YAMAHA V-Max

☆ メンテナンス編 ☆

クラッチ分解・点検


とうとうこれを開ける日がきました…

 最後はここしかないでしょう    もう一度やってみましょうか


<2006年4月>

  最後はここしか無いでしょう

 クラッチ板を交換した(厚くなった?)事で露呈したクラッチ周りのトラブルだが、明確な原因は未だわかってはいない。

……というわけで、相変わらずのクラッチ周り。

 上記の通り、これまでいろいろ点検・整備はしてみたが、未だに満足する状態にはなっていない

 現状をとりまとめてみるとこんな感じ。
 

 クラッチ板交換前に比べ、クラッチが切れない・切れにくい。結果、ギアの入りが悪い。
 クラッチレバーを最後まできちんと握りこめば切れる。ギアの入りも問題なし。
 いつも切れないわけではない。半分くらいの握り(以前と同じ)できちんと切れる場合もある。
 温度(油温)が高い時に顕著に出る気がする。
 クラッチフルードの汚れ・減り等は無し。

 今までに、関係があると思われる周辺部分は相応にチェックしたと思う。
 あとは…クラッチ本体しかないんだよな。

 現状の現象のうち、気になるのはこの点である。
>いつも切れないわけではない。半分くらいの握り(以前と同じ)できちんと切れる場合もある。

 WEBでいろいろ調べると「クラッチバスケットに段付きが出ているのでは?」という疑問が出てきた。

 クラッチというのは、ご存知の通り2種類の板(クラッチプレートとフリクションプレート)がドライブ側とドリブン側に複数セット交互に挟まっており、これがくっついたり離れたりすることでクラッチの「切れ」を実現している。

 これらの板が収納されているのが、プライマリドリブンギア(通称クラッチバスケット。以下「アウターバスケット」と記載)
 これは名前のとおり、ドリブン(タイヤ)側に駆動力を伝えている。
 この内側にあるのがクラッチボス(以下「インナーバスケット」と記載)、こちらがドライブ(エンジン)側となる。

 バスケットには、収められた板がズレ(回転)しないようにスリット(溝)が切ってある。
 
 この溝に沿ってプレートが動くのだが、回転方向に力がかかる事で磨耗し、段差ができることがある。
 
 新品プレートに交換した後など、この段差にプレートが引っかかって動かなくなる(クラッチが切れなくなる)事があるのだそうだ。
※そうならないように、普通はプレートを交換する際に確認するのだそうだが。

 「新品に交換した後…」とか「切れたり切れなかったり」という現状を考えると、この原因に合致するような気もする。

 また、バスケットだけでなく、プレート(クラッチ&フリクション)に「バリ」があると、これまたスムーズに動かない事もあるそうだ。
 
 う~む、やっぱり自分の目で見て確認しないといけないなぁ…
 

  やるだけやってみましょうか

 そうと決めたらまずは下調べ。

 WEBで調べ、マニュアルとパーツリストを熟読。
 本当は経験者に話を聞ければいいのだが…まぁそれはどうにもならなくなってからでもいいか(←遅いと思う)
 
 一通り納得できたら作業開始。
 
 まずはオイルを抜く…といきたいところだが、V-Maxの場合、サイドスタンドを掛け左側に傾いた状態でならオイルは抜かなくとも作業できるらしい。

 なるほど、サイドスタンドを立てると、右側クランクケースカバー(以下「クラッチケース」と記載)と同じような位置にあるオイル点検窓からもオイルは見えなくなる。
 ふむ、これなら大丈夫そうだな。


オイルが見えないから大丈夫でしょう

 バックステップを外し、クラッチケースのボルトを外していく。

 ボルトには驚く程トルクがかかっておらず、軽く外すことができた。
 ここは前回、専門家がトルクレンチを使って作業しているはず。こりゃぁ締める時にはオーバートルク(締め過ぎ)に気をつけなければいけないな。

 やはり一度外しているからだろうか?ボルトを外し、ゴムハンマーで軽く叩くとクラッチケースは簡単に外れてくれた。
 そ~っと外すとやはりオイルは流れてこない。よ~し、上手くいったぞ。


ガスケットも綺麗に剥がれました

バラす前に、まずはクラッチの動作テスト。

クラッチを握る前と後で、どれくらいプレートが動くのかを確認しておこう。
 
う~ん、こんなに僅かしか動かないのか…これで大丈夫なんだろうか?


