■結構走っていますから
「いやぁ、最近クラッチレバーが重くてさぁ」……などという事は特になく。(再)
クラッチにベアリングステムを導入した際、ゴムカバー(ゴムブーツ)の破れに気づき、「交換してやろうかな?」と思ったものの、ヤマハのパーツリストにゴムブーツだけの設定がない。
マスタシリンダ内部品一式でのアッセンブリ販売のみ。
例によって「ゴムブーツだけの隠しパーツナンバー」があるのかもしれない(*1)のだけれど、いろいろ探っても見つける事ができなかった。
*1)セローの「キャブ脇の黒いプラスチックパーツ」がこのパターン。
仕方ない、アッセンで購入するか……でも、それならこの機会にオーバーホールしちゃってもいいんだよな。
★
考えてみれば、レバー側マスタシリンダーのフルOHはしたことがない。
先代V-Max1200もGSX1300R隼も、OHしたのはクラッチのエンジン側のレリーズだけ。
まぁマスタシリンダーなんてものは、OHが必要になるあたりで新しいレバー一式が欲しくなるものなのだけれど。(をい)
ともあれ、VMAX1700のクラッチマスターについては現在何も不満無し、なので交換するつもりもなし。
そして普段はあまり意識しないけれど、クラッチレバーはブレーキレバー以上の回数を使っているもの。
総走行距離もほぼ70,000kmだし、この辺りで中の部品を全交換してももったいないという事はないだろう。
※それにパーツ代も1.8K円程度だしね!(←重要)
★
パーツが届いて作業開始。
リザーブタンクを開け、内のフルードをペーパーで吸い取り、バンジョーボルト、ホースを外す。
ホースはそのままぐるぐる巻きにカバーして、中のフルードは再利用……というか、新しいフルードの呼び水として使う予定だ。
フルード系作業前のお約束、周りをしっかりと養生
中はまぁまぁ綺麗かと
外したバンジョー側もこんな感じに保護しときます
ミラーを外し、レバーユニットを外し、プッシュロッドを抜き、件の破れたゴムカバーも外したら、ブラケット一式を外して作業台へと移動する。
原因(?)のゴムブーツ
さて、やっつけますか
★
シリンダー内を覗くと見えるのが黒いサークリップ、まずはこれを外す必要がある。
当然サークリッププライヤーで……「って思ってたんですけどね」 (最近お気に入り←気に入るんじゃない)
手持ちのサークリッププライヤーを引っかけることができない。なぜなら凄い奥にセットされていたから。
「う~、これは予想外だったな」
使えるサイズ(先端の細さとか内径とか)であることは確認してあったんだけどねぇ……
この角度だとわかりにくいですが、凄い奥に入ってます→Ω状の黒いサークリップ
手持ちのプライヤを曲げてみたり、他のツールで外せないか試したりするが駄目。
ま、この手の奴は専用工具が一番間違いないんだよなと、パーツ屋まで出かけて購入してくる。
#……って簡単に書いたけど、ホームセンターでは標準サイズ(=現持ち)しか売っておらず、パーツ専門店でも「長めの穴用」(サークリッププライヤーには穴用と軸用がある)が品切れでもう一軒……と走り回っていたりするのだよ。
買ってきたのは細いベントノーズと呼ばれるプライヤー
あれ?サークリッププライヤーじゃ?って、だって、これなら専用品の半額で買えて……
左:購入品、右:いままでの
ホント、高いのしか置いてなかったんですよ→専門店
ともあれ、(俺にしては珍しく)きちんと周りのサイズを測ってから買いに行ったおかげで、このプライヤーでも無事サークリップを外すことができた。
それではと、中のピストン一式をぞろっと抜いて確認を。
外れました
ご対め~ん(昭和)
各パーツはさほど疲れているようには見えなかった。
劣化するとすればゴムとスプリングくらいしかなさそう、他のパーツにも汚れや錆は見られない。
「こりゃぁオーバーホールの必要はなかったかな?」
んでもまぁ、今回はそもそもオマケなOH(?)だったわけだし、今後のための保険ということで。
ブラケット側の内部をパーツクリーナーで念入りに洗浄する。
うん、これも結構綺麗かも。まぁ比較対象が無いから判らないんだけどさ。
中もピカピカでした
★
さてと、ここからが組み立て作業。
まずは新旧パーツを並べて順や向きに間違いがないか確認する。
上:旧、下:新
上の画像を見てもらうと判るのだけれど、まず金属製のピストンに新しいゴムのシール(穴あきの奴)をセットする必要がある。
これが結構大変で。というか、真ん中の穴が、ピストンに差し込めるようには到底思えない小ささなのだ。
