ここまで来たなら行かないわけには行きません
■目指せ北端
4:30起き、5時出発。
宿には「朝食抜きで早めに出ます」と伝えてある。荷物も昨夜準備済み。さくさく着替えて荷物を積んで、そーっと外へ出たらこんな朝から元気に散歩していた同宿の方が居てびっくりする。
どもどもと頭を下げ、大通りまで押したセローのエンジンに火を入れる。さて、今日は北端だ。
☆
中4日で来た今年の北海道。ここまでのレポにもあるとおり、天気の変化が非常に激しい。
くるくると予報も入れ替わり翻弄させられる事しきり。昨日は目の覚めるようなマッ晴レだったのに今日の予報はちょい怪しい。(特に時間が遅くなると)
ここ(クッチャロ湖)まで来たのだから北端(宗谷岬) に寄っていかない訳にはいかない。だがそうなると今日は結構な距離を走ることになる。でも万が一雨でも降ると…というわけで、朝食抜きの早朝出発にしてみたのだ。
朝の空はこんな雰囲気で
☆
「6時オープン」と書かれていた市内のセイコマは、まだ5時ちょい過ぎにも関わらず営業中だった。
オーダーはもちろんグランディアブラックとしっとり豆パン。いつもは断るコンビニ袋も今日は貰っておく。天候がアレになるとこの手のモノが活躍するからだ。(活躍して欲しくはないけどね)
セイコマで軽食といえばコレでしょう
もごもごやって出発。天気と時刻が相まって気温は低い、ウエアのベンチレーションは当然全閉だ。
☆
国道238を少しだけ走り、見覚えある角から海沿いへ入る。
いわずとしれたさるさるライン(エサヌカ線)、そう言えば早朝にここ走るのは初めてかも。
さるさるライン(←命名、俺)は相変わらずの景色と直線。「うは~、変わってないなぁここは。」
なにしろこの景色ですから
少しだけ道を外れてみたりとか
もうちょっと外れてみたりとか
そういえば、前回来た時にも気になったのがコレ
やっぱ避雷針なんですかね?
誰一人いない原野の直線でやりたい放題やってたら、地平線付近(に思える程先)に小さな影が現れた。
そしてそれがゆるゆると大きくなり、やがて1台の自転車であるとわかったときの驚きといったら!
サムアップして通り過ぎていくサイクリスト。「う~む、この時間にこの場所を一人で走るのか、なかなかやるなぁ」
草原にひっくり返っている遊んでいる最中、思いついてセローのエンジンオイルの減り具合をチェックする。
オイル量問題なし=ブローバイガス少量。となるとやはり5MP用カムカバーに交換して正解だったかも。
☆
ゆっくりセローを走らせる。
と、何故か大きなトンビ(もしかすると他の猛禽かも~)がセローと併走(併空?)してきた。それも見上げると目が合うくらいの距離だ。
40km/h程で1kmほど一緒に走る(飛ぶ)。なんだろう?美味そうなものでも持っているように見えたのかな?
#それとも俺が美味そうに見えたか、だ。
☆
国道238へ復帰。また風が強くなってくる。波しぶきの立つ海を眺めながら北へと走る。
7時前、宗谷岬手前。風のおかげで雲が払われ、上空には青空も見えてくる。
晴れてきた晴れてきた
坂を駆け上がって宗谷丘陵着。
おー着いた着いた。ちょい雲は多いけどやっぱここの景色は凄いなぁ。
相変わらずです
風にぐるぐると回る風車群ももちろん健在、また数が増えてるのは気のせいではなさそうだ。
確実に増えてますね
これはちょい違った角度から撮りました
風車を眺めながらぐるぐる回っていたら、「フットパス」という看板を見つけた。
なんだこれ?「ぶっ飛ばす」の洒落じゃないよな?新しい観光ルートとかか?
※どうやらウォーキングコースみたいです
→稚内観光協会「フットパス」
歩道とかではなく普通の道路、なのでどれどれと走ってみる。
道は細くうねうねと続いて丘を登り……途中で気づく。「これ、前走った郵便局から上がる道じゃん!」
こちら(丘陵側)から行くと道が海へ消えているように見える素敵なルート。そしてなんと、その一番景色の良い辺りは路面に貝殻がまかれ真っ白になっている。う~む、これはいつぞやの『貝殻ルート』と同じ仕様ではないか!
