＜２００２年７月下旬＞

 

晴れ男何処へ 　ばっちりと梅雨あけ宣言が発表された翌日。朝の空は見事な晴天。だがしかし… 　騙されてはいけないのだ。今日の降水確率は午前中こそ20%以下だが午後からは50%。きれいに晴れ渡る関東地方で、ここ栃木県だけが雨という実に納得できない天気予報なのである・・・ 　今日は毎年恒例（なのか？）餃子オフの日。 　「峠を走って帰りに餃子を食おう！」というこのイベントが、梅雨明けと共に開催されるようになって今年でもう３年目。不定期にぽつぽつ行っていた分も加えると結構な歴史がある。 　回数と共に参加者も増えて今年はなんと２２人。遠くは神奈川、静岡からの参加者もある。いやはや、実にありがたい事である。 　休日の早朝、ご近所の迷惑にならぬよう、ガレージのシャッターをそぉっと開けて隼の運行前点検を開始する。 　今日は幹事として皆を先導しなければならない。道中ハードウエアのトラブルがあっては申し訳ないので入念に点検しよう。（←ソフト的にあっても困ります） 　交換したばかりのヨシムラトライオーバルが朝日を浴びてきらきらと輝く。今日はこれの感触も試すことができるだろう。 　タイヤの空気圧とチェーンの状態を軽く見ていただけだというのに、Ｔシャツ（←イルカ柄）の胸周りにはうっすらと汗の染みが浮かぶ。 　天候はともかく、気温は高い。愛用（オンボロとも言う）の３シーズンジャケットは山へ行くまで雨具と共にリアシートへくくり付けておくとしよう。 　よっこいせと自宅を出発。 　夏休み最初の週末だ。ご家族連れで混み合う国道を避け、田舎道をゆっくり北上。集合時刻の１時間前には約束のコンビニに到着する。
遅刻厳禁！ 　まだ誰もいないだろうと思っていたのだが、駐車場にはハーレーの883が停まっていた。 　神奈川県から参加のSALMONさん、「下道でゆっくり来るはずが、道が空いていたもので」との事。いやはや、いったいどんなスピードで来たんだか(笑) 　コンビニで買った朝飯のパンを食べ終える間もなく、参加者が続々と集まってくる。 　「おふぁふぉうふぉふぁいまふ」（←口にはパンが入っている）と手を上げる。 　集まるバイクは車種も排気量も多種多様、（この時点では）250ccから1300ccまで見事にバラバラである。 　今回は比較的顔馴染みのメンバーが多いのだが、お初の顔もちらりほらり。 　ＢＢＳでしかお会いしたことのない方々に「そうです私がAk!rAです！」（←パンは食べ終わったらしい）と開き直って挨拶をする。 　この場所への集合予定は２０台。（＃トラブルで参加できなくなったあっきぃさん残念でした。） 　しかし、集合時間の２０分前にはなんと１８台が揃ってしまう。 　ううむ、ＷＥＢ上で「遅刻したら置いてくぞぉ」と脅かしたのが効いたのだろうか？（←脅してはいけません） 　残る２台は…前日泊まった那須のペンションから来るはずの博さん夫妻。 　（奥さんが一緒だというのに）「またきれいなおねぇさんに付いてどこか逝っちゃったのか？」と皆で心配する【嘘】 　 ともあれ、ＢＭＷの限界に挑戦してきたらしい博さん夫妻を含め、１０分遅れで全員の集合が完了。 　会費の集金、今日のコース、ざっと説明したら、「ま、とりあえず走り出しましょう」(笑)	集まりましたねぇ…
とりあえずは晴天、だけど。 　２０台のバイクが轟音を立てる。 　コンビニを出て幹線道路。市街地を抜けて田舎道へ。 　今日のルートは去年とほぼ同様である。 　塩原温泉を頂点に栃木県北部を小さく１周するこのコースは、信号機が極端に少ないので大勢で走るのには実に都合が良いのだ。 ＃数日前に台風が過ぎ去ったばかりなので、その影響が残っているかどうかだけが心配。 　最初に走るのは水田の中のあぜ道。 　他に通るのは農耕車のみで、一時停止で時折軽く足を着く以外は停まる必要がない。 　気をつけるのは、時折水田から飛び出してくる小動物（？）だけ。 　