☆ ツーリング紀行 ☆
2008 北海道 "迷走" ツーリング記

<1>


<2008年8月10日>

さぁ行きますよ

 4時半起床。
 「うははは、嬉しくて寝ていられなかったぜい…」というのももちろんあるのだが、実は寒くて目が覚めたという事もある。

 そういえば昨晩は、呑んでる最中吐く息が白かった
 かなり冷え込んでいたのだろう。

 
空は薄雲が広がった感じで


 朝露に濡れたテントをえっちらおっちら畳んでいると、周囲をうろうろ歩いていた初老の男性から「これナンシーシー?」と声を掛けられた。
 「250ですよ」(223と言うと面倒なので)と答えると、「ふ~ん、で、旦那さん煙草ある?
 新種「たかりナンシー」と命名する。

 5時過ぎ出発。

 昨夜のお二人は「朝は寝坊します~」との事だったのでご挨拶なし。んじゃまたどこかで会ったらよろしくです。

 ゆっくりと、R237とR274交差点近くにあるセイコーマートと向かう。
 ここでの朝飯は、もちろんセイコーマートオリジナルコーヒー「グランディアブラック」「しっとり豆パン」
 北海道へ来たらやっぱこれ食べないとねぇ。


 R274を北東へ走る。
 
 走り出して判ったのだが、確かに寒い。
 昨日同様、ジャケットの下にTシャツ1枚だと震えが出るほどの寒さなのだ。
 
 そういえば昨晩、同じように北海道へ来ているharuさんから「メッシュジャケットだと死んじゃいそうです!」とのメールが届いていた。

 国道の掲示板では、なんと気温11度
 3シーズン用ジャケットでこれだけ寒いのだからメッシュでは…ブルブル…


8月に11度って…


 「寒いよ寒いよ…」と走る。
 寒けりゃ中に着込めばよさそうなものだが、停まってバッグ開けるのが面倒なのだよ。(←んじゃ自業自得だ)

 「アテンションベアーズ!」と叫んで寒さを誤魔化してみる。


もしくは「シートベルトするベアー」

 峠道に入り、高度が上がるとその我慢も限界を迎える。
 うう、首にタオル巻けば多少は寒さ防げるかな?(←だから着ろよ)
 


格好?そんなもの気にしちゃいられません

 石勝樹海ロード、日勝峠を越えると急に天気が良くなってきた。
 
 薄く広がっていた雲が流れ、空が見事に青くなる。
 うん、北海道ツーリングはやっぱこうでなくちゃいけません…(寒いけどねぇ)


綺麗に晴れました

 下り途中の広場で休憩。
 山へと伸びる林道を「入れるかな?」と覗いたら、鹿の親子が慌てて逃げていった。すまんすまん、驚かしてゴメンね。
 


驚かせた報いが後にあんな形で来ようとは(謎)

 十勝へと降り、そのままR274を北上する。
 瓜幕からは道道85へ。


途中気ままに休んでみたり

 さて、本日まず目指すのは、糠平湖畔の「タウシュベツ橋」
 有名観光ポイントだけに一度は行ってみたかった場所なのだ。
 
 だがもちろんその前に…「林道走らなきゃ嘘でしょう」

 道道1088へと分岐し、然別峡峰越林道を目指す。
 これを越えると糠平湖へ抜ける道道85へ復帰できるはずなのだ。

 峠をえんやら上り、温泉・キャンプ場への看板を過ぎると道はダートへと変った。

 それっと走る。
 路面はすこぶる綺麗で走りやすい。天気も良いし木漏れ日も気持ち良いのだが…「あ~、リアが重いなぁ…」

 去年はさほど気にならなかった荷物。これが今年は妙に意識させられる。
 ブレーキングや切り替えしで、「よっこいしょ」という感じになる。
 テントの重さもそうだが、重心が高くなっている事の影響が大きそう、「やっぱ積み方考えないといけないかな?」
 


走りやすい道です、ええ、ここはね…

 それでも楽しく走っていたら、道が唐突に二股に分かれた。

 なんとなく右が本線っぽいのだが、「道路決壊・通行止」でゲート閉鎖中。
 左には「ユーヤンベツ林道起点」の標識。むー、よくわからないが仕方ない、左へ入ってみるか。


まぁ左にしか行けないわけですが

 左は見晴らしの良い林道だった。

 道は川沿いに走り、なかなか景色も良い。
 路面は砂利が深いが走りにくいほどではなかった、途中までは


ええ、途中までは

 3kmほど走ったあたりから道が酷くなる。
 
 崖崩れ後に強引に砂利を敷いたらしく、フカフカでずるずるでごろんごろんな路面。フロントもリアも流れまくりである。
 リアが重いので流れるとリカバリがすこぶる難しい。「くっそー、空荷ならこんな苦労は…」