上の画像で言うと、ピストンの右側からかなり強引に伸ばして突っ込む必要がある。
それも手だけでは無理、棒状のもので抉るようにしないと入らない。
遠慮してると絶対に入らないけれど、強引すぎると破れてしまう。このバランスがなかなかに難しかった。
そしてシールの向きにも注意。
画像で言うと左側が太く右側が細く。左側にフチがくるように。
念のため旧パーツのアップ画像を。ピントが今一つで失礼
あとは元通り差し込んで。
中に入る部分(先のシールから左側)には、あらかじめフルードを塗って馴染ませておく。
金属ワッシャの次にサークリップ入れて留めれば組み込み完成!……「って思ってたんですけどね」 (もういいですかそうですか)
これがまたまた面倒で。
サークリップを掛けるには、ピストンを中に押し込んでおく必要がある。
なので細いドライバーのグリップを使って押し込んだのだけれど、片手でこの状態をキープしたまま、もう片方の手でサークリップにプライヤをかけて縮め、真っすぐに差し込み、溝にセットしないといけないのだ。
プライヤが外れサークリップが吹っ飛び探し回ること3回、真っすぐ入らず入れなおすこと3回。
「これもアレだな、例によって一種の修行なんだな」
#ちゃんとした(?)サークリッププライヤーならこんな苦労しなくても済むのかな?(さてさて)
ともあれ、なんとかセットできてほうと息を吐く。
「やれやれ……」(途中の画像なんてあるわけなし)
この上に本来の目的であった(?)新しいゴムブーツをセットする。
装着前には例によってシリコングリスでモミモミを。受け側(シリンダー側)には通常グリスを。
そしてクラッチベアリングの記事の時に某氏に聞かれたので書いておくけれど、このゴムブーツはプッシュロッドの中央溝に引っかける必要がある。
ゴムブーツを先に入れてしまってからだと溝に掛けるのは難しい。
※もしくは引っかけようとして破いてしまう
※※もしくは引っかけられなくて、クラッチレバーを握る毎にブーツがパコパコ音をたてる
なので、「プッシュロッドにゴムブーツをセットしてから一緒に中へ押し込む」やり方をお勧めします。
この形にしてからセットしましょう
シリンダーへ軽く差し込んだ後、ゴムブーツの端(上記画像では左側)を楊枝の軸のようなものでクイクイ押し込むとしっかり固定されるかと。
できました(右端からプッシュロッドが出てます)
★
以上で組み立てが完成。あとは車体に取り付けてレバーを付けて。
忘れずバンジョーボルトを取り付けて指差し確認。
それではフルードを入れる……前に、レバーを動かして動作確認。
変な引っかかりやゴリゴリ感はなく、スムーズに動いて安心する。
そしてフルードが入って無い時のレバーって、こんなに軽いものなんだねぇ。(まぁスプリングだけだからね)
「握る」という意識なしでもOKなほど軽く
下側(レリーズ側)からフルードを注射器で押し込んでやるのはいつものクラッチフルード交換と同様だ。
ちなみにこのやり方だと、その後のエア抜きは不要なことが多い。
今回もこれだけでしっかりと手ごたえが出た。なのでそのまま試乗してみる。
「うん、切れてる切れてる」(クラッチが)
そしてなんとなくだけど、クラッチレバーが軽くなったような気がしないでもない。
プラシーボかな?でもベアリングの時は感じなかったんだけどな。
エア抜きは不要だったけれど、念の為と俺の安心の為に、レバーはいつもどおり1晩固定しておくとしよう。
<追記>クラッチスイッチの脱着を忘れないように
お約束ということで
★
というわけで、どうやらきちんとオーバーホールできたようで一安心。
工具も買っちゃったし、次はブレーキマスターもOHしてやろうかな?
#でもクラッチもそんなに劣化してなかったし、何よりブレーキはパーツ代だけで4K近くに……
★
■ばっちりOK
某日、早速250kmほどのツーリングでテスト。
結果から言うと、「何も問題なし」
1日気持ちよく走り回ることができた。
そしてやはり、「クラッチ軽くなったわ」
プラシーボではなく、物理的に軽くなったのを実感した。
劣化してるようには見えなかった内部パーツだけれど、やっぱり新品は違うんだねぇ。
結果的にツーリングでの左手の疲れは激減した。(まぁ今までもそんなに疲れるわけではなかったけれど)
これはクラッチベアリングとの合わせ技もあるかな?ともあれ、良くなったのならそれでよし!
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