■確認作業は意外に簡単で
…というわけで、バルブクリアランス(タペット音)を確認してみる。
先日のツーリング(あとでレポ書きます)の際、どうにも気になったのがエンジンからの音。
コツコツというかカチカチというかダラララというか。
ちょいいやらしい「これは何かあるぞ?」な音が響くようになっていたのだ。
だが、その前にキャブセッティングを出している間は気づかなかった。
キャブに集中していたからわからなかったのか、それとも今回のツーリングの際、高速で長時間(セロー基準)走ったことが原因なのだろうか。
ともあれ、何かがおかしいのは間違いなさそう。一度確認してみなければ。
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さて、エンジンヘッドから響くカチカチとかコツコツとかの音の代表といえば、言うまでも「タペット音」*1
*1セローにタペットという部品(部分)があるかどうかは別として、通念上こう言われているということで。
これは(セローの場合)ロッカーアームがバルブを叩く時の音。
上の部品間には熱膨張を考慮して隙間が空けられているのだけれど、ここが広がると音が大きくなり、かつバルブの開き量が少なくなってしまう。
かといって狭過ぎるとバルブがきちんと閉じず圧縮漏れを起こす。と、なかなかに面倒な部分なのだ。
この隙間を適正な値へ調整するのが、バルブクリアランス調整とかタペット調整と言われる作業。
うちのセローは、シリンダヘッド改造時にプロの手により調整済み。
だが、ナラシが終わったあたりでクリアランスが変わるのはよく聞く話だし、確認の意味をこめて一度見直しておこう。
DOHC4気筒20バルブとかだと気が遠くなる作業だけど、何しろこちとらOHC2バルブだからねぇ。
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作業開始。
ちなみにこの作業、エンジンが冷えている時に行う。マニュアルに記載されている数値も冷間時のものになっている。
まず、シート&タンクを外す。
外さなくても作業はできるが、周辺スペースは広いに越したことはない。
クランクケースのメクラ蓋を外してピストンを上死点位置へ。
これも以前の作業のとおり。
クランク側のカバーとカムスプロケ側のカバーはどちらか片方だけ外せば上死点の確認には問題ないのだけれど、今回はその上死点設定そのものの確認の意味をこめて外してみた。こちらはもちろん問題なし。
クランクは反時計回りが良いみたいです
最初の確認は排気側。
カバー(ヤマハの部品検索だとシリンダヘッドサイドカバー)はボルト3本で外れる。
「あ~、もうOリングが潰れかかってるわ~交換してからそれほど経ってないんだけどな~」
マニュアルによると、排気側のバルブクリアランスは0.15mm~0.19mm
これをシックネスゲージという薄い鋼板を間に差し込んで確認する。
書いてある数字が厚さ=隙間です
こんな感じに
シックネスゲージが差し込めなければ狭いし、すっぽり入ってしまうようなら広いということ。
ぴったりの場合は「ようかんを切るような手ごたえ」になるのだとか。
さて、測った排気側は…0.15でどんぴしゃり。
これはマニュアル指定値の最小値で、かつ業者さんに調整してもらった値そのまま。
つまり変わってはいなかったという事だ。
「う~ん、ここは正常だったか」
次は吸気側。
指定値は0.05~0.09mm (排気側より狭いのは温度の影響が少ないからかな?)
0.05のゲージはスカスカ、0.10のゲージは入らない。(←0.05mm単位のゲージしか持ってない) というわけで値は全て正常、調整することなく確認だけで作業は完了してしまった。
「これは…嬉しいような悲しいような…」
ちなみに調整する場合は、10mmの固定ナットを緩めて中央のポッチを回して隙間を合わせ、再度ナットを固定する。
どちらがどちらかは言うまでもなく
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さて、困った。
タペット音でないとすると次に怪しいのはカムチェーン・カムチェーンテンショナなのだけれど、これも前回念入りにセット・確認した部分なのだ。(しかもオートアジャスタなので調整不要)
念のため一旦外して・しげしげ眺めて・再セットして問題なしを確認っと。
次はどうしよう?
テスト走行に出てもう一度状況をみるのにとりあえずは外装を戻そうか。
そして「ついでにホコリでも拭いておくか」とフレームに目をやった先に写ったものが、これだ!
これだ!(再)
え~、ボルトが吹っ飛んでました。orz
エンジン上部をフレームに固定するボルト3本。
しっかり留まっていたのはエンジン側の1本のみで、フレーム側の1本紛失、もう1本(画像真ん中)もゆるゆるで脱落寸前という有様でしたとさ。
「せんせぇ~、これじゃ音とか振動出るのあたりまえですぅ~」
ぐぬぬ、これ、何時からだろ?
可能性が高いのはエンジンスタッドボルトの増し締め時に外しての締め忘れだけど、しっかり締めたのにその後のエンジンの振動で緩んだってのも考えられないではないんだよな…
ともあれ、工具箱をひっくり返して見つけた同サイズボルトに緩み止めナットをかませて締めなおす。
緩んでいた真ん中のボルトももちろん同様にっと。
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外装を戻してあちこち指差し確認、忘れ物なし(多分)
エンジン始動、問題なし。
テスト走行、…あのいやらしい音はきっちり消えていましたとさ。
「ふ~」(←いろいろな意味で)
結果原因ではなかったバルブクリアランスだけれど、まぁ異常のない確認ができたからよしとしよう。
それに音に関しては他にも気になることがないわけじゃないし。(←後日別途予定)
※にしても原因が「ボルトの締め忘れ」だとすれば、いったいこれで何回目やら…orz
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