YAMAHA V-Max

☆ メンテナンス編 ☆

ステムベアリング交換

 交換編   ブレ修正編   エピローグ


<2008年3月>

  覚悟をきめてやっつけましょう

 以前、「ステムベアリングチェック記」で確認したMaxのステムベアリング。

 見た目は思っていたより悪くない状態だったが(以前からしばしば書いてきたように)減速時にハンドルがフレているのも事実である。
 下側のレースにもそれなりの打刻跡があったし、何より経過年数が年数だ。
 時間が作れるうちに交換してやった方がいいだろう。

 
 某日、パーツを手配。

 いつものとおり、ヤマハのサイトでパーツリストを確認する。
 ところが、ステムベアリングには上下2つのパーツNOしかみあたらない。

 2つのパーツの名称は共に「ベアリング」

 う~む、ベアリングはいいのだが、下のベアリングのその下には、別途「ダストシール」(?)があるはずなんだが。

 「メーカーサイトのパーツリストに載っていないってのはどういうこと?」と首をひねりながらweb上で情報を探す。

 「ベアリング外す時にはシールは必ず壊れる」「ベアリングを挿入する前にシールを入れ忘れないこと」
 そうだよな、どう考えても必要だよな・・・

 困った時のメーリングリスト。というわけで、毎度おなじみVMAXのMLで聞いてみる。
 すると・・・「ベアリングにセットになってるよん」という返答をいただいた。
 おお、それはそれは。それじゃパーツNOも1つのはずですよねぇ…
※年式によって異なるのかな?教えていただいたブレイドさんshioさんありがとうございました。

 某日、パーツ到着。

 価格は上下で4k円程。
 なるほど、下のベアリングには黒いシールが既にセットされている。
 
 これらのベアリングは、ホイール等に使われているものとは形状が異なる。いわゆる「テーパーベアリング」だ。

 その名のとおり円錐状となっており、上側(狭い側)には別途「ベアリングレース」が付くようになっている。
 取り付けると、このレースとべアリングの間が動く事になる。
 そして中に入っているのは「ニードルベアリング」だ。
 

■何を今更ニードルベアリング

 VMaxのリアホイール(の片側)にも使われているニードルベアリング。
 ベアリングレースとの接触面が大きく、一般的なボールベアリングより耐久性に富むとされてきた。
 これが(より加重のかかる)ステムやスイングアームピボットに使われる事が多い理由だろう。

 だが最近では、工作精度と材質の向上により、ボールベアリングの耐久性もニードルとさほど変わりなくなっているという。
 特にステムには、(より抵抗の少ない)ボールベアリングを使う車両が増えてきているのだそうだ。(例:隼)

 

 
 さぁて、それではバラしますか。

 エンジン下にジャッキ、フロントを軽く浮かせてやる。
 ライトはライトステーと、ライトカバー裏側のボルトを外してぶらぶらにしてしまう。
 トップブリッジ裏側のナットを外して、ハンドルクランプから上をごっそりフリーに。
 ステムナット外して、ハンドル周りはまとめて天井から吊っておく。
 ブレーキキャリパ外してホイール外してフェンダー外して。
 クランプ緩めてフォーク引っこ抜いて・・・あ~、面倒臭ぇ~!!!(←自業自得)


これはフォーク引っこ抜く前




 前回同様、「マイナスドライバーコンコン攻撃」でWリングを外すと、三又が下へと抜けてくる。
 やれやれ、やっとここまでバラせたか。
 


落とさないよう要注意

 ベアリングの状況は特に変わりなし。
 一見劣化している様子はみられない。とはいえ、18年の歳月と7万km以上の走行距離の影響は大きいはずだ。

 上側のベアリング、上下レースの状態も前回同様。

 さあ、今回はここから先が本番だ・・・

 いろいろ苦労するのは覚悟済みなので、比較的易しそうなところから取り掛かっていく。

最初は上側レース。(上側ベアリングは置いてあるだけなので問題なし)

 フレーム側とレース間には、僅かだが段差がある。
 これなら単純に打ち抜ける…かな?

