☆ ツーリング紀行 ☆
2010 北海道 "判定" ツーリング記

<3>


雨が降っていないだけで幸せを感じます
 


<2010年8月12日>

走れ東へ

 7時起床。(実は2度寝)
 窓から見上げる空は…「を、降ってないじゃん!」

 昨夜の雨は実に酷かった。夕食を摂っているあたりから本降りになり、夜半には豪雨になってしまったのだ。
 「明日は1日雨かなぁ…」と思っていただけに嬉しい誤算、これなら今日は林道へも寄り道できるかな?

 朝食後、ごそごそと出発の準備。
※予定では「早朝から走りだす!」だったので朝食抜きで宿を予約したのだが、昨夜あまりの雨に弱気になり急遽変更した。急な変更に対応してくれたオーナー氏には感謝感謝。

 8:30、記念撮影の後出発。
 とりあえず雨具は着てみた。水はねを受ける下半身はともかく上半身はまったく不要だが、「キレバフラナイの法則」はなかなかおろそかにできないのだ。


宿泊者一同、起立!

 今日予定しているコースも向かうは東だ。
 使うのは道道1025。これは昨夜宿のオーナー氏に教えてもらった裏道だ。 

 なるほど、教えてもらったとおり交通量はほぼゼロで信号も激少、国道より走って楽しい道だった。

 空の雲はまだまだ厚いが、薄く煙る山々も(霧深いんだろうなぁ)湯気の立ち上る川も(気温はやっぱ高めか?)風情があって良い。

 程よいワィンディングを気持ちよく駆け抜けているうち、空が次第に明るくなってきた。
 「もう大丈夫か?」と上半身の合羽を脱ぐ。


何事も先が明るいと嬉しくなりますね

 路面はドライとウエットが半分半分。
 でもまぁブロックタイヤ&セローのパワーでは正直ペースはさほど変わらない。(スリップダウンだけには要注意)

 どれどれと走って浦賀付近。
 海が見たくなり、ちょっとだけ海岸沿いの国道235へと出てみる。
 
 「おーやっぱ海上は曇が多いなー」
 この分だと以前行った襟裳岬はどう考えても霧の中だ。残念だが今回はパスすることにしよう。

 日高幌別で給油。

 新潟で給油してからさほど走っていないのでガソリンはまだタンク半分以上残っているはず。だが150kmも走るとそわそわしてしまうのはVMAX乗りの悲しい性(サガ)である。

 襟裳岬をショートカットする内陸の国道236。気温は25度と丁度良い感じ。
 空は更に明るくなり日差しさえ出てきた。路面はもちろん完全ドライへ。
 
 うきうきと下半身の雨具を脱ぐ。が、結構な数があるトンネルの中は当然のようにまだまだヘビーウエットだった。
 「うがー!膝下が膝下がっ!」
 …というか、学習しろよ、俺。


何度同じことをすれば…

 まぁ今更雨具をつけるわけにはいかないのでそのまま走る。この天候ならそのうち乾くだろう。

 山越えの国道は場所により気温が上下する。ウエアのベンチレーションを開けたり閉めたりを繰り返す。

 11時、R336へ合流。膝も乾く。
 さて、せっかくだしこの辺りで林道一本いっときますかね。

 乾いた膝に雨具を履き(←林道対策)道道881へと乗り込んでいく。
 あ~行ってこ~行って、この先がダートで……あれ?道が二股になってら。

 地図では一本道の海へと出るダートが、何故か左右に分かれている。むむむとと太い左の道へ入ってみる。

 今年の北海道での初ダート。ちょい深めの砂利道は山を上り広い直線を抜けた後うねうねと続いていく。
 それっと走る…のは良いのだが、「そろそろ海へ出るはずなんだがなぁ?」


こんな立派な道が地図に載っていないはずは?

