何処からとも無く現れ、ライダーを混乱の渦に巻き込む我らがナンシー。
しかしそんな彼らにも、日常の生活というものが存在しているはずなのである。
家庭で
学校で
そして仕事場で
ナンシー達はその真の姿を隠し、他の人々と一見変わらぬ日々を過ごしているに違いないのだ。
そう、今この瞬間にも、ナンシーはあなたのすぐ隣にひっそりと佇んでいるかもしれないのである。
さぁ、それではそんな身近に潜むナンシーを探索してみよう。
「私、バイクに乗っているですよ。」
「あの人はもしかするとナンシーでは?」
身近にそう疑いたくなる人物が存在した場合、上記の問いかけを試してみるのが最も良い方法である。
何気ない会話の途中にさりげなくこの問いかけを紛れ込ませる事で、相手のナンシー度がたちどころに明らかにされるのだ。
初対面の挨拶、もしくはなんらかの自己紹介の際だけではなく、旧知の人物にも是非試していただきたい。
またこの問いかけは、女性から男性に行われた場合に特に有効であることが証明されている。
女性ライダーは勇気を持って問いかけていただきたい。
こちらからの問いかけではなく、相手からの問い「休日は何をしているんですか?」に対し先のように答えることも非常に有効な方法だといえる。
「バイク」という単語を強調することなくさらりと言い放ち、相手の反応を待とう。
但し注意しなければいけないのは、
「この前C1に上がりました」
「筑波で8秒切れなくて」
「ガレ場でゲロってます」
等々、相手に不信感を抱かせるような余計な台詞は禁物であるという点である。
さあ、それではこの問いかけに対する回答から、相手のナンシー度を判定してみることにしよう。
☆
「へぇ……それ、なんしーしー?」
ナンシー度100。ナンシーである。
この人物に対しては、以後「ナンシーの◎◎さん」の接頭語を付け、敬意をもって呼ぶ必要がある。
住所録や電話番号簿等への記載にも「@NCY」等の記号をつけ、他の知人と明確に区別しておく必要があるだろう。
また、この人物を知るバイク乗りの友人・知人には、当該人物がナンシーであることを伝え、注意を喚起しておきたいものだ。
ナンシーに対し注意が必要なのは、ツーリング途中に限った話ではない。
日常生活において、ナンシーを相手にうっかりバイクの話題を持ち出し「昔話語りモード」に入られた場合、あなたや友人の貴重な時間が大幅に無駄遣いされることは間違いないからだ。
☆
「へぇ、そうなんですか……」
バイクに興味の無い一般人の可能性が高い。
このままバイクの話を続けるかどうかは非常に微妙な問題といえる。
残念なことに、一般的には今だ「バイク=マイノリティ」であり、ここからより以上話が広がるかは疑問であるからだ。
もし、あなたと相手との間に社会的な利害関係が存在するのであれば、早々に話を切り上げるのが賢明かもしれない。
無論、一般人に対し、バイクの楽しさについて啓蒙する絶好の機会であるともいえるだろう。
弁舌に自信のある方には、ライダーの地位向上の為にも是非ご尽力いただきたいところだ。
☆
「へぇ、何に乗っているんですか?」
判断が難しい回答である。
一見、バイクに興味のある一般人にも思えるが、ナンシーが偽装している可能性もあるからだ。
更なる検証が必要といえるだろう。
この検証において最も重要なのは、この回答の最初の「何に」が、バイクの「何」を問いているのかという点である。
排気量なのか、種類なのか、具体的な車種なのか。
「……何についてですか?」と優しく再度問いかけ、その回答パターンを参考に正体を探っていこう。
☆
「おっきいの?ちっさいの?」
(排気量はどのくらいですか?)
ナンシーである。
この場合の「おっきい?ちっさい?」は、バイクの排気量についてである。
すなわち、排気量が50cc以上か否かを問うているのだ。
以前、「ナンシーにとって排気量の基準はすべて750cc」と記述したことを覚えているだろうか。
そう、ナンシーにとって大きい(と見える)バイクはすべてナナハンである。
そして同様に、「小さなバイクはすべてゲンチャリ」でもあるのだ。
さらに厳密に言えば、ナンシーにとってゲンチャリはバイクではない。
ゲンチャリはゲンチャリという別の乗り物なのである。
※余談だが、「ナナハン」と「ゲンチャリ」の間に「ヨンヒャク」が存在することを知るナンシーも若干数ではあるが観察されている。
この場では、あなたのバイクがゲンチャリではない事をナンシーに優しく説明してあげることが必要である。
だがその努力も、次なる質問が「で、なんしーしー?」「もしかしてはーれー?」の何れかになるのを避けるまでには至らないだろう。
☆
「あめりかんってやつ?」
あなたのバイクはアメリカンですか?
バイクの種類を問うてきた場合、ナンシーである危険性は比較的低いといえるだろう。
多少はバイクの知識があると考えられるからだ。
しかし油断は禁物である。
この「アメリカン」が当該者にとってバイクとして知る唯一の種類であり、「アメリカンか、それ以外か」を問うている可能性もあるからだ。
安心して「いえ、アドベンチャーなんですが」と答え、「へぇ……で、それってはーれー?」などと返された場合の衝撃は非常に大きいものだ。
この場合、「まぁ似たような奴です」とあいまいに答え、話を次第にバイクから逸らすのがその場を切り抜けるのが賢い方法といえるだろう。
☆
「CB?Z?それともオフ系?」
具体的な機種・車種を問いかけられた場合、十中八九、相手は親父ライダーであろう。
さほどの危険性は無いと思われる。
今後は、身近に発見したバイク好きとの会話を楽しむ事ができるようになるかもしれないだろう。
唯一、注意点があるとすれば、親父ライダーと「盆栽先生」を見誤ってはいけないという点である。
似て非なる存在の「親父ライダー」と「盆栽先生」
一部重複する部分があるだけに、判定が難しいともいえる。
会話中にわずかでも違和感を覚えた場合には、より詳細なチェックを行う必要があるだろう。
☆
今そこに居るナンシー
さて、あなたの身近にナンシーは発見できただろうか。
1人見つかればその30倍は存在していると伝えられるナンシー。しかしそれは決して恐れるべき存在ではない。
身近に存在するナンシーは、使い方ひとつであなたのバイクライフに刺激を与えてくれる存在にもなりえるからだ。
さて、ここで重要な点がひとつある。
今後、あなたの日常生活の中で、意外な人物から「実は私、バイクに乗っているんですよ!」とさりげなく打ち明けられたとしよう。
驚きと嬉しさのあまり、つい「へぇ、それ何CC?」と尋ねてしまいたくなるが、それが非常な愚行だということはお判りになるだろうか。
そう、もし相手が当サイトの閲覧者であった場合、あなた自身が「ナンシー」と認定されてしまうに違いないからだ。
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※公開:2001/11/04~
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