■YAMAHA SEROW 225WE (4JG6) セロー メンテナンス編

 

ステムベアリング交換記

ステムベアリング交換記
多少はスキルアップしてますかね?

 交換作業   インプレ NEW

 

 

garage Ak!rA

 

<2011年9月> 交換作業

気になったら換えましょう

 ステムベアリングを交換する。

 確か去年の今頃だったと思うのだけれど、停止状態からハンドルを切った瞬間、ごく僅かではあるが「ギュ」とか「ギ」とかいう違和感が手に伝わってくるようになった。
 「距離も距離だしステム周りなんだろうなぁ…」とは思ったもののそのまま放置(←をい←いや秋は走るの忙しくて冬は作業する気にならなくて春先には地震があって…)
 そして今回、タイヤをTR-011に換えたところその違和感が更に大きくなったのだ。

 グリップの良い舗装路でひょいとハンドルを切ると、1拍遅れてぐいっと切れ込む。
 たわみ量の多いタイヤだからある程度は仕方ないのだろうけれど、先の違和感がそれを助長しているのは否めない。

 フロントホイールを持ち上げて確認すると、特に引っかかりもなくハンドルはスムーズに動く。だからステムナットの締めこみすぎとかではなさそうだ。(というかナットは勝手に締まるものでもないし)
 「やっぱ下のベアリング・レースかなぁ…何しろ総走行距離は4万5千キロだしなぁ…」

 実は、この辺りの交換パーツは現象の出た昨年中に手配済み。
 先代V-Maxでも一度作業しているし、今ならさくさく交換できる…よね?

 某日夕方、作業開始。
 車体はエンジン下にスタンドを掛け、フロントを浮かせてある。

 まずはハンドルバーを外して天井から釣っておく。こうしておくとホースとかワイヤーとかブレーキのリザーブタンクとかを弄らずに作業できるのでとても楽なのだ。
※何より戻す時に大変楽。

 フロントホイール外してライト外して。ライトもこれまた適当に釣っておく。外したブレーキキャリパーはホースに負荷がかからないように専用台(バケツと呼ぶ人もいる)に乗せておく。
 フェンダーは裏側のボルト4本を外せばOKだ。

 フロントフォークは、まず上部の固定ボルト2本*左右を緩め、その後トップボルトを緩めておく。(←フォークオイルも交換予定)
 下部の固定ボルト2本(下側はスタックバー取り付けボルト兼用)*左右を緩めるとフォークが下に引き抜ける。傷つけないように立てかけて、今のうちにフォークブーツも外しておく。

 邪魔になりそうな配線やらなにやらを避けたら、さてここからが本番だ。


準備完了

 ステムナットを緩めてトップブリッジを外す
 27mmのボルトの締め付けトルクは…手ルクレンチで言えば「程々」くらい(なんじゃそりゃ?)

 Wナットを貫通させるカバー(回り止め)を抜いて、上のナットを緩める。
 このナットは単なる緩み止めなのでトルクはかかっていない。2つのナットの間にはゴムのスペーサーあり。

 下のナットはがっちり締められているので、大型の貫通マイナスドライバーとハンマーで緩めてやる。…って書いていて気づいたけど、先代V-Maxはともかく、セローなら手持ちのフックレンチが使えたかも?(←もう遅い)

※この辺りの作業の画像は撮り忘れました(謝)

 カバーを外して中を覗くと…「お、そんなに悪い状態じゃないな」
 アッパー側はボールベアリング。昔みたいにバラバラのボールではなく、ひと続きになっているタイプだ。
 ボールには傷もなくそれなりにグリスも残っている風、レースも綺麗で段差もなしっと。


このまま使えるかも?ってくらいに

 そーっと下に引き抜く三叉。それに付いたロワー側べアリングはニードルベアリング(テーパー)だった。
 「う~ん、こっちはちょっと疲れてるかも?」


赤いのはサビなのかグリスなのか?

 汚れて(?)はいるものの、ベアリング自体の動きはそれほど悪くない。グリスもまあまあ残っている。
 まぁ歳相応という感じだろう。

 そして車体に残ったロワー側のレースは…「あ、こりゃダメだわ」
 見事に付いた打刻跡。手で触るとはっきりと段差が判る。うへぇ、これじゃぁステアリングに影響もでるはずだ、さっさと交換してやろう。


これは掃除した後。はっきりわかりますね

 まずはロワーのテーパーベアリング。

 例によって大型タガネでガツンガツンと壊してしまう。その後、残ったベースをこれまた遠慮なくガツガツやって抜いてやる。先代V-Maxで躊躇してると抜けないの判ったから遠慮しないもんねー
※でも調子に乗ってロッドに傷を付けると泣けるので注意。


