YAMAHA VMAX 1700 (VMX17)

☆ メンテナンス編 ☆

キャリア(フックステー)製作記


キャリアはじめました
  
 初期バージョン   ケース付き 

<2009年7月>

  スタイルを崩したくはないんですけど

 キャリアの製作を開始する。

 新型VMAXに余計なパーツが似合わないのは重々承知の上だ。本来であれば、ストック状態のまま乗り回したいところ。

 だが、とにもかくにも荷物を載せる場所が無いのだ。
 
 いや、きちんと準備すればリアシートにバッグを積む事はできる(リアシートにシートバッグのベースを固定する)ので、一泊ツーリング程度ならなんとかなる。
 富士のオーナーズミーティングの時にもそうやって出かけたのだ。
 
 問題は、「ちょっと買い物してこようかな?」的な時。

 旧V-Maxにはキャリアを付けていて、その上にネットをかけておけた。
 隼にはタンデムバーにフックがあるし、リアシート下にネットをしまっておける。

 だが新MAXには、ツーリングネットをしまっておける場所はおろか、ネットを引っ掛ける場所さえ存在していないのだ!
※リアフェンダー裏に窪みがあり、そこに引っ掛けることもできなくはないのだが、そのまま走るとフェンダーが摺れて傷だらけになるのは明白。


どこにも引っ掛けられませんねぇ…

 例によってワイズギアからは「リアマウントベース」というフックを付けるためのパーツが出ているのだが……毎回言っているような気がするが、この5万円に近い額っていったいどういう基準で価格設定しているんだか。

 無ければ(もしくは、あるけど高ければ)自作するしかない。

 どうせ恒常的に付けているつもりはない。
 「必要な時にのみ付ける」のであれば、素人工作でもそこそこ使えるものが作れるのではないだろうか。

 ★

 というわけで調査開始。
 
 以前、隼の大荷物用のキャリアを作ったことがある。
 その時はリアシートをベースにして作った。

 今回もその手が使えないこともないのだが、比較的タマ数の多いGSX1300R隼と違い、新型VMAXの中古リアシートはオークションでは手に入りそうに無い。(ま、リアシートだけの話じゃないけどね…)
 そしてリアシートの新品は買うと1万円以上するのだ。

 幸いにして新MAXには、先のワイズギアパーツ用にシートフレームにネジ穴が切られ、しかもそれを覆うフェンダーにもきちんと穴が開いている。
※普段は銀色のモール(?)で隠されている。アメリカではここにリアシートバックを付けたりもするようだ。……というか、なら最初からここにフック付けとけば良いと思うんだけどなぁ…


このモールを外すと
 

2箇所に穴(とネジ穴)が

 対応ボルトはM8サイズ。
 けっこうな太さがあるので、ここを利用すればしっかりとしたリアキャリアが作製できるだろう。

 問題になるとすれば、その位置とサイズ

 キャリアはできるだけシンプルに作りたいのだが、グラマラスなリアフェンダーのふくらみをうまく避けるのは結構難しい気がする。
 しかも2つの穴の位置はほぼ水平
 これをどうやってリアシートと同じくらいの高さまで上げるか?なのだけれど。

 とまぁ、ただ考えていてもラチがあかないので、現物あわせで作業を開始してみよう。

 さて、まずは素材選び。

 隼の時は鉄のアングル材を使って作った。
 使い勝手が良くて丈夫だったが、正直見た目は今一つだった。(俺は結構気に入っていたけれどね)

 「よし、今度はアルミで作ってやろう…」

 そう思ったのは、近所のホームセンターが改築され、素材売り場が充実したからだ。
 
 見つけたのは、立派なアルミの中空角材。
 ベータ版用にと、2mm厚×20mm×20mmを購入してみる。


20×20なので断面は当然正方形

 あらかじめ測ってみると、フレーム上の穴間は80mmだった。
 なのでアルミ材にも、同じ間隔で大きさ8mmの2つの穴をドリルで開けてやる。(80mmは当然穴の中心間の距離)

 素材と一緒に買ってきたM8のロングボルトを使って仮合わせ。
 「あー、やっぱ水平になっちゃうな。しかも結構外側に出さないとフェンダーにぶつかるぞ…」

 それではと、この前作ったナンバープレートステーの端切れでステーを作ってみる。
 
 「ステー」と言っても、板に穴を2つ開けただけ。
 これを後ろ側の穴に付ければバーに角度が付くはずだ。「どれどれ…」


角度は付きました、でも…


広すぎませんか?後ろ側が

 悪くは無い。だが、これでは満足できそうもない。

 まず、付けておいてなんだが、角度を付ける(後部を上げる)為のステーはやめたい。
 いかにも自作っぽくて格好が悪いからだ。

 ステーを使わず角度を付けるには、2つの穴の位置をオフセット(ズラす)すれば良い。

 だが、20mm角の素材に8mmの穴ではオフセットなどできそうにない。
 幸いにして素材の強度は今ほど必要はなさそうだ。もう少し幅広で加工しやすいものを探してこようか。


「ステーを使わず角度を付けるには幅広のものを使えばいい」のイメージ図

 というわけで買ってきたのがこちら。


薄手で幅広です

 1.5mm厚×10mm×30mmのアルミ押し出し材。
 これなら穴をオフセットできるだろう。

 先のステーの数値を参考にして穴を開ける。

 幅広になった分、オフセットはできるようになったがフェンダーとのクリアランスはますます小さくなった。というかぶつかるようになった。
 これを避ける為、下の当たる部分を三角形にカットする。
 さて、今度はどうでしょう?


