☆ ツーリング紀行 ☆
晩秋(?)長野探索記


山がとても眩しかったです 
 


<2007年11月>

微妙な季節ではありますが

 「くっそー、やっぱ冷えるなぁ…」
 快調にアイドリングする隼の脇で、ウエアのジッパーを首元まで引き上げる。

 今日は久しぶりのお泊りツーリング
 それなりの人数が集まるイベントなのだが、例によって現地集合現地解散。行きかえりの行程は事実上ソロツーリングとなる。

 集合場所は長野県。それも岐阜県との県境にほど近い山間部。

 周辺には何度か行っているのでルートに不安はないのだが、結構な距離があるのは間違いない。
 そして一番心配なのは、一昨日あたりからやってきている「今シーズン一番の寒波」という奴だ。
 
 ここ北関東でも「霜」とか「積雪」とかいう言葉がちらりほらりと聞こえてきている。
 ましてや長野県ともなれば、より以上の状態になっているのは想像に難くない。
 そぉっとネットを覗いてみると、いつぞや通った安房峠(目的地に近い)は既に雪で閉鎖されているらしい。さて、どうなることやら。

 隼で自宅を出たのは朝の8時。
 目的地までの距離を考えるともっと早く出発すればよさそうなものだが……「こんな寒いのに朝早くから出かけられるかってぇのっ!」


一泊にしては多い荷物はほとんど防寒装備だったり(笑)

 着込んだウエアはもちろん冬仕様である。

 上はウインドブレーカーに冬ジャケ。下はヒーテックタイツに革パンツ。
 これなら(革パンツの上にカッパでも履けば)マイナスの気温にも耐えられそう。寒いとはいえ4~5度はある現在の気温にはちょい過剰装備といえるかも。

 「いやぁ、歳取ると寒さがこたえるようになってねぇ・・・」

 なぜか自分に言い訳をしながらお馴染みR4バイパスを南下する。

 ちょいとペースを上げて走るバイパスの道。
 グローブももちろん冬用だが、当たる風にじんわりと指先が冷えてくる。
 騒ぐほどの冷たさではないが、これ以上冷えるようなら用意してあるインナーグローブを装着するとしよう。

 一気に小山市まで下り、R50へと乗り換える。向かう方向は南から西へと変化する。

 R4からR50というこのルートは快適だ。ALL2車線で追い越しも楽。
 距離的には他の国道を使うほうが短いのだが、実際の流れ(&信号)を考えるとこの2本を使うのが一番気楽で速い

 それなりの交通量のある国道を、するりするりと追い越しをかけながら走る。

 天気は上々、背中から照らす朝日が前方に隼の影を作る。
 先の装備で寒さは感じないが、少しあけたシールドから流れ込んでくる空気が口元を冷やしていく。
 「もう少し日が高く昇れば上がるかなぁ?気温」

 佐野→足利→太田→桐生
 快調に走り、伊勢崎ICから北関東自動車道(群馬側)へと乗り込んでいく。

 この北関東道、栃木側と繋がる時期はまだまだ決まっていないようだ。
 「せめて太田あたりまできてくれれば結構な時間短縮になるんだけどねぇ…」

 高速道路では相変わらず無敵の隼。
 足回りをメンテして(もらって)からというもの、乗り心地もアップして実に快適だ。

 ギアは6速、6000rpmちょい。
 5000付近だと振動が大きく、8000まで回すとどこへ飛んでいってしまうかわからない隼では、この辺りが最も快適にクルーズできる回転域なのだ。
 唯一の欠点は…速度が2.0KS(KousokuSeigen:意訳)くらい出ちゃうことかな(笑)

 北関東道から関越道、そして上信越道。
 
 くねくねと曲がった上信越道。ここをさほど速度を落とさなくても曲がっていけるのが隼の凄いところ…とかなんとか考えながら走っていたら、唐突に渋滞が始まった。
  「なんだなんだ?上信越のこの辺りで渋滞なんて聞いたことないぞ?」

