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「翼よ、あれがパリの灯だ」 (←違います)
<2009年8月14日>
■島巡りをはじめましょう
6時起床はツーリング中にしてはゆっくりの朝。
実は5時前に一度目が覚めたものの、布団のあまりの気持ちよさについ二度寝してしまったのだ。
ぼさぼさの頭を窓から出す。「どれどれ今日の天気は?」
外は霧雨、路面もじっとりと湿っている。だが空はそう暗くはなく、風もあるので雲は次第に流れていきそうだ。
「そうか、んじゃ慌てることはないな」
布団の上でごろんごろんと転がって過ごす。(さすがに三度寝はしなかった)
あ~、こういうまったりした朝も偶にはいいなぁ。
7時、案の定霧雨が止む。
山の上はまだまだ真っ白だが、海の上はうっすらと明るくなっている。よし、んじゃま出発するとしますかね。
着替え時、ちょい考えて上半身には長袖を着ておくことにする。昨日以上に気温が低い予感がするからだ。
下半身にはニーシンパッドを追加。今日は林道にも入るからね。
まとめてあった荷物を持ってセローのもとへ。
霧雨でびっしょりと濡れている車体。う~むやっぱり電装系にビニール巻いておいたのは正解だったな。
積み込みを済ませ、宿の方にご挨拶。
いや、結構なお布団でございました。礼文に来たらまた利用させていただきます。
エンジン始動。暖機の間に体をストレッチ。頭上をカモメがゆっくりと舞っていく。
路面はまだ濡れてますけどね
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それっと出発。
何はなくともまずは朝飯、もちろん昨夕のおばちゃんの店へと向かうのだ。
山越え15分で店に到着。
5時からやっているとは言うもののさすがにこの時間には?と思っていたのに、先客が2人もいて驚いた。
おばちゃんに挨拶し、「ウニ丼ダブル」(多分ウニ2個分入ってる)を注文する。
見るからに赤いバフンウニの丼。少しのワサビとほんのちょっとの醤油で食べる。
もちろん旨い。旨くないはずがない。
昨夜のムラサキウニに比べると更に甘みが強い気がする。味もやや濃厚…とはいえ、昨日のムラサキウニだって充分すぎるくらい旨かったけどね。
赤みが強いですね
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うはうは食っていたら、先客の2人(カップル)が「ウニ汁美味しいね」と話しているのを聞きつけた。
つい「美味しいですか?」と尋ねたら、「すごく美味しいです」と答えられた。こりゃぁ頼まないわけにはいかないな。
器の中にウニと汁、それにワケギ(?)のトッピング。
う~ん、こういう汁もあるんだ。これはまた普通に食べるウニとはちがった旨さだねぇ…
「美味しいでしょ?」と言う先客二人としばし雑談。
男性の方はバイクにも乗っているとのことで話が弾む。なんでもこのお二人、昨夜はこの近くの某有名なユースホステルに泊まられたそうで…「いえいえ、私はなかなか勇気が出なくてですねぇ…」(謎)
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おばちゃんに「美味しかった!感動した!」と伝えて店を出る。
さてと見ると、ナナメ前にアイヌ土産の店がある。しかもこんな朝から営業しているようだ。
どれと覗くと、手彫りの小物が沢山置いてある。
昨日無くしたお守りも、阿寒湖畔の丁度こんなお店で購入したものだった。これも何かの縁なのかな?
