■ もう大丈(略)
…というわけで、マフラーのみ変更するとどうなるか?も一通り確認した事だし、R-ECUに交換してみるとしよう。
※R-ECU(レーシングECU)に関してはこちらもど~ぞ。
入手のきっかけは些細な事だった。
その道では有名な某K氏から「それなら(?)R-ECUありますぜ、へっへっへ」というメールを頂いたのだ。
売り言葉には買い言葉(←使用法違)、それでは一つ、米国版R-ECUとやらを試してみようではないか。
※このR-ECU、日本では公式に(ヤマハやY'sギアから、の意)入手する手段はなく、K氏のような個人輸入に頼るしかない。
某日、いそいそと交換作業。
ECUまでのたどり着き方は、以前書いたエアフィルター交換と同様だ。
外すのはトップカバーだけで大丈夫
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ECU交換でのポイントは、「コネクタのピンの差し替え」だ。
VMAXは、日本仕様とアメリカ仕様でECUへの配線(コネクタの仕様)が異なっている。
R-ECUはアメリカ仕様向けなので、これを日本仕様のVMAXへ装着する為には車体側の配線を変えるしかない。
当然、4輪車のサブコン取り付けに使うような専用ハーネスなど存在しない。
純正のコネクタの中身を、仕様を確認しながら1つずつ入れ替える(ピンを差し替える)必要があるのだ。
「あ~、誰か一発で交換できる中間コネクタ作ってくれないかなぁ…」(←需要がありません)
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「R-ECUの価格考えると結構高く売れるかも…」とか妄想しながら作業続行。
ECUに接続されているコネクタを2つとも取り外す。
加工が必要なのは、画像右側の大きい方のコネクタだ。
こちらですね
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コネクタには、両側に白い部分がある。片側に2個、反対側に1個。
これが実はボタンになっている。
1個の方をマイナスドライバーで押し込むとカチリと動き、中の配線がフリーになる(固定が外される)のだ。
こっち側から押し込んでください
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ラジオペンチ等を使用し、確認しながら移動が必要な線を1本ずつ引き抜いていく。
移動する必要があるのは8線。
国内仕様と米国版R-ECUとの比較はこちらのとおり。
色つきの部分が入れ替え必要な線
余談というか補足というか。
US仕様側の線の色を日本語で書くと、
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抜き差しする際、ペンチで無理やりこじると中で断線してしまう可能性がある。
また誤った線を引き抜いてしまうと元の位置を探すのが大変なのでくれぐれも慎重に。
右4線が上段分、左(指)4線が下段分
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奥まで入っていれば同じ雰囲気に見えます
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最後に、飛び出している白いボタン(2個側)を押して戻せば(ロックすれば)配線変更は完了だ。
この時、妙な抵抗がある場合は、線がきっちり入っていない可能性があるので注意が必要だ。
コネクタをR-ECUに接続。(ノーマルECUに付いているスポンジも移植する←振動防止用)
あとはR-ECUをノーマル同様車体にセットすれば良い。
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さて、上記のとおり作業は面倒ではあるのだけれど比較的単純だ。だが大きな危険性がある。
まず、間違った位置にピンを刺してしまうと、エンジンが始動しなくなる。
いや、「始動しない」ならまだラッキー、下手に掛かってしまうとエンジンブローの危険性もあるだろう。
またピンの固定がきっちり出来ていないと走行中の振動で断線する。こちらも即エンジンブローの危険性あり。
しつこいようだが、念には念を入れて作業・確認する必要があるだろう。
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たっぷり1時間かけて入れ替え作業完了。入念に、それはもう入念にチェックする。
指差し確認を計3回。「よし、間違いなし…っと」
どきどきしながらキーオン。
セルフチェックOK。
セルオンで…よ~し、始動OK!
いつものように安定してアイドリングするVMAX
さて、それでは試乗へ出るとしよう。
■ 語れる程走ってはいませんが
…というわけで 実走2日間で400kmほど走ってみる。
まだまだ早い気もするのだけれど、現時点での感想を書いてみようか。
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◆アイドリング
音や振動は変わらない。
ただ、これまでびしっと1000rpmに停止していたタコメーターの針が、時折ぴくぴく動くようになった。
ECUには学習機能があり、走行と共に微妙に設定が変化するらしい。ということは、これはもう少し走りこめば安定するのだろうか?
