■ツーリングレポート SEROW250 栃木

 

晩秋の日光ドハマり記

晩秋の日光ドハマり記
またやっちゃいました

 

 

garage Ak!rA

 

<2020年11月上旬>

テストのはずだったんですけどね

 見事な晴天の広がった日曜日。うむ、この天候では出かけないわけにはいかないではないか。
 それに、買ったばかりの冬パンツのテストにも行かないといけないしな!

 がらがらとガレージのシャッターをあけてセロー発進。

 今日のウエア。下はテスト用冬パン、上は冬仕様だけれどジャケットだけはパーカーで。
 実は気温がちょい高めなのだ。宇都宮近郊の気温予報も「そこそこ暖かいでしょう」

 さて、これで冬パンのテストになるんだろうか?んでもまぁ、日光まで上がれば気温は大分下がるだろうしな。

 北の山の紅葉はそろそろ終わりかけのはず。それでも日光街道は混んでいた。

 ご家族ご一同様の乗ったミニバンに挟まれてゆるゆると走る。
 セローのエンジンは問題なく快調。んでもいろいろ気になる音があるから一度まとめてみてやらないと。

 日光市内の状況は……ああ、この辺りならまだ紅葉はイケるんだ。
 そのせいか混雑もそれなりに。うん、やっぱ観光地には人が来てくれないとね。

日光市街
右:神橋、左:東照宮、車多し

 市街地を抜けて、その先のいろは坂に混雑はなし。ま、この辺りの紅葉は終わっているからね。
 「うははは、どうだセローでも結構イケるだろ~」(他府県ナンバーのマスツー軍団を追い越しながら)

 中禅寺湖畔まで一気に登って一安心。さーて、天気はいいし、まずはあそこへ行くとするか。

 しばらく走り、国道からちょい入った林道は、短いけれど雰囲気が楽しめる俺のお気に入りの場所だ。

 夏も良いのだけれど、葉が落ちつつあるこの時期はまた違った趣がありこれまた良い。路面はたっぷりと積もった落ち葉で茶色のふかふか絨毯と化している。
 「ホント、この時期は見通しも良くて気持ち良いんだよな……ちょい熊が怖いんだけどさ」
※今年は栃木県でもあちこちで熊の目撃事例あり

落ち葉林道
素敵な場所です

落ち葉林道2
人気(ひとけ)は皆無

湖も見える
湖が見えたりとか

 熊よけ……になるかどうかはさておき、時々クラクションを鳴らしながら進む。チラチラ見える湖の青が目に優しい。

 行き止まりは広場。セローのエンジンを止めるとあとは鳥の鳴き声が聞こえるのみ。
 「ああ、飲み物持ってくるんだったな……」
※本当はコーヒーを沸かしたいところだけれど、山中で直火は禁物。

 小休止の後Uターン。
 うん、これだけ晴天なら次はあそこだろ!

 一度国道まで戻り、枝道へと入っていく。
 こちらも俺のお気に入りの場所。先の所同様静かな林道だが、こちらはバイクで入れる部分が限られている。でもまぁ森林浴をしながらまったり休憩するには十分だ。

 よしよしといつもの場所にセローを停めて気が付いた。「お、あんなところにスペースがあったんだ」

 林道から外れ少し下がった場所、そこに若干広がりがありバイクを停められそうだった。
 そしてあそこなら見える景色もより良いはず。

 木々の間を抜けてセローを進める、30cmほどの小さな段差を前輪がごとんと降りる。
 次に後輪も降りて……「ザシュッ」
 ん?なんで止まってしまったん?

 なんと、段差の先の路面(というか地面)には小さな軽石が積もっていた。いや、積もっていたというより、段差の下は全て軽石だったのだ。

 上に枯葉が覆いかぶさり全く気付かなかった。軽石はさらさらとしていてバイクを降りた俺のブーツまでもがずぶずぶと沈む。「うげ、こんな場所だったのかここは!」

 いかんいかん、これはいかんと、いつもの「どこでもUターン」を試みる。軽量&ハンドル切れ角の大きいセローはどこでも方向転換が可能なのだ。
 ところがこれがままならない。前後輪共イイ感じに埋まってしまっていて、少し動くとまたずぶずぶと沈んでいく。まぁブーツすら埋まってしまう状況なので当然ではあるのだけれど。

 「そいうえばいつぞやも『但し砂地を除く』とか付け加えたんだよな……」とぶつぶつ言いながらヘルメットを脱ぎ、パーカーとウインドブレーカー、ウエストバッグを投げ捨てる。

 力任せに持ち上げて降ろして。大汗をかきながら180度の方向転換完了。「ふー、やれやれ」(甘い)

 それでは戻るかとエンジンをかけ、半クラッチでじわり進もうとすると……軽石を蹴立てて空転し沈んでいくリアタイヤ。「うげ、こんな場所だったのかここは!」(再)

 見事な大穴を形成したリアタイヤを唖然と眺めた後、キャリアステーを掴んでえいやとホイールを引っ張り出す。
 できた穴を軽石で埋めて、エンジンをかけて、半クラッチでじわり進もうとすると……またまたリアタイヤがずぶずぶと沈む。

 これを延々繰り返す。そう、悪夢のように。

 多少なりともリアタイヤが路面を掴みじわり進むこともあるのだが、先の「小さな段差」がどうにも越えられない。
 前輪は力任せに持ち上げられるが、その分後輪が更に沈む。
 「くそぉ、また『サイドスタンドなしでも直立』になっちまったか……」