 海岸へと出るはずが、完全に山の中へと入ってしまった。
 
 しばらく進むと現れたのが牧場。
 道はその敷地内を通っているようないないような…ま、先へ進んでみるか、ガソリンはたっぷりあるんだし。
 
 そこから更に2kmほどいったあたり(既に海にでるはずの距離の2倍は走ってる)上からジムニーが降りてきた。
 道を聞こうとセローを停める。と「この先は行き止まりだよ、あとここ、うちの敷地内なんだけど」
 え~!、やっぱ牧場でしたか。失礼しましたぁ~!

 すいませんすいませんとUターン。
 牧場のオーナー氏(?)が笑いながら運転するジムニーに追いかけられて山を降りる。あーやっぱ林道で距離測るのって大切だよな。

 先の二股まで戻り、今度は細い右側へ。
 こちらは平地のダート、地図どおりの距離できっちり海岸へと出ることが出来た。ふへー。

 何時の間にかまた雲が厚くなってきた空。近づく台風の影響か、海には白い波が立っている。

 周囲に人影はゼロ。聞こえるのは波の音と海鳥の泣き声だけ。
 
 「今ここで高波とか来たら逃げられないよな」とかネガティブに考えてしまうのは、天候のせいか、それともフェリーの中で読んだ文庫本のせいなのだろうか。


妙にさびしく感じる海岸でした

 そそくさとUターン。
 実は海岸に並行してもう一本ルートがあったのだが今回はやめておく。

 もしかするとちょい離れた展望台へ繋がっていたかもしれないこの道。大きな水溜りで遮られていたのと、先が見えず「何か嫌な気がした」のだ。
※結果的には正解。


あなたならどうします?

 先の2股まで戻り、やれやれと停まった所で空から急に雨が落ちてきた。

 空はまだ明るいのだが結構本格的な雨粒だ。
 慌てて上半身にも雨具を着込む。停まっていたから間に合ったけど、さっきのダートへ入っていたら酷い事になっていたかもしれないな。


ま、慌てず行きましょう

 道道881から国道336へ復帰。雨は降り続ける。

 「まぁもともと今日は1日雨の予報だったし、ここまでこれだけ走れただけでもよしとしときますかね」

 国道336はやがて二手に分かれる。選んだ海沿いの方は未完成で、途中からダートへと変わる。
 
 以前隼でも走ったこのダート。途中に前回は気づかなかった「黄金の滝」という看板を見つけて寄ってみる。

 道沿いから海へと落ちていくのはなるほど滝だ。
 だが、柵も仕切りも何もない。こわごわ降りていくと滝の上まで行く事ができる。うわ、これ足滑らせたら大変だな…
※そのうち整備されて公園とかになるんだろうな…


もちろん駐車場(?)も未舗装です


足元から凄い角度で落ちていくんですよ

 13時、「昆布刈石展望台」は隼でも記念撮影した有名地(?)だ。
 
 ようやく小ぶりになった雨の下、先客のTTR氏に聞かれ「ええ、この先はちょい降ってますよ」と答えてみる。


また明るくなってきました

 ここまで結構な距離のダートが残っていて安心した(?)のだが、ここから先はずいぶんと舗装工事が進んでいた。
 昆布刈石がダートなのもあと2、3年かもしれない。
#とまぁここ数年言われ続けているわけですが(笑)

 道道1038は延々と海岸縁を走る舗装路。
 本当に海岸沿いなので、今日のように波が高いとしぶきが道まで飛んでくる。
 雨具をつけているから平気だけれど、バイクは洗ってやらないといけないな……というか、この雨なら自然に塩分は流れるか。

 そして気づく、「うわっ!ブーツがっ!」

 先の林道の後、慌てて合羽を着たのでブーツカバーは省略した。
 そしてその後の結構な雨。何時の間にやらブーツの中まで浸水してきていたのだ。
 「うひー気持ち悪いぃ~」

 失敗した失敗したと国道38へと復帰する。

 14時前、街中のセイコマで遅い昼飯を摂る。(←合羽着てる&ブーツが濡れてるので食堂へ入るのが面倒)

 オーダーは当然のようにグランディアブラックとしっとり豆パン、それに今年はちょい高めらしいのだけれどゆでとうきび。

 うん、どれも旨い。朝飯をたっぷりと摂ったのであまり腹は減っていなかったのだがあっという間に食べつくしてしまう。
 デザートにとカウンター前に置いてあったバナナを1本追加。よし、これで宿の夕食まで大丈夫っと。


