☆ ツーリング紀行 ☆
2010 北海道 "判定" ツーリング記

<4-2>


向こうに海が見えますね
 


先はまだまだあるんです

 根室市内で給油、その後国道44脇のセイコマでの休憩が14時。
 昼の蟹は既に消化済み。平焼きさつまいもパンとゆでとうきびで腹を満たす。


それにしてもいい天気だねぇ

 さて、今夜の宿泊地なのだけれど、実は同じく北海道へ来ているmixiの仲間と宴会をする約束をしている。

 場所は陸別……って、ここからでもまだ200km以上ある。(250km近いかも?)
 なぜそんな遠くに集まることになったかといえば…俺がそう言ったから。(←をい!)

 いや、「13日はぁ、納沙布から西へ戻る途中のはずなんですよねぇ、んじゃ真ん中辺りにしますか」とかなんとか気楽に言ってしまったのだ。
 相変わらずの詰め込みスケジュール。晴れてこれだから、雨でも降ってたらどうしたんだ?俺。
#根室を諦めて釧路からショートカットだったよなぁ

 しかし、遠いとはいえまだまだ午後の早い時間。これから一生懸命走れば充分に間に合う…って、実はもう一箇所寄りたいところがあるんだよね。(←をいぃ!!)

 ★

 根室半島の北側、風連湖をぐるっと回りこむ道。
 海と湖との間に伸びる細い道は、先端マニア(←何時からだよ)としては行かないわけにはいかないだろう。


途中には風車もありますよ

 国号44から244へと乗り換え北上、本別海で海沿いへと出る。
 道道475を使って今度は南下、パトカーがゆっくりと巡回しているだけで他に車は無い。

 道道を数キロ走り、海沿いへと折れると、道は急に狭くなった。
 道というよりは堤防の上という感じ。道は海面からほんの少し高いだけなので海が荒れると間違いなく波を被るだろう。
 
 たぱたぱと進む。途中海砂の山やら修理地やらが現れるが、セローでなら問題なし。
※オン車だとちょい厳しいかもね。

 数キロで到着した先端は、テトラポットが並ぶ海辺を見わたす小さな広場だった。
 
 「おお、ここが先端か。んでも見晴らしはあまりよくないな」
 
 ぐるり見渡せるかな?と思っていただけにちょっと残念。
 ふとみると横に細い道がある。こっちに入ると何があるんだろう?

 セローの鼻先を細い道(?)へと向ける。
 進む事100m、草ぼうぼうでよくわからなかったその先は……見事な砂山になっていましたとさ。

 どさっと突っ込んでから気づいてももう遅い。あわれセローはすっぽり砂にうずもれてしまった。
 
 「うわっ!やっちまったぁ~っ!」

 押したり引いたりするが動かない。持ち上げようにも足元が砂でおぼつかない。
#そりゃまぁ、朝みたいな締まった砂浜走るようなわけにはいきませんな…

 ヤケになって「ほぉら、何もしなくても直立ぅ~」とか遊んでみる。
 



ほぉら不思議不思議…

 結局一番有効だったのは、バイクを直立させたままキャリアを掴み、うんせと真後ろに引くことだった。
 
 そのままじりじりとバック。苦闘20分で脱出に成功。「うひー、このまま日が暮れたらどうしようかと思ったぜぃ…」
#「秘技・どこでもUターン」は、今後「但し砂山を除く」って注釈入れないといけないな…

 先の広場で大の字になって休む。

 あー!筋肉が筋肉がぁっ!軽いとはいえ100kgのものを砂地で引っ張ると結構クるぜぃ!(←荷物込みだからもう少し重い)

 一休みしたら出かけようと見上げる空。ぐっと西に傾いた太陽…と、「ん?あれはなんだ?」

 太陽よりやや北よりに、何時の間にやら真っ黒な雲の一団が現れている。そしてじわじわと東へ(こちらへ)と流れてくる。
 その真下は真っ白く煙り、雲の中ではなにやら稲光もしているような…
 「うわー!集中豪雨かよ!アレ浴びたら酷いぞっ!」


