■YAMAHA VMAX 1700 (VMX17) メンテナンス編

 

リチウムイオンバッテリー導入記

リチウムイオンバッテリー導入
人柱っそれひとばしらっ!

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 その後の状況   その後の状況2   その後の状況3   その後の状況4 NEW

 

 

garage Ak!rA

 

<2013年5月> 検討

以下「…らしい」「…のはず」ばかりになってしまったことをお詫びします

…というわけで、突然死してしまった(?)純正MFバッテリー
 突然とはいえ消耗品だから仕方のない事だ、さっさと交換するとしよう。

 さて、バッテリーを含む機能系(見た目や外装ではなく、動く・走るに関する部分)については極めて保守派の俺。
 これまで買ったバッテリーも、全て日本メーカーもしくは日本メーカーの保証がついた品だった。
先代V-Maxの秋月バッテリーは自己責任だったけれど、これも「あの秋月が売っている品物だし」 というベースがあってのこと

 だが最近は、名目国産でも実質海外生産なものがほとんどだ。
 新しいタイプのバッテリーが出回ってきた時期でもあることだし、どうせならちょい変わった奴を試してみたい。

 今更なのだけれど、バイク用バッテリーにはいくつかの種類がある。

 昔からあるのが開放型バッテリー、先代V-Maxの純正がこのタイプ。

 その名のとおり充電時に発生する気体の抜ける穴があるので、時々チェックしてやらないと水量が減ってしまい蓄電量が激落ちしたりする。
#そしてそれに気づかず夏場の北海道で苦労することになったりする。

 隼やセロー、もちろん新型VMAXでも使われているのがMF(メンテナンスフリー)型

 基本的に保水の必要は無いが、その分急速な充電は禁物。先の気体の逃げ場がないからだ。

 そしてこれは搭載する車両からの充電でも同様。つまり純正で開放型が使われている車両へのMF型の搭載はあまり勧められないことが多い。
 まぁマージンはとられている(はず)し、実際的には問題ない場合が多いのだけれど。

 で、最近メキメキ出てきたのがリチウムイオン(リチウム系)バッテリーという奴だ。

※商品として過渡期だけに「リチウムイオンバッテリー」とひとくくりにしてしまっては問題あるかもしれないのだけれどここでは便宜的に。

 開放型・MFでは鉛を使っているが、これはその名のとおりリチウム系の材料を使用。なのでとにかく重量が軽い

 鉛バッテリーを持った事がある人がショップの店頭でリチウムバッテリーを持ち上げると、「うわっ!」を声を上げるのは間違いないだろう。(←例:俺)

 他にも、自然放電が少ない(乗らなくてもバッテリーが上がりにくい)耐久性はMF以上等々の売り文句もあるが…ま、本当のところは実際に使ってみないとわからない

 デメリットの筆頭はなんといってもバカ高い価格
 だがこれが一般(鉛)バッテリーの価格高騰によりさほど気にならなくなったというのが皮肉な話だ。

 他の弱点には低温時の始動性があるらしい。
 リチウム自体は低温にも強いらしいのだが、なんと言うか、バッテリーとしては「低温(5度以下とか)では一発では起動しない」(←通称「寝てしまう」)らしいのだ。

 厳冬期の朝一番のエンジン始動前には、「あえて電力を使用(ライトを点灯・消灯、グリップヒーターをON等々)」して"バッテリーを起こす"」手順が必要になる事が多いとか。
 冬は冷え込む北関東の住人としてはちょいと気になるところだ。

 充放電時の電圧の高低に弱いのも注意点だろう。この為専用充電器を用意するメーカーも多い。
 一時期パソコン用のリチウムポリマーバッテリー(LiPO)に出火事故があって騒がれたのだけれど、今のバイク用はほぼリン酸鉄リチウム(LiFePO4:リフェ)なのでその危険は少ないそうだ。
※以上、wikiとかからの受け売りです、ハイ。

 今回狙いたいのはこのリチウムイオンバッテリー。
 さて、ではどこの製品を選ぼうか。

 (LiFePO4の)リチウムイオンバッテリーとして以前から知られているのがAntigravity(アンチグラビティー)だ。

 独特の形状が印象的(最近は通常型もあるらしいが)で、お値段の方もかなりのもの。
 いくら鉛バッテリーが高くなったと言っても単純に比較するのはちょっと厳しい。

 それなりの価格の為か最近名が知られてきたものにSHORAI(ショーライ)がある。

 先の「LiPOじゃなくLiFePO4だから安心です!」を謳ったのもこのメーカーのはず。
 アメリカ製でそう悪い話は聞こえてこない。新型VMAXでも既にユーザーが存在する。

