■YAMAHA VMAX 1700 (VMX17) メンテナンス編

 

ホーン交換(Wホーン化)記

Wホーン
問題は場所なんです

 

 

garage Ak!rA

 

<2011年3月>

仕方ないでしょう、純正はね

 VMAXのホーンを換えてみようと思う。

 言わずもがなではあるのだが、新型VMAXとはいえ純正のホーンは音がいま一つだ。
 セローのように安っぽい音ではないのだが、車両のイメージに比べると迫力に欠ける。
 小さなホーンが1つ付いているだけだから致し方ないとはいうものの、もう少しなんとかしたいところだ。

 音質を変えたいのであれば、Wホーン化しかない。

 周波数の違う2個のホーンを鳴らすことで音域に幅が出るようになる。
 ただ、ホーンの個数が変わるので場所の移動(追加)も必須となる。まぁこれは換えるホーンの形状にもよるのだけれど。

 さて、それではどんなホーンに換えようか?

 単純なのはニッコーホーンのWホーン辺りだろう。
 先代MAXに使ったのも確かこのタイプだ。2個ではあるがフラットな形状なので純正の場所に付けられることも多い。
 但し音は(先代の純正よりは良いが)今の俺が狙っているようなものではない。

 それなりの音質を、となるとやはり渦巻き型だろうか。
 定番はPIAAホーン。隼に(シングルだが)付けていたのがこれだが、とにかく形が大きい(厚みがある)ので取り付け場所に難儀する。二輪専用でダストカバー(兼防水カバー)付きなのは安心できるところなのだけれど。

 「んでもまぁ、やっぱ無難にPIAAかな?」と思っていたのだけれど、ひょんな事から面白いホーンを見つけてしまう。

horn
大きさはPIAAとほぼ同じです

 実はこれ、四輪のレクサスブランドのRX350用純正ホーンだ。
※製造はMARUKO HORN(←多分)

 レクサスのRX350というのはぶっちゃけて言うと旧ハリアーなので一応オフロード車。なのでホーンにも(PIAAの二輪用と同じような)ダストカバー(ダストガード)が付いている。

 メーカー純正だけに色も渋い。ピカピカプラスチッキーなPIAAとは大分違う仕上げだ。
 そしてヤマハとの関わりも浅からぬレクサス(トヨタ)純正をVMAXにつけるというのはなかなか面白い選択にも思える。
※ヤマハとトヨタは…ってのは今更書かなくてもいいよね?(笑)
 音の周波数は500hzと400hz。実際の音は未確認だが仮にもレクサス、そんな変な音はしないだろう。(と期待)

 2個セットの価格は純正定価だと5千円ちょいだろうか?PIAAを2個買うのとさほど変わらないはずだ。
 今回はツテを伝って純正品を手配した。
※ノンブランド(もしくはマルコホーンブランド)の同型品だとこの半額くらいで買えるかも。でもダストガード付きモデルってなかなか出回ってないんだよね。

 某日、物が届いてさてと考える。

 「う~む、やっぱり厚みがあるなぁ…取り付け場所が思いつかないぞ…」

 VMAX純正ホーンの取り付け位置はラジエターの左下だ。
 車両のデザインを考えると「そうだよなぁ、ここしかないよなぁ」という場所である。
※右じゃなく左側についてるのは右側通行重視なんだろうか?

horn
ここですね

 新型VMAXをWホーン化した場合の定番位置は、純正位置近く(下部ラジエター脇)に1つと反対側同位置にもう一つだ。

 だが、俺はこの位置はどうにも気に入らない。
 横から見ても前から見ても、「余計なものがぶら下がっている感」が否めない。そしてバンク角への影響も心配だ。ホーンはできるだけ「上&内側に追い込んで」付けたいと思う。