見るからに凄い雲なんですけれど

 慌てて雨具を身につける。もちろんブーツカバーも忘れずに。
 
 荷物にカバーをしているところでバラバラと大粒の雨が落ちてきた。
 だがどうやら雲の本体はやや北側へ回ってくれたようだ。雨は大粒だが土砂降りという感じではなくほっとする。

 「午前中はあんなに良い天気だったのにな。結局今日も雨に当ったか…」と、とぽとぽ走り出してほんの少し。

 雲の一団は東の海上へと去り、西からはまた日が差し始める。
 横から照らす太陽に、海の上には雨の残り霧。それが反射して…「うわわわっ!」

 東の海上に、物凄い虹がかかっていた。


凄かったですよ

 それはもう見事な虹。半円ではなく円弧状だが、低く掛かっている分だけごく近くに感じる。
 
 海の上だから遮るものはない。灰色の空をバックにくっきりと映えている。

 口をぽかんと開けて見続けてしまう。
 「凄ぇ、去年磐越道で見た虹並に凄ぇ…」

 この虹が見られたのも先の雨のおかげ、そう考えるとそう悪い雨ではなかったのかも。
 「虹はその前の雨が酷いほどに綺麗に現れる」そんな格言めいたことを呟いてみる。


たっぷり5分は呆けてました(笑)

 「あー凄いもの見たぁ」と道道364へ。さて、今度こそ本当に西へ向かうぞ~!

 国道243へ乗り換え西へと走る。

 道は先の雨でびしょぬれだが次第に乾いてくる。
 そしてあちこちに先と同様(規模は小さい)の黒雲の塊、どうやら午後からはかなり不安定な天候のようだ。
 
 幸いにして進行方向へと流れてくる雨雲は無く、雨具は順調に乾いてくれた。


これはすぐ北側を流れていった雲
中標津あたりは酷いことになってそう…

 16時、セイコマ。
 やれやれと雨具をしまいこみ、今日会う予定の56号氏にTEL。「はい、頑張って走ります!」(←遅い)

 西へ西へ。
 「早く着けば寄れるかな?」と思った摩周湖の土産物屋もパス。いや、そもそも早く来れるスケジュールじゃないじゃん。

 先を急ぐ国道は、何故か戦車(!)を積んだトラックが次々とやってくる。
 そのせいかどうか道路脇で見張るパトカーの多いこと多いこと。中のお巡りさんと目が合って愛想笑いを浮かべてみたりする。


天気はまた回復、ですが日は西へ傾きました

 18時前、阿寒湖で給油。
 これまた56号氏に「これから林道へ入ります。遭難したら捜索よろしく」とメールを打つ。(←半分洒落だけど半分マジ)

 足寄峠の先には3つ並んだ林道群がある。
 陸別へ抜けるには、この林道群のどれかを抜けて行くのが最も早いのだ。
※舗装路だと倍以上の距離がある。

 だが、どれを使うにしても距離は20km弱と決して短くはない。
 そしてじわじわと傾いていった太陽は、既に夕日へと変わりつつある。
 
 見知らぬ北海道のソロツーリングで夕刻にロングダートへ侵入。いつもならまずやらないことだが…「今回ばかりは仕方あるまい!」(…と自分を奮い立たせる)

 それっと「上足寄林道」へと進入する。
 ここは3本の中では最も距離が長いが、ツーリングマップルによれば最も路面が良いそうだ。

 確かに道は悪くない。だがスピードを上げてトラブルに遭うと大変なので慎重に走る。だがあまりゆっくりだと日暮れに間に合わない
 「どうすれバインダー!」と叫びながら走る。


やはり雨の影響は残ってました

 唯一の頼りは、道路に残された先達のタイヤ跡だ。

 多分バイクが2台。
 路面の削れ・乾き具合からするとちょい前に走った感じだが、今日この林道を通った車があるのは心強い限りだった。
※でもあんまり信用するとねぇ…(←明日述)