いいんじゃないでしょうか

 
 角度はこんな感じになった。これならOKとしても良いだろう。
 次はキャリア幅の調整に入る。

 フレームの穴とキャリアの間には、(ボルトの周りに)なんらかのスペーサーを入れる必要がある。
 そしてその長さがキャリアの幅を決めることになる。

 フェンダーにぶつからず、かつシンプルに仕上げるには何度か試行錯誤する必要があるだろう。
 だが、その度に市販のスペーサーを買っていたらとんでもない金額が掛かる。(高いんだこれが)
 
 というわけで買ってきたのがコレ。


アルミパイプ

 1.0mm厚×φ16mm(だったかな?)のアルミパイプ。
 これを切ってスペーサ~にするとしよう。

 ところで、アルミパイプを切るのは結構難しいものだ。
 切ること自体は簡単なのだが、今回のようにスペーサーとして使用する場合、「切断面がきっちり垂直」「長さの誤差が小」でないといけないからだ。

 というわけで(←何度目だこれ)買ってきたのがこれ。


ぱいぷかったぁ~

 100円ショップ・ダイソーで420円で買ってきたパイプカッター。
 以前、某と~るさんが「結構使えますよ」と言っていたのを思い出し買ったのだが、いや、これが便利だった。

 刃を当てて、くるり回すだけでパイプがまっすぐに切れる。
 いや、文明の利器って凄いねぇ…(しみじみ)

 それではと、前側のボルト穴に入れるスペーサーのサイズをあれこれ試す。
 「やっぱりキャリアはできるだけ狭いほうが格好いいよなぁ…」

 いろいろ試して納得できるスペーサーのサイズ(長さ)を決定。
 よしよしと同じサイズのものをもう一個作り後ろ側セットしボルトを…って「え~、前と後ろで違うぅ~」

 どうやらフレームに空いたボルト穴の位置が違うよう。
 同じサイズのスペーサーでは余りがでてしまうのだ。

 またまたうんうん唸ってチェック。どうやら後ろのスペーサーは前より5mm長くする必要があるようだった。

 スペーサの長さが決まり、位置が確定した。
 ここでキャリア自体の長さを決定し、素材を切ってみる。(これは金ノコでしこしこと)
 
 車体にセット。
 うん、悪くはないのだけれど……やはり後ろが広すぎる。ならば、

 「内側に曲げるしかないな…」

 素材はアルミ製である。
 中空とはいえ結構な厚みのあるコレを熱も加えず素人が曲げると間違いなくつぶれるだろうし、クラックが入る可能性さえある。
 だが…格好悪さには変えられないのだよ!(←そんな見得を張るなら金をケチるんじゃない)

 ここぞと思った位置にマーキング。
 万力にカマせて一気に曲げる。

 案の定「メキッ」という嫌な音。
 をい、大丈夫か?コレ(←もう遅い)

 結果から言うと、ほぼ思ったとおりに曲げることができた。
 やり直しの効かない一発勝負だったのでほっと一息をつく。


ま、内側は見えませんから

 改めて車体にセット。
 
 「おお、悪くない悪くない……」


良い角度になったかも

 これで大枠は決まったので、細かい場所の整備を行う。

 取り付けボルトはフックを兼ねさせるので、キャリアの外側部分にもスペーサー(こちらはステンレスの市販品)を噛ませて外へ出す。
 後方にもう一箇所フックを作る。こちらはボルトとスペーサーのみ。

 まったく同じものをもう1セット(もちろん曲げは逆に)を作って取り付けたら、「さて、どうでしょう?」

 
おお、


イケるイケる…

 なかなか面白い形に仕上がった。
 切りっぱなしの先端とか、ボルトの長さとかもうちょい加工すれば仕上がりはもっと良くなるだろう。

 「よ~し、試乗行くぞ~」

 まずはと雨具を乗せてコードで留める。
 せっかくだからこのキャリアに合うツーリングネットでも買いに出かけるとしようか。(今持っているのは皆大きいんだよな→ネット)


もちろん問題ありません


ぴったりネットも買いました

 さて、かなり苦労すると思っていた新型VMAX用のキャリア。
 まだまだ改善の余地はあるが、思っていたより綺麗に作ることができた。
 
 キャリアというより、フックステーもしくはグラブバー的な作りにはなったけれど、これはこれで良いような気がしている。

 今回のレポートでは、具体的な数値はあえてあまり出さないようにした。(除く素材)
 これは万が一にも、「俺も似たようなの作ってみようかな?」と思った人がいた場合、俺の例にこだわらずいろいろ試してもらいたいからだ。
#決して出し惜しみじゃないですよ、ええ…(汗)

 それぞれの位置関係とポイントだけは図にしておくので、参考になれば幸いかと。

 
赤:フレーム
灰:ボルト
黄:キャリア
青:スペーサ(自作)
緑:スペーサ(市販)

 その他、参考になるかと思うのは次のとおり。
・アルミ材を切るのは、鉄ノコで手作業で切るのが一番。グラインダーは必要ない。
・切り端の処分も手作業でヤスリかけするのが一番無難だったなぁ…
・「積んだものを支える」のはこのキャリアじゃなく、リアシートに任せた方がいいと思う。
・あれこれ作業するときにはフェンダーに何かガードを貼っておきましょう。でないと細かな傷がいろいろと…
・簡単に作ったように書いてるけど、3週間くらい掛かったんですよ…

 さて、あとは小物入れをどこに付けるかと、構造的に左右を連結するかどうか。
 BOX的なものを作ってもいいし、リフレクタみたいのを付けてもいいしなぁ、どうしようかなぁ……

#とかんなんとかいろいろ改造しているうちに、累計費用がそこそこの金額になってしまう悪寒が(笑)


でも悪くないでしょ?(笑)

<2009年8月>

 そして現在のバージョンがこちら。

 エッジを処理してケースも付けてみました。


小さいボルトはカメラステー取り付け用です


ケースの中身は秘密です(笑)



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