 だが、変な場所(ラジエターの裏とかエンジンの底とか)に付けて機能的な影響がでても困る。  
 「後付け(交換)パーツはできるだけ単純に取り付けるべき」というのはこれまでの経験で学んだ重要事項なのだ。

 「…んじゃどうしようか?」

 ま、純正ホーンを外してから考えるとするか…

 純正ホーンを外すのは簡単だ。配線コネクタを抜いてボルトを2本外せば良い。
 ボルトには緩み止めのワッシャが付いていた。ワッシャ自体は珍しくないが、形状は薄い波状のものであまり見かけないタイプだ。
 こういうところにも手間かけてるんだねぇ…(しみじみ)

bolt
銀色の奴が緩み止め

 さて、今回のような4輪車用純正ホーン(プラスの端子1つしか付いていないタイプ)の流用に関しては重要な点がある。
 それは、オートバイのホーンはマイナスコントロールが多いということだ。

 マイナスコントロールというのは、これまたぶっちゃけていうと「ホーンのスイッチが、バッテリー→ホーン間ではなく、ホーン→アース間に入っている」ということ。
 だから、キーオンするとホーンのプラスは(ホーンボタンを押さなくとも)常にバッテリーのプラスと繋がった状態になっている。
 そしてこのしくみのまま、プラスの1線しか無いホーンに素直に交換すると「メインキーを捻った瞬間、高らかにホーンが鳴り響く」という事態を引き起こすのだ。
※4輪純正でもホーンからプラスとマイナスの2線が出ているものは多分大丈夫

<余談の1>

 4輪純正ホーン(プラス線1本)のマイナス側は、ステーを経由しフレーム・シャーシに落とすようになっている。2輪の純正ウインカー等と同じしくみの配線だ。
 では何 故2輪も(ウインカー同様)この方式になっていないかというと…ホーンをつける場所がフレーム直とは限らないからだろうか?

 そして実は、スイッチ部分だけに関しては4輪もマイナスコントロールが多いと言えないこともない。ハンドルにあるホーンボタンは大抵マイナス側だから だ。
 この場合、スイッチがマイナスコントロールでホーンがプラスコントロールになる。これを制御するために間にリレーが噛まされている。

 外した配線を前に、念の為チェックしてみる。

 まずは検電器(テスターより簡単な電気が通ると電球が点く奴、気軽に使えて便利)を準備。マイナス側のクリップをエキパイのスタッドボルトに挟みこむ。
 この状態でどこかに先端を当て、中の電球が点灯すれば電流が来ていることになる。

検電器
理科の実験の豆電球みたいなものです

 それではと純正コネクタの片側、プラスと思われる方に先端を当てる。
 メインキーオンで電流が流れて電球が……「…点かねぇじゃねぇかよっ!」

 マイナスコントロールなら点くはずなのに何故か点灯しない電球。「検電器のアースが落ちてないのかな?」とか思いながら念のためホーンボタンを押すと…ピカッ 「ありゃ?点いたわ」
 キーオン&スイッチオンでのみプラス側に電流が流れるって、これ、マイナスコントロールじゃないじゃんっ!

 「うわぁっ!そうすると昨日大枚払って購入した防水リレーの立場はっ!」

 マイナスコントロールを疑っていなかったので、リレーを噛ませてスイッチングしようと思っていたのだ。(←4輪のホーンボタン同様)
 普通の配線(?)であればリレーでスイッチングする必要なない。ごく単純にプラスをプラスへ、ステーをマイナスへ繋げばいいだけだ。
 ううむ、取り付け場所に苦労しているので部品が減ったのはありがたいことなのだけれど…ま、この余ったリレーは大音量エアホーンとかを付けたくなった時に使うとしよう。(←絶対付けないけどな!)