 川沿いを走る林道。左手が川で右手が山。広葉樹の中に背の高い草の生えたヤブが続く。
 「いかにも熊が出そうだよな…」と戦々恐々。このときばかりはセローの静かな排気音が恨めしい。

 怖くてコーナーを曲がる毎に「ぽへー」とクラクションを鳴らしていたのだが…「うわー!」

 とあるコーナーの出口で突然目の前に現れたのは鹿の群れだった。

 総数約10頭、クラクションを聞いているはずなのに微妙だにしない。
 「どけぇー!ゴルァッ!」

 大声をあげながらでフルブレーキング。鹿s(←複数形)は今気づいたように動きはじめ、藪の中へと散っていった。
 
 ぜいぜい息を吐きながらバイクを停める。
 ああ、ぶつかるかと思った。奴らは動くものを怖がるとかそういう気はないのだろうか?(無いんだろうなぁ…)

 鹿sの攻撃はそれで終わらなかった。

 コーナーを曲がる毎に現れる鹿s。それはもう本当に全コーナーの先にいるといっても過言ではない。
 「もしかしてこいつら皆同じ鹿で先回りして俺をからかってるんじゃないか?」と疑うほどわらわらと現れる。

 それでも、完全に鹿だと判るならまだ良い。
 どこかに「これだけ鹿が出るってことは熊も…」の不安が付きまとう。

 クラクションはほとんど影響なし。一番効くのはやはり人間の肉声のようだ。
 
 ヘルメットのシールドをあけ、大声で「日曜日よりの使者」を歌いながら走る。
「♪ゲラゲラっ!笑えるぅー♪っとくらぁ!」

 闇に目がぎらぎらと光る(←だんだん暗くなってきた)

 歌だけでは足りず、時折「うぉーっ!」と大声を張り上げる。
 あ~喉が痛ぇ~、この林道に他の人間がいてこの叫び声聞いてたら何事かと思うだろうなぁ…

 藪中を動く光にびっくりして崖から落ちそうになり、倒木に前を塞がれ唖然とする。
 頼みは先の先達のタイヤ跡、先へと進む跡に安心して倒木もクリアすることが出来た。

 20kmの林道を、へとへとになりながら30分ちょいでクリアする。
 出合った鹿は20組200頭は下らないだろう。夕方の出会いやすい時間帯とはいえ、こりゃぁ森林の鹿害も深刻になるはずだわ。

 がらがらになってしまった喉に半分残しておいたペットボトルのお茶を流し込む。
#林道途中ではそんなことできる余裕はなし。(なので画像もなし)


倒木と…


出口で撮るのが精一杯でした…

 その先、国道に出るまでもダートではあったが、道幅の広い単なる未舗装路という感じだった。
 しかし、心(と体)を消耗してしまった俺には辛い道だった。ぼーっとしていて転びかける事数回、路面が舗装になった時にはほっと息をついた。

 19時過ぎ。
 周囲は既に真っ暗。待ち合わせのキャンプ場へと入っていく。

 当然だが、待ち合わせた56号氏、こたろー氏、ルカ氏は到着済み&宴会が始ったところだった。

 「すいませーん、遅れましたぁ!」(というか予想通りというか)とセローを停める。
 まぁまぁまぁとともかくビール。「うひー、生き返るぅ~」

 どうやら先の林道の先達の1台はこたろー氏のWRだったらしい。「俺の時にはそんなには鹿は出なかったなぁ?」
 そうですか、やっぱ時間的なものなんでしょうねぇ。

 各自の北海道話で夜は更けていく。あーでも今日は走った。通り雨はあったけど晴れてくれて良かったなぁ…

#宴会の支度・買出しその他全部おんぶだっこ状態。ホント申し訳ありませんでした→各位。

<本日の走行距離=490km><給油回数=3回><教訓:よ、よんひゃくきゅうじゅう・・・orz>

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