 一生懸命走っていたのに、その先、ちょっとした広場で唐突に道が無くなった
 「なんだなんだ、行き止まりか?」

 広場横には「ウペペサンケ登山口」の看板と、獣道のような登山道。
 地図で確認すると、確かに枝道の終点にウペペサンケという山がある。
 「うぐぅ、やっぱり右が本線だったのか」


しかし登山する人はこんなところから入っていくんですね

 悔しくて泣きながら(誇張)来た道を戻る。
 
 深い砂利の下りが怖い。「ヤメてケレ、ヤメてケレ、ヤメてケ~れゲバゲバ…」(年齢踏み絵)

 転んで怪我しても助けてくれる人など通らないであろう道なので慎重に慎重…


ずびずば~


 先の二股で、本当に右に入れ無い事を確認してから(←あきらめ悪い)来た道を戻る。
 正規のルート(?)で道道85へ。然別湖畔を北上する。

 「くそぉ、Uターンで丸々1時間無駄にしちまったぜ…」(いや、林道走れたんだから本望じゃん?)


悔しいので舗装峠を爆走してみたり

 糠平湖畔のR273は何度か走っている。
 北側から糠平三股林道へと進入する。


タウシュベツ標識あり

 道は広くフラットで走りやすい。ただ観光地の為四輪も結構走っている。
 今日のような晴天だと、四輪の後は砂埃が酷い。距離をおくか、とっとと追い越してしまうのが良さそうだ。


スピードが出るので注意必要

 4km先、砂利の駐車場にバイクを停め、やれやれとヘルメットを脱ぐ。
 同じ場所には車が数台とバイクが数台。そこそこに人出はあるようだ。

 林間の道(車両進入禁止)を歩いて橋のたもとへ。
 「おお、これがタウシュベツ橋か」


逆光気味ですが


お約束ショット
 

 騒ぐ客がいないせいだろうか、「そこそこの人出」のわりに周囲は実に静かだった。
 やっと上がってきた気温(ここまでずっと寒かったのよ)のもと、ひなたぼっこを兼ねてぼーっとする。
 
 やー、ここまで来る歩道が車両通行止めなのは正解だねぇ…

 ★

 それっと出発。
 この先糠平湖を一周してからR273へと戻るのだ。

 林道を走り出して1km、右手に湖を見ながら左カーブを曲がったら…「え゛通行止め?」

 前を塞ぐ鉄製のゲートと「落石の為通行止め」の文字。
 くっそーまた行き止まりかよ。今日はこんなのばかりだな…(いや、まだまだ甘いって)


悔しいのでこちら側からも撮影を

 来た道を戻りR273、更に道道85をそのまま戻り、幌鹿峠から不二川迂回林道へと進入する。


路面はフラットなんですけどね

 ここもちょいと砂利が多い。
 苦労しながら峠を降りるうち、青かった空に雲が多くなってきた。
 う~ん、この先のナイタイ高原、晴れているのを楽しみにしていたんだがなぁ…
 
 そのナイタイ高原は、やはり低い雲に覆われていた。

 見渡す限りの高原の中、うねうねと伸びる道路をひた走る。
 雰囲気は九州の阿蘇あたりに酷似している。「ここ、隼で吹っ飛んで走ったら気持ち良いだろうなぁ…」


雲が残念だけどねぇ


 頂上の駐車場で小休止。
 帰り道で、ネスカフェのCM用に作られたという「ツリーハウス」をほうと見学する。


一家に一台ツリーハウス

 道道806を上士幌まで降りてR241へ。

 給油したGSの片隅でオイルチェック。
 「うー、やっぱり減ってるなぁ、まぁ高速道路で回しっぱなしだったのが原因なんだろうけどなぁ…」

 昨年同様持参したエンジンオイルを追加投入。
 たっぷり150cc入れたところでレベルゲージ下限となった。


出先だと車体を垂直に立てるのが難しいんですけどね

 国道脇のレストランで昼食(そう、実はまだ12時だったりするのだ)ラーメン&豚丼が美味で満足。

 腹が膨れて安心したところで…さて、これからどうしようか?