左:切る前、右:切った時。
なんか2mmも動いてない気が・・・

 首をひねりながら作業を続ける。

 クラッチ板一式を留めているボルトは6本。これを対角線上に緩めていく。
 
 この辺りの手順は「なんとかカバー」とか「なんとかケース」とかには全て共通。均等に緩める(締める)というのは四輪車のホイールナットなどとも同じである。

 こちらのボルトも比較的低トルク。問題なく外れてくれた。

 さぁ、ここから先はパーツの数も多いし順番もある。入っていた順番と向きをきちんと管理しておかなくては。

 実物と整備マニュアル&パーツリスト(WEBから印刷)と1つ1つ確認しながらパーツを外していく。
 前回作業してくれたのはプロだから間違いはないはずだが、念には念をいれておこう。

 外したパーツを順番と裏表がわかるよう、ダンボールの上に並べていく。


まだ途中ですが

 左から
・プレッシャープレート(小さいほう)
・スプリングプレート(大きいほう)
・スプリングシート(隠れてて見えない)
・プレッシャプレート(高そうな奴)
 そしてそこから先が
・フリクションプレート(黒い方)
・クラッチプレート(銀の奴)

 余談だが、一般的に「クラッチ板」と呼ばれているのはフリクションプレート(黒い方)の事である。
 「クラッチ板が減る」というのはこれに貼り付けてあるプレート(小さい板)が薄くなる事を言う。
 クラッチプレートの方は「焼ける」事があるくらいで減りはしないらしい。

 ここで気づく。アウターバスケットに入っているフリクションプレートの位置(角度)がばらばらなのだ。

 整備マニュアルには、フリクションプレートの「半円溝2つがある爪」を「アウターバスケットの合せマークに合せて」セットしろ(意訳)と書いてあるのだが?


外す前の画像
規則性は見当たりません

 プレート交換の際、何か理由があってこの位置に入れたのだろうか?
 他車の場合だと、WEB上で、「わざと1つづつズラしていく」というのを見たことはあるのだが…V-Max独自のコツみたいのがあるのかな?
 

  
 ともあれ、先へと進む。

 プレートは、内側に行くほど外すのが難しくなる。
 オイルで張り付いているので手の届かない奥は引っ張るのが難しいのだ。薄いマイナスドライバーでこじりながら、傷をつけないように慎重に作業する。

 クラッチプレート6枚とフリクションプレート7枚が外し終わる。

 パーツリストによると、この奥、一番奥の最後のセットの前にリングがはまっているらしいのだが見あたらない。
 よくよく見ると、細いワイヤーのようなものがインナーバスケットの溝に埋め込まれている。
 しかもワッシャとかではなく丸くなった針金で、先端を穴から抜く事で外れるという寸法。

 くそぉ、そんなのマニュアルのどこにも書いてないぞ。この辺りが「コツ」って奴なんだろうなぁ…


こんな外し方なんですねぇ・・・

 内側に残った1セット+ワッシャ2枚を外せば、全てのパーツが外れた事になる。
※インナーバスケットまで外すなら別だが、今回は外さないので関係なし。

 それでは原因ではないがと疑った段差のチェックを行おう。

 まずはアウターバスケット。

 フリクションプレートが動いた跡は残っているが、「段差」というほどではない

 指で1つ1つチェックしていくが、「引っかかり」というほどのものは感じない。

 ちょっとうねっているかな?と思うところだけ、ヤスリで軽く整えてやる
※うかつに削ると切り屑が内部へ入ってとんでもない事になってしまうので本当はやりたくない。


一箇所一箇所、指で触ってみました。
赤○とかが当たっていた跡

 インナーバスケットはアウターよりは「当たり」が付いている。が、やはり引っかかる程ではない。

 こちらも気になるところだけ、軽くヤスリで整形する。

 
インナー側もさほどではなく

 チェックした結果、アウター、インアー双方とも「段差」という程のものは無いことがわかった。

 ふぅむとひとしきり考えるが、これ以上の原因は考え付かない。
 仕方が無い、とりあえず元通り組み直すか。

 「ワッシャ2枚」と「一番奥の1セット」(フリクションプレートの形が違う)を組み、先の「リング状の針金」を組み込む。

 フリクションプレートは、せっかくだしマニュアルどおりマークを1箇所に合わせて組んでみよう。
 一度バラして手順もわかった。もし何かあったら元通りにすれば良いのだ。
 
 ついでに裏表も統一する。

 名目上、フリクションプレートに裏表はないらしいのだが、片側の爪にロットNO?らしき刻印がある。
 こちらを仮に「表」として、外側(クラッチカバー側)になるよう組む事にする。

 交互にクラッチプレートを組もうとして気づく。

 クラッチプレートもフリクションプレート同様「表裏」というものは無い事になっているが、実際には内側の角が丸くなった「表(仮称)」とそうでない「裏(仮称)」が存在する。


左:表(仮称)、右:裏(仮称)
雰囲気わかります?