「お～ぃ、そこで日向ぼっこしているヤマカガシの子供を踏まないようにねぇ・・・」 　先頭から振り返ると、夏の風に揺れる稲の中に長く伸びるバイクの列。なかなかに情緒のある風景だ。 　あぜ道を数キロ走り、平地から山間部へと入ると、道は急に立派な２車線道路へと変わる。 　相変わらず交通量はゼロ。日本の道路行政の妙（？）といえるこの道路、ここへ来る度に「交通量が無い場所へこんな立派なものを作ってどうするのだろう？」と思うのだが、せっかく税金で作られた道路だ、一納税者としてがしがしと走らせて頂こう。 　最初のＳＳ（スペシャルステージ：フリー走行）の開始である。 　後ろを振り返って皆に合図。「んじゃ行くよ～ん」と隼のペースを上げる。 　つけたばかりのトライオーバルマフラー。街中のちょい乗りは試したものの、峠へ持ち込むのはこれが初めて。 　後ろのメンバーには申し訳ないが、ちょっといろいろ試させてもらおう。 　スロットル全開。加速は相変わらず「有無を言わせぬ加速」なのでノーマルとの比較は不可能。 　１万rpm前後からフルブレーキングすると、若干ではあるがアフターファイヤーが発生する。 　今日の参加者、カクチさんの隼のアクラヴォビッチ程派手な音ではないが、やはり２次エアシステムを殺す必要があるだろう。 　コーナーの立ち上がりはちょいトルクが抜けたような気はするものの、スムーズで安心してスロットルを開けられる。 　極低速域も滑らか。ただし3000rpm前後でちょいと息つき気味。これは同調を取ってからもう一度チェックが必要だ。 　＃詳しいレポートは「隼メンテナンス編」にて… 　勝手気ままに（←幹事失格）しばらく走ると、道路はまたも細くなる。 　今度は森林の中をくねくねと走る林道である。近隣のキャンプ場の散策用に作られたこんな道路では、まったく飛ばす気になれない。夏の緑を楽しみながらゆっくり後続が追いつくのを待つ。 　途中、唯一の分かれ道で停止、隊列を組みなおす。 　振り返って台数確認するが…う～ん、さすがに２０台だと一目では確認しきれないなぁ。 　この先、道は広くなったり狭くなったり。 　山を２つほど越えた先、峠頂上の牧場前でもう一度隊列を組みなおす。 　全員が揃うのにはさすがに時間がかかる。やにわに始まる撮影会は昨年と一緒、「最後の人は休めない…の法則」も健在である。 　峠の終わり、砂の積もった細い林道をこわごわと駆け下りたところで３回目の隊列組みなおし。このすぐ先のコンビニが第一休憩所なのだ。 　「あ～、喉が渇いたぞぉ～」などとお気楽に待っていたのだが。 　後続１０台程が来ない。 　あれれと思っているところへ、kinyaさんのV-Maxが１台で現れる。シールドを上げて一言「いずらんさん、転倒です。」 　旦那のB.WさんがＵターンして現地へ向かう。 　他のメンバーを休憩予定場所のコンビニまで連れて行ってもらうようkinyaさんに頼み、俺もB.Wさんの後を追う。 　「怪我とか無いといいけどなぁ…」 　幸いにしていずらんさん＠ボルティは、俺が現場に到着する前に後続部隊と一緒に走り始めていた。 　ゆっくりと皆の待つコンビニまで走る。 　どれどれとチェックすると、ボルティはハンドルのバーエンドと何故かヘッドランプケースが少々削れた程度（曲がったペダルは強制修正）で走りに問題はなさそうである。 　パッドつきジャケット＆膝パッドのおかげで体も「とりあえずは」大丈夫そうだ。 ※転倒の原因は、コーナー途中の荒れた路面に前輪を取られた事らしい 　ここから参加のichigiさんmiyuさんご夫妻共々、やれやれと胸をなでおろす。 　最初の峠の感想をわいわいやりながら、たっぷりと水分補給。 　右手でペットボトルをつかみ、左手で腹の肉をつかみながら、サントリーのＤＡＫＡＲＡをがぶ飲みする（←お約束） 　ふと、ぽつりと冷たいものが落ちてくる。 　あれれと空を見上げると、そこそこ晴れていた空にいつの間にかどんよりとした雲が流れて来ている。 　更にぽつぽつと落ちてくる雨。「う～ん、午後まで持たなかったかぁ・・・」 　しかし、まだ完全な雨ではない。これから登る山の上には青空も見える。 　よし、とりあえず上りましょう。さくさく出発してわずか１ｋｍ、今日のメインステージ、日塩もみじラインへ突入する。	後続を待ちます。 水をくれぇ～
