まずはバラしてみましょうか / 加工開始 / インプレ1 / Ver2作製 / インプレ2
■ まずはバラしてみましょうか
新シート(中古だが)の導入により、ガレージのロフトに保管されたままになっていた旧シート。
んじゃまそろそろ活躍させてやるとしましょうか。
なにをするかといえば、もちろん(?)オリジナルシートの作製である。
以前にも書いたが、14年物(…)の旧シートとは言えシート表皮の破れはない。ベースもしっかりとしており、ヘタっているのはスポンジのみ。
これを補修すると共に、形も変えてしまおうという趣向である。
テーマは「お気楽極楽」
まったりツーリングに適したシートを目標とする。
足つきが良くなる事。
長距離乗っても尻が痛くならない事。
この2つが満たされればそれで充分、運動性とか操縦性とか見た目とかは一切気にしない。
…とかなんとか偉そうな事を言っても、素人仕事でできることなど限られている。
自分で満足できる仕上りになるかどうか…ま、ともかくやってみましょうか
まずはとシートの分解を開始。
はじめに背(腰)もたれ部を取り外す。
シート単体にする為に、シートベースの4本のナットを外し、更に可動部の左右ヘキサボルトを外す。
これで背もたれが分離できる。
次に表皮を剥がす。
隼のリアシートを改造した時同様、ちまちまとステープラーの針を抜いていく。
表皮を傷つけないよう気をつけながらマイナスドライバーでこじり、浮いた針をペンチで抜いていく。
ああ、わかっちゃいるけど面倒だな…そういえばその昔、カッター1本でRG(RGVではない)ガンマのシートを張替え&削った時には、タッカー代わりのホチキスが留まらなくてずいぶん泣いたっけなぁ・・・しみじみ。
細かい作業は苦手なんだけどねぇ… 思っていたより綺麗かも?
針を全部外し、表皮を剥ぐ。
をを、意外と綺麗かも。
黒ずんだ部分(黴か?)はあるが、スポンジは思っていたよりしっかりとしていた。
表皮とスポンジの間にはビニールシートが挟みこまれている。これが防水の役目を果たしていたのだろう。
当然のことだがビニールは破れが目立つ。改造後には新しいものを張ってやるとしよう。
スポンジとシートベースとの接着は隼同様簡単なものだったので、さっくりと分離する事ができた。
簡単に外れました
さて、というわけで、スポンジ部は再利用が可能の様子、まずは数日間乾燥させるとしよう。
これをどう削るか、そしてその後どうするか。
乾燥の間にじっくり考える事にしよう。
■ 加工開始
スポンジが乾いたところで加工を開始する。
整形作業に使うのは大型カッター。
柔らかいスポンジを綺麗に切る為には熱したニクロム線を使った専用カッターが一番なのだが、そうそう贅沢はいってはいられない。
改造シートは、全体的に「後乗り」の形状にする予定。ブレーキングの時、前にズレないようにしたいからだ。
従ってシートの前側はあまり加工しない。これは「この部分の純正シート表皮がきちんと成型(縫製)されているので加工すると後で面倒」というはなはだ実際的な理由もあったりするのだが。
<余談>
乗り心地の良さで知られるコルビンシートは、座面がフラットで大きく、尻全体で体重を支える仕様になっている。
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切り取り開始。
今回はヘタっている座面のスポンジを張り替える予定なので、この部分を大きく切ってしまおう。
切り取り予定部分にマーキング。シートベースと接着する面だけ残しておく。
おおまかにマーキング
ざくざくとカッターで切っていく。
予想通り、大型カッターだけでは綺麗にスポンジをカットすることは難しかった。
カッターで切れ目を入れ、後は手で少しずつスポンジをちぎっていく。
当然平面にはならないが…ま、素人仕事じゃこんなものでしょ。
さて、ではこの部分に貼る新しいスポンジの準備。
「新しいスポンジ」と言っても、もちろんメーカーやシート業者が使っているような専用品が素人の手に入るわけはない。
ではとかわりにと買ってきたのが・・・
低反発シートぉ~
最近安くなりましたよね
最近、枕やクッションに使用されるようになったアレである。
荷重をかけるとじわっと沈んで、上に乗ったものの形に合わせて変形してくれるし、そこそこのコシもある。
素人考えで「シートに使うと面白いかな?」と思ったのだ。
低反発シートにはいくつもの種類がある(らしい)
ホームセンターで探すと、厚いもの薄いもの柔らかいもの固いもの…とまぁあるわあるわ。
悩んでいるときりが無いので、一番厚く、一番固く、価格がそこそこのものを購入してくる。
中身を取り出してしげしげと観察。
ううむ、これはスポンジというよりウレタンだな…カッターで整形するのは楽そうだが、ちょっと固すぎたかな?
