YAMAHA V-Max

☆ メンテナンス編 ☆

クラッチ再チェック

もしくはクラッチスプリング交換記


<2007年3月>

  いろいろやってきましたが

クラッチ周り、いろいろ交換記
クラッチ分解・点検記
・・・というわけで、長々やってきているVMaxのクラッチ周り。

 現在、不満の出た時(2005年夏)に比べかなり良くなってきてはいるのだが、俺的に完全に満足までには至っていない。
※満足=2005年の春以前の状態
 この辺りでもう一度整理しなおしてみよう。

■これまでの経緯と作業
・経年劣化でクラッチが滑る。
→他メンテと一緒に、ショップにクラッチプレート・フリクションプレートの交換を依頼。
→交換後、ギアが入りにくい・クラッチが切れにくい。
→レバーを握りこまないとクラッチが切れないと判る。
→クラッチフルードエア抜き
→マスタシリンダブッシュ交換(クラッチベアリング)
→クラッチホースメッシュ化
→クラッチレリーズ分解清掃&シール交換
→クラッチバスケット(ボス)の段つきチェック
→クラッチ&フリクションプレート組直し。

 結果、クラッチの「切れのタッチ」や「重さ」の部分では改善がみられたが「繋がる位置の近さ」は変らなかった。
※以前、
>クラッチの「近さ」はより細いグリップへの交換で改良されるはずだが、これくらい切れるならそこまでする必要もなさそう。
…と書いたが、結局グリップ交換後も大差なしだった。

 今でも、クラッチさえ切れれば、ギアの入り自体は悪くない。
 繋がる場所さえもう少し遠くできれば(余裕が生まれれば)レバーの調整範囲が大きくなり、俺の好みの位置にセットすることができるようになる。

 というわけで、「クラッチの繋がる場所を遠くする」(「レバーを少し握っただけで切れるようにする」)べく、もう少し足掻いてみるとしよう。
 
 

<余談>

■本来、V-Maxのクラッチレバーといえば「遠い」のが相場だ。
 手の小さい人が「レバーが遠くて…」と調整式レバーに換えるというのが定番。俺のように「近い」という事例はあまり聞いた事が無い。

■繋がる位置をレバー側で誤魔化すという手法もあるにはある。
 レバーにあるプッシュロッド用の穴に詰め物をして、見かけ上の位置を換えてやれば良い。
 ただこれは対蹠的療法でしかないし、レバーの「遊び」もなくなってしまい乗りにくい。
 やはり根本的な対策がしたいところだ。
 

 さて、そのクラッチが近い(なかなか切れない)原因だが、下の2つのいずれかに集約されると思う。

1.クラッチの移動ストロークが足りないのではないか?
 ※移動量が少ない=クラッチ板の間隔が広がらない=切れない

2.クラッチ・フリクションプレートがスムーズに動かないのではないか?
 ※間隔は正常なのだが、何らかの要因で引っかかっている=切れない

 それぞれにつき、更にその原因となりそうなものをネットやら人聞きやらで調べてみる。

1.の原因としては
・クラッチフルードの不良・エア混入・漏れ(漏れは無し。何度交換・エア抜きしたことか・・・)
・クラッチレリーズの不良(分解整備&シール新品交換済み。もちろん漏れなし)
・クラッチマスタ比・レバー比の違い(純正と同サイズ)

2.は
・エンジンオイルの劣化・粘度不良・量過多(もちろんチェック済み)
・クラッチ・フリクションプレートの不良or歪み(ほぼ新品で~す)
・クラッチバスケット(ボス)の段つき(チェックしました)
・クラッチバスケットの取り付け不良(blogに書いたロックナットの状態がちょっと気になる)
・クラッチスプリングの張力不均一

・・・といったところ。

 注釈に書いたとおり、ほとんどの箇所は(きちんとできたかどうかは別にして)既に点検・交換済みである。
 残っているのは、クラッチスプリングとバスケットの取り付けくらいのものだ。

 というわけで、まずはクラッチスプリングから。

 クラッチスプリングとは、その名の通り、クラッチを押さえる(繋ぐ)為のスプリングである。
 スプリングというだけに、複数の「バネ」である場合が多いのだが、V-Maxの場合はバネではなく鉄製の板になっている。
 これを縮めた反力でクラッチプレートとフリクションプレートを抑えるのだ。
#普通のバネ式に換える「コンバージョンキット」というのも売られているが、それはもうそら恐ろしい程の値段である。
 
