■YAMAHA VMAX1700 中古車編

 

中古車購入時の注意・留意点記

VMAX1700
気を付けること、まとめておきましょう

 中古   仕様   付属品 NEW  改造   消耗品   総括 



 

 

garage Ak!rA

 

中古

 VMAX1700は2008年にアメリカで発売開始、2009年に日本国内仕様発売開始。
 そして2018年、国内での販売は終了となった。

※関連
・VMAX1700の生産中止にあたって、とその後の話を勝手に記 https://garageakira.com/vmax2_own026.htm

 2020年時点でアメリカでは継続販売中(ユーロ4適用外)だが、日本に輸入できるかどうかは未確認。
 つまり、今後国内では基本的に中古車しか購入できない

 ここで、VMAX1700を中古で購入する際に注意すべき点をまとめておくとしよう。

※ノーマル車両の仕様に関してはこちら参照
→・スタンダード編 https://garageakira.com/vmax2_std.htm

※新車販売時の情報に関してはこちら
→・購入・納車手順記(オーナー編) https://garageakira.com/vmax2_own001.htm

※ちなみにV-Max1200での中古車購入時の注意に関してはこちら
→・Tips編 https://garageakira.com/vmax_tips.htm

仕様

 「このVMAXはどこ向けの仕様なのか?」の確認は絶対必要だ。

 国内仕様か海外仕様か?は当然として、海外ならどの国向けなのか?をはっきりさせておかないと後々のメンテナンスにまで影響するからだ。

モデルナンバー

 モデルナンバーによる判定はこちらのとおり。
※一部未確認のものあり

モデルナンバー表(簡易版)
2S31 アメリカ・北米一般
2S32 カリフォルニア 【パワー減】
2S35 ヨーロッパ(EU)
2S36 オーストラリア・ニュージーランド
2S37 日本
 

国内仕様の外観

 最も多いであろう国内仕様の外観での判断は以下のとおり。
 但し海外パーツへ交換済の場合も多々ある。

日本国内仕様
・インテークエンブレムがヤマハ音叉マーク
 ※海外でも音叉マーク使用あり注意
・マフラーサイレンサーにリベット留めプレートあり
・マフラー排気口が二重かつ細い
・左右の反射鏡(黄色もしくは赤)は無し
 ※海外でも同仕様あり注意
・小型ウインカー
 

リベットプレート
リベット留めプレート

 国内仕様のアメリカ仕様との違いはこちらからも
→・スタンダード編 https://garageakira.com/vmax2_std.htm

リコール対応

 VMAX1700は2011年にリコールが出ている。
 対処済みかどうかの確認が必要だ。

→・リコール対処記 https://garageakira.com/vmax2_own018.htm

付属品

 中古での購入の場合、新車時と同様全ての付属品が揃っている確証はない。
 その中で、確認が必要な付属品をあげてみよう。

キー(エンジンキー)

 国内仕様の新車時に付属するキーは下記画像の3種。

 左から、
・鞘型キーケース付きキー
・ノーマルキー
・赤色キー

VMAX1700キー

 鞘型キーケース付きキーはVMAX1700オリジナルだ。

 鞘に入れることでキーホルダーなしで持ち運べる&Oリング付きでキーシリンダー周りに傷がつかないという機能と共に、プレミアム感が演出されている。

 ノーマルキーは通常の物。

 そして問題は赤色キー。
 これはイモビライザーの再登録の時などに必要となる特殊キーだ。

 これが無いと、他のキーを無くした時の再作製等々が面倒な事になる。
 なので、中古車購入の際には必ず「赤色キーが付属している事」を確認されたい。
 そして通常は使用せず、自宅に保管しておこう。

※イモビライザーの無い海外仕様に赤色キーが存在するかどうかは未確認。
※イモビライザーについては後述「ECU(制御コンピュータ)」の項も参照のこと。
※嘘か本当かこの赤色キーが無いと売却時に大幅に値打ちが下がるとの噂。くれぐれも確認をお忘れなく。
 

 

 そしてこれはVMAXに限った話ではないが、エンジンキーとは別のキーが付属する(メインキーとサイドカバーのキーが違う等の)場合、なんらかの原因(事故・盗難)によりキーシリンダーの交換を余儀なくされたということだ。