「うっは~、綺麗だな~」
一見、海へと消える道
路面は一面の貝殻で
「綺麗だけどここ、観光ルートになっちゃったのか。なんかアレだな、パフュームが一気にメジャーになった時の昔からのファンの心境ってこんな感じなのかな…」とかなんとか意味不明のことを呟きながらぼーっとしてみる。
空は基本的に曇り。だが時折り青空も出るのはこれまで同様。その合間を縫ってあれこれ撮影に走る。
あちこち入ったりとか
それらしいところで撮ったりとか
「天使の梯子」とか
あ~、走った走った観て回った。
さて、落ち着いたらせっかくだから宗谷岬の海岸も見て行こう。
☆
久しぶりの日本最北の地の碑。駐車場には結構な台数のバイク・車があったが、空白の時間を利用して一人記念撮影に成功。
よし、久しぶりにお約束ゲットっと。
まさにお約束
セローのもとへと戻り、さてどうするかと地図を広げようとして風が益々強くなっていることに気づく。
いつの間にかごうごうと吹きつけるようになっていた強風、そして俺の数台向こうに止められていた素敵なイタリア製のロングクルーザーがふわりと動いて…ガッシャーン。
数人で救助。あ~もったいないもったいない。
「サイドスタンドが浅かったのか荷物を高く積みすぎたのかな?こんな風が続くならセローも気を付けないとなぁ…」(そうそう…)
ガソリンの心配は少なかったが、せっかくなので北端のスタンドで給油したのが丁度8時。
ここで給油すると貰えるお約束のお守り(小さなホタテ貝殻のストラップ)も健在で一安心。
名残惜しいのでまたまた丘に上がり、遠回りして国道へ戻る。
「よし、北端堪能!でも次来る時はきっちり晴れてくれよ!」
☆
国道238、海岸線を西へ進む。
相変わらず風は強く…強く…って、「いくらなんでも強過ぎんだろおいっ!」
猛烈な西風は完全な向かい風、磐越道の向かい風も酷かったが正直その倍くらいあるんじゃないか?と思うほどの強さだ。
「うげ~、スピード出ねぇよぉ…」
がんばれとセローを励ますが出ないものは仕方が無い。それでも一般道なので他の車に迷惑をかけることがないのが救いではあるのだが。
☆
納沙布岬は道道106でショートカット。日本海側の道道254→106へ。
セローの鼻先が南を向く。風は相変わらずの西風なので海からの横風に変わる。
「あ~お~ら~れ~る~あ~お~ら~れ~る~」
ごうごうと吹く風の中、時折り晴れ間が出てくるとやはり嬉しいものだ。
☆
兜沼付近で小休止。
道路わきの駐車場へセローを乗り入れ、やれやれとヘルメットを脱ぐ。
そしてここにも数台の自転車が。「しかしこんな風の中よく漕げるよなぁ、自転車をさ…」
海にはもちろん真っ白な高波が。海岸に咲く花も吹き飛びそうなほど首を振っている。
波は高いですよ
もちろんピントは合いません
☆
一息ついたところでさてと考える。
ここまではなんとか無事に(?)来たが、この先、南には一面に厚い雲が広がっている。携帯でリアルタイム雨雲レーダーを見ると、まだ降ってはいなさそうだが晴れる望みはなさそうだ。風が強いので雲の動きも早いだろう。
これから向かう今日の宿は上富良野だ。
どこかで海岸を離れ内陸に入ることになるのだが、「どこで入るか?」が天候の鍵になりそうな気がする。
それっと出発。
長々と書いてきたが、時間はまだ午前10時前だったりするのだ。雲は多いけどせっかくのサロベツ原野、楽しんで走るとしよう。
☆
強い横風に車体をナナメにしながら(←マジ)トコトコ走っていたら、ふいにエンジンに息継ぎが発生し始めた。
6速80km/h前後でのみ時折ケホッと引っかかる。
以前の北海道ツーリングでも起きた現象(原因は多量のブローバイオイル?)と似ているようでちょっと違う。息継ぎというよりノッキングに近いかも?それに今回はブローバイガスが少ないのをチェックしたばかりだ。
「給油してからだしガソリンの相性かな?それともメインジェットにゴミでも詰まったか?風の負荷も大きいしなあ…」
今は何もできないのは判っているけれど、とりあえず停まってエンジンを覗いてみる。すると…「うげ、こんなところからオイルも漏れてら」
ヘッド前部のカバー付近にオイル染み。これも先のチェック時には無かったからちょい前発生とみて良いだろう。
見事に黒々と
オイル漏れとはいえ飛び散るほどではなし。ブローバイの関係があるのでオイル量はまめにチェックするし、いざというとき補給するエンジンオイルも持参済み。「うん、まぁ致命傷じゃないし、大勢に影響ないからミナイフリっと」
※後日談:息継ぎはこの後ハイオク給油(後述)したら症状が軽くなり、その後はいつものレギュラーガソリンでも問題なしだった。念のためキャブのOHを予定。
ヘッドのオイル漏はその後収まった。帰宅後バラしたらここのOリングが完全に潰れていたのでこれが原因のよう。
☆
相変わらずの景色のサロベツ原野をとことこ走る。
びゅんびゅん追い越していく車を尻目に巡航速度は制限速度+α。ああ、でもセローはこのくらいのペースが一番気持ち良いなぁ…
