■ 今度はここですか・・・
「ふんふんふ~ん♪」とかなんとか鼻歌を歌いながら洗車していた時の事。
「あれ?なんだこのウォーターポンプ下にある染みは?」
ウォーターポンプ真下のフレームとエキパイカバーに白い染み(汚れ)がある。
そう、これは、今やもう見慣れたクーラントの乾いた跡に違いない。
おやおやと覗き込むと、ウォーターポンプのオーバーフロー穴から覗くクーラントの緑色。
そしてその穴から伝った跡が点々と付いている。
うぐぅ、今度はウォーターポンプか…
この場所から漏れているということは、(以前に書いた)ウォーターポンプ内のシールがやられているという事なんだよなぁ…
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時々お世話になるVMG大原のHPの修理例紹介にも乗せられているこのトラブル。
原因はやはり内部のゴムパーツの劣化である。
サーモスタット周りの水漏れの際入念にチェックしたが、その時はここから漏れてはいなかった。
他の部分を修理した事でここに負荷が掛かるようになってしまったのだろうか?
「気づいた以上交換しなきゃいけないよなぁ、それにしても……またクーラントの入替かよ」
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それでは早速ショップにてパーツを手配……と簡単にはいかないのがVMAX。
まず「どう」修理するかを決めなければならない。
交換が必要なのは、「ウオーターポンプのメカニカルシール」だ。
ところがこのパーツ、マニュアルで調べると接着剤とか圧入とかSSTとか言う言葉が頻繁に出てくる。
俺の貧弱な工具と稚拙な技術で交換できるかどうかはなはだ疑問なのだ。
ウォータポンプそのものをアッセンブリ交換するならそっくり交換なのでこの手の心配はいらない。
しかしこの場合、パーツ代は天文学的数値となる。
※俺基準で5桁円以上の消耗品は天文学的
む~、とりあえずパーツだけ注文し、やるだけやってみるか。
これならとりあえずの金額は少なくて済むし、駄目だったらアッセンを注文すればいいのだだから。
※二度手間&金額上乗せになる可能性もあり
というわけで、発注したのは「ウオーターポンプのメカニカルシール」と「ガスケット」と「オイルシール」
全部合わせて2000円くらいである。
あとはクーラント(さすがに備蓄分は使い果たした)と……確かオイルの交換も必要になるはずだよな…
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■ 作業開始
さて、とりあえず注文したパーツが到着。
んでは一発やってみましょうか。
まずは、これはお馴染みになったクーラント抜き。
ドレンを開けてクーラントを抜いて…今回はウォーターポンプ周りの水抜きが目的だから、サーモスタット付近とシリンダ周りの水抜きは必要ないだろう。
#サーモスタット付近の水抜き=サーモスタットのバルブをONに。シリンダ周りの水抜き=シリンダの水抜き穴をあける
それにしても、あ~まだ新品のクーラントなんだよなぁ、もったいないもったいない・・・
そりゃまぁ綺麗ですよねぇ・・・
次はウォーターポンプハウジングのカバーを外す。
クラッチカバー同様、締め付けトルクはさほどでもない。これも覚えておかないと。
カバーを外すと、ウォーターポンプのフィンが現れた。
ここがいわゆる「水」の領域だ。中は綺麗でオリとか錆は見当たらない。
カバー外れました
さて、次はこの内側、「油」の領域である。
サービスマニュアルには「エンジンオイルを抜け」とあるのだが、よくよく見るとこのカバー、位置がクラッチケースとほぼ同じである。
そのクラッチケースは、サイドスタンドだったらオイルを抜かずに作業できた。
「ふぅむ、とりあえずここもオイルは抜かずにサイドスタンドでやってみようかな?溢れてくるようだったら拭けばいいんだし。」
サイドスタンドを立て、車体をナナメにして作業続行。
ボルトの締め付けトルクは先ほど同様。恐る恐るケースを外すと…「おお、オイル漏れてこないじゃん!」
どうやらクラッチ同様、このまま作業できそうである。
ゴムハンマーで叩くと外れやすいです
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こうして外れたパーツが、いわゆるウォーターポンプアッセンブリ。
これからこれを分解して必要なパーツを交換するのだ。
これをバラすわけですな
★
アッセンを持って作業デスクへ。
さぁ、バラすぞぉ・・・
まずは裏側(上記画像の黄色のギアがある側)のシャフトから、サークリップを取り外す。
#サークリッププライヤって便利だねぇ…
次に黄色いギアを取り外す。
次にシャフトに付けられた、ギアの位置決め用ウッドラフキー(細いピン)を取り外す。
もう一つのサークリップを取り外す。
