台はこんな感じで


綺麗に見渡せました

 国道へと降りる帰り道。途中で道が二股に別れていたのでさっきとは違う方をチョイスしてみる。
 
 えにゃこらさっさと降りるとそこはさっきの北勝水産の真横だった。ぐはっ、最初からこっちの道を使えば良かったんじゃないか。

 やや薄暗くなってきた中、ちょっと走ってコンビニへ。

 飲み物とあれやこれやの購入が済んだら…、ダートも走ってきたことだし、軽くチェーンでも洗っておくか。

 シャフトドライブのV-Maxだとまったく気にする事がないチェーンのメンテ。
 今回は距離も走るし、ダート走行も予想していたので、クリーナーとグリスを持ってきてあるのだ。

 コンビニの駐車場でバッグからクリーナーを取り出しチェーンへ吹きかける。
 「あーやっぱスタンドが無いと面倒なんだねぇ…」とかなんとか考えていると…
 
 


 あなたが「空しさ」というものを感じるのはどんな時だろうか。
 

 一生懸命練習した運動会が雨で中止になった時だろうか?
 

 一生懸命準備したプレゼンが上司の一言で白紙に戻された時だろうか?
 

 それとも、一生懸命ダイエットしたのに体重がまったく変っていなかった時だろうか?
 

 もし、北海道ツーリング中のライダーに同じ質問を投げかけたとしたら、彼はきっとこう答えるに違いない。
 

 『空しさを感じる時。それは、自宅からわざわざ持ってきたチェーンクリーナー(大)がたった2吹きで無くなってしまった時です』…と。
 

 
 カラカラになってしまったスプレー缶を手に愕然と立ちすくむ。

 <30秒経過>
 「仕方が無い、とりあえず汚れを拭くだけ拭いてグリスだけでも差しておくか…」
 
 バッグからもう一つの缶を取り出して…
 


 
 
 あなたが「挫折」というものを感じるのはどんな時だろうか。
 

 一生懸命練習した運動会の100m走でゴール直前に転んでしまった時だろうか?
 

 一生懸命準備したプレゼンで客先から「いや、そこまでで結構です」と言われた時だろうか?
 

 それとも、一生懸命ダイエットしていたのに誘われた宴会でついバカ食いしてしまった時だろうか?
 

 もし、北海道ツーリング中のライダーに同じ質問を投げかけたとしたら、彼はきっとこう答えるに違いない。
 

 『挫折を感じる時。それは、自宅からチェーングリスだと思って持ってきた缶が、実はワイヤーグリスだった事に気づいた時です』…と。
 

 
 「ヤマハ・ワイヤーグリス」の缶を見つめながら「ワイヤーグリスの揮発剤ってOリングに悪いんだろうか?」と考えている自分に気づく。
 
 いかんいかん、自暴自棄はいかん。

 それにしても、中途半端にオイルを落とした後だけに、グリスがまったく無いというのは非常にヤヴァい予感がする。
 ツーリングの道程はまだ半分。ダートも残っているし、帰りには300kmの高速道路走行もあるのだが…

 「いや、俺は信じる!信じている!彼ならきっとやってくれるはずさ!」
※彼=高砂GS530XW

 ともあれ、今は考えても仕方が無いので考えない事にして宿へと向かう。
 
 今日は素泊まり。食事の時間を利用してゆっくりと風呂を独占させてもらおう

 夜はいつもどおりビール片手に他の宿泊客とあれやこれやのバカ話。

 「挫折?、え~っと、それは何の話だったざましょ?」(←セレブ風)
 

 
<本日の走行距離=約421km><給油回数=2回><教訓=何か一つはやらかす俺>

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