4C8-25803-00 キヤリパシールキツト (フロントキャリパ、2セット)*1(後述)
■結構走っていますから(再)
VMAXのフロントブレーキ周りをフルOHしてやろうと思う。
現状、これといって気になるところはないのだけれど(急ブレーキの直後に引きずる感じがしないでもないんだよな……ぶつぶつ)去年クラッチマスターをOHしたところだし、なんといっても10年目7万キロの車両なわけだから。
オーバーホールはフロントブレーキ全体に対して行うので、ホイール側のキャリパーとハンドル側のマスタシリンダー、双方での作業となる。
★
<ここで要注意>
・OHなのでブレーキフルードは当然全交換になるのだけれど、VMAX1700にはABSが付いている。
・ABSシステムの内部回路にはフルードが満たされている。
・万が一、ABS内に少しでもエアが混入すると、ABS動作に不具合が出る。
・一旦エアが混入してしまう抜くことは素人には不可能。メーカーの専用吸引機で引くしかない(らしい)
・メインキーをオンすると、ABSシステムのセルフチェック(内部回路のOPEN-CLOSE)が行われる。
つまり、
「ホース内のフルードにエアが入ってる(もしくはフルードそのものが無い)状態でキーをオンするとエラいことになるぞ!」
ABS付きブレーキのOH時には、作業が完全に終了するまで、キーは抜いておくのが賢明なようだ。
※なので密閉されているABSシステム内のフルードはOHでは交換できないのだけれど、その後の走行(&セルフチェック)により次第に新しいフルードと入れ替わっていく……ような気がする。
★
さて、それではブレーキキャリパー側から作業を始めよう。
何故キャリパー側からかというと、OHの為にはブレーキピストンをできるだけ出しておく必要があるし、それにはフルードが入っていて、かつブレーキレバーを動作させる必要があるからだ。
※というのをセローで学びました。
※※と思ってました。(後述)
★
上記のとおり、ブレーキキャリパーのオーバーホールは一度セローで経験済み。
だがあちらは片押しの2ピストンキャリパー。
こちらは対向キャリパーで片側3ピストン、そしてWキャリパー。
「合計でピストン総数は12個だばかやろう!」(?)
きっと面倒な作業になるんだろうなぁ……(そうそう)
ちなみにパーツ(シール)代は2k円ちょい*2(Wキャリパー)というあたり。
比較的お安いのかな?セローは0.9K円だったけど、片側だけでもピストン数が3倍なわけだし。
ま、やってみましょう
★
作業開始。基本的な手順はセローと同様のはずだ(と思ってた)
まず、左キャリパーを外し(ブレーキホースは付けたまま)ブレーキレバーを握ってピストンをせり出させる。
こうしておけばピストンが抜けやすく……「あれ?」
セローと違い、対向ピストンのVMAX。
当然両側から出てくるのだけれど、これではピストンの抜ける隙間がとれないではないか。
それ以前にピストンプーラーをかける隙間がなくなるような
うむむと考える……が、無いものはナイ。
試しにと、1つにピストンプーラーを掛けたらするりと回ってくれた。うん、ならこれ、せり出さなくともピストンプーラーに全面的に頼っても抜けるんじゃないかな?
※ピストンプーラーについてとか、全面的に頼ってひどい目に遭ったとかもセロー参照ということで。
片手撮影なので角度がアレですが
よしと覚悟を決め、ブレーキホースを外し、キャリパを完全に取り外す。
※当然フルードが漏れるので、ペットボトルで受けておく。
6個あるピストン。片側3個を手で押しこんでスペースを確保。
反対側の1つにピストンプーラーを掛け、回しながら引き抜き……スポン!
「おー、凄い凄い、簡単に抜けたわ!セローであんなに苦労したのが嘘みたいだわ!」
※なのでキャリパー側から作業する必要はなかったわけで。(先述の件)
でもピストンが抜けると中から出きったと思っていたフルードがどばっと流れてくるので要注意!
残りのピストンも、さほど力を入れることなくスポンスポンと引き抜けた。
一旦引っ込めてしまった反対側の3個も同様にすんなりと抜けてくれた。
よし、さすがはVMAX。セローとは程度が違うんだぜぃ!
やれやれ
<余談>
とまぁ、結果的には大丈夫だったのだけれど、もしセロー並みに固着していたら恐ろしい手間になっていたと思う。
そして程度がアレな車両だとそんなこともありそうな?もちろんVMAXだけじゃなく。
なので、対向ピストンのキャリパーを中古パーツで流用しようという方はどうかご注意ください。
※サービスマニュアルの手順のとおり、エアを吹き込んでも外れなかったらどうすりゃいいんだろう?
