その2
ホテルの朝食バイキングを取りながら今日のルートを考えてみる。
一応の目的地は阿蘇の坊中キャンプ場。
もちろんそこだけではなく、一昨年のリベンジに草千里とやまなみハイウエイも制覇せねばならない。距離的にはさほどでもないが混雑はどうだろうか?
てきぱきと準備を済まし、8時丁度、MAXのエンジンを始動する。
出掛けに確認した天気予報によれば今日は快晴。ルート途中にある高千穂は最高気温26度との事、うへぇ、皮ジャン着てて大丈夫かぁ?
国道10号をまったりと北上。
GWの最中とはいえ一応今日は平日、通勤の車に混じりゆっくりと走る。
R388へ乗り換え、山間に入ると様相が変わる。
車は次第に減り、いつの間にやら俺1台。二車線の高速コーナーを独占して走る。うぉ~気持ちいい~っ
昨日の子供の日の名残か、農家の庭先にはこいのぼりが多数、この辺はうちの田舎あたりと同じだな(笑)
国道から県道20へ。
道は狭くなったり広くなったり。相変わらず交通量は無い。
R218へ合流しても状況は変わらず。さすがに独占というわけにはいかないが、ストレスを感じることなく走ることができる。
高千穂に近づくにつれ、付近の景色がダイナミックになっていく。
山がぽかんぽかんと現れ、その間を大きな橋が優美なループを描く。おお、なんか感動的かも。
そんな国道をつらつら走りながら、はるか下を流れる川を覗いていたら、妙な形の石橋が目に入った。
どうやら鉄道の橋のようだ。このあたりで鉄道といえばもちろん高千穂鉄道、どれ、せっかくだからちょいと降りてみるとするか。
山の頂上付近を走る国道を外れ、あぜ道の九十九折れを、川を目指してうんしょうんしょと下っていく。
渓谷まで降りきるとそこは五ケ瀬川。脇を走る単線の鉄道、をを、これまた絵になる風景ですなぁ。
さっきの橋まで戻って記念撮影でもするかと、川沿いにちょいと走る・・・と、「ありゃ、通行止めか?」
赤丸に白い横線のお馴染みの道路標識が前を塞ぐ。
交通整理のおじちゃんがにこにこしながら近づいてくる。
「この先の細い道路にクレーンが入っていて通行止めだ、残念だね」という意味(と思われる)宮崎弁。
くそぉ、せっかくここまで降りてきたのになぁ…
おじちゃんとの「でかいバイクだな」「どこから来た?」(と思われる)宮崎弁での儀式を済まし、出発する。
さて、せっかくだからしばらくは川沿いの田舎道を走るとするか。
川を渡ってくる風は冷たいが心地良い。今まで眼下に眺めてきた橋を今度は見上げながら走る。
静かな山間でした
川沿いの道路は次第に高度を上げ、やがて国道へと合流する。
相変わらず次々と現れてくる大きな橋。
その中でも特に「おお、こりゃぁでかい橋だなぁ」と何気に立ち止まったら、そこは「日本一のアーチ橋・天翔大橋」であった。
なるほど、きれいな橋ですなぁ・・・
最初の目的地、高千穂の道の駅まではそこからすぐだった。
やれやれとヘルメットを脱ぎ、道の駅で観光ガイドを貰う。
このあたりもゆっくりと見ていると1日では回りきれないほど見る場所がある。
どれ、とりあえずは定番の高千穂峡へ行ってみるとしましょうか。
観光地とはとても思えない狭く斜度のあるヘアピンカーブをいくつか下り、山から渓谷へと降りていく。
おお、ここが音に名高い高千穂峡か。
時間のせいか曜日のせいか、ここも観光客の数は少なくゆっくりと見て回ることができる。
ボート漕ぎは有名らしいですな
ブーツのバックルを緩め、遊歩道を散策。無人販売の素焼きの勾玉を土産代わりに購入する。
歩いてかいた汗が冷めるのを待ち、少し戻って高千穂神社。
こちらも観光客の姿は少なく、落ち着いて参拝することが出来た。
「交通安全と家内安全とあれとこれと・・・」100円の賽銭にしては願い事が多すぎたか?
#神社は二礼二拍一礼・・・で合ってるよね?