ハマり中
画像だと大したことのない状況にも見えるんですけどね

<余談>
 セロー225で崖から落ちた時VMAXで砂で滑ってシにかけた時、後に「ああ、あの時もっと画像を撮って残しておくんだった」としみじみ思い、その後も意識していたつもりだったのだけれど、今回も画像はごく少数だけだった。
 おかしいなあ、もっと撮ってたと思ったんだけどなぁ……

 ホイールを持ち上げて、下に石をカマせて、エンジン掛けて進ませようとするけれどまた潜って……を繰り返す。

 国道からさほど離れていないし、付近にはトレッキングの人もちらほら見かけられるのだけれど、自分で入って自分でハマったのだから自分でケツを拭くのが当然と言うもの。人に頼るのは最後の手段なのだよ!
※負けず嫌いというか根拠のないプライドというか

 何度目かの引っ張り出しの際、キャリアを掴んで「フンッ!」と上げた瞬間、腰から「ゴキッ!」という音(物理)がした。
 「ぐはぁっ!ったたたたた……」
 うわ~~~~腰ヤッチャったんじゃないかこれ~!

 痛い痛いと座り込む。腰がビキビキする。
 ヤバい、ごくヤバい、ギックリ腰とかだったらバイクどころじゃなく、俺自体がここから動けないぞ……

 体育座りで数分間じっとする。(じっとしているしかない)

 時間と共に痛みが少しずつ引いてくる。ゆっくりと立ち上が……れて心底ホッとする。
 ああ、でも力は入れられそうにないな……

 腰に力を掛けないようゆっくり歩いてセローのところへ。軽く押したり引いたりするものの動くはずもなし。
 仕方ない、ここからの脱出は諦めよう。他に出られるような場所はあるだろうか。

 ずっと続いている段差と平行に歩いていくと、ちょい離れたところに段差が低い場所があった。
 今の所よりは上がりやすそうだが、セローをここまで移動しなければならない。

 セローまで戻るも、腰がこの状態では埋まっているリアタイヤを引っ張り出すのは不可能だ。
 「仕方がない、その1を使うか」

 それは禁断のサイドスタンドターン。
 立てたサイドスタンドを軸に車体を寝かせ、方向を変えるというスタンドに良くない転回方法だが、背に腹は代えられない。

※サイドスタンドターンはバイクショップがトラック上でバイクの方向を変えるのに使っていたりするのでそれほど悪くはないのかも。

※※ちなみに「その2」は車体を完全に倒してずりずり引っ張っていくというこれまた禁断の方法なわけで。

 スタンド下を掘り(車体が埋まっていて立てられない)下に石をカマせてスタンドを立てる。
 腰に気を付けながらバイクを寝かせてぐるり回して……なんとか90度の方向転換に成功する。

 路面状況に変わりはないが、段差がないのでなんとか押すことができる。
 ざりざり埋まろうとするタイヤをなだめながら平行移動、先の場所までの移動にも成功だ。

 ふうと息を吐き、再度90度の方向転換。
 この高さなら!と押して段差を越えようとするが、腰がこの状況で適うはずもなし。
 一か八かのエンジン脱出を試みる。

 エンジンスタート。シートには跨らず、1速に入れて半クラッチでそのまま車体を押す。
 相変わらず埋まろうとするリアタイヤ。それを横に滑らせて誤魔化しながら少しずつ前に進める。

 と、ふいにリアタイヤが何かに引っ掛かかり車体が前にグンッと進んだ。前輪が段差を越える。合わせて一気に前へと押す。行け行け!そのまま進めぇぇぇぇ!

 後輪が段差を越える。そのまま押し続けて先の林道まで押しあがる。
 ぐはぁ!出られたあっ!

 その場にヘタりこむ。「ああ、良かった!出られて本当に良かった……」
 だが腰が痛い腰が痛い、呼吸が苦しい、そして汗びっしょりだぜ。

※ハマってからここまで1時間以上。その間ずっと押したり引いたり持ち上げたりしていたわけだから。

泥はね
ハネた泥がどこに飛ぶのかよく考えてから荷物を置きましょう
(ツアークロスは今季初出動だったのに)

 たっぷり5分休憩。息が落ち着いたところで上着とヘルメットを引き上げ、装着する。

 恐る恐るセローに跨ってみるが、乗る分には腰は大丈夫そうだった。

図
センスの無い図を置いておきます

 ゆっくりと、本当にゆっくりとセロー発進。慎重に走って国道へと出る。

 昼飯がまだだったので腹が鳴る。喫茶店に飛び込んでカレーを突っ込んで安心する。

 食後のコーヒーをゆっくりとやっつける。
 「ああ、良かった!出られて本当に良かった……」(再)

 店を出、またまた慎重にセローに跨る。腰が痛いのに変わりはないが、この様子ならどうやら本気のギックリ腰ではなさそうだ。

 来た道をゆっくりと戻る。

 結局、今日は冬パンツのテストにはならず。「……それどころか大汗かいたわ!」

今日の走行距離:160km 給油回数:1回
今日の教訓:なんとかの冷や水

※ご注意:どうか「知ってる!知ってる!それあそこでしょ!」的な指摘はご遠慮くださるようお願いいたします。


 

 

 

■ ご注意 ■
 ツーリングレポート中の数値・金額・時間・時刻等の表記は、特に記載のない限りツーリング当時のものであり、現在とは異なる可能性があります。



 

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