■YAMAHA VMAX 1700 (VMX17) メンテナンス編

 

プラグ交換(大騒ぎ)記

新型VMAX プラグ
いや、噂に違わず大変でした

 交換   チェック NEW

 

 

garage Ak!rA

 

<2011年12月> 交換

何故今かと言いますと

 …というわけで、新型VMAXのプラグを交換する。

 現在の総走行距離は2万6千kmといったところ。
 純正イリジウムなら4万kmくらいまでは平気なんだろうと勝手に考えていたのに……とかいう辺りの話はちょい前のBLOGに書いた

 これを要約すると
 「NGKのサイトに片側イリジウムタイプ(←VMAX用)の交換時期は一般プラグ並み(≒5,000km)って書いてあったけど本当かいな?」

※「両側イリジウム」だと10万kmOK

 え~、イリジウムなのにぃ?というこの疑問、もちろん結論は出ていないのだけれど……「ま、いずれにしてもそろそろ交換しても惜しくはない距離なのは間違いないわけだし」


 それではとプラグを手配。

 新しいプラグは純正同様NGKの「CR9EIA-9」だ。
 新型VMAX用はデンソーにもあるが、特に変える理由もないのでNGKのままとした。

 さて、実際の作業となると、どこのサイト・ショップで聞いても「新型VMAXのプラグ交換は大変だ~」という話しか聞こえてこない。
 普通に(?)外れるのは前バンク右のみ。その他は「それはもう!」な手間がかかるらしい。
 俺のような素人にすんなり交換できるかどうか…まぁチャレンジしてみるとしようか。

 某日、作業開始。
 車両を前に「よぉし!」と気合を入れて、まずはその「比較的簡単」らしい前バンク右側から手をつける。

 VMAXは隼などと同じダイレクトイグニッション。だから点火コイルは無く、プラグキャップが直接イグニッション(って言うのかな?)になっている。
 なのでキャップは通常より長く(深く)大きくはあるのだが……なるほど、外れないんだなこれが。


ダイレクトイグニッションには「太いプラグコード」ではなく通常サイズの配線が。

 プラグキャップ(…と書いて誤解されると困るのだけれど面倒なので以下これで)は単純に上に引けば抜けるのだけれど、これが非常に難しい。

 何故ならつかみどころがまったくないから。
 確かに隼も同様だった。だがあちらはタンクを上げて真上からアクセス(掴む)ができた。
 対してVMAXは真横からしか手を入れられない、加えてスペースも極小、「…ど~すりゃいいんだよこれはよっ!」


 キャップを掴んだ指先(←狭くて手全体では掴めない)に力を込め、ぐりぐりと捻る。
 シリコンスプレーを吹きまくり、じわじわ力を加え続ける。

 指先がいい感じに(?)痺れてきた頃、やっとコクッとした手ごたえが伝わり、キャップはプラグからすっぽりと抜けた。「うひ~、外れたぞぉ~」

 ところがその抜けたキャップをプラグホールから取り出すのがまた大変だった。何しろ上側にスペースがないので知恵の輪のように捻りながら持ち上げるしかないのだ。
 ようやく外れたプラグキャップを手にしたのは作業開始から30分後。うっは~、確かにこれは先が思いやられるな。


やっと抜けました

 次に中のプラグ。

 通常の整備ではほとんど使う機会の無い「車載工具」という奴だが、プラグレンチだけは車載の専用品が一番なのはこれまで何度か言ってきたとおり。

 そして左サイドカバー内から車載工具袋を出して、中にプラグレンチが見当たらなくて焦る。何故か純正プラグレンチはわざわざ別の袋にしまわれていたのだ。

 なんだろう、これは「素人はプラグに触るんじゃねぇ!」というヤマハからの忠告とかなんだろうか?
※今思うとあながち冗談でもなさそうで怖い。


曲がる・プラグが差し込める、は隼同様
あと手回し用(?)の滑り止めが結構便利でした

 プラグレンチをプラグホールに差し込むのにまたまた一苦労。なにしろ知恵の輪のように(略)