※ホーンスイッチの回路、マイナスコントロール云々に関しご存知の方いたら是非ご一報下さい。いや、いずれマニュアル購入の後チェックしようとは思ってますけど…(汗)

 さてと気をとりなおし(?)取り付け場所の検討に入る。

 レクサスホーンを片手にあれこれひねくりまわしたのだけれど、やはりどうにも入る場所が無い。
 そうなると、左側はやはりラジエター横だろうか。

 それでも、なるべく上に取り付けられるべく、ホーンステーを短く切り穴を開けなおす。ボルトが入り、外から回せるぎりぎりの位置だ。
#あまり端に穴を開けると後々のクラックが心配。

ステー切断
切って穴を開けました

仮留め
とりあえず仮留めを

 う~ん、これならぎりぎり許容範囲かなぁ…本体がもう少し薄ければなぁ…ま、あとで再検討しよう。

 さてともう一個のホーン。
 いろいろ考えたのだけれど、やはり車体右側には付けたくない。左側になんとか2個まとめて押し込みたい。

 「でもこの大きさじゃ…」と眺める脇には、さっき外したばかりの純正ホーン。
 ……これ、Wホーンの片側は純正ホーン、ってのはどうだろうか?

 純正ホーンカバーを取り付けている太いボルト(何故かネジロック付き)をえんやら外す。
 裸にした純正ホーン。裏側にも特にカバーで守られていたものは無さそうだ。これならこの形で使っても大丈夫だろう。(多分…ね)

純正ホーンバラし
赤いところに留まっていた青いところのボルトが固くて固くて…

 純正ホーンステーが付いていた穴を利用して、ホーンを横向きに付けてみる。

 ホーンをぶら下げるように取り付け、「かなり下になっちゃうな…」と思ったのだけれど、ちょい純正配線をよければ逆向きに取り付けられることに気が付いた。
 クランクケースにぶつかるぎりぎりの位置に収まった純正ホーン。「おお、結構スリムに収まったじゃん」

 ちょい離れた所から確認してみる。
 ばっちり格好良くなったとはいえないけれど、さほど不細工になった感じも無い。少なくとも当初危惧したぶら下がり感は避けられているように思う。
 「んじゃ当面はこれでいきますかね」

Wホーン
ぎりぎりです


 改めて配線を追加する。ラインはできるだけ短くシンプルに。

 2個のホーンは当然並列に接続する。
 マイナス端子の無いレクサスホーンはステー取り付けボルトにコードを友締めし、マイナス側に接続する。

 固定前に動作チェック。もちろん片方ずつと両方同時と3回に分けて。
 キーオンだけではホーンは鳴らず、ボタンプッシュで「ファ!」と鳴る。よし、これなら大丈夫だろう。

<余談の2>

 今更ではあるのだけれど、ホーンを変更(増設)する場合には消費電力にも気をつけないとならない。
 大容量ホーンへの単純変更は、ヒューズ切れや配線焼けを誘発するものだ。(実際には単に音が小さくなることの方が多いかも?)

 今回交換したレクサスホーンの定格は4A、VMAX純正は多分3Aくらい(←実は調べてない)
 2倍以上になるのでどうかな?と思っていたが無事規定音量で鳴ってくれた。
 だが、今後の状況によっては、配線引き直し&リレー化も考えてやろうと思う。どうせリレーは買ってあるわけだし(笑)

 線の引き回しとか接続部分の防水とかを再確認して作業完了。
 お~し、出来た出来た。

 純正の音を「ピッ!」とすれば、これの音は「ファヒッ!」という感じ。
 2個とも渦巻き型にした時には及ばないが、それなりの音質にはなった気がする。

 完璧というわけではないが、まあまあの仕上がりにはなったWホーン化。

 渦巻きホーン1個と分解純正ホーンの組み合わせというハイブリッド方式(「変態ホーン」と命名)は、これから新型VMAXのトレンドになるに違いない。(←なりません)

#あ~、レクサスホーンの400Hz側が余っちまったぜぃ、もったいないもったいない…

Wホーン
バンク角にも影響なし…だよね?

<了>




 

 

 

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