 整備マニュアルに記載は無いが、WEBサイトで調べると「どちらでも良いが一方向に合せる」が基本の様子。
 うちのV-Maxの場合、全て「表が内側(エンジン側)」として組まれていた。
※一番奥の1セットは何故か逆だった。(4つ上の画像参照)

 しかし、考えてみると、今回開けた原因は「切れ」の向上が目的である。

 クラッチが切れるというのは、クラッチ&フリクションプレートが「外」側に動く事である。
※クラッチを握る→プレートが外側に押し出される→プレート間に隙間ができる→クラッチが切れる

 「外」に動く時にスムーズになるためには、「表」を「外側」にしたほうがいいんじゃないだろうか?


この方が動きやすいですよね?

※「クラッチが切れない」と「クラッチが繋がらない(滑る)」を比較すると、後者の方が重要(動けなくなるので)。だから標準は表を内側に組まれているのだろうか?とか勝手に想像。

 「まぁ、もし何かあったら元通りに…」と開き直り、全てのクラッチプレートを、表を外側にして組む事にする。
 
 もちろん全て自己責任。これも自分だけが乗るバイクだからできる事だ。

 フリクションプレートとクラッチプレートを交互に組んで行く。
 
 組む時には、各プレートの両面に指で新しいエンジンオイルをべったりと塗ってやる。
 新品プレートではないので大丈夫だろうが、一応張り付き(焼け)防止ということで。
#もちろん、入っていた順番は元の通り。

 と、ここでまたまた気づいてしまう。

 一部のフリクションプレートの爪が、変な感じに削れているのだ。


なんか銀色に削れてます。

 この爪は、角がアウターバスケットの内側を動くだけで、表面(削れている場所)はどことも接していないはずである。
※隣のプレートとの間にはクラッチプレートがある。

 なんでどことも接していない面が削れているのだろう?
 この辺になにかクラッチが切れにくかった原因があるのだろうか?

 結局、7枚(一番内側を除く)中3枚のフリクションプレートの爪に傷を発見。
 場所は内側から3枚目、7枚目、8枚目。
 1枚につき数箇所だけであった。

 最後に、フリクションプレートの該当爪がマニュアルどおり合いマークに合っていることを再確認する。


マーク合せました

 これまたマニュアルどおり、プレッシャープレートとバスケットの合いマークをあわせ、スプリングシート、スプリングプレート、プレッシャープレートをセットし、6本のボルトを締めこんでいく。

 外した時と同じように、対角線上に均等に。そしてオーバートルクに注意注意。

 組み終わったら確認作業。

 作業前同様、クラッチレバーを握ってみると…あれ?移動量が大きくなってないか?


左:切る前、右:切った時。
作業前より1mmくらい大きく動いているような?

 何故だろう?プレート云々と移動量は関係ないはずなんだがなぁ…?
#それともあるのだろうか?

 ともあれ、組んだ直後だし、当たりというか馴染みが無いせいもあるのだろう。
 できればすぐにでもテストして、感じが変わったかどうか確認してみたいところだけれど。

 実は、別途発注したガスケットがまだ手元にないのだ。
 だから開けることはできても閉められない。でも乗ってみたいし……そういえば今のガスケット、綺麗に外れたんじゃなかったっけ?

 禁断の「ガスケットそのまま再利用」をして、クラッチカバーを取り付けてしまう。

 とりあえずオイルが多少漏れても構わない。ただ、クラッチのテストをしたいだけなのだ。

 「均等に均等に…オーバートルクオーバートルク…」と呪文を唱えながらクラッチカバーの取り付けが完了。
 ステップやらなにやらを取り付けたら、改めてセンタースタンドを立ててやる。