 そしてこの3月に発売になったばかりなのが、AZのリチウムイオンバッテリー

 AZはこれまでも安価な鉛バッテリーを販売しているメーカーだ。
 そしてこのバッテリー、本体に制御基盤(BMSというらしい)が付いており、充電・放電時の保護や、先の「寝る」への対処がとられているらしい。
 弱点は…「中国製なんだよなぁ、う~む…」

※AZは以前から発売されているアメリカのSKYRICH(スカイリッチ、これはLiFeではない…はず)と見た目まったく同じなのだけれど、提携とかの関係はあるんだろうか?

<2013年5月> 購入・交換

買いました

 「皆さんこんにちわ、人柱です。」

 AZのリチウムイオンバッテリーを購入してみる。

 正直心配な面は多いのだが、1年or2万kmの保証は付いてるし、日本にも代理店があることだし、まぁなんとかなるでしょう。(なるよね?)


 サクサク発注、サクサク到着。

 そして届いたダンボールが軽くて驚く
 「うわー、これまさか中身もダンボールじゃないよな?」(←違います)

 中のバッテリーはプラスチックのパックに包まれてダンボールの真ん中に固定されていた。普通の鉛バッテリーでは考えられない梱包方法だろう。


純正のYTZ14S対応のITZ14S-FP

 取りだして観察。「おー、表面の注意書きが日本語だ。頑張ってるなぁ、代理店さん」

 どれどれと重量を計ると、純正の4kg弱に対しこれはなんと1kg。

 考えてみればバイクを3kg軽量化するというのは恐ろしく大変なことだ。リチウム系バッテリーがレーサー(モトクロッサー含む)に流行るのも当然だと思う。
※まぁ軽量化で一番簡単なのは乗り手の減量なんですが。


体重計なので小数点以下はさておいてください。

 バッテリー表面にはテストボタンとパイロットランプ。これで現在の蓄電状況を確認できるとのこと。
 どのくらい信用できるかはさておき、参考になるのは間違いない。


今は当然FULLレベル

 セット前の補充電は必要なし。というか、いろいろ考えて今回はあえて行わない
 スッピンの(?)電圧は13.1Vでもちろん問題なし。

 さて、んじゃ交換してみますかね。

 純正バッテリーの取り外しは何度か書いている気がするので簡単に。

・外装は、ボルト数が多いのとトップカバーに傷をつけない事に注意して。
・配線は「外すはマイナスから、付けるはプラスから…」の呪文を唱えながら。
・バッテリーケースの上部カバーは対角線上にある2本のボルトを外せばOK。

 バッテリー本体は周りの断熱シートごと引き抜くと楽。なので新型には先代で使っていた「バッテリー取っ手」は必要なしだ。

 
銀紙(?)に包まれてますから

 新旧の比較がこちら。
 そう、実は重さだけでなく大きさも違うのだ。


横置きにしても平気なのはMFもリチウムも同じ

 縦横幅は同じなのだが高さが違う。だからこのままバッテリーボックスに収めると上部に隙間が空く。
 なのでそれ用の「ゲタ」が同梱されている。これをバッテリー下に差し込めば同サイズに。
※画像左上がゲタ。型番によってはゲタではなくスポンジ状のスペーサーの場合もあるとのこと。

 そして細かい点なのだけど、端子部分に入れる受け側ナットの位置の自由度が高いので注意が必要。
 ぶっちゃけて言うと、端子部分から外れてしまったり中で縦になったりしてしまうのだ。

 これは車体側のコネクタが、バッテリーの上と横(手前)のどちらからでも接続できるようにしてある構造上仕方のないことだと思う。
(ナットも縦にセットする場合と横にセットする場合があるので)
 
 でも純正バッテリーは、この上と横それぞれの場合どちらの場合でもきちんとナットが収まるよう、端子内側に山が作ってあったりするんだよね。この辺りの細やかさがが純正の純正たる所以なんだよな。

 今は慎重に作業するので大丈夫としても、次に外す時には忘れていて「うわ、ナットが落ちたぁ!」とかやるのは目に見えている。
 「確か…」と棚を引っ掻き回してゴムベースの素材を見つけて切り取ってみる。これをナットの下に挟んで落下防止にしておこう。