店へと入り、愛想と恰幅、両方良い店主とやりとりしながら、小さな木彫りのストラップを購入する。
「コーヒー飲んでいくかい?」の誘いに甘えて店先の椅子に腰を下ろす。
最近では栃木県を説明するのに「日光」より「餃子」と言った方が通りが良いことを再確認。
裏には「礼文」と彫ってもらいました
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それっとUターン。昨日確認しておいた場所から、その名も「礼文林道」へと突入する。
道はフラットで走りやすい。ここは礼文島唯一(?)の林道、全長は8kmという短さなのでじっくり楽しみながら走るのだ。
それにほら、iPod shuffleの中にはGreeeenも突っ込んできてあることだし(←意味不明3)
ここって「利尻礼文サロベツ国立公園」なんですね
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南側から林道を上る。山の頂上まではおだやかな上り坂。歩くくらいの速度でとぽとぽと走る。
そしてこんな朝なのにハイカーの方が歩いている。軽く会釈してすれ違う。うん、やっぱここはゆっくり行かなきゃいけないな。
道には既にハイカーの方が
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高山植物(花)で有名な礼文島。山の上部に高い木はない。
だがところどころ人為的に植林がされている雰囲気がある。なぜ植林なんだろう?不思議だよな。
※後に確認したら、大きな山火事跡への植林との事だった。
峠の頂上付近は残念ながら霧が深かった。天気が良ければさぞかし見晴らしが良いことだろう。
花の群生地の看板もある。花を見ながらこの辺りをゆっくり歩くのも楽しそうだ。「尤もここまで歩いて来るのが大変だけどねぇ」
そんなことを考えながらシートに座って吹く風を楽しんでいたら、今来た道をタクシーが登ってきてびっくりした。
うわ、あの道をここまで上がってきたんだ。そりゃまぁ乗ってる客は楽だろうけど…
どこかに大きな画像で載せますかね?
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北側への下り。次第に林に囲まれ「普通の林道」色が強くなる。
路面も荒れてきて、さすがにここはタクシーは通れそうにない(笑)
時折ハイカーの方とすれ違う。歩くのも楽しそうだが頂上までは(略)
これはまだ上のほう
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道道40を北上する。
林道も良いが、こうして海沿いの道を走るのもやっぱり楽しい。
風は強め、結構な白波が立つ海を眺めながらほこほこと走る。
波が目立ちます
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右手に海、左手に丘を見ながら快走する。
天気はいまひとつだが、ま、気にしない気にしない。
「礼文空港」の看板を見つけて横道へ入ってみる。
ちょっとだけ坂を上がると開けた場所があった。駐車場かな?と思ったらそこが滑走路だった。うっひゃ~こんなに狭いんだ。
今は閉鎖中のようで人影はなし。
隣の丘に登って周りを見渡すと…「何もないなぁ…」
本当に何もない。空港の設備らしいアンテナが数本あるだけで、あとは電柱1本立っていないのだ。
その分見晴らしは良し
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丘を降りると海が西側に来る。
湾の内側のせいか波も落ち着いているので、どれどれと海岸まで降りてみる。
「うわー、すごいな、貝殻ばっかりだ。」
「砂浜だよな」と降りたのだが、そこには見事に貝殻が敷き詰められていた。
風のせいなのか波のせいなのか。貝を眺めながらしばし散策と洒落込んでみる。
「吹き溜まり」みたいになってるところもありました。
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湾(船泊湾)をぐるりと回るとそこがスコトン岬。
有名な観光地ではあるのだが…「ん~、まぁ岬だなあ」(をい)
スコトン岬
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振り返るとこんな感じなものですから
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礼文島の道道はここで終点。単なるUターンはつまらないのでわき道を探す。
細い舗装路をごそごそ入っていったら分かれ道に出た。
右は「ここから先は遊歩道だから入っちゃダメ」、左は「コース出口だから入っちゃだめ」
くっそー、入っちゃダメなら向こう側から出てやるぅ~
それにしても見晴らしいいな…
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道道507へ戻り、数キロ走ってわき道へ。
ぐんと上る細い道には、ところどころに「遊歩道」の案内が現れる。
この「遊歩道」が有名な「礼文の8時間コース」(歩き)なのだろう。
この辺りも山に木は無い。広い草原一面に花が咲いている。
先は美味しそうなダートでしたが遊歩道なので入れず
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ぽとぽと走って先の「出口側」へと到達。へっへっへ、きっちり一周してやったぜ。
その後もわき道を見つけては飛び込んでみる。
大抵は数百メートルで行き止まりだが、時折漁港(とまではいかない小さな湾)に出たりもする。
うん、セローだとこういうところへも気軽に入れるから便利だよな。
次なるわき道は「礼文森林の丘」って、を、未舗装路じゃないですか。
嬉々として飛び込んでいく。
路面は砂利だが一部は普通の林道風、それほど荒れてはおらず、「乗用車でもゆっくりならOKか?」くらいの感じだった。
道が簡易舗装へと変わるとそこはもう山の上。「うわー、ここも景色いいな!」
★
相変わらずの曇り空だが、見晴らしはとてもいい。
(上の画像とは逆方向の)遠くに港と湖、そして連なる山というか丘。「ん、阿蘇の大観峰みたいだな」
まだ整備中とはいえこの景色、ここまでの道が全部舗装になれば、結構な観光地になるに違いない。
来年位には整備されるんでしょうか?