なんでこうセイコマの食べ物は美味しく感じるんでしょ

 国道をぐわっと走ればそこはもう釧路だった。
 R391へと乗り換え、釧路湿原の東側を北上する。

 今宵の宿は真っ直ぐ行けばここから1時間ほどのはず、時間はまだ早い。
 なら雨だけど、もう一本林道へ行ってみますかね。

 釧路湿原の「細岡展望台」へと抜ける林道の入り口を探して走る。
 「あー、頭の中がまだツーリングマップルの北海道スケールに切り替わってないなー」
#北海道の地図は縮尺が小さいので見た目より距離がある。

 何とか見つけたそれらしい入り口。ここでいいんだ…よね?


「岩保木踏切」とありました

 それっと山道を駆け上がる。
 割と走りやすい道だ。砂利と言うより土っぽく、今日のような天候だとちょい滑り気味だが充分に楽しめる。まぁ荷物がデカいからそうそう遊ぶわけにもいかないのだけれど。

 うらうらと走っていたら、林道をバックしてくる四輪がいてびっくりさせられる。

 停まったので「行き止まりとかですか?」と聞くと、「いや、なんか道が狭くて不安になったので」とのこと。
 んー、道は普通の太さだし、見通しのきかない場所でバックする方がよほど怖いと思うだけどなぁ…


そんなに狭くはないですよ

 なんとかUターンしようとする四輪を尻目に先へと進む。

 上りが終わると左手に湿原がちらちらと見えてくる。
 林道は広くなり路面も更にフラットに。走りやすくなった道はセローでも60kmオーバーで走り続けられる。

 「あれ?また四輪が」と思ったら、そこが展望台への入り口だった。
 
 駐車している四輪が数台。どうやらここから先は舗装されているようだ。

 せっかくなのでセローを停めて覗きに行く。
 細岡展望台からの見晴らしはよかった。天気は決して良くない(というか雨)だが、雨に煙る湿原と言うのもなかなかに風情がある。
 それにほら、晴れてたら大混雑だったかもしれないじゃないですか。(←ポジティブシンキング)


遠くまで見晴らせます


こんな天候でもカヌー遊びする人がいるんですねぇ

 出発。反対側の舗装された道を降りて国道へ。
#こちら側からならすんなり上がれたのにねぇ→バックしていた車

 さぁて、林道もきっちり走れたし、今日はこれで宿へ向かうとしましょうか。

 とぽとぽ走って宿への到着は16時半となる。
 どうやら今夜は満員に近く、しかもほとんどライダーらしい。

 この天候の為、宿へ早めに着いたバイクが多く、用意されていたガレージは既に満杯だった。
 「オフ車だから大丈夫ですよ」とセローは露天の玄関脇へと停める。
 あ、でも今夜は台風が通過するかもしれないんだよな。持ってきたアレ使ってカバーしておくか。
#アレ→フロント周りの電装を守るための自転車用のカバー


風でバタつかないように、自転車用荷ゴムでぐるぐる巻きにしてあります

 荷物を降ろし、合羽を脱ぎ、ブーツを脱ぐ。

 びしょびしょになっていたブーツはインナーを外し、中に古新聞を詰め込んでやる。
 古典的な方法だけどこれが一番効くんだよな。

 後は当然、フロ、ビール、飯、ビール、雑談、ビール
 バイク乗りが多かっただけに、夜遅くまで話を楽しむことができた。

 夜半、昨日同様雨が強くなる。
 心配になり一度セローを見に行くが、雨・風対策は大丈夫そうで一安心。

 さて、明日がメインと考えてきた今回の北海道ツーリング。
 頼むぞ、今夜のうちに通り過ぎてくれよ、台風4号・・・

 ★

 
<本日の走行距離=345km><給油回数=2回><教訓:思っていたより楽しめたのは間違いありません>

 ←PREV   NEXT→ 




 ツーリング紀行へ戻る