 中古車の品質と直接の関係は無いが、それを意識しておく必要があるだろう。


点検整備書

 国内仕様VMAXの新車購入時には「メンテナンスパッケージ」が付属していた。

※関連
→・購入・納車手順記(オーナー編) https://garageakira.com/vmax2_own001.htm

 内容は、初回/12ヶ月/24ヶ月/36ヶ月目の各定期点検と、エンジンオイル・ドライブシャフトオイル等の油脂交換。

 点検整備書には、この履歴が記載されている。
 「何時頃交換されたのか?」の確認の為にも、この書類が付属することとその内容を確認しておこう。

改造

 仕様や付属品と共に、改造個所の確認も必要だ。
 改造内容によっては、後に純正に戻す事でトラブルになる可能性もある。

 以下にVMAX1700で改造されていやすい部分を記しておこう。

マフラー(サイレンサー)

 仕様に書いたとおり、サイレンサー中央にリベット留めプレートのあるのが国内仕様サイレンサーだ。

 音量は小さいが内部抵抗が大きいため、海外仕様(もしくは海外仕様に準じた改造をされた車両)に取り付けるとトラブルになる可能性あり。
※逆パターン(国内仕様に海外サイレンサー)は問題なし。

 見た目プレート付きだが、内部が海外仕様同等に変更されているものも多い。
※例:うちのVMAX
 この場合、排気口が二重ではなく一重になっている。(はず)

二重排気口
国内仕様・二重排気口

マフラー(チャンバー)

 エンジン下部に取り付けられたチャンバーも改造されている事の多いパーツだが、外観からの判断は難しい。
 サイレンサーが変更されていればこちらも変更されているのでは?……な予測ができる程度だ。
※サイレンサー接合部に「絞り」があるかどうかでの判断もあるが確実ではなし。

 確認は困難だが、この改造にはそれなりの費用がかかるので、それを「売り」にしている(改造済みと明記している)場合が多いだろう。

EXUP(排気デバイス)

 排気デバイス、EXUPがキャンセルされている場合がある。
 理由は様々だが、これがあると馬力が減ると考えている人が多いのは間違いない。

 取り外し方も、装置ごと外されている場合、ターミネーターが接続されている場合、適当にワイヤーのみ外している場合と様々。

 個人的には、後々のつまらないトラブルの原因にならないようEXUPは純正ママの方が良いように思っている。
※フルエキゾーストへの交換等であれば仕方ないとして。

エアクリーナーボックス

 吸入効率をアップしようと、エアクリーナーボックス自体が加工されている場合がある。

 具体的には切り取りとか穴あけ。
 加工されていると元へ戻すのはほぼ不可能。新品ボックスを購入するしかない。

 吸入抵抗変更の影響は大きいように思うので、純正に戻すにせよそのまま使うにせよ、他の吸排気系改造とのすり合わせが必要だろう。

エアクリーナーボックス
純正形状のエアクリーナーボックス入口

ECU(制御コンピュータ)

 国内仕様VMAXのECUが他仕様に交換されている場合がある。

 メジャーなのは、
・アメリカ仕様向けECU:最高速230km/h
・R-ECU(レーシングECU):最高速無制限

 これらの場合、本体側の配線も変更されているはずなので、国内向けECUへ戻す際には注意が必要だ。

→・R-ECU装着記 https://garageakira.com/vmax2_own014.htm

 そしてもちろん、国内ECUに戻す時には「その車両に元々付いていたECU」であることが前提になる。
 イモビライザー等々、影響する部分が多いからだ。

 万が一、「純正ECUが付属しないECU交換済み車両」があったとすれば、その購入は控える方が無難だろう。

 最近ではECU内部のソフト書き換えを行っている車両もあるが、これは外見からの判断は不可能だ。

純正ECU
純正ECU

ホイール・タイヤ(リア)

 リアタイヤは200/50 R18が標準サイズだが、240タイヤ&それが入るワイドホイールに交換されている場合がある。
※240サイズのワイドホイールはヤマハ純正オプションとして存在する。

 この場合、スイングアーム内側にあるドライブシャフトカバーが加工されている事が多い。
 幅がぎりぎりなので、純正ママだと擦ってしまうからだ。

 また240のタイヤ・ホイール交換の際にはドライブシャフトの着脱も必要になる。

 慣れないショップだと気づかず交換時に慌ててしまう、もしくは取り付け時にスプラインを合わせることができない等々のトラブルが考えられる。
 余分な工賃が必要になる場合もあるのであらかじめの確認が無難だろう。