 きっちり差し込んで14mmのメガネ・オープンレンチを使って緩めるのは問題なしだったが、抜き取るのにまたもう一騒ぎ。
 そりゃまぁ入れるときでさえ苦労してるんだから、更に長くなった(←先にプラグが付いてくるので)のを出すのには苦労するわなぁ…

 疲れた指先を揉みながら、外したプラグをしげしげと観察。
 見た目劣化は感じられず…っと。


新品 vs 2年半:26,000km使用
しかし細い電極ですよねぇ

 新品プラグはネジ部にごく少量のグリス。(カジり防止)
 ダイレクトイグニッションは全体にシリコンスプレーを吹き、コネクタとプラグ接触部にはコンタクトスプレー
 うんうん言いながらの取り付けは外しの逆手順で。締め付けはオーバートルクに注意っと。
※手回しできっちり締め込んでから、レンチを使って1/4±回転追加

 指差し確認の後、配線を繋ぎエンジンを始動して点火を確認。
 非常に面倒(なはず)のプラグ交換。4本全部交換した後に始動せず何処が悪いか判らない!なんて事のないように、今回はこまめに始動確認をしておくのだ。

※VMAXクラスの排気量になると、3気筒はおろか2気筒でも動いちゃったりするんだけどね(笑)

 さて、次は後ろバンク、まずは右側から。

 作業前にいろいろ調べたのだけれど、後ろはやはり一通りはずさないと作業にならない様子。
 一番簡単らしい右前だけであれだけ大騒ぎしたのだから、やはり外せるものは外してしまおう。

 シート、ダミータンク、エアインテーク外しはいつものとおり。
 ECUはコネクタを外してフリーに。
 バッテリーもコネクタを外し、カバーを外してバッテリーを抜く。
※バッテリーカバーの固定ボルト2本は外れても飛び散らないようストッパーが付いていた。なるほどなるほど。

 そして最後にバッテリーケースも外す。
 その下(=エンジンの上)にある耐熱マットをめくれば、リアバンクのプラグキャップがこんにちわと顔を覗かせる。

 
ここまでバラバラに


左上から、バッテリーケース、バッテリー本体、カバー


これでやっと上から覗けます


 さて、こうして上から覗けたものの、相変わらずスペースがなく隼のように「がっちり握って引っこ抜く」のはやはり無理だった。

 「うああああ!」と頭を抱えてガレージを3周走り回ったあとに思いついたのがこれ↓だ。


バイスクリップ&針金ハンガー

 これをプラグキャップのコネクタ部に引っ掛け、上に抜こうという寸法だ。
 デリケート(であろう)なコネクタ部に力技を使うのは本来は禁じ手、だが今は格好を気にしている場合ではないのだよ!
※高価なダイレクトイグニッションを壊す可能性があるので言うまでもなく自己責任でお願いします。

 作業はじわりと…ではなく、コンコン叩くように引っ張ったらスポンと抜けてくれた。これは固いネジを緩める時と同様の理屈なのだろう。

 プラグキャップさえ抜けてくれれば、上からの作業なのであとは楽ちん。
 但しプラグまでの距離が遠いので、Tレンチに14mmのディープソケット、その先にプラグレンチを取り付けて作業する必要がある。

 
持つべきものは延長バー

 リアバンク左も基本的に同様。
 ただしこちらには燃料パイプ(?)がプラグ直上を通っており、より作業し難くなっている。
※ホント、わざと交換難しくしてないか?と邪推したくなったり。

 
パイプ(メッシュの部分)を避けて通したプラグレンチを横から見るとこんな感じに

 後ろバンク2本が終わったところで、先ほど外したバッテリー系を全部戻して始動確認。無事に動いてほっと一息。

 さあ、最後の1本行くかぁ!…って、この左前が恐ろしく大変だった。

 基本的な手順は右前と同様、だがとにかくスペースがない。それはもう全然ない。だから無いって言ってんだろうがぁっっっ!(←いったい誰に怒っているんだか)