◆極低回転、街中(2000前後)
レーシングユースのECUだけに一番心配していたのがこの領域。だが意外にも極端に乗りにくくはならなかった。
#もっとハチャハチャ(?)になるかと思っていたのだけれど(笑)
トルクは「また少し増えたかな?」くらいの感じ。スロットルのツキはさほど変わらず。
5速1500rpmからのじわり開け、のような意地悪もしてみたが、きちんと加速してくれた。
これなら渋滞時ののろのろ走行でもノーマル以上の苦になることはなさそうだ。
◆中回転、峠(4000前後から)
上がったパワー(トルク)が如実に感じられる。
いろは坂の上りだと2速は危なくて使えない。俺レベルのスロットルワークだと立ち上がりでどこへ吹っ飛んでいくかわからないのだ。
3速オートマモードで走ってももたつく気配はゼロ。例の「転ぶ気がしないフレーム」と合わせちょい怖くなる。
ただし、回転の上がり方が実に荒っぽい。これまでのような滑らかな曲線的なトルクカーブではなく、階段をドンドンと駆け上がっていくような感じなのだ。
◆高回転、高速道路(6000前後から)
いや、さすがに速いわー
8000rpmを目安にシフトアップしていったのだけれど、加速がまったく緩まない。
#2.4KS(KousokuSeigen:意訳)付近まで同じだものなぁ…
そして高いギアで高回転まで使えるようになったことで、6500rpm(感覚的にはそのちょい前)からYCC-Iがぐわっとくるのが判るようになった。さすがは新生V-BOOST、先代程派手ではないが良い仕事をしてくれている。
ちなみにまだまだ「全開」ではない。サーキットで2.7KS以上出たという実例があるので最高速はそのあたりになるのだろう。
ともあれ、隼でも2.5KS以上を使うのはまれだった。この辺りまで使えれば充分に戦えるに違いない(何と?)
今回一番の失敗はジェットヘルだったこと。
隼のようなフルカウルならいざしらず、VMAXだと伏せても風圧が物凄い。高速道路で頑張る(?)時にはフルフェイスが必須になりそうだ。
◆燃費
それはもう悪く…というほどではないかな?
街中→高速→峠とまんべんなく走って13km/Lをちょい切るくらい。
ほぼ「これまで同様」としてよいと思う。
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全体としてだが、パワーは間違いなく上がった。
マフラー加工のみ時は「上がった…かな?」だったが、さすがに今回は間違いなくパワーアップを体感できた。ターボチャージャーで言うなら「ブーストを上げた」感じだろう(笑)
数値的にはマフラー加工+20PS+α(トルクで1kgm弱アップ)というところらしい。
ノーマルからすると40PS近いパワーアップということになる。
改造の主目的だった「高速の領域」はやはり良かった。フレーム剛性の高さも再認識。アップライトなポジションのせいで体感的な加速「感」は隼以上かもしれない。
これにより高速道路での欲求不満(?)は全て解消。動力性能的にはとにかく物凄いことになっている。
ちょい気になったのは「熱」、エンジンからの熱気が妙に強いように思ったのだ。
だがまぁ、パワーアップで乗り手が感じる程熱量が増えるとも思えない。十中八九、気のせいか気温のせいだろう。
意外なところでは、日本仕様ECUの出来の良さに気づかされた。
日本仕様ECUの設定は、シルキーというか滑らかというか、本当に「練られて」いる感じがする。
対するR-ECUは、クローズドコース使用が前提だからあたりまえではあるのだが、実に荒っぽい。
「細けぇところはいいんだよ!」とばかりにゴリゴリと加速する。
これを「VMAXらしい!」と手放しで褒めるかどうかは…乗り手と使い方により異なるだろう。
「VMAXで180km/h以上の世界を見てみたい」から始った一連の改造はこれにて終了。
今後も感じた事をアップしていこうと思っている。
<了>