 「もしや紅葉渋滞?なら軽井沢あたりまで続いているかも?」と恐れおののきながらすり抜けて行くと、前方に回る赤色灯が見えてきた。

 どうやら事故渋滞だったらしい。
 丁度片づけが終わったところらしく、パイロンを集めている警官が数名。
 そしてトラックに載せられているのは……燃えて真っ黒になったセダン。
 うー、炎上ってのは怖いなぁ、俺も安全運転でいかねばな…

 横川SAで小休止。昼飯にはまだちょい早いので、手足を伸ばしたら即出発。
 もう少し暖かければ手前で高速を降りて碓氷峠旧道で遊んでいくところだが、さすがにこの気温だとねぇ。

 佐久ICまで一気に走り、一般道へと降りる。
 ICすぐのドライブインで昼飯。オーダーはもちろん「峠の釜飯」だ。
 


浅間山も白くなって
 

さすがに釜は持ち帰れませんでした


 暖かい釜飯とお茶で体が中から温まった。
 よぉし、これにて「移動」は終了、ここから先が本当の「ツーリング」だぞ。
#「移動」でもたっぷり楽しませてもらったけど(笑)
 
 さて、それではルートをどうしようか?と考える。
 「とりあえず高速降りてから決めよう」と、特別目的を持たずにここまで来てしまったのだ。
 
 天気は朝から更によくなり、空は綺麗に晴れ上がった。
 白い雪の帽子を被った浅間山がくっきりと見える。
 青い空を薄い雲がひゅんひゅんと流れていく。

 気温は低く、風もあるが、この状況は絶好のツーリング日和といっても過言ではない。
 「うん、なら山へ上がるとするか」

 県道を経由し、国道142を西へと走る。

 市街地を抜けると一気に交通量が減る。
 国道の左右には低い尾根が続く。蒼い針葉樹と黄色い広葉樹がパッチワークになっている。
 「そうか、もう終わっていると思っていた紅葉だけど、結構綺麗な景色だな」
 
 国道142は旧道をチョイス。もちろんビーナスラインへと上がるためである。
 
 旧道だけに道幅は狭い。加えて路肩には杉の葉と思える落ち葉が多数。乗ると滑るのは判っているので慎重に走る。

 ギアは3速固定。隼の太いトルクに任せてスロットルワークだけで峠を上って行く。
 「あー木漏れ日が気持ち良い・・・」

 和田峠の交差点からビーナスラインへと突入する。

 これまで同様、路肩には杉の葉がたっぷりと溜まってはいるがこちらは完全な2車線道路。道幅がある分だけ自由度も高い。
 「んじゃ行きまーす」

 峠道を駆け上がる。もちろんペースは「そこそこ」だ。

 交通量は極小、時折前に現れる四輪も気持ちよく道を譲ってくれる。
 高度が上がるほどに見晴らしが良くなり、気温がぐんぐん下がっていく。「うひー、寒いけど気持ち良いけど寒いけど…」(続)

 お馴染み美ヶ原高原美術館を見下ろす頂上まで一気走り。
 ぷはぁと息を吐きヘルメットを脱ぐ、

 晴れ上がった空の向こうには、白く雪を頂いた北アルプスの山々。
 やー凄い凄い。ここで記念撮影しなかったらウソだよなぁ。


向こうに見えるは美ヶ原高原美術館


空が青くてねぇ

 美術館まで降り、暖をとりがてら土産物屋に入ってみる。
 
 うろうろと土産物を見ていたら、「バイクでは寒くありませんか?」と声をかけられた。

 客の壮年の男性はナンシー…ではなく、なんでもこれからバイクを買うとの事。
 あれやこれやの雑談の中「皮パンツって暖かいんですか?」とも聞かれたので「いや、皮は風通さないだけなので、冬に履くのだったらちゃんとした防寒パンツの方がいいですよ」とかアドバイスをしてみる。

 さすがに「俺も欲しいんですけど高くてねぇ」とは言えなかった(笑)

 隼発進。
 「ひゅうううん」と謎の言葉を発しながらビーナスラインを駆け下り、扉峠から県道へ。

 西へ向かってふらふらと走っていたら、道が二股に別れていた。
 [左:松本方面バイパス] [右:旧道、急カーブ注意、大型不可]
 うん、そうまで書かれたら、右へ行くしかないですな。