 今回の北海道ツーリングのメインに狙っていたのは3箇所。
 「タウシュベツ橋」「屈斜路湖一周」そして「道北スーパー林道」だ。

 一応、「初日にタウシュベツ、2日目屈斜路湖付近で遊んで、3日目スーパー林道。4日目に北端回って小樽へ」と考えてはいた。
 
 だが、昼に確認した天気予報では、3日目と4日目の道北の天気がいま一つ。
 「雨のスーパー林道は走る意味なし!」とはよく言われていることらしい。(…らしい)
 ならば今日のうちにオホーツク側に出て、天気の良い明日のうちにスーパー林道を制してしまうというのはどうだろう?同じキャンプ場に連泊すれば走るときの荷物も減らせるはずだし…

 「よーし、オホーツクへ出るぞー」

 ★

 R242を北上。
 天気はまた良くなってきた。
 空が青くなると自然に気分も盛り上がってくる。うん、単純だよな、俺。
 


いいんです、晴れてれば

 道の駅「オーロラタウン93りくべつ」で休憩。
 どうやらここは昔の駅舎で、今は観光用に列車の試乗(運転)なども出来るらしい。
 

 
お好きな人にはたまらない…んでしょうね

 そういえばこの先、国道脇の線路跡ではあちこちで工事が行われていた。
 廃線になった鉄道を取り壊しているのだろうか?それとも復活させようとしているのだろうか?あとで調べてみよう。


工事していないところはこんな感じですけどね

 北東へ走るにつれ、道は益々道東らしくなる。
 「莫迦直線」も健在だ。


これはわき道ですが(笑)

 午後になっても気温は相変わらず。
 停まると暖かいのだが走ると冷える。やっぱり北海道をナメちゃいけないんだねぇ。(いや別にナメてはいないけどさ)

 るべしべで道道103へ。
 途中でわき道「瑞穂林道」へと入る。

 ここは生活道路っぽい林道だ。
 砂利は少なく、路面は固められた土の場所が多い。

 これがまぁ滑る滑る。
 ちょいウエットな部分ではフロントからずるりと持っていかれ転びかける事数回…って、「ちょいウエット?」


ちょいウエット

 どうやら朝に雨が降ったよう、「へぇ、今はこんなに良い天気なのにねぇ…」

 R333を少しだけ走り、道道961。
 左に見えた小高い丘に「登る道は無ぇかぁ~」と探してみたりする。


もちろん無理です

 16:30、R228。
 閉店30分前の北勝水産で土産を手配。よし、これで安心して走れるぞ(笑)

 今日の宿、キムアネップキャンプ場はもうすぐ先だ。
 そう、どこに泊まるか散々悩んだ挙句、安全パイのキャンプ場を選んだのだった。
#ちょい風があるので虫も出ないはず…だよな?

 ★

 まだまだ人の少ないキャンプ場でテント設営。
 荷物をすっかり降ろし、身軽になる。
 よし、暗くなるにはまだ間があるし、「サンセットクルーズ」と洒落込みますか。

 来た道をUターン、道道961とのT字路側からサロマ湖展望台を目指して幌岩山林道を駆け上がる。
 


西日に長い影が

 荷物を降ろし、尻が軽いのでとてつもなく走りやすく感じる。
 路面もフラット、ついついスピードが乗ってくる。

 隼で登った時の3倍の速度を出してキタキツネを轢きそうになり、対向車にビビって崖から落ちそうになる。
 調子に乗るとろくな事ないって何度も言ってるよな、俺。

 頂上展望台。
 メタボから脱却した俺にとって登りの階段など…はぁはぁ…

 サロマ湖(の脇)に沈む夕日はやはり綺麗だった。
 吹く風に煽られながら「オレンジ色の憎い奴」とか呟いてみる。(年齢踏み絵)


そういえば今年はつまみませんでした

 峠を降りる途中、またまたキタキツネを轢きそうになる。
 お前はさ、その前に俺と目が合ってるんだから、わざわざ飛び出してくるんぢゃないよ。


多分登りの時と同じ奴

 日が落ち、赤く染まった雲と月に見守られながら走る。
 せっかくサロマ湖までやってきたのだ、夕飯はそれらしいところで食べるとしよう。


明るく映ってますが、実際は結構暗くなってます

 某食堂で「ホタテづくし定食」。美味。

 コンビニでサッポロクラシック500ccを2缶買い、キャンプ場へと戻る。
 途中の林間道路でまたまたまたキタキツネを轢きそうに…(略)

 キムアネップでは、初めて管理棟でコインシャワーを使ってみる。
 100円で結構な時間浴びる事ができる。林道のホコリを落とす程度ならこれで充分かもしれない。

 テントでビールをやっつけて就寝。

 さぁ、明日はいよいよメインルートへチャレンジだぞっ!
 

 
<本日の走行距離=495km><給油回数=3回><教訓:そうか、林道込みで500km近く走ってたのか…>

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