 エンジン始動。

 暖気の最中見ていたが、特にオイル漏れは見当たらない。
 これならちょい乗り程度は大丈夫だろう。

 エンジンが温まったところで、スタンドを立てたままクラッチを目いっぱい握り、ギアを1速へ。
 
 途端にガクンと動き出すリアホイール。

 クラッチを握りきっているにもかかわらず、足でタイヤを押さえ込めないほど力強く回っている。
 「やべぇ、クラッチが切れなくなっちまったかぁ?!」

 ギアをニュートラルに戻し、センスタを外してバイクに跨る。
 
 クラッチを切りなおして恐る恐る1速へ。
 っとっとっと、乗った状態なら動きだす事はなさそうだな…

 ゆっくりとクラッチを繋いで発進。ガレージ前の路地で発進停止を繰り返す。

 2,3度クラッチを操作すると、初回のギクシャク感が取れてきた。
 そして気づく。
 「ん?、こりゃぁもしかして…雰囲気変わったかな?」

 一旦停止してオイル漏れの無い事を再確認。
 ブーツとグローブを付け、本格的なテストに大通りへと出てみる。

 「を~、やっぱり変わってるよぉっ!」

 クラッチの切れるポイントは前とほとんど変わり無い。未だに俺の好みよりかなり近い感じである。

 しかし、クラッチの「切れ」が抜群に良くなっているのだ。

 感覚的に言うと、「ふっ」と切れる感じ。

 半クラッチ気味でもスコンとシフトチェンジができる。

 以前のような「入るか入らないか心配で…」な感じが完全に払拭されているではないか!
 「を~っ、こりゃぁいいぞぉ…」

 調子に乗って、近所をぐるぐると走り回る。

 いつもの(本来の)「3本指握り」で浅めのタイミングでチェンジしても、シフトダウンが確実に決まる
 これまでは「4本がっちり握りこみ」でないと危なくて仕方がなかったのだ。

 何度も試すが良い感じは変わらず。
 これまでいろいろ試した中で、尤も「良く」変わったようだ。

 クラッチの「近さ」はより細いグリップへの交換で改良されるはずだが、これくらい切れるならそこまでする必要もなさそう。

 今は4月上旬。気温は低く、結構乗り回したが水温計の目盛りも4分くらいまでしかあがらない。
 一番厳しい状況だった真夏にどうかはわからないが、少なくともクラッチケースを開けたかいはあったようである。

 ところで、

 クラッチが切れにくかった原因は未だに不明。
 また、「どうして改善されたのか?」の理由も不明。
 ただ、「確実に改善された」のは間違いなし。

 ここまでのレポートを見て思い当たる事のある方、是非ご教示下さいまし……m(__)m
 
 

今回確認・変更した点

・クラッチプレート、フリクションプレートを一度取り外し、再度組みなおした。
・フリクションプレートの裏表を統一した(刻印のあるほうを外側に)
・フリクションプレートの組み込み方法(位置)をマニュアルどおりとした。
・クラッチプレートの裏表を逆にした(表:丸いほうを外側に)

怪しい点

・フリクションプレートの一部爪に削れた跡あり。
 


<2006年5月>

  もう一度やってみましょうか

……というわけで、一応支障なく(いや、今までも「支障がある」という程では無かったが…)乗れるようになったV-Max。
 しかし、「クラッチカバーを開けるのは簡単」という事実が判ってしまった以上、いろいろ試さずには居られないのが俺の俺たる所以である。

 とりあえず、blogに書いた「V-Max クラッチその後」を踏まえて、いろいろと変更してみる。

※部品のパーツNOの違いについては今回は考慮しない。
 もう少し調べてからにする予定。

フリクションプレートの組み方。

 フリクションプレートのロットNO(?)の書かれた面を、外(クラッチカバー側)から内(エンジン側)に変更
 ※但し、一番奥の1セットは元のまま。

クラッチプレートの組み方。

 所謂「表」を外向きから内向きに変更
 ※但し、一番奥の1セットは元のまま。

プレッシャープレート。

 再度確認すると、クラッチを握ったときのプレッシャープレートの動きが、クラッチプレートと並行でないような気がしないでもない。
 上手く表現できないが、握り始めはややナナメで最後(握りきった時)に並行になるような感じ。
 
 これを解消する為、取り付けボルトを緩めてプレッシャープレートを少し回転。
 ボルトを締めてクラッチを握って動きを確認…を繰り返し、一番「並行に近い動きをするポイント」を探り出す
 満足できたらボルトを本締め。もしかするとこれの影響は大きいかも。

 全ての取り付けが完了したら…さて、気温も段々上がってきたし、カンカン焼け状態でのテストもそろそろ出来そうだな…
 

今回確認・変更した点

・クラッチプレート、フリクションプレートを一度取り外し、再度組みなおした。
・フリクションプレートの裏表を統一した(刻印のあるほうを内側に)※一番内側を除く
・クラッチプレートの裏表を統一した(表:丸いほうを内側に)※一番内側を除く

怪しい点

・プレッシャープレートの動きがナナメ気味だった→できるだけ並行になるよう調整。
 

<続きできました>



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