サロベツの南端(?)お馴染みの風車連の下で記念撮影。うん、ここも風車増えてるな。
また数えるの忘れましたが
この先、パラっと降ってきて慌てるが雨はそれで終わり。無事手塩まで着く事ができた。ふ~やれやれ。
特に必要なかったのだけれど給油をする。息継ぎ現象の原因がノッキングだったら?の対処としてハイオクを入れてみようと思ったのだ。GSの親父さん曰く「軽油はともかく、ガソリンは内地と変わり無いよ」とのこと。
#寒冷地のディーゼル軽油にはいろいろ仕込みがあるんですな(←栃木の北部も一応寒冷地)
道の駅てしおで早めの昼食を摂る。オーダーは「寄り道定食600円」これといって特徴のない定食だが熱くて旨かった。
#前食べたナニも売ってたけどアレなのが判っているので頼まず(笑)
ご飯+味噌汁につけ合わせという感じ。
見てのとおり塩分・コレステロールは高めです(笑)
11時過ぎ発(そう、まだ11時)
腹も膨れてさぁ行くぞ!という時に、昨日からリアバッグに刺してあったとほ宿旗がなくなっていることに気づく。
くっそ~この風で飛んじゃったんだろうなぁ…悔しいけど仕方ないか…
※1つ上の風車の画像時点で既に付いて無かったり。まぁそれだけ強い風だ(現在形)ということですよ。
☆
道道119へと左折。内陸へと入る。
この道は程よく曲がっていて気持ち良い。もちろん交通量は激少で、大型車で吹っ飛んで走るとさぞかし楽しいことだろう。
海から離れたせいか風は多少落ち着いた。まぁそれでもまだ「強風」のレベルなのだけれど。
R40へ合流して河原で小休止…していたら、さぁっと雨が降ってきて慌てさせられた。
「屋根屋根…」と探すうち雨は止む。そして一気に青空が広がり、安心しているとまたさぁっと…
合羽を着るほどではない中途半端な雨が降ったり止んだり、どうやら内陸は海岸線以上に気まぐれな天候のようだった。
この1分後に慌てさせられました
R40を東へ。
空は曇天、道はウエット。普通に走っていると膝下が濡れる。(←ってのは以前のツーリングでも散々書いた)
なので今回はタンデムステップを出してそこに両足を乗せて…ほおらこれで大丈夫。これは伝説のふたり鷹ステップと言ってですねぇ…
#↑言わないし年齢踏み絵だし本当はこれでも濡れるし。
☆
12時過ぎ、道の駅おといねっぷ。
そうか、昨日もここを通ったから、これで道北をぐるり1周してきたことになるのか。
R40から名寄バイパス。ここは高速道路規格の道路でもちろん無料。
距離は稼げるものの、ただの移動はなにかとつまらない。こんな時はと塩狩峠で道路脇に出された農家の売店に飛び込み、ゆでとうきび200円を齧ってみる。
疲れた体に塩が旨い。そう、このくらいたっぷり塩使った茹でとうもろこしって旨いんだよな。
プリップリだし
売店のおばちゃんに「美味かった!」と親指を立てて店を出る。
R40南下続行。
そしてあまりにも前方に広がる雲が黒くなったので、コンビニにセローを停めて雨雲レーダーを覗いてみる。
「うげ、駄目だこりゃ…」
この先はどこもかしこも雨雲ばかり。それも結構な雨量がありそうだ。
今日のような降水確率70%の時にここまで雨具付けずに走ってこられて「さすがは天下御免の晴れ男!」と思っていたけど、どうやらそれもここまでのようだった。
諦めてごそごそと雨具を着込む。
そしてそれは正解で、そこから1kmと走らないうち、セローは本格的な雨の中へと入っていった。
☆
ざわざわと降り続く雨。レーダーのとおり今度は途中で止むことはなかった。
これはダメだと農家の入り口の大きな木の下でブーツカバーを追加する。そしていつの間にか出てきた農家のおっちゃんに「バイクは大変だねぇ」と声をかけられ恐縮してみたりする。
15:40、美瑛、給油。
国道は観光客の車で結構な混雑だが、もちろん俺は何処へ寄るつもりもなし。
16:00、上富良野の宿へと到着する。
やれやれと荷物を降ろし、脱いだカッパを屋根下に吊るす。ライダー向けの宿なので濡れたものを干す場所が広いのが有難い。
雨の降りが減ったタイミングを見計らってセローのフロント周りにカバーをかける。いや、バイクが濡れるのは平気だけど、雨の日の電装系にはトラウマがあってですねぇ…
雨対策完了
こんな日は他のライダーもチェックインが早いです(笑)
ここの宿も売りは食事。
今日は満室ということで、大勢でビールサーバーのサッポロクラシックを飲みながらわいわいとやる。
美味しゅうございました
夜、雨が更に強くなり、雷鳴も聞こえ始める。TVの天気予報では「大雨洪水警報が…」
う~、明日が北海道ツーリングの実質最終日だというのに…天気どうなるのかなぁ…
★
■本日の走行距離:440km
■本日の教訓:ま、雨が降らないうちに一通り回れたので良かったですけどね
■ ご注意 ■
ツーリングレポート中の数値・金額・時間・時刻等の表記は、特に記載のない限りツーリング当時のものであり、現在とは異なる可能性があります。
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