 クラッチスプリングに関しては「スプリングが劣化して抑える力が弱くなり、クラッチが滑る」というのは聞いたことがある。
 だが、「クラッチが切れにくくなる」というのはどういう事なのだろう?と調べたところ、スプリングが均一に縮まずナナメになる=プレートに接触部分が残る=切れない。という事例もあるらしい。

 「ううむ、これはありえるかも・・・」

 うちのMAX、以前書いたように、プレッシャープレートがナナメに動いているような気がするのだ。
 「個体差か?」程度に軽く考え、できるだけ並行になるようにスプリングプレートを回してはいるものの、そもそもナナメになること自体がおかしいのではないだろうか。

 根本的な確認作業には、新品に交換してみるしか方法がない。
 「そうか、交換か・・・うう・・・パーツ代5,000円か・・・」

 泣きながら注文した新品パーツが届いたら作業開始。
 
 ステップ外してクラッチケースを開ける作業ももう慣れた


あっという間に開きました

 交換前に確認。
 「う~む、確かにちょっとだけナナメになっているかな・・・」

 
右がクラッチを握った(切った)状態。
画像だとわかりにくいかも

 前回「できるだけ並行になるようクラッチスプリングを調整」はしたものの、完全に並行になるには至っていない。
 握り始めの頃、若干ナナメに出る感じがするのだ。
 

 ★

 ううむと呻きながらクラッチスプリングを外す。

 歪みの確認の為、マニュアル指定のとおりガラス板の上に置いて確認してみる。


左:旧、右:新
ガタつき・歪みは感じられず

 
 見て判る歪みは…なし
 平面のガラス板とのガタつきも…なし

 試しにと、新しいスプリングプレートと重ねてみるとがズレは皆無。見た目まったく一緒である。

 「くそぉ、こりゃ見当違いだったかな……5,000円」
 


重ねても同じにしか思えません

 「ま、せっかく買ったんだし」と交換作業。

 これまたせっかくなので、クラッチプレート、フリクションプレートも一旦取り外して再確認。

 さくさく取り付けてもう一度動作確認。
 う~ん、確かに見た目並行に出るようになった気はするけど、これくらいの違いじゃなぁ・・・

  試乗へGO!

 翌朝、エンジン始動。

 暖機後、それではとギアをいれ、クラッチをそろそろと繋ぐと・・・

 「を?変ったか?」

 遠い、確かに遠い。
 クラッチの繋がる位置は確実に変わっている。しかも結構な変動量だ。

 「待て待て、前にも少し乗ったら戻ったって事があったじゃないか・・・」

 そのまま走り続ける。
 20kmほど乗るが状態変わらず。
 「これならば・・・」と、クラッチレバーの調整ネジを1(最も遠い)から2へと変えてみる。

 「うん、大丈夫だ!」

 以前は、夏グローブで1の位置でも「指4本目一杯握り」もしくは「3本指人差し指挟んでイテテ握り」でないと切れなかったクラッチだが、今は冬グローブなのに2の位置で指半分ほど余裕がある。
 これは、クラッチ交換以前より余裕がある程である。

 嬉しくて走り続ける。
 クラッチレバーが好みの位置になったV-Maxがとても乗りやすく感じる。ついついヘルメットの中でニヤついてしまう。

 3月下旬の気温だと、水温計の針はせいぜい真ん中までしか動かない。
 真夏の炎天下でクラッチが膨張すればもっと切れ味は悪くなるだろうが、それでもこれだけ余裕があれば充分に調整が効くだろう。

 「そうか、直ったか。ならこのまま海でも見に行ってみるかな・・・」


  総括

 とりあえず、「これにて完治」として良いと思う。

 そして直接の原因としては「クラッチスプリングが(目視では判断できないが)劣化していた」になるはずだ。

 もちろん他の部分も影響していたはずだし、それらの部分の点検・修理・交換も決して無駄ではなかったと思う。
 古くなっていた箇所を確認する良い機会だったし、これから先おきるはずだったトラブルのいくつかを回避できたのではないだろうか。

 それにしても・・・17年物のバイクとなればやっぱり「パーツに疑わしき点があったらとっとと新品に交換しろ!」って事なんですなぁ。

<謝辞>
 いろいろご意見を下さった皆さんありがとうございました。
 特に、最後に背中を押してくれたもひさんには感謝感謝。
 

#さぁ、これで心置きなくシーズンインを迎えられるぞ!
##あ、その前にリアタイヤを・・・

 



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