 下から工事用の長いボルトを差込み、段差に引っ掛け、叩く。
 最初は空振りすることが多かったが、コツが飲み込めると「当て」られるようになった。
 ゴキっという感触と共にレースが僅かずつ浮き上がり、やがて「パキン」という音と共に打ち抜けた。
 うん、大分慣れてきたんじゃないか?俺。


打ち抜き完了




続いて下側ベアリング。

 ベアリングは、三又のシャフトにがっちりと打ち込まれている。
 これはもう、反対側からがんがん叩くしかなさそうだ。

 大きめのタガネでがんがん叩く。
 まずベアリングの外側が破壊され、ニードルがぽろぽろと落ちる。これはホイールベアリングのとき同様(ニードルの太さが段違いだけど)


バラバラになりました。

 例の「ダストシール」も破壊してペンチで引き剥がす。
 これで残ったのはベアリングのベースの部分のみとなる。

 ダストシールを外したので、タガネを当てられる部分が増えた。
 ここを更にがんがん叩く。
 少しずつ動いているような…と思っていたら、唐突にパキンと抜けてくれた。
 「よぉし!外れた!」


抜けた抜けた




 さて、これで「外し」側として残ったのは、「下側レース」のみ。
 「でもなぁ、誰に聞いてもこれが一番の難関なんだよなぁ・・・」

  やはり難敵で・・・

 それではと気をひきしめて下側レースに取り掛かる。

 まずは観察。
 しげしげと眺めたのだが、上側と異なり段差はまったくと言っていいほど無い。
 あるのは僅かな隙間、というかレースの面取り部分のみである。


センスのない断面図
青:フレーム(ステム)
赤:ベアリングレース

 隙間というのは(A)の部分。

 間隔はマイナスドライバーの先が入るかどうかくらい(1mmくらい?)
 試しに上側レースで使った「工事用ボルト」を突っ込んでみたが、「当てる」どころか引っかかりさえしない。

 「どうするんだこれ、どうやったって外れそうに無いぞ?」

 頭をひねりながら試行錯誤。試した方法を以下に列挙してみる。

安物のベアリングプーラーを使う。
 なんとか引っかかりはするものの、いざ外そう(引こう)とするとするっと外れる。

■長いボルトの先に磨いだ蝶ナットを取り付け、上から叩く。
 一時的に引っかかりはするものの、幅が無い為か叩いた途端に外れる。力をかけられる可能性なし。

■バールで「牛乳瓶の蓋を開けるように」下からめくる。
 バールの先に幅がありすぎる。無理やりこじったらバールの先が負けて折れた。

■ドリルで穴を開け、切断する。
 ドリルの歯がまったく立たない。さすがはベアリングレース!(←褒めてどうする)

■ドリルで研磨し、切断する。
 削れはするが恐ろしく手間がかかる。全部削るには時間&研磨剤がどれくらい必要なことか。

■(A)の場所にドライバーを突っ込み、そのドライバーを上から工事用ボルトで叩く。
 手が4本必要(2人いれば…)また、力をかけられるかどうかは微妙。

・・・というわけでどうやっても外れないのだ。

 グラインダーで折れたバールの先端を研ぎながら考える。
 「ネットに『棒を溶接してそれを叩いて外す』ってのがあったけど、確かに何かを引っかかったままにできれば上から叩けるんだよな…」

 そして思いつく「そうだ、ベアリングプーラーならとりあえずは固定はできたじゃん!」

 しかし、先のままでは「掛かり」が浅すぎる。まずはとベアリングプーラーの「爪」(3箇所ある)をグラインダーで細く研いでしまう。

 そしてそれを(A)へセット。
 
 固定できた爪を、上から工事用ボルトでがんがんと叩いてみる。
 
 僅かな隙間に引っかかっているだけなので、少しでも曲がって打つとプーラーが外れてしまう。
 落ちたら拾って再セット。それを直すこと数回。
 やがて「ゴキン」という感触が手に伝わって・・・「を、隙間大きくなってるじゃん!」

 更に叩くこと数分。
 突然、ガコンと音を立て、プーラーと共に外れたレースが下へと落ちた。

 「ふいぃぃぃ!外れたああぁぁぁぁぁ・・・・・」


外れたぜぃっ!
(右側のえぐれは研磨の跡)