ローダウン

 フロントフォークスプリング、及びリアサスペンションスプリングの交換によりローダウンされている車両は多い。
※ローダウンサスペンションキットがヤマハ純正オプションとして存在する

 バンク角が若干犠牲になっているので、ワィンディング走行もしくは大量積載での走行時には注意が必要となる。

 またこの場合、サイドスタンドも短いローダウン用になっているはずだ。
 元仕様に戻す場合にはこれも忘れずに交換すること。

 ローダウンにはローシートへの交換で対応している場合も多いが、こちらは特に注意点は無い。

ヘッドライトバルブ

 純正はH4だが、オプションでHID(アブソリュート製)があった。
 注意点は無いが、交換に備えて要確認。

その他(各種市販品の装着・交換)

■アンダーカウル

 ・エンジン下部後方まで伸びるアンダーカウルは、バンク角が大幅に犠牲になる。
  コーナーで擦る事が多いので注意。

■透明クランクケースカバー(クラッチカバー)

 ・シールの耐久性が低めの場合が多い。
  日頃からオイル漏れのチェックが必要。

消耗品

 どんなに状態が良好の車両でも、いずれは消耗品の交換が必要になる。
※もしくは中古購入時に交換する必要がある

 VMAX1700は消耗品も高価な場合が多い。どの程度の耐久性があるか記載しておこう。

バッテリー

 純正バッテリーの寿命は4年程度と考えて良い。

 これはオフィシャルではないが、俺がいろいろなオーナーに話を聞いて出した数値だ。
 現状ではほぼ「4年プラスマイナス半年」と言いきって良いと思う。

※走行距離にも左右されるが影響は少ない。むしろ保管環境の影響の方が大きい。

 例外はごく少ない。期間の長短はさておき、純正だけに性能が揃っているとも言えそうだ。

 これを超えていて、一度も換えていないのであれば交換を考慮する必要あり。

 MFバッテリーはいきなり動作しなくなるので早めの交換をお勧めしたい。

→・バッテリー上がり?記 https://garageakira.com/vmax2_own023.htm
→・リチウムイオンバッテリー導入記 https://garageakira.com/vmax2_men030.htm

純正バッテリー
純正バッテリー:GS YUASA YTZ14S

タイヤ

 標準装着のタイヤはブリヂストンのBT-028
 サイズは
・フロント:120/70 R18 59V TL
・リア:200/50 R18 76V TL

→・タイヤに関するあれこれ、BT-028記 https://garageakira.com/vmax2_own031.htm

 耐久性は乗り方や銘柄によって変わるが、前後とも1万kmを目安にすると良いだろう。

 フロントはまだしも、リアはどのメーカーもサイズ的にVMAX専用品なので安売りは無い。
 VMAXの維持費として最も高額なのがタイヤだという事は意識しておく必要がある。

200リアタイヤ
純正リアタイヤ 200/50-18

ブレーキパッド

 これも乗り方によって変わるが、純正ブレーキパッドの耐久性は恐ろしく高い。

 状況の確認は必要だが、さほどの心配はいらないだろう。

→・ブレーキパッド前後交換(挫折)記 https://garageakira.com/vmax2_men054.htm

純正ブレーキパッド
純正フロントブレーキパッド

クラッチ・フリクションプレート

 これも乗り方によって耐久性が大きく変わるクラッチ関係。

 俺の場合、クラッチ滑りの症状が出始め、交換したのは7年56,000km走行時点だった。

→・クラッチ・フリクションプレート交換記 https://garageakira.com/vmax2_men045.htm

 通常、高いギア(5速)から症状が出始める。
 馬力が馬力なので、症状が出たら早めに交換する方が良いだろう。

純正フリクションプレート
純正フリクションプレート

総括

 VMAX1700は、車体各部の耐久性が恐ろしく高い。

 従って中古車の場合でも、走行距離による劣化はあまり考慮する必要がない。
 むしろ保管環境の影響の方が大きい。露天か屋内保管か、ワックス・グリスアップを行っていたかどうか。これらは外観からも判断できるだろう。

 また、前ユーザーによる改造に注意する必要がある。メカ的トラブルが出るとすればそこからの可能性が高いからだ。
※特に電気系

 整備はショップに依頼する場合がほとんどだろうが、新車がVMAX1700取扱店のみでしか販売されなかったこともあり、メンテナンスにはそれなりの技術・設備が要求される。
 中古購入の際にはこの点も考慮しておく必要があるだろう。



 

 

 

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