犯人は誰だ？ 　当然のようにここもＳＳである。 　飛ばしたい人には前に来てもらい、及ばずながらと引っ張らせていただこう。 　久しぶりのもみじライン、とりあえず今は雨は降っていない。 　路面は完全にドライで浮き砂等もない良好なコンディションである。どうやら心配していた台風の影響も無いようだ。 　後ろから来るあじさんのＺＸ７Ｒ、ふくちゃんのＴＬに追いつかれまい（←引っ張るんじゃなかったのか？）とペースを上げる。 　新しいマフラーの「音」がその気にさせる。新しいタイヤは倒しこみも軽い。う～む、気持ち良いねぇ… ＜余談＞ 　バイクに乗っていると、よく「あの人は速い」とか「遅い」とかの話になるが、一般道で速い（ように見える）のは「上手い下手」ではなく、「道を知っているかどうか」が大きな比重を持つように思う。 　いくら上手い人でも、初めての道で実力を出し切ることは出来ないだろう…というか、それを試す事は単なる「無謀」でしかない。 　怖いもの知らずの若者ならいざしらず、ベテラン（上手い人）ほど知らない道では余裕のある走りを心がけるはずなのだ。 　ただ、上手い人の走りがスムーズなのは確かである。 　どんな道を走っていても、上手い人というのは、後ろから見ていて「安心感のあるフォームだよなぁ」と関心させられるものだ。 　登ること約１０ｋｍ、もみじライン頂上付近のいつもの駐車場へと入る。 　先頭グループの面々と、「いやいや」とか「まぁまぁ」とか騒いでいるうちにセカンドグループ以降が到着。ここで長めの休憩となる。 　我々の他にも、皮ツナギの軍団やらご家族ご一同様やらで駐車場はなかなかの盛況。 　大勢で場所をとってもナンだし、「有志を募ってもう２、３本イっとくかぁ…」と思っていたのだけれど。 　何時の間にやら、空にはまた嫌な色の雲が広がってくる。あれれと思う間もなくぽつりぽつりと雨が降り出してくる。 　「う、こりゃぁヤバいかぁ？」と空を見ているうちに… 　ざぁっと振り出す雨 　比較的細かい雨粒だが、次第に本格的な降りへと変わる。 　慌てて雨具を着込み、屋根代わりのモミジの木の下へと逃げ込む。 　皆で「なんでやね～ん」と何故か関西弁で叫びながら、駐車場に取り残された自分達のバイクを眺める。 　焼けたアスファルト、焼けたエンジンに当たった雨が蒸気と化し、周囲にうっすらと霧のように広がっていく。 　我々の脇で呆然と立ち尽くす皮ツナギ姿のライダー、車に逃げ込むご家族連れ。時折びしょ濡れで通り過ぎていくＴシャツ１枚姿のライダー。 　既に雨宿りの用をなさなくなっている木の下では、雨具＆ヘルメット姿の異様な集団による「雨男（女）を探せ！」のイベントが開催されていたという。	いきなりコレだもんなぁ・・・
お食事タイム 　２０分程経ったであろうか？やっと小降りになった雨にいそいそと出発する。 　どうやら止みそうにないし、早めに昼食場所へ逃げ込んだほうが懸命だろうとの判断からだ。 　ところが峠を下っていくと、次第に路面が乾き始めた。 　３，４kmも走るとそこは完全なドライ路面、雨の降った気配など微塵もない。 　下から登ってくるライダーが、完全雨具装備の我々を不思議そうに眺めてすれ違っていく。 　ううむ、するととんでもないピンポイントに降った雨だったのだろうか？急いで降りてくれば濡れなかったのかも… 　もみじラインの料金所手前でやれやれと雨具を脱ぎ、山を降りて塩原温泉。 　千鳥走行でゆるゆると走り、福島県へちょっと入ったところにある蕎麦屋までは30分程。ここが今日の昼飯処である。 　先月のＶ魔オフでも訪れたこの蕎麦屋、予約しておいたかいがあって待たずに座ることができた。 　相変わらず突き出しの煮物が旨い。メインの蕎麦はもちろん一升蕎麦。