※そして、やっぱV-Max1200でヤマンボキャリパーを流用した時はラッキーだったんだよなぁ。
★
さて、ブリーダーボルトも外したのだけれど、何故かこれがサビサビで。
※動作・密閉には問題なし
何か原因あるのかな?今回は無理だけど機会があったら交換してやろう。
そしてこれは左側だけど、右側も同じ状態なんだろうか?
とりあえずCRC-556に漬け込みました
単体になったキャリパー。
漏れて付いたブレーキフルード等をざっくり洗って乾かして。
さあて、ここからがメインの作業、ピストン清掃とシール交換だ。
★
外れた6個のピストンはとても綺麗だった。
もちろん汚れは付いていたが、ウエスで拭うとそれだけで綺麗に落ちた。
傷の類も皆無。本当にピカピカで新品同様。確かにこれまでそれなりにメンテ・清掃はしてきたけれど、それ以上に元々の品質が違うのだろう。
ピッカピカになりました
次にシールを外す。
シールは2種類。
手前側(パッド側)に薄いダストシール。内側に厚いオイルシール。
これをこれまたセローでも使ったオーリングピッカーで外してやる。
外れましたよっと
2種類*6箇所のシールを外し終わったら、シールが入っていた溝を清掃。
先のピッカーとパーツクリーナーを使っての作業だけれど、これまた汚れが少ないので楽だった。
「さーて、んじゃ組むぞー」
★
新しいシールはTOP画像の通り。
*1)このパーツ、注文したパーツNoは「4C8-W0047-00」で、届いたパーツNoは「4C8-25803-00」
「誤手配かな?」と心配したのだけれど、どうやら同じ品のようだった。
※ヤマハのWEBパーツリスト上でも同じ名前・価格
最初は厚いオイルシールを。
ダストシールとは別にパッキングされていたのだけれど、これはグリスが塗ってあったからだろう。(別途グリスも付属)
そして片側に赤いマーキングがあるのは、裏返らないように(裏側ってもわかるように)の為だろうか。
謎のマーキング
シールは溝にセットするだけなのだけれど、なかなかにコツがいる。
「一か所を差し込んで指で固定しておいてから残りをズラしこむ」と上手くいくようだった。(経験値)
オイルシールを6か所にセットしたら、次は薄いダストシール。
こちらに塗る指定はブレーキフルード。薄く塗ってセットする方法はオイルシールと同様だ。
両シールとも、引っかかりや裏返りがないかどうかを目視&指先で入念にチェックする。
次にピストン……は、ブレーキフルードを塗って差し込むだけ。
スポンと入って気持ち良いのだけれど、万に一つもシールを巻き込まないように要注意っと。
「よーし、できたできた」
外側にシリコンスプレーするのはお約束
これで左側のキャリパーが終了。右側も同様に……なのだけれど。
「ありゃ?ブリーダーが全然違うぞ?」
先の程度云々の話とは別に、まったく違うパーツだったのだ。
左:右のブリーダー、右:左のブリーダー
(逆にして画像撮れば良かったな……)
何故か右のブリーダーの方が長く、途中にOリングも入っていて高級そう。
※ちなみに程度・状態も右側は良好で交換の必要性など無し。
どうしてこんなに違うのだろう?ブレーキホースは一旦左キャリパーへ入ってから右キャリパー行くのだけれど、その構造と関係あるのだろうか?
※念のためパーツリストで確認したらやはり違っていた。まぁキャリパに彫られているブリーダーボルト用の穴の深さも違うので間違いのはずはないのだけれど。
★
これにてキャリパーのOH作業は終了。
それではと車体への取付前にブレーキパッドをセットする……「じゃーん、新品純正パッドぉ!」
棚の奥から引っ張り出しました
散々挫折だのもったいないオバケだのと語ってきたけれど、今回は手間も暇も(そして金も)かけたフロントブレーキのフルオーバーホール。
「ここで使わず何時使う!」(ならもっと早く使っても)
いつも通り面取りしたパッドをセットして、これまた洗浄したパッドピンで固定する。
よしよし
キャリパー一式を車体へ取り付け、ブレーキホースも元通りに。
バンジョーのワッシャは目をつぶって再利用(自己責任)
できました
「これで終り……だよな?」(と指さし確認)
ここまでで作業時間は3時間半というあたり。
さあ、次はマスタシリンダーだ!
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