なんかこんな感じに

 車体へのセットは外す時の逆順で。
 「や~、それにしても軽いわ~

 せっかくの確認ボタン・パイロットランプだったが、VMAXの場合はカバーに隠れてしまい、装着したままでの操作は出来ないようだった。
 銀シートやバッテリーカバーを加工(切り取り)してやれば…とも考えたのだけれど、頻繁に確認するわけでもないし、確認しなければならないようでも困るし、このままとした。

 端子には以前付けた充電器オプティメイト3の延長ケーブルもこれまでどおり付けておく。

 というのも、先のとおりリチウムイオンバッテリーは高圧充電に弱く専用充電器推奨のものが多いのだが、このAZの場合は保護回路が付いているので通常のMF用充電器も使えるとのことなのだ。

 ただし、「サルフェーション回復機能」は不可
※サルフェーション回復:弱った鉛バッテリーに一時的に高電圧を掛け気合を入れなおすこと(…のはず)

 実はうちのオプティメイト3にはこのサルフェーション回復機能が付いてしまって(?)いる。
 だが確かこの機能、バッテリーをバイクに取り付けた状態では作動しなかったはずなのだ。(車両に接続してあるとバッテリー内部の抵抗を測定できないので。だったかな?)
 この辺りは後で再検証するとして、とりあえず手持ちの材料で充電できる環境を用意しておいて損はないだろう。


 指差し確認の後キーオン、異常なし。
 エンジン始動。もちろん一発で問題なし。
 「あー、やっぱ満充電だとセルの回りが違うなぁ…」

 日を改めての試乗ももちろん問題なし。そしてやはりセルの回りが良くなっているのを再確認。

 さぁて、これで元気良く走れるようになったぞ!は当然として、バッテリーチェックはこまめに行わなければ。

 耐久性の合格ラインとしては…純正同等の4年かな(笑)

<参考>
 各状態でのバッテリー端子間電圧は下記のとおり。

■バッテリー単体時:13.16V
■車載・配線後:13.16V(変わらず)
■アイドリング時(但しエンジン始動直後):13.30V

<2014年1月> その後の状況

初めての冬を迎えました

 でまぁ、その後の状況なんですが。

 冬用スクリーンを作ったこともあり、今冬はVMAXで走る機会が増えたような気がしないでもないような。
 そんな中、バッテリー的には問題なしと言えそうだ。

 気温0度前後の朝でもいつもどおりの始動ができる。
 もちろん「バッテリーを起こす」的な余計な作業は必要なし。

 セルの回り的には、さすがに「夏に比べるとちょい弱いかな~」な気がしないのでもないのだけれど、始動できないのでは?な不安が出るほどではない。

 どうやら今のところは合格としても良さそう。
 まぁ冬とはいえまだ買って8ヶ月、最低あと3回の冬(と夏)をちゃんと越えてくれないと困るのだけれどね(笑)


<2017年5月> その後の状況2 

4年経ちました

 2013年5月、38,600km 2017年5月、63,800km
 4年経過して、この間の走行距離が25,000kmちょい。そしてバッテリー異常無し

 当初予定の、
>耐久性の合格ラインとしては…純正同等の4年かな(笑)
……を無事クリア、合格として良いと思う。

 冬場や1か月程度の放置後でもまったく問題なし。何も考えずに始動OK。
 普段は意識しないけれど、普通に使えるというのはありがたいものですな。

 さて、ではこれから先どれくらい頑張ってくれるのか観察を……とかうかつに書いて言霊パワーが発動してしまうと困るので、このまま静かに見守っていようと思う(笑)


<2018年5月> その後の状況3 

5年経ちました

 総走行距離、66,000km超
 2回目のプラグ交換の際バッテリーを取り外し、久しぶりにテストボタンを押してパイロットランプを確認。
 「よし、問題なしっと」


何年ぶりかのスイッチオン

 この1年でさほど距離が増えてはいないのだけれど、それでも5年使ってこの状態というのは十分に満足できるところ。
 先の冬場も問題なかったし、まだ心配しなくても大丈夫……かな?(言霊言霊)


<2019年4月> その後の状況4 NEW

6年経ちそうです

 総走行距離、72,000km前

 今シーズンの冬も特に問題は無かった。
 さすがに夏に比べればセルの回りは重くなるけれど、は気温がマイナスでもエンジン一発始動は変わらずじまい。
 これから暖かくなってくるし、まだしばらくは大丈夫そう。

 昨日出発した春のツーリングは早朝発だったけれど、もちろん問題は一切なし!

※言霊が心配なので余計なことは言わないようにっと……


<後日追記>
※そして交換しました↓
・リチウムイオンバッテリー交換・賞賛記



 

 

 

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