抜けました

 新しいベアリングの打ち込みは慎重に…なのだけれど、たたき棒(ネジ切れたラチェットの延長バーとか)でこれまたインナー側をガツンガツンやる。(アウター側を叩くとベアリングが壊れるので注意)
 先代V-Maxで躊躇してると入らないの判ったから遠慮しないもんねー


音が「キンキン」に変わったら打ち込み完了


 次はいつも問題になるアンダーレースの取り外し
 きっと大変だぞと覚悟していたのだけれど、セローは内側に切り欠きがあり工具を引っ掛けやすくなっていた。
 なのでいつもの「打ち抜き棒」(40cmくらいの長さのボルトをサンダーでカットしたもの)の先端を削り、エッジを作ってやったら比較的簡単に打ちぬけた。


切り欠きは左右2箇所にあります

 新品の打ち込みは遠慮せずに(略)先代V-Maxで(略)
 曲がって打ち込まないようにだけ注意する。


これは打ち込む前の新旧比較


 組み立て。
 新しいベアリングはアッパー・ロワーともグリスでべとべとに。
 アッパー側は新しいベアリングとカラーを置くだけ、そこに下から三又を差し込みセットする。
 各部品の順番を確認しながら仮止めする。締め付けトルクの調整はあとでまとめてやるとしよう。


ニードルの隙間にも練りこみます


アッパーも同様に


 結構重整備の割に作業がさくさく進んだ気がするのは、相手がセローだからなのか、はたまた多少なりとも整備のスキルが上がってきているのだろうか。
 「さぁ、気分が盛り上がってるうちにフォークもやっつけとくかぁ!」


 今回はステムベアリングと共にフロントフォーク内の交換部品も一通り買ってある。だから分解してのOHも可能。
 だが、見た目オイルシール類には劣化が見られないし、ステムベアリングだけの交換でどう変わるかも確認しておきたい。
 「ま、とりあえずオイル交換だけにしておこうかな、フォークだけならいつでも抜いてOHできるんだし」


 フォークオイル交換の手順はこちら同様
 オイルの銘柄はもちろんヤマハ純正G-10、量も規定値どおり106mm。(←物理的な量ではなく油面の高さで決める)
 内部のカラーの錆は増えていない(ってことはやっぱり以前は何かあったんだろうなぁ…)オイルの汚れもさほどではなし。


一通り抜いた後のオイルですが


内部の汚れもさほどではなく

 きっちり組んだフォークへブーツを取り付け(水抜き穴が後方になるように!)車体へとセットする。
 今回はちょい思うところあって、2mm程突き出してみたりする。


 ホイールを仮組み。アクスルシャフトがセンターにあるのを確認したら三叉(下)側のボルトでフォーク固定。
 フェンダー付けて、スタンド外して、ホイール・ブレーキ周り組んで、ヘッドライト付けて。

 スタンドが外れ前輪に加重が掛かった状態でステムのWナットの下側を締め込んでいく。
 時折前輪を持ち上げ、ホイールが自然に左右に切れる範囲のトルクで……とはいえ正直これは「適当」、実走行して不具合が出たら再調整するのだ。
※これもまぁ、自分で乗るバイクだからできることなのだけれど(笑)

 ステムナットを締め込み、トップブリッジを固定。フォーク固定ボルトも同様に。
 ワイヤー・ホースの類の取り回しを再確認し、ハンドルを付ける。
 そしてブレーキホースの取り回しがどうにも気に入らなくてバンジョーボルトを外してやリなおし、結果ブレーキオイルの交換・エア抜きまでするハメになる。(まぁどうせそろそろ交換時期だったし…)

 指差し確認を計3回。
 「付け忘れボルトなし、締め忘れボルトなし…っと」(多分ね)

 さぁて、これで乗り心地がどう変わるかお楽しみ(笑)

<2011年9月> インプレ

街乗り&ツーリングで

 某日、まずは街乗りにてチェックする。

 結果的に言うと、気になっていた「ギュ」とか「ギ」の類は綺麗に解消した。
 柔らかいタイヤからくる手ごたえの甘さは残るが違和感の類はゼロ、何も気にせず走り回ることができた。

 後日、1泊2日のキャンプツーリングに出発。
 トータルの走行距離は500km程、高速道路、峠道、ちょっとだけダートと走り回ったが、こちらもハンドリングには何の問題もなし。もちろん「凄い良くなった!」というところもなし(笑)

 帰宅後、落ち着いたらもう一度チェックしようと思っていたステムの締め付けトルクを再確認。特に問題はなく一発OKだった。

 よし、安心した。
 さあ、これでステムはあと4万キロ大丈夫だぞ!(笑)




 

 

 

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