その1
翌日5日17時、フェリーは予定どおり九州の日向港へと到着する。
また来たぞぉ、九州
到着前、接岸の様子を見物にフェリーのデッキへと出る。
天気は良好。薄く雲が出ているものの気持ちの良い5月の夕方である。
そしてさすがは九州、暖かい。
空調の効いたフェリーの中ではTシャツ1枚ですごしていたのだが、そのままの姿で外へ出てもまったく寒さを感じないのだ。
ううむ、夕方でこれでは日中皮ジャン着て走ると暑いかもしれない。まぁ、寒くて凍えるのに比べれば全然マシではあるのだが(笑)
上陸の案内放送と共に荷物をまとめ、バイクの元へ。
おとなしく待っていたV-Maxの荷物の状態を確認の後、ヘルメット&グローブ装着。
チョークを引きエンジン始動。
もちろんセル一発で始動・・・だが、「ありゃ、なんかバラつくぞ?」
妙に咳き込むエンジン。
そこそこの暖気の後でもチョークを戻すとエンストしてしまう有様である。
ううむと首を捻りながら、ともかくもバラつくエンジンをスロットルワークで誤魔化し、フェリーを出る。
「おかしいよなぁ、昨日までなんともなかったしなぁ、今日は気温も高いしなぁ・・・」
まさか一昨年の悪夢が再び・・・
着きましたけど…
とりあえずはと、埠頭の路肩にV-Maxを停める。
仕方ない、チェックするかとヘルメットを脱ぎかけた俺の目に入ったものは、上を向いた一つのスイッチだった。
ぐはっ、フルタイムブーストになっているぅぅぅ・・・
これではアイドリングがバラつくのはあたりまえである。
カチリとスイッチを下ろし、エンジン再始動。
バラつきは見事に雲散霧消、ぴたりと安定するアイドリング。いやはや、人間、慌てると駄目だねぇ・・・
あらためて眺める日向の街並みは確かに南国ムード。道路脇のシュロの木も雰囲気充分である。
さて、今日はここ日向のホテル泊となる。
激安チケットにはいつでも使えるホテルの宿泊券が付属しており、どこで使うかずいぶん悩んだのだが、初日夕方着の日向で使うのが一番効率良く思えたのだ。
指定のホテルまでふらふらと走り、チェックイン。
大荷物を降ろして身軽になったら、どれ、日暮れまで付近を回ってくるとしましょうか。
地図を頼りに海岸線の半島、日向岬へと向かってみる。
小さな漁港をぐるぐると走り、高台にあると言う灯台目指して峠道を駆け上がる。
岬からの景色は良好。道も立派なワィンディングで思っていた以上に楽しめた。うむ、善哉善哉・・・
南国風味でしょ。 最近、セルフタイマーという技を覚えました。
日暮れと共にホテルへ戻り、MAXにはしっかりと施錠。よし、明日からがんばってくれよ。
部屋で荷物を整理し終えたら・・・さて、呑みに出るとしましょうか。
飲み屋街をブラつき、おばちゃん一人でやってる飲み屋に飛び込んでみる。
九州といえばやはり焼酎。
「霧島」の黒と白を呑み比べ、太刀魚とカマスの焼き物、今朝採りだという筍の煮物に舌鼓。
・・・う~い、酔った酔った。 で、おばちゃん、ホントにいいの?こんなに安くて。
ふらふら戻ったホテルのベッドは、さすがにフェリーの二段ベッドとは別格の寝心地だった。
さぁ、明日から走るぞぉ・・・