 確かにそこは、狭くて急カーブで急坂が続く道ではあった。
 
 しかし、普段走っている栃木の山道も似たようなもの。
 「はっはっは、いろは坂で鳴らしたこの俺様にそんな技(?)が通じるかぁ!」と粋がって走っていたのだが……その先には驚くべき光景が広がっていた。

 道路に溜まっていたのは、既にお馴染みとなった杉の落ち葉
 但しその量が半端ではない。ブーツのソールが隠れるほどの落ち葉が道路全面を埋めてしまっていたのだ。


これはまだまだマシな場所。一番多いところでは怖くて止まれなかった…


これはまだまだ…(略)

 山間で風の吹き溜まりになっており、通る車もないので飛ばされないのだろう。
 下りの急坂が落ち葉で埋もれているのを発見したときには正直嫌な汗が額を伝った。
 
 「通り抜けられるのか?これ」

 2速アイドリングで進入。カーブはバンクではなくハンドルで曲がる。
 試しにそろりとリアブレーキを踏んだら、ずるりとリアが流れていった。
 「うひー、こりゃぁうかつにエンジンブレーキも使えないなぁ」

 アイドリングで下ってブレーキかけてリアが流れて慌てて、アイドリングで下って・・・を延々と繰り返す。
 嫌な汗が脇の下からも出てきた頃、やっと「落ち葉トラップ」を抜け出せた。
 うう、なんとか走れたか。ご先祖様ありがとう・・・

 嫌な汗を拭きつつ、バイパスへと合流すれば松本市まではあっという間。

 市内で隼に給油し(長野はガソリン高すぎ!)
 松本城を「松本城!」と叫びながら(意味不明)通り過ぎ、国道158へ。


松本城!
 

 上高地への道でもあるこのルートは、さすがにそこそこの交通量がある。
 観光バスの後ろをゆっくりと走る。
 「この時期の上高地観光ってどうなんだろうねぇ?寒さは半端じゃないと思うんだけどねぇ?」

 水辺を走る国道。
 休憩がてらダムへと降りて、すこし傾いてきた太陽が照らす湖面を眺めてみたりする。


日陰とのコントラストが大きくて

 上高地方面との分岐を過ぎると交通量は一気に減った、というか無くなった。

 猫の子一匹いない道路を気持ちよく流す。
 気温は益々下がって来た。だが、先の装備のおかげで実害はない。
 
 調子に乗って走っていたら、トンネルの中で氷を踏んで転びそうになること2回。だから調子に乗るなとあれほど言っているのに…
 
 横を流れる川が細くなってきたあたりで一時停止。
 
 この先に有名な「野麦峠」がある。
 情報によれば現在閉鎖中(がけ崩れ?)で通り抜けはできないらしいのだが途中までなら登れるらしい。せっかくだから行ってみるか。
 
 登り始めた峠だったが、残念な事に数キロ先で通行止めとなっていた。くそぉ、せめて頂上まで行ければと思っていたんだがなぁ・・・


残念でした

 来た道を戻れば、今宵の宿はすぐそこだ。
 予定通り、日の落ちる前に到着となる。

 続々と集まってくる他のメンバー、さぁて、今夜も飲むぞぉ!

 あけて翌日。昨日同様朝から綺麗に晴れ上がって…のはずが「なんで雪が降ってるんだよっ!」
 薄く(?)積もった雪と格闘しながら峠を越え、塩尻市まで出たら急に青空が広がってくる。
 そうでなくちゃとペースを上げたら某峠で鼠取りに遭遇。それをご先祖様パワーでやり過ごし、反省しつつ新蕎麦の昼飯を取り、佐久から先は昨日と同じルート。

 やー、走った走った。
 久しぶりの長距離(?)&寒さでちょいと疲れはしたけど、楽しく走れて善哉善哉。
 この調子なら冬の間にあと2,3回ツーリングに出られそうだな。
#ホントか?
 



でもさすがにコレはもう勘弁
 
 

<2日間の走行距離=約800km><本日の教訓=冬のツーリングはやっぱ装備が重要だわ>




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