「よぉし、次は阿蘇だ。」と出発。
高千穂の市内を抜ける寸前、すれ違ったV-Maxからは本日初のピースサイン。
阿蘇山頂へと登る県道111への分かれ道で給油。
見上げる阿蘇山頂が青空をバックにびしっと映える。か~っ!天気がいいってのはやっぱいいねぇ・・・
おりゃ~っと県道を駆け上がっていく。
途中、一昨年と同じ場所で写真撮影、へへっ今年はよく映ってるだろ~(笑)
一昨年とは空の色が違いますな。
草千里へと向かう途中、阿蘇山頂へと繋がる町営道路が開いている事に気づく。
天候や噴煙の具合により閉鎖されている事が多いこの道路、開いているとあれば行くしかないでしょう。
ロープウエイの乗り場まで上がり、そこから料金100円を払って頂上への道へと進入。
山頂までのほんのわずかな距離ではあるが、(徒歩やロープウェイではなく)バイクで走る事に意味があるのである。
初めての阿蘇山頂。
「をを、これがこれが・・・」成る程デカい(笑)、結構な迫力である。
アメリカンのツアラーが大量にやって来たのを機に山頂を出発、草千里へとMAXを走らせる。
こちらは2回目の草千里。
一昨年と同じ駐車場で「私は帰ってきた!」と中指を高々と突き上げる。(←良い子のみんなは真似しちゃダメだぞ)
道は下りへと変わり、馬が草を食む草原を駆け抜ければ今日の宿泊地坊中キャンプ場への到着となる。「ふ~、やれやれ」
受付をしようと小屋へと入ったら、管理人さんがしげしげと俺を見る。「あんた、初めてじゃないよねぇ?」
え?ええ、2年前にそうれはもう・・(後略)
まだまだガラ空きのテントサイト。
何処へテントを張るのか悩んだが、ゲンが悪いので前と同じ場所はやめ(笑)出入りのし易い道路際へMAXを乗り入れる。
よっこらせと荷物を降ろし、テント設営。よ~し、これで身軽になったぞぉ。
長々と書いてきたが、実は時刻はまだ午前中だったりするのだ。
ここは一発、空荷のMAXで「あそこ」を思い切り走るとしよう。
良い天気ですなぁ・・・
息もつかずに一気に走る(←誇張)
一昨年、霧で真っ白だった牧戸峠は「これが同じ場所なのか?」と疑うくらい見晴らしが良い。
時折ステップを接地させながら駆け抜け、ひたすら直線の長者ケ原、飯田高原でV-BOOSTを全開にする。
日差しは強いが風が心地良い。あ~、気持ちいい・・・
湯布院まではあっという間。80kmがこんなに短く感じられるとは思わなかった(笑)
道の駅湯布院でちょい遅めの昼食をとる。
湯布院地鶏の炊き込みご飯のおにぎりと、これまた地鶏の唐揚げ。シンプルだが美味、ツーリングの途中として必要充分な昼食であった。
音に名高い湯布院の町、期待して見に行ったのだが、俺には少々観光地化されすぎていた。
軽井沢や清里と共通する雰囲気は、イイ年した男の一人旅にはちと辛い(笑)
「せっかくだし温泉でも」と思っていたが、ま、早々に引き上げるとしよう。
当然帰りも同じルート。
これまた一気に阿蘇郡まで戻る。
途中でみるくロードへと乗り換え、大観峰展望所へと向かう。ここも前回は時間切れ(午後5時でゲートが閉まる)で回れなかった場所なのだ。
やまなみハイウエイに共通する草原と、加えてはるか彼方まで見渡せる景色が凄い。
ううむ、こりゃぁ皆が立ち寄るのも無理は無いわ。
道は舗装されてますが、ちょっと離れるとこのとおり。
景色を眺めながらソフトクリームを舐め、次々と駐車場に入ってくるバイクを観察する。
中国・四国・関西に加え、関東ナンバーのバイクも多数。皆結構遠くから来るんだねぇ・・・(←お前が言うな)
ゲートが閉まる前にと大観峰を出発。
日が落ちるまでにはまだまだ時間がある。どれ、今日の汗を落とすとしましょうか。
何故か急に増えたピースサインに返答しながら、まったりと走って内牧温泉へと到着。
地図によると、この温泉郷には10個程の温泉があるらしい。ど~れ~にし~よぉ~か~な~と、見た目一番小さな「新穂湯」の前にMAXを停める。
小さな湯船が一つあるだけの温泉には、地元の爺様2人が先客。どもどもと挨拶して湯船に漬かる。う~い、生き返るぅ~
ほかほかに温まった体で夕飯の買出し。
買い物は鯛の刺身と焼き鳥に芋の煮物。そしてもちろん阿蘇の焼酎。
テントサイトへ戻ったのは日暮れのちょいと前、まずはビールをやっつけて、MAXのサイドスタンドの下に…っと。
夕暮れと共に、テントサイトに多くのバイクが戻って来る。
次第に薄暗くなるサイトのあちこちで、ストーブに点火する音が響く。うむ、これぞ正しいキャンプ場の夕方である。
時間の経過と共に、あちこちで呑んでいたグループが集まり、1つの大きな集団へと化していく。
もちろん俺も焼酎片手に参戦。全国各地から来ている連中のお国自慢(?)で夜が更ける。
「今回のツーリングは1日1芋で行こうと思ってるんですよ~」と話していたら、隣の人が俺の持っているボトルを覗き込んで呟いた。
「それ、麦焼酎ですよ?」
・・・!!!