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道道507へと戻ったら空港方面へは行かず、道道40で久種湖の脇を走ってみる。
湖の脇は湿原になっており、山とはまた違った景色が楽しめた。
「狭いと思った島だけど、こうして回るといろいろ見るところあるんだな…」
湖脇の湿原
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ゆったり走ってフェリーターミナルへ戻ったのが12時前。
稚内へと戻る便の出港は13時、手続きは30分前でOKだから昼飯食うには充分な時間がある。「さぁ飯だ飯だ!」
礼文での最後の食事ももちろんウニ。今回はあえてウニだけでなく、ウニ・イクラ丼にしてみる。
もちろん旨い。こりゃバフンウニだな、イクラもプチプチしてて○。
どちらもツヤツヤしてました
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土産に昆布やらなにやらを買い込み(ウニは買っても(宅配しても)この味は出せそうに無いのでパス)フェリーへと乗り込む。
さらば礼文島。旨かったよ、ウニ。
多分また来るけど、その時はもう少しだけ晴れてくれると嬉しいな(笑)
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15時、稚内着。
大きく伸びをして走り出す…前にセローのエンジンオイルチェック。案の定減っていたので補充する。
去年程ではないとはいえ、やっぱり距離乗ると減るんだなぁ→エンジンオイル。
#距離というより「長い時間走り続けると」な気もするけど。
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稚内から東へと走る。
次なる目標は宗谷丘陵、これまで見つけられなかった(入れなかった)「白い貝殻コース」を探しに行くのだ!
国道238をぐわっと走る。
右手に広がる稚内空港、うん、礼文空港見た後だと凄い大きく感じるぞ(笑)。
道が北を向くようになると宗谷岬が近くなってきた証拠。
宗谷丘陵まで国道を使ってはつまらないので、手前の林道から回っていくことにする。
ツーリングマップルに「曲がる目印は郵便局」と書いてある林道。だがその郵便局が見つからない。
携帯電話に装備したGPSを起動する前に、自前の俺GPS(「野生の勘」ともいう)を起動。
「多分この辺りを入って…ほぉら、あった!」
#というか、道を1本入らないと見えない郵便局を「目印」って書くのはどうかと思うぞ→ツーリングマップル
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本日2本目の林道をごとごとと進む。
坂を上って何気に振り向くと綺麗に海が見渡せる。そして上ってきた林道がその海に消えていくように見える。
あ、これ何気に良い場所かも。
ほんのちょっとした距離ですけどね
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宗谷丘陵へ突入。うっひゃ~相変わらず凄いなここは。
バカッ晴れも良いが、今日のような薄曇の時もなかなか趣がある風景だ。
人気はまばら、こんないいところなのにねぇ、不思議だねぇ…
相変わらずの絶景でした
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景色を楽しみながらゆっくり進む。
いつぞやチェーンの掛かっていたあの場所は……おお、なるほど開いているじゃありませんか。
#一応下調べ済み(笑)
それではと進入。牧草地を少し走ったT字路で左へ曲がると、「お~、これが貝殻ルートか~」
道にはなるほど白い貝殻が敷かれていた。そして広がる牧草地を大きくうねって走っていく。うん、こりゃぁ確かに綺麗な場所だ。
うねうねと続く道
路面には白く貝殻が
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とぽとぽと進む。
ゆっくりと上がって下がって。海に向かって続く道が気持ち良い。
終点はやはり牧草地だった。
道が切れたところで休憩。「あ~、風も気持ち良いぃ~」
終点です