こちらはステム下側
削った跡とかバールの跡とか…

 「歓喜の舞」を舞い、メンテの神に二礼二拍手一礼だ。
#&ご先祖様にも感謝感謝。

 さぁて、外すものはこれで全部外れたし、さぁ、組むぞぉ!…のその前に。
 
「フォークオイルも交換しておこうっと。」

 手順は毎回同様なので省略。


やっぱ結構汚れてました>オイル

 今回使用したフォークオイルは、初めて使うYAMAHA純正10G
 これまで使っていたKAYABAの10G(&15G)とどう違うかの楽しみである。

  んじゃ組みますよ

 まずは下側のベアリングから取り掛かる。

 新しいベアリングをステムシャフトに差し込んだら・・・「じゃ~ん!ベアリングインストーラー……の代わりの塩ビパイプぅ~
 
 ホームセンターで買ってきた、内径φ30の塩ビパイプ
 30mmをうたってはいるが実際は若干広い。これがφ30のステムシャフトにどんぴしゃりだったのだ。


サイズぴったり

 ベアリングの上からパイプをあてがって上からがんがんと打ち込んでいく。ところが・・・「か、固い」
 途中までは問題なく打ち込めたのだが、最後の1cmがどうしても入らないのだ。
 「やっぱあれかなぁ、暖めておくんだったかなぁ」

 ベアリングの圧入時には温度差を使ってやるといい、というのは以前にも書いたとおり。
 
 入れる方は冷やし、入れられるほうは暖めるのが基本。
 今回のようにシャフトの外側にセットする場合、ベアリングをあらかじめしっかり暖めておくべきだったのだが、サボって常温のままだったのだ。
※もちろんシャフト側を冷やしても同じ事だが…三又がそっくり入る冷凍庫を持っている人は少ないよねぇ
 
 ままよとがんがん叩いていたら、塩ビパイプの上が欠けてしまった。
 「む、仕方ない。いつもの方法でいくか」
 
 ベアリングの内側、軸に接しているほうを、先のつぶれたポンチを使って叩く。 
 誤って外側を叩いてしまうと外すとき同様ベアリングが破壊されるので要注意だ。
 
 金属対金属はやはり強い。対角線上に叩くこと数分、ベアリングは無事最後まで打ち込まれた。「あー面倒かった~」

 それではとグリスを塗り込んでいく。
 動き&錆防止の意味もあるグリス。
 ステムの場合には量を遠慮する必要はまったくない。外側はもちろん、指の腹を使ってベアリングのコマの間にもぐいぐい押し込んでやる。中も外もグリスでべったりになったら完成だ。


べたべたでいいんです

 さて、次はインナーレース下側。
 
 ドリルやらバールやらで付いてしまった傷は綺麗にさらってCRC556で洗浄済み。
 ここへ薄くグリスを塗る。これは主として錆防止用だ。

 冷凍庫から取り出してきた(こちらは冷やしておいた)新しいレースをセットし、上に古いレースを当て板に…というのが難しい。何しろ下から上に叩かなければいけないのだ。
 「ええい、直接叩いてしまえ」(レースがいかに丈夫かってのが判ったのでちょい強気)
 
 ハンマーでコンコンと打ち込んでいく。

 面一まで打ち込んだら、そこから先は先ほど同様「潰れたポンチ」を使って打ち込む。
 音が「コンコン」から「キンキン」になったら打ち込めた証拠、というのはホイールベアリングと一緒だ。
※比較的簡単に打ち込めた。やっぱ温度差の影響は大きいかも。
 


傷に見えるのはグリスですのでご安心を

 上のレースは更に簡単。単純に打ち込むだけ。
 深さも面一までなので問題なし。これでセットは完了。
 「やれやれ、やっと組み立てに入れるぞ…」


簡単簡単

 深呼吸の後、グリスでべとべとの三又をそーっと挿入し、上側にはこれまたグリスだらけにしたベアリングを置く。
 カバーを被せてWリングで仮固定。

 オイルを交換したフォーク付けて、フェンダー付けて、ホイール付けて、ブレーキキャリパ付けて。
 トップブリッジからハンドル周り付けて、ライト付けて、ステアリングダンパー付けて・・・あ~もう面倒ったらっ!(←自業自得)

 さぁて、ここで肝心のステムの締め付け具合。
 
 前に書いたとおり、「5kgで締めて、一旦緩めて0.3kgで締めなおす」のがマニュアル指定の方法。そしてもちろんステム用のトルクレンチなんか無いので手ルクレンチに頼るしかない。
 