 とにもかくにも手さえ差し込めないのだ。プラグキャップには指先で触れるのがやっと。
 「お、お客さまっ!お客様の中に左手の小さい方はいらっしゃいませんかあっ!」と、一人キャビンアテンダントごっこをしてみる。

 もう一度ガレージの外をぐるぐる3周回って考え付いたのが「ワリバシ」だ。


この隙間を利用して下からあてがう、と

 こうしてあてがった後、下からプラスチックハンマーで叩いてやる。
 高価なダイレクトイグニッションを壊(略)

 角度を変えたり、力を変えたり。
 あれこれ試行錯誤を繰り返して、「カチッ」というプラグから外れた音を聞いた時には正直涙が流れる思いだった。「ああ、ご先祖様ありがとう!」(←すいません、今度墓参り行ってきます)

 そしてプラグキャップが外れた後は、先に増して無いスペースにプラグレンチを差し込む・回すのに大苦労。
 そしてそしてそんな時に限って、他は一旦緩めばするする回ったプラグが何故か途中で妙に引っかかったりするんだよなー

 先ほどの感謝はどこへやら。八百万の神に悪態をつきながら指先でちまちまとプラグを回す。
 外した後、新プラグを入れる・締めるのがどうだったかは言うまでも無し。

……とまぁ、大騒ぎしてプラグ交換はなんとか完了。
 作業時間はなんと4時間。そう、たかがプラグ交換に4時間も掛かったのだよ!

 結構工具が揃っているはずの状態でこれなので、これから「自分でやってみよう」と思っている方は相応のご覚悟をお願い致します。
※もちろんもっと手際よくできる人も多いのだろうけれどね。

 さて、外したプラグの状態はこんな感じ


位置関係も同じということで

 1本目同様目視で劣化は認められず、バランス良好、状態良好、あえて言うならちょい薄め?な雰囲気。
 まぁ走っていて特に気になるところもなかったし、さすがは最新鋭のFIというところだろう。


 最後に「新型VMAXのプラグ交換のコツ」をまとめるとすればこんな感じだろうか。

・プラグレンチに組み合わせて使うメガネレンチ、もしくはコンビレンチは14mm
・プラグレンチへの延長バー必須。
・シリコングリス・スプレー必須。
・左手が小さい人推奨、手が大きい人は協力者(女性歓迎)を探しておくこと。
・長期戦覚悟で。「明日はツーリング!」な時には作業しない。

 そして、先のとおり始動確認は一応終了済みなのだけれど、せっかくなのでとエアフィルターを洗ったので未だ走りに出かけることができない。これが乾き次第、実走テストに出る予定だ。

※ま、プラグ交換の効果なんてのは走ってわかるはずもないんですけどね(笑)


なのでまだバラバラだったり

<2011年12月> チェック

もちろん問題もなく

 某日、やっと暇ができたので100kmほどのテスト走行へ出発。

 下から上(9500rpm)まできっちり回して問題なし。
 じわり開け、カツン開けともグズつかずに素直に加速。
 5速1500rpmでの巡航異常なし。
…と、楽しく走ることができた。

 そしてもちろん、特に凄く良くなった!という部分も無い。何時にも増して元気に走れた気がするのは、新品プラグより低い気温と掃除したエアクリーナーの影響の方が大きいはずだ(笑)

 さあ、これであと3年はプラグの心配せずに走れるぞ!

※そういえば普通のプラグキャップもそうなのだけれど、ダイレクトイグニッションは「きちんと奥までハマったかどうか?」の判断が難しい。カチッと音がするのはもちろんとして、その他にコツというかチェックポイントはあるんだろうか?

<後日追記>
 数年後の交換2回目も大騒ぎでしたとさ→プラグ交換(大騒ぎ)記2 




 

 

 

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