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この道、以前はなにかの宿泊地(キャンプ場?)へのルートでもあったらしい。途中にはそれらしい建物がいくつか。
「ここキャンプ場だったら定宿にするんだけどな。まぁ風が強い時は大変かもしれないけど」
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Uターンして国道へと降りていく。
お馴染み「北端のGS」で給油。しっかり証明書とお守りも頂く。これで3個目だったかな?いつもありがとうございます。
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「っしゃぁ行くぜいっ!」と、海沿いの国道238の南下を開始する。
相変わらずの風に、見える波頭はますます高くなる。時折シールドに水滴が付くのは波飛沫のようだ。
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猿仏まで一気に南下し、海沿いの道へとでる。
ここが噂の「さるるんライン」、最近では「エサヌカ線」などと紹介されていることが多いのだが、名付け親としてはなんとしても「さるるんライン」と呼んで欲しいものだ(笑)
尤も今日の目的はさるるん本線ではない。その更に海側にあるダート、「裏さるるんライン」(←今命名)を走りに来たのだ。
★
まずは表さるるん。
海沿いを真っ直ぐに走る道路。相変わらず見晴らしが良い。
★
直線をだーっと走って突き当たったT字路は本線が右、なので左のダートへと入っていく。
「これが裏だよな…」と進んでいくと…「あひゃっ、行き止まりか」
道路はぷっつりと途切れ、その先には海岸が広がっていた。
「もっと先からなのかな?でもこの道って、夜走ってくると海へ突っ込んじゃうよな…」(←ここを夜走る人はいないと思う)
まぁ立ち入れませんわな…
★
一旦本線へと戻り、「まだかな~まだかな~」とぽへぽへ走る。
以前来た時には無かった気がするのだが、な~んにもない平原の真ん中に唐突に立つ一本の鉄塔。
「塔」というか単なる鉄棒で、なにかの施設のような気配はない。なんだこれ?避雷針とかか?
#画像撮り忘れたけど、知ってる人いたら教えてプリーズ
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やがて左手に道が現れたので乗り込んでいく。道はしっかりとダート、どうやらここが「裏さるるん」(←しつこい)で間違いないようだ。
「さあ、地図上では10km近くあるから楽しめるぞぉ…」
路面はフラット、海沿いにしては砂もさほどではなく快適に走れる。
最初はさるるん本線同様の直線ルート。途中、エサヌカ原生花園辺りは防風林(板)の間をかいくぐるタイトなぐねぐねコース、その先は路肩から大きく覆いかぶさる草を掻き分けての走行となかなかバリエーションに富んだ走りになった。
こんなのとか、
こんなのとか
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ぼへっと国道238へと復帰する。
いやー走った走った、ダートご馳走様でしたっ!
日も大分傾いてきたし、このまま宿へ向かうとしますかね。
今日の宿はクッチャロ湖畔のとほ宿。
その駐車場へとセローを進めると、なんと新型VMAXが停まっていた。
北海道へ来てからたった2日で3台とは結構な遭遇確率じゃありませんか(笑)
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夜は宿の食堂でのジンギスカン。
同室となった先のVMAX氏とK1200R氏とあれやこれやのバイク&北海道話。
初北海道だというK1200R氏に見所をあれこれ解説…って、偉くなったもんだなおい(笑)
「お前は育ち盛りの中学生かっ!」という程肉を食べて至極満足。
夜は夜で軽く呑みながらまたまた北海道話。
あぁ、それにしてもあと1日しかいられないのか、北海道…
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<本日の走行距離=215km><給油回数=1回><教訓:今日は実走行の倍くらい走った感じの満足感が>