カットしたノーマルスポンジに低反発シートを組み込む。
サイズは実寸合わせ
幅を合わせて切り、中心部にマーキングした後、カッターでざっくりざっくりと切っていく。
切り過ぎたら元には戻せないので慎重にっと。
大まかな形になったら、ノーマルスポンジと接着。
接着はスポンジタイプの両面テープで行う。下手な接着剤を使うとスポンジが解けてしまうので注意が必要だ。
貼り終えたら、もう一度カッターで整形。
元の形に順ずるように、かつ座面が下がるように整形する。
もう少し直す必要があるかな?
ある程度満足できる形になったら、実車へ取り付け、跨いで見る。
ううむ、シートが硬いな・・・
低反発シートが思っていたよりずいぶんと硬い。もう少し沈むと思ったのだが。
これだと座面は下がっても、沈みきった時点でのシート高はノーマルと大差無い事になりそうだ。
座面も小さい感じがする。
「ヤバいな、ちょいと角を切りすぎたか?」
ま、切りすぎてしまった物は仕方が無い。このまま続けるとしよう。
試乗(走ってはいないけど)と整形を繰り返し、「ま、こんなものか?」という妥協点を探り出す。
最後にもう一度、シート表面をカッターで均し、更にヤスリをかけてやる。
シート表皮を張ったとき、スポンジ表面が荒れていると非常に見苦しくなるのだ。これは○×年前にアンコ抜きした時の経験則。
スポンジの上にビニールシート(0.1mm厚だったかな?)を被せ、その上から純正表皮を被せ、張っていく。
表皮を伸ばしながらタッカーでパチンパチンと留めればよし、皺の寄らないように気をつけて…っと。
ちょい皺はできたけどこんなものでしょう。
さぁ、後は長距離走って、乗り心地を試してやるとしようか。
■ インプレ1
…という訳で試乗に出かけてみる。
まずは純正シートにどっかりと座り、ノーマルの感覚を尻に覚えさせる。
その後いそいそとシートチェンジし、新シートに座ると…「か、固っ!」
なんだぁこりゃぁ!
成形しているときの試乗では気づかなかったが、猛烈に固いのだ。
今日はちょい気温が低く、低反発シートの沈み込みも少ないだろうが、それにしても固すぎる。
スポンジ1枚のレーシングシートに座っているような感じ、といえば伝わるだろうか。
ううむと呻きながらもとりあえずエンジン始動、ゆるゆると日光へ向かう。
案の定、30kmと走らないうちに尻が痛くなってくる。
痛いというより「疲れる」といったほうが正しいだろうか。我慢できないほどではないが、尻の頬(?)にじんわりと鈍痛が広がってくる。
うむむむむと更に呻ききながら100マイル程走る。
ポジションそのものは悪くない。
純正より後乗りになり、ステップやハンドルとの関係は良好。しかし…やっぱり固すぎだな。
帰宅後、ガレージでやれやれと純正シートに交換しながら考える。
とりあえず第1作は「失敗」として・・・さぁて、どう作り変えてやろうか・・・
■ Ver2 作製
「失敗は成功の母である」(だといいけどねぇ…)
ごく一部のマニアックな方々お待たせいたしました…というわけで、年も明けたし(?)ヴァージョン2の作製を始める事にしよう。
さて、前回の失敗だが、原因はただ一つ。「固い」事である。
単純に考えれば、スポンジ(低反発シート)を柔らかいものに交換すれば良い。
しかし、低反発シートに厚みのあるものが(手近なホームセンターには)無いのは前回調査済みである。
加えて、柔らかいと沈み込みも大きい為、シートの外形を維持することも難しい。
となれば…うむ、この固いシートの上に柔らかいシートを張って、二重構造(実際はノーマルスポンジも少し残っているので三重構造)にするのが良さそうだ。
こうして、Ver2はハイブリッドタイプとなる事に決定する。(←名前だけは格好良いな)
作業開始。
まずは前回同様背もたれを取り外し、シート表皮を丁寧に剥いていく。
今回は表皮を全部は剥がさず、シート後部のみ残しておく。
この部分は加工には関係ないことがわかっているので、こうしておけば貼り付け時の手間を軽減する事ができるだろう。
ここまで剥くのが面倒でねぇ…
剥き終わったシートをじっくりと観察する。さて、どう加工してやろうか。
とりあえずカットする事は確実なのだが、前回張った部分はカッターでざっくり切れることが判っている。
シート本体から前回加工部分を取り外す必要はないだろう。
どのくらいカットするかは…新シートと組み合わせてから考えるとするか。
ではではと、某ホームセンターで目星をつけておいた「柔らかい低反発シート」を購入してくる。
割と安く買えました
今回使用するのは、クッションというか座布団として使用するタイプのシートの中身で、厚みは約3cmといったところ。
但し、押しつぶすと5mm以下にまでなってしまう。(指先で簡単に潰せる程柔らかい)
今のシートにこれを貼るとして…厚みはどれくらいとればいいんだろ?