２２人（うち女性６名）だからと７升頼み、加えて大盛り天ぷらを４皿頼む。 　少々多いかもしれないが、このイベントで参加者の腹具合を心配するのはもうやめたのだ。 　案の定、きちんと食べきった蕎麦と天ぷら。膨れた腹を抱えて出発する。 　塩原温泉の繁華街を通る国道は、夏休みということで多少の交通量がある。 　これまでのように２列で長々と走る訳にもいかず、途中に４輪車が割り込んだ２，３グループに分かれてしまう。 　温泉街の手前から日塩道路方面へと戻る途中、曲がり角で後続を待つが、またまた後ろ１０台程が現れない。 　う～む、迷ったかな？こりゃぁ… 　去年とまったく同じルートだと勘違いした可能性がある。先行組にはこの場で待っていてもらい、一人で国道を逆方向へ走る。 　去年使った林道の分岐点まで行ってみると…いましたいました後続組が。 　「違うよ～ん、ここじゃないよ～ん」と引き連れて元の場所へと戻る。う～ん、もっと詳しく説明しておけばよかったかな？ 　気を取り直して出発。ルートは毎度お馴染み「頭文字Ｄルート」なのだが、今年はそこへ行くまでのコースを高速セクションに換えたのだ。 　またまた立派な２車線道路。他に走る車は無い。 　カーブ途中の浮き砂に肝を冷やし、Ｕターンのようなコーナーを抜け、いつものトンネルでリアを滑らせてみる。（←ドリフト失敗） 　１０％勾配を駆け上がり、同じだけの勾配を下っていく。 　トルクのあるバイクには楽しいコースだが、小排気量にはちょっと辛かったかな？	しまった、肝心の蕎麦を撮り忘れた… 喜んで頂いている…みたいですね。
そしてまたお食事タイム 　一山超えたところで隊列を組みなおす。 　ゆっくりと下った林道の次は、栃木県民の森への快走ルート。あいかわらず素晴らしい路面コンディションにまたまたペースが上がる。 　刻々と上がる気温に照りつける太陽。先のような雨の気配は微塵も無い。 　へろへろになって下界のコンビニにたどり着く。 　バイクには給油、人間には給水。 　山に比べると下界はやはり更に暑い。ごくごくとスポーツドリンクをがぶ飲みする面々、なれない山道に疲れた人も多かったことだろう。 　現在の時刻は既に午後４時近く。予定より約１時間の遅れといったところだが、これだけの台数だと仕方の無い事だろう（←立てた予定が甘すぎます） 　昨日から泊まりでツーリングに来ている博夫妻は、時間切れに付き泣く泣く餃子を諦め、ここで途中離脱となった。 　もう一度列を組みなおして出発。 　ここから先、宇都宮市内まではさすがに交通量があり、これまでのような快走は望むべくもない。多数のバイクだと一緒に走るのもなかなか大変だろう。 　先ほどの徹を踏まぬよう、宇都宮の地理に詳しいＣＢにょろさん、kinyaさんに中盤＆後半のサポートをお願いする。 　最終目的地、宇都宮市内の餃子屋「来らっせ」への到着は午後５時過ぎであった。 　またまた時間切れにより、こやまさん、にわさんがここで離脱、いやはや、餃子オフだってぇのに餃子食べられなくて残念でした。 　大汗をかいた１８人のライダーが冷房の効いた店内へとなだれ込む。 　店内のテーブルを独占してオーダー開始。餃子はもちろんの事、何故か白飯やら丼を頼むメンバー、昼の蕎麦７升はいったいどこへいってしまったのだろう。 　膨れた腹でしばしまた～り。 　多少は涼しくなってきた店の外で記念撮影＆ご挨拶。 　いや、多少のトラブルはありましたがなんとか走りきれて何よりです。でも気をつけてくださいよ、家に帰り着くまでがツーリングなんですから(笑) 　例年通り、南へ帰る方々を国道４号バイパスまでお送りする。 　国道を右折していくメンバーに手を降り、俺は直進。一路自宅を目指す。 　心配した夕立はどうやら大丈夫そうだ。遠雷が時折聞こえるものの、暗くなり始めた空にはうっすらと星も見えている。 　あ～、楽しかった。来年もまた遊んでね＞ＡＬＬ	ま、お約束ですな

＜本日の走行距離＝約２１０ＫＭ＞＜本日の教訓＝いやはやお疲れ様でした・・・＞