 「ま、どちらにしても試乗してからもう一度やり直しだな…」と思いながら締めこんでいく。
 
 「こんなところか?」という辺りで一度スタンドを外し、2,3度車体を揺すってから各部を本締めする。
 
 ボルト締め忘れを指差し確認して、よし、これで作業終了だ。 
 「さ~て、試乗行くぞぉ」

 V-Maxエンジン始動。
 走り出してすぐ気づく。「車体が軽い」

 低速での取り回しがごく軽い。Uターンも楽々である。
 
 ただ、ちょいペースが上がっていくと、その軽さが仇になってくる。
 とのかくフロントが軽い。軽いというか落ち着きがない。落ち着きがないというか単に暴れているような…「ダメじゃん、これ」

 20kmほど走り、首を捻りながら自宅へと戻る。

 どう考えてもステムが軽すぎる。締め込みトルクが足りなかったのだろうか?
 「結構締め込んだつもりだったんだが…って、ああそうか。」

 フロントを持ち上げた状態で締めこんだステムナット。
 三又に車重がかかっていない状態では、きちんと締め込めるはずはないではないか。

 ハンドル周りを外してチェック。
 案の定、ステムはゆるゆるになっていた。「いかんいかん、基本基本」

 一旦、フォークのクランプ関係を全て緩める。
 →ステムを締めこむ→フロントを上げてハンドルの左右への切れを確認→フロントを下ろしてステムを…を繰り返す。
 
 「タイヤの重さだけで自然にハンドルが左右に切られる」状態をキープした上で「ステムを一番締めこんだ」状態を探し出す。

 タイヤの動きが鈍くなったところから1/6戻しくらい。「よし、きっとこの辺りだろう」
#だよね?(←誰に聞いてるんだか)

 自分を納得させたら再出発だ。

 走り出してすぐ気づく。「おお、剛性がアップしてるぞ」

 先のふらふらした感じは見事に消えていた。ふうん、やっぱステムのトルク管理って大切なんだねぇ…

 新しいオイルを入れたフォークのせいか、乗り心地も良くなっている感じがする。
 ただ、肝心のハンドルのブレはといえば…「あんまり変わっていないような?」

 荒れた路面で急激なエンブレをかけると始まるフレは以前同様。
 綺麗な道でも、手放ししてハンドルをコンと叩くとフレが始まる。
※ステアリングダンパーは最弱にしてある。

 まぁフロントタイヤが変磨耗してるし、ベストな状況ではないのだけれど、「劇的に良くなった」とは言えそうに無さそうだ

 「くそぉ、せっかく手間かけて交換したんだがなぁ…」
 なんだかんだと文句は言うものの、やはりきっちりメンテした後走るのは楽しいもの。ふらふらとあちこち走り回る。
 
 軽く100kmほど走り帰宅。
 違和感や異音はゼロ。ガレージへ戻りフロントを上げて確認したが、引っかかり感や渋さも皆無。
 どうやら交換作業自体はしっかりできたようで一安心だ。







 初めてのステムベアリング交換は、トータルの作業期間で2週間。実作業時間で15hくらいだろうか?
 以前別の事でも書いたけれど「自分のバイクだからやるけれど、人のバイクだったら1万円もらってもお断り!」というのが正直な感想だ(笑)


テスト走行は夕方になってしまいましたとさ(笑)







 というわけで、結果的にハンドルのブレはさほど変わらず。
 
 15年以上このままの状態で乗ってきたとはいえ、せっかくの機会なのでもう少しあがいてみたい。

 次は何をやってみようか?
 フロントタイヤを純正(G525)に戻して様子をみてみようか?
 スイングアームピボットのベアリングあたりもフレに影響あるのかな?
 


<2008年4月>

  もったいないオバケが出そうです

>せっかくの機会なのでもう少しあがいてみたい・・・
・・・というわけで、まずは純正タイヤへ交換して様子をみることにする。

 今履いているフロントタイヤ、BT45Vはまだまだ5分山。何しろ僅か6000kmしか走っていないのだ。
 「くそー、交換するのもったいないなー」
 
 尤も、5分山ではあるのだが、ちょい変磨耗気味なのも事実。
 時計で言う1-2時、10-11時付近が妙に削れ、断面が三角形な様相を挺している。
 
 これはまぁ、このタイヤを履くようになってからずっと出ている現象だ。
 原因は俺の乗り方なのか、それともSACT構造の影響なのか。
 まぁ俺は、「これはこういうもの」と考えているのだが。