一見厚いけど……簡単にこんなに潰れるし
ううむと呻きながら、シートの前回加工部分をざっくりざっくり切っていく。
切り取る厚みは1cm程だろうか。特に深い考えはない、あくまでも勘である。(勘だけかよっ!)
ところで前回の試乗では、角を落としすぎた為かシートが妙に丸く、尻との接地面積が小さく感じたものだ。
せっかくの再加工だ、今回は座面を大きくする為あえてフラットに削ってやるとしよう。
表面が平らになるよう、カッターで整形していく。
「どうせなら、中央部が少し低くなるくらいの方が乗っていて楽かもしれないな…」
極めて感覚的に削ってみました。
とりあえずの出来映えに満足したら、さて、柔らかいシートを貼ってやるとしよう。
前回同様、新シートに中心線を書きこみ、実物あわせでカットしていく。
今回は柔らかいので、厳密に形状を決める必要がない。表皮を張れば勝手に縮んでくれる(だろう)からだ。
縮む事を考慮して、やや大きめに切っておけば良いだろう。
シート表面を回り込む感じになるので、角を少し落としておく。
両面テープで貼り付ければ出来上がりである。
一見分厚く見えるけど、これが潰れるんですねぇ
どれどれと、手で上から押して固さをチェック。
……ふふふ、柔らかい柔らかい……
押すと手の平の形がくっきりと残るこの感じはまさに「低反発シート」である。
しかし、この上に座るとなると…ちょいと柔らかすぎるかも?
まぁ全てはやってみてからよ、と表皮を張り始める。
シート(スポンジ部)が厚くなった分、表皮は前回より確実にきつくなったが、シートを潰しながら張れば問題はない。
表皮の後部を付けたままにしておいたのはやはり正解で、前回の半分の時間で貼り終えることができた。
これはまだ完全には張り終えてない状態ですが…
出来上がったシートをしげしげと観察しての感想。
「う~む、どう見てもこれはアンコ増しだな…」
パンパンに張ったシートは皺もなく綺麗に張れているものの、確実にノーマルより厚い(高い)。
但し、手で押すと見事に沈んで(縮んで)くれる。
座面も以前より確実に広い、内腿が当たる辺りのふくらみもなかなかイイ感じである。
「こ、これ、乗ったらどんな感じになるんだろ…」
手前味噌だが、試乗がとても楽しみなシートに仕上がった。
早速試乗…といきたいところだけれど、今はちょいと時間がねぇ…
■ インプレ2
ごく一部のマニアックな方々(以下略)…というわけで、今日は天気も良い。テスト走行に出かけるとしよう。
まずはシートの交換。
ノーマルシートの感覚を尻に覚えこませて…は前回と同様だが、今回はそれに加え、ノーマルシートと改造シートの足つき具合などもチェックしてみる。
■座り心地
まだノーマルよりは固い。但し、座っていると次第にじわりと沈む感覚はなかなかに好印象。
しばらく座り続けていると、次第に座面がフラットになっていくのが感じられる。
■足つき
ノーマルよりやや良い。
内腿のあたる部分のスポンジが増えているので悪くなるかな?と心配していたが杞憂だったようだ。
ちなみに下の画像は「センタースタンドを立て、両足が均等になるように乗った時」のものである。
左:ノーマル 右:改造シート
非常に微妙ですが、確かにちょいと変わりました
うむ、悪くないぞ。では走ってみるとしよう。
真冬の風に鼻水をすすりながら走る。
ポジションは良好。座面がフラットになった分、前バージョンより更に「後ろ乗り」が強調されているようだ。
普通に腰を下ろしているのだが、気づくと尻がシートバックに触れるほど下がっている。
ブレーキングでも前にズレるような事はない。うむ、これはなかなか良いかも。
やはりちょいと固いシートだが、前回のように尻が痛くなるような事はない。
座面が広がった為か、尻の頬が「シートに乗っている」感覚が強くなっている。
100km程つらつらと走る。
ううむ、結構イケるな…
特に大きなデメリットは見当たらない。加えてメリットは大きく、実に気楽なポジションを自然にとる事ができる。
もう少し長距離(300km程度)を乗った時にどうなるかはわからないが、これならとりあえず合格って事にしても良さそうだ。
帰宅後、やれやれとMAXから降りる。
降りた後のシートにはくっきりと俺の尻の跡、低反発シートならではの現象である。
う~む、これはオフ会の時のネタに使えるな・・・