これでポンプのフィン(&シャフト)がフリーになるので反対側から引き抜く。
やれやれ、とりあえずここまではバラせたぞ・・・
まずは安心
「ところで、どこから漏れたんだ?」とメカニカルシールを覗きこむと・・・う~ん、結構ボロボロだなぁ・・・
上記画像のフィンのシャフトの根元やメカニカルシール(アッセンブリ中央の黒い部分)の内側、そして更にその奥のオイルシール。
これらがことごとく汚れ、あやしいゴミというかカスがべっとりと付着していたのだ。
「くそぉ、さすがに16年の歳月は長かったか・・・」
メカニカルシールだけ交換すればいいかと思っていたのだが、これでは全部一旦バラして掃除する必要がありそうだ。
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よし、まずは本来の目的であるメカニカルシールを外そう。
ここで登場するのが・・・「秘密兵器、ベアリングプーラー!」
♪ぱらっぱっぱぱら~
今回、アッセンブリ注文とパーツ注文との差額を利用して買った秘密兵器である。
もちろん、バラせなかったら別途アッセンを発注しなければならない等という事は頭の片隅にも残っていないのだ、はっはっは。
3000円ちょいの安物にも関わらず、メカニカルシールはすっぽりと抜けてくれた。
ううむ、恐るべしはSST、これがなかったら絶対抜けないよな。
抜けてくれました
次は反対側のベアリング(&オイルシール)
これは、工具箱に入っていたコマ(レーシングスタンドのオプションパーツ)が丁度良いサイズだったので、これを当ててハンマーで叩いたら綺麗に抜けてくれた。う~む、よしよし。
中央上部の切り欠きみたいに見える場所が、今回クーラントが漏れてきた(漏れて来る様になっている)穴
これがあるおかげで、シールがやられても水とオイルが混ざらなくて済むわけですな
さあ、これで、
・メカニカルシール
・オイルシール
・ベアリング
がバラせた事になる。
バラし完了
チェックしてみたが、外したベアリングは問題なし。
オイルシール、メカニカルシールが嵌っていた場所は先に書いたとおりヌタヌタのズルズル(?)なので、CRC-556を含ませた綿棒とウエスで磨いてやる。
一通り綺麗になったら・・・さぁ、組み込むぞぉ・・・
★
まずは新しいオイルシール。
マニュアルの指定どおり、刻印のある側を外側にしてハメ込んでやる。
次にベアリング。
これまたマニュアルの指定どおり、刻印ある側を外側にしてセットし、アウターレースのサイズと同じラチェットレンチのコマ(19mmだったかな?)を当ててハンマーでコンコン叩いて押し込んでいく。
これがナナメに入ってしまったら元も子もないので慎重に・・・っと。
なんとか真っ直ぐ入ってくれました(…よな?)
ケースをひっくり返して今度はメカニカルシール。
マニュアルには接着剤云々という記述があるのだが、新品のメカニカルシールにはなにやら青いシールが付いている。
きっとこれが接着剤(のようなもの)なのだろう。
このままきちんとセットすれば、熱(かなにか)で圧着されるはず・・・だよな?
#純正の新品ローターボルトにネジロック様のものが付いていたのと同じかな?
メカニカルシールをセットして、今度は27mmのラチェットのコマを使って打ち込んでいく。
#いや、こんなところで27mmのコマが活躍するとは思わなんだ・・・
青いのが接着剤? 27mmって普通は持ってないって
初めての作業にも関わらず、シールもベアリングもきちんと打ち込めた風。
う~む、割りと順調に作業できたような気がするぞ。
あとはポンプのフィン(&シャフト)、サークリップ、ウッドラフキー、ギアを元通り組んでいくだけ。
古いガスケットはカッターの歯で綺麗に剥がして、新しいガスケットをセットすれば装着準備が完了である。
準備完了
車体への取り付けは取り外しの逆順。
締め付けトルクに注意して作業完了となる。
■ テストしましょう
それではと走行テストの準備。
オイルは入ったままなのでクーラントだけ入れてやる。
エンジン始動。
アイドリングの最中、どきどきしながら見ていたのだが、どこからもオイルorクーラントは漏れてこない。
やれやれ、これなら走り出しても大丈夫かな。
ゆっくりとしたペースで近所を一回り。
2km程走った後、一旦降りてもう一度確認するが、やはりオイルもクーラントにも漏れは無し。
更にペースを上げて走り、その後、止まってアイドリングのまま放っておき水温を上げてやる。
ラジエターファンが回リはじめたのを確認してからエンジン停止。うん、大丈夫、やはり漏れはない。
ガレージへと戻り、エンジンが冷えてからクーラントを補充すれば全ての作業が完了となる。
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そして・・・さぁて、ベアリングプーラーも購入したから、これからはホイールベアリングの交換も自分でできるぞぉ・・・