 某日、V-Max発進。
 
 いつもならタイヤ交換にはホイールを外してショップへ持ちこむ俺。だが今日はちょい状況が異なる。
 ヤボ用もあるし、遠いし(謎)、四輪だと渋滞しそうだし、行き帰りにテストもしたいし・・・と、車両ごと持ち込む事にしたのだ。

 ショップまでの道。田舎道やらバイパスやらでいろいろと試しながら走る。

 走り出してすぐ感じたのがこれ。「あれ、ちょい変ってないか?」

 ステムベアリング交換直後、「結果的にハンドルのブレはさほど変わらず」と書いた。
 それ以後、何も換えてはいないのに、妙にハンドルが落ち着いている気がしたのだ。
 
 もちろん、急激なエンブレをかけるとブルブル言い出すし、巡航時にハンドルを叩くと暴れだすのは変わりないのだが、それでもそれら全てが緩慢な感じに変ったように思える。
 「タイヤは古いままなのになあ・・・センタースタンドかけて放っておいたらベアリングが落ち着いた、なんて事はあるんだろうか?」

 首を捻りながらショップ着。

 交換するフロントタイヤは、もちろん純正の「BS EXEDRA G525」だ。
※これはOEMじゃなく純正・・・だよね?(←誰に聞いているんだか)
 
 念入りにバランスをとってもらうようお願いし、MAXを預ける。
 

時間の経過を表す画像

画像とコンテンツは関係ありません。
また、しもつかれの旬は2月です。

 数十分後、交換完了。

 お約束の「フロント新品フロント新品…」の呪文を唱えながらショップを出る。
#この呪文を忘れると最初の交差点で天罰が下る。

 10km程タイヤを馴染ませてからテスト開始。
※本来、新品タイヤの慣らしとしては100km前後必要なのだろうが、とりあえず急な加減速・急ハンドルはしないので大丈夫と判断。

 1.5IS(IppanSeigen:意訳)あたりの加速状態からスロットルを離してエンブレ。
 同時に両手をハンドルから浮かせて…
 「ああっ、フレないっ!」

 今まではブルブル震えが始まっていたハンドル、それがぴたりと安定したままだったのだ。

 もう少し上の速度域から試しても同じ結果。
 試しに、1.0ISあたりでバーエンドをぽんと叩いてみたら、一瞬カクっとフレたハンドルが、ふっと真っ直ぐに収束してしまった。
 「おわー、直ってるじゃん!」

 ちょい荒れた路面、ワダチのある路面でも状況変らず。
 最後にと思い切って、ステップに立ち上がって前輪へ体重をかけ、更に手を浮かせてみる。
 以前コレやったらブレブレの大騒ぎになったのだが、今日はまったく静かなもの。
 うは、完璧じゃん、これ。

 うきうきと自宅着。
 「直った直ったぁー、2週間かけて修理したかいがあったぞー」

 結局のところ、原因としては複数の要素があったのだと思う。

 タイヤの影響は確かに大きいが、これまでは新品タイヤでも(BT45はもちろん、純正タイヤでも)現象が出ていたのでそれが全てではない。
 ステムベアリングの交換により、状況は間違いなく改善された。
 フォークオイル交換や、フロント周りの調整(センター出し)も影響しているだろう。
 
 また、今回のタイヤ交換時に「ホイールのバランスが相応にズレていた」と指摘されたのも気になるところ。
 これまでも毎回きちんと測ってもらっている(はず)だし、事故・転倒は起こしていない。バランサ(ウエイト)の脱落が無いのも確認済み。

 実は、今回タイヤ交換に行ったのは初めてお願いするショップだった。
 作業者の腕の差がホイールバランスに影響するなどということはあるのだろうか?
 タイヤチェンジャーを使い、それなりのプロが作業する以上、「大外れ」はないと思っているのだが。

 ともあれ、(実際にフレるかどうかとは別に)「ハンドルがフレない」と判ると、余計な力を抜いて走ることができる。

 いろは坂の下りのような「急坂&路面大荒れ」の場所でも安心して走れるだろうし、合流時の後方確認も遠慮なく片手を離してできるだろう(←今までこれが怖かったのよ)
 もちろん、長距離走行での疲れもかなり減るに違いない。
 
 「直って良かった良かった。それにしても何事につけ基本にかえるってのは重要なことなんですなぁ・・・」
 

#唯一の問題は、結構高いって事なんだよな、純正タイヤが。
 


<2008年5月>

その後のインプレはこちらから。

やっぱり